音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ Chopin 前奏曲Des-Dur 「雨だれ」 の源泉は、平均律 3番 ■

2012-05-27 22:30:22 | ■私のアナリーゼ講座■

■  Chopin が見た≪平均律クラヴィーア曲集≫アナリーゼ講座 ■
     第 3回 平均律 第 1巻 第 3番 前奏曲とフーガ Cis-Dur 嬰へ長調
   ~ Chopin 前奏曲Des-Dur 「雨だれ」 の源泉は、平均律 3番

                      2012.5.27      中村洋子

 

 

★平均律 3番  Cis-Dur 嬰ハ長調 は、調号に 「 ♯を7つ 」 もち、

Bach の時代には極めて珍しい、革新的な調性です。

 

★ Cis-Dur 嬰ハ長調の異名同音調は、 Des-Dur 変ニ長調です。

 Des-Dur は、 「♭を 5つ 」 もちますが、聴いているだけでは、

 Cis-Dur も Des-Dur も、同じに聴こえますが、微妙に異なります。

 

★ Chopin  は、この異名同音調がもつ、微妙な効果の違いを、

極めて巧みに使い分け、彼独自の音楽空間を創出することに、

見事に、成功しています。

この点を、講座で詳しくご説明いたします。

 


 
★ Chopin の 「 雨だれ 」 (前奏曲Op.28-15) と、

 Bach の 3番前奏曲は、非常に多くの共通点をもちます。

 「 雨だれ 」 を、透かして見ますと、3番前奏曲が見えてくると、

言ってもいいでしょう。

 

★ Chopinによる、3番フーガへの 「 書き込み 」 を分析することにより、

このフーガを、彼がどのように、捉えていたか、よく分かります。

 Chopin  は、極めて ≪ 堅固な構造 ≫ を、フーガに発見していたのです。

これは、私たちが Bach を学ぶ際、格好の手引きとなります。

「 雨だれ 」 は決して、感情の赴くまま即興的に、

書かれた作品ではないのです。

■講師: 中村 洋子

■日  時 : 2012年 6月 18日 (月) 午前10時00分 ~ 12時 30分

■会  場 :  カワイミュージックスクールみなとみらい        
          横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F
         ( みなとみらい駅 『出口1番』 出て目の前の高層ビル 3F )

■会 費 : 3,150円  ( 要予約 )  Tel.045-261-7323 横浜事務所
                    Tel.045-227-1051 みなとみらい直通

 

 

                          ※copyright © Yoko Nakamura
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

 

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■ Chopin の改変で生まれた美しい和音、平均律 2番前奏曲 ■

2012-05-26 23:06:35 | ■私のアナリーゼ講座■

■ Chopin の改変で生まれた美しい和音、平均律 2番前奏曲 ■
    ~Chopin の見た 「平均律クラヴィーア曲集」 アナリーゼ講座~
                    2012.5.26  中村洋子

 

 

 

★明日は、Chopin の見た 「平均律クラヴィーア曲集」 1巻 2番の、

アナリーゼ講座を、「Kawai 横浜みなとみらい」 で、開催します。

Chopin の書き込みと、Bartók の平均律校訂版を、比較しますと、

表現は異なるものの、この二人の天才が、 Bach から学んだことは、

実に、共通点が多いことに、驚かされます。


Chopin は、Praeludium 2番では、たった一か所、

27小節にのみ、Fingering  を、記しています。

しかし、ここだけで、十分に彼が何を考えていたか、

汲み取ることが、できます。


★この箇所は、Bartók も全く同じ Figering を、付けています。

Bartók には、28、29、30、31、32、33 と続く 6小節にも、

詳細に Fingering を記していますので、

より明確に、彼の意図が伝わります。

それにより、 Chopin の考え方も裏付けできるのです。


★Chopin は、Praeludium 2番の 34小節目 Adagio の音を、

一音変更しています。

彼の所有していた平均律の楽譜は、誤りが多く、

Chopin はその一つ一つを、丁寧に鉛筆で訂正していますが、

勢い余って、 Bach が書いた正しい音まで、

直してしまったのです。


★しかし、それによって出現する和音が、じつに美しく、

 Chopin が Bach を基に、自分オリジナルの作品を、

創っていったのと、同じ過程を見るようです。

 

 


★もう一つ、重要なことがあります。

前奏曲 2番の Bach 直筆譜は、3ページにわたって記譜され、

1ページ目の上 3段は、1番のFuga。

4段目から 前奏曲 2番が、始まります。


★2ページ目は、11小節から始まり、 30小節の 1拍目まで。

3ページ目の 1段目は、30小節の 2拍目から、

33小節の 1拍目まで、記譜されています。

33小節の 1拍目は、16分音符の 「 es1 - c2 - b1 - c2 」 と、

4つの音から成ります。


ところが、現行の実用譜 Bärenreiter 、 Henle 、

Winer Urtext Edition は、すべて、

その3番目の音を、 「 h1 」  ( 1点ロ音 ) にし、

 「 ♮ 」 が、付されています。

これは、 「 b1 」  ( 1点変ロ音 ) 、

即ち 「 シ♭」 が、正しいのです。

 
★「 h1 」  ( 1点ロ音 ) にしますと、 「 c2 」 に対する、

刺繍音 (auxiliary note 、 broderie ) となり、

大変に、分かり易くはなります。

 

 


★28小節から 33小節までの、 6小節に出現する、

「 h1 」 も 「 h 」 も、 「 シ 」 にはすべて 「 ♮ 」 が付きますので、

“ 1ヶ所だけ 「 ♮ 」 が付かない 「 b1 」  ( 1点変ロ音 )は、

おかしい、 Bach が書き忘れたのではないか ” と、

校訂者が考えたのも、頷けなくもありません。 


★しかし、 Bach 本人の自筆譜 (ca.1720~1739 ) に加え、

 Bach 本人と 、Anna Magdalena  Bach  (1701~1760 )、
 
Wilhelm Friedeman Bach  (1710~1784 ) 、

お弟子さんの Agricola  (1720~1774) の合作による、

写譜 (ca. 1740~1759) の平均律クラヴィーア曲集第 1巻でも、

この音に、 「 ♮ 」 は付いていません。

本人も含む、複数の人の手が入った楽譜で、

二度まで、同じミスをするものでしょうか。


これは、(先ほど、 Chopin の和声感についても書きましたが)

 「 b1 」  ( 1点変ロ音 )にすることにより、実は、

Bach の類稀な美しい和声が、出現するのです。

決して、書き落としではないのです。


講座では、Bach の、元々のオリジナルの和音と、

 Chopinが、1音改変したことによって形成される和音とを、

実際に、ピアノで音に出し、二人の天才の和音を、

味わってみたいと思います。

 

 

 

                                ※copyright © Yoko Nakamura
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■平均律24番は、人類の至宝 “ ロ短調ミサ ” へと、滔々と流れる■

2012-05-25 14:35:03 | ■私のアナリーゼ講座■

平均律24番は、人類の至宝 “ ロ短調ミサ ” へと、滔々と流れる■

        平均律クラヴィーア曲集・アナリーゼ講座
          第24回 第 1巻 第 24番 ロ短調 前奏曲 と フーガ
  

                                              2012.5.25  中村洋子

 

 

★ 平均律クラヴィーア曲集第 1巻 24曲の、悼尾を飾る 「 24番 」。

その前奏曲は、晴れやかで幸福感に満ちた第 1番 C-Dur とは対照的に、

静謐さの中に、 “ 悲しみが滲み出る ” ような沈痛な曲。

キリストがゴルゴダの刑場に向かう、重い足取りを思い起こさせます。


★しかし、1番と 24番が表現しているものは、寸分違わず同じものです。

Bachは、平均律クラヴィーア曲集で、 「 調性とは何か 」 を、追及し、

探究し尽くしました。

24番前奏曲の 1小節目バスが、 h-Moll の音階であることと、

24番フーガの主題が、3小節もの長さをもち、1オクターブの 12音すべてを

含んでいることとは、偶然ではありません。


★24番前奏曲は、全音階の展開を、24番フーガは、半音階の展開を、

極めた曲である、といえます。

その構造を熟知してはじめて、24番を弾いたことになります。

24番が弾けませんと、平均律の他の23曲を、理解したことにはなりません。


★大作曲家Bartók Béla  バルトーク (1881~1945) の校訂版から、

どのような手掛かりを得るかも、お話いたします。


★音楽史上、最大の傑作 は、「 Messe in h-Moll ロ短調ミサ」

( 1733~1749にかけて作曲 ) で、この 24番 と同じ調性です。

この Messe の中の、例えば半音の扱いを学ぶことで、24番のどこに、

光を当てるべきかが、分かってきます。

 

 

■日時: 2012年 6月 15日 ( 金 ) 午前 10時~12時 30分

■会場: カワイ表参道 2F コンサートサロン・パウゼ

■会費: 3,000円  ( 要予約 )  ℡ 03-3409-1958

講 師 : 作曲家  中村 洋子

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。

日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

2003年~05年:アリオン音楽財団 《 東京の夏音楽祭 》 で新作を発表

07年: 自作品 『 無伴奏チェロ組曲第 1番 』 などを、チェロの巨匠

    Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏

     CD 『 W.ベッチャー 日本を弾く 』 を、発表。

08年: CD:『 龍笛&ピアノのためのデュオ 』

     CD:『 ソプラノとギターのための、“星の林に月の船 ” 』 を発表。

08~09年: 『 バッハのインヴェンションアナリーゼ講座 』                                  

                                 全15回を開催。

  09年10月: 『無伴奏チェロ組曲 2番 』 が、W.Boettcher

ヴォルフガング・ベッチャー氏により、ドイツ・マンハイムで初演される。

  10年 : 楽譜: 『 Suite Nr.1 für Violoncello solo

伴奏チェロ組曲 1番 』が、ベルリンの

  リース&エルラー社Ries&Erler Berlin から、出版される。

    CD :『 無伴奏チェロ組曲第 3番、2番 』 W.Boettcher

              ヴォルフガング・ベッチャー氏 演奏を発表。

    楽譜 :『 Regenbogen-Cellotrios 7 Trios für 3 junge Cellisten

レーゲンボーゲン・チェロトリオス ( 虹のチェロ三重奏曲集 ) 』 が、

ドイツ・ドルトムントの ハウケハック社

MUsikverlag Hauke Hack社 から出版される。

     スイス、ドイツ、トルコ、フランスの音楽祭で、自作品が演奏される。

11年4月 : 『 10 Duette Für 2 Violoncelli

        チェロ二重奏のための10の曲集 が、ベルリンの

     リース&エルラー社 Ries&Erler Berlin から、出版される。 

 

●上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/

 

「 アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/   で、販売中

 

 

■Kawai 表参道 コンサートサロン・パウゼ

 【新講座】 イタリア協奏曲・アナリーゼ講座 ( 全 3回 )

 

・第1回  7月 31日(火) 第 1楽章  午前10時 ~ 12時 30分 

・第2回  8月 28日(火) 第 2楽章  午前10時 ~ 12時 30分

・第3回  9月 28日(金) 第 3楽章  午前10時 ~ 12時 30分

 

 

■Kawai 横浜 みなとみらい

ショパンが見た 「平均律クラヴィーア曲集」 1巻 第 3番 前奏曲とフーガ

6月 18日 ( 月 ) 午前 10時 ~ 12時 30分 

 

■Kawai 名古屋  コンサートサロン・ブーレ

インヴェンションとシンフォニア 8番

6月 27日  ( 水 ) 午前 10時 ~ 12時 30分

 

■Kawai 金沢  石川県立音楽堂 交流ホール

Debussy   Golliwog’s Cakewalk

6月 28日 ( 木 )午前 10時  ~  12時 30分

 

 

                    ※copyright © Yoko Nakamura
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

 

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■ Ravel の Sonatine は、一音一音すべてが Bach 由来 ■

2012-05-23 11:08:39 | ■私のアナリーゼ講座■

■ Ravel の Sonatine は、一音一音すべてが Bach 由来 ■
  ~平均律 23番には、溜息の出るような創意、仕掛けが・・・~
                      2012.5.23   中村洋子

 

 

 

Kawai表参道で24日、開催します 「 平均律クラヴィーア曲集 」

アナリーゼ講座は、 「 第 1巻 23番 」 です。

http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/e/0ec9737a09ff795c9b1cc1f1f2901926

汲めども尽きない Bach の自筆譜、さらに、

Maurice Ravel モーリス・ラヴェル(1875~1937)の 「 Sonatine 」 と、

Bartók Béla  バルトーク (1881~1945) 版 「 平均律 」 も、

併せて、勉強しています。


★Ravel の Sonatine は、Durand から、

1905年、30歳の時に出版されています。

ちょうど、 Claude  Debussy  クロード・ドビュッシー (1862~1918) が、

「 Children's Corner 子供の領分」 の作曲に、取りかかった頃です。

http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/d/20120518


Ravel の Sonatine 第 1楽章の冒頭 6小節だけをとってみましても、

その一音、一音すべてが、 Bach 由来であることに、驚愕します

講座では、 Sonatine を素材に、その源泉である 「 平均律 23番 」 へと、

辿っていきたいと思います。

 

 


★Johann Sebastian Bach  バッハ  ( 1685~1750 ) の平均律 23番は、

平均律全 24曲の 「 結論 」 ともいえる 「 24番 」 へと、昇り詰めていく

極めて、重要な曲です。

 「 結論 」 とは、どういう意味なのでしょうか?

それは、≪ 調性とは何か ≫ という問いに対する、

≪ 答え ≫ という、意味です。

 Bach は平均律で、 ≪ 調性の可能性を、極限まで追求した ≫ のです。 


★ドイツの哲学のように、≪ 答え ≫ に向かって、

第 1番から延々と、推敲に推敲を重ね、

組み立てていく、その 「 過程 」 から、導き出された答えが、

 ≪ 全音階 ≫ と、 ≪ 半音階 ≫ なのです


★講座では、この ≪ 半音階 ≫ が、いかに、

驚くべき 「 きっかけ 」 で、22番から導き出され、そして、

23番へとつながれ、最後の 24番に至るのかを、

ご説明いたします。


★≪ 全音階 ≫ につきましては、以下のような、

楽しい工夫も、凝らされています。

 
★Bach は、23番 前奏曲を、見開きの左側 1ページに、

きれいに全部を、収めています。

23番フーガは、見開きの右ページの最初から、書き始め、

そのページは、22小節目の前半までで終わり、

次のページは、22小節目後半から始まり、

4段目で、フーガは終わます。


Bach は、すぐその下の 5段目から、

 「 24番 前奏曲 」 を、書き始めています。

 ページを、改めてはいません。

平均律の掉尾を飾る、終曲ならば、

新しいページから始めたい ” と思うのが、

普通の心理でしょう。

やはり、そうしなかったことには、理由があるのです。
 

 

 「 24番 前奏曲 」 直前の、23番フーガには、

溜息が出るほどさまざまな、創意、仕掛けがあることが、

自筆譜から、読み取れます。

例えば、29小節目は、途中で切れています。

つまり、29小節目の前半は、2段目の最後に、

29小節目の後半は、3段目の最初に、記されています。


なぜ、1つの小節を、途中で切断したのでしょうか?

問題の 「 29小節目の前半 」 は、バス声部に、

≪ H から h までの、1オクターブの音階 ≫ が、記されています。


★一方、 「 23番フーガ 」 の直ぐ下段から始まる

 「 24番 前奏曲 」 の冒頭 1小節目バス声部にも、実は、

≪ H から h までの 1オクターブ音階 ≫ が、置かれています。


★これを、視覚的に分析しますと、

2段目の最後 ( 右端 ) に、「 29小節目の前半 」 を置き、そこには、

長音階の ≪ H から h までの、1オクターブ音階 ≫ が、

配置されている。

一方、5段目の最初 ( 左端 ) には、 「 24番 前奏曲 1小節目 」 の、

同じ開始音で始まる ≪ H から h までの 1オクターブ音階 ≫ が、

記されています。


これが、23番フーガ の 29小節目を、途中で切断した理由です。

23番フーガ のすぐ下に、 敢えて、24番前奏曲 を配置した理由です。

ページを開いた途端、否が応でも、

右上に、フーガの ≪ 長音階 ≫が、

斜め左下の端には、前奏曲の ≪ 短音階 ≫ が、

目に飛び込んでくるよう、仕掛けられているのです


 “  この両方を、対比しなさい ” と、親切な Bach 先生は、

分かりやすく、描いているのです。

平均律全 24曲は、いかに、各曲がお互い密接に結び付き、

切っても切れない関係にあるか・・・、ということが、

ここからも、如実に分かります。


★23番の Bach 自筆譜には、これ以外にも、さらに重要な、

驚くべき作曲技法の妙技が、散りばめられています。

講座で、詳しくお話いたします。

 

 


★「 Ravel の Sonatine が、 Bach 由来である 」 ことは、

 Ravel が、勉強し抜いて意図的に、

そのように作曲したのか、あるいは、

巧まずして無意識的に、出てきたのかは、

分かりません。

その両方が、微妙に交差しているのかもしれません。


ラヴェルは、この Bach の H-Dur  ( ♯ 5つの調号をもつ調 ) に、

極めて近い性質をもつ 「 fis を主音とするエオリア旋法 」 

( 調号としては ♯ 3つの fis-Moll  ) を、使用しています。

調号の性質が、極めて近い場合、名曲となる諸要素も、

ほとんど、一致してきます。

この 「 Bach 由来の諸要素 」 を、備えていることが、

傑作の条件である、といえるのは事実です。

 


                                  ※copyright © Yoko Nakamura
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■ Dietrich Fischer-Dieskau が死去 、Dieskauのある一面 ■

2012-05-20 19:20:42 | ■ 感動のCD、論文、追憶等■

■ Dietrich Fischer-Dieskau が死去 、Dieskauのある一面 ■
                        
                                       2012.5.20   中村洋子

 

 

★ 「 Oh!   Winter Reise !!   冬の旅だ !!! 」 

昨年 12月、金沢近郊・津幡町の Cygnus Hall シグナスホールで、

私の ≪ Suite Nr.  4、 5、 6 für Violoncello solo

無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 ≫ を、Wolfgang . Boettcher

ヴォルフガング・ベッチャー先生に CD recording して頂きました。

 

★録音は、真剣勝負です。

奏者と録音技術者、作曲家との間で、

火花が飛び散るようなやり取りが、交わされます。

一段落し、ほっとして、夕闇迫る外界を見回しますと、

美しい、銀世界に包まれていました。

 

★Berlin はとても寒いところですが、雪はあまり降らないそうです。

食事に出かける車中、先生は 「 Winter Reise !!! 」 と、

金沢の美しい雪景色にうっとり、そして、追憶を辿るように、

Dietrich Fischer-Dieskau フィッシャー・ディースカウの思い出を、

問わず語りに、話してくださいました。


★その Dietrich Fischer-Dieskau が 5月 18日、86歳で亡くなりました。

87歳のお誕生日まで、あと 10日でした。

Dieskau につきましては、2009年 3月 21日の当ブログでも、書きました。

どうぞ、ご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/d/20090321

 


★Boettcher先生は、1947年 Dieskau の Berlin ベルリンでの

Lied Debut Recital デビューリサイタルを、お聴きになったそうです。

Dieskau は 22歳、先生は Dieskau より 10歳年下のまだ 12歳でした。

終戦から 2年たらず、ベルリンは廃墟からの復興の時期でした。

しかし、人々は本物の音楽、芸術に飢えていました。

「 コンサートは、ホールでなく映画館でした、巨大な映画館でした。

私は、感動して涙を流しながら、家まで歩いて帰ったよ 」 と、

昨日のことのように、話されました。


★ Dieskau とのご縁は深いそうで、Dieskau の息子さんは、

Boettcher  ベッチャー先生について、チェロを学び、

現在、チェリストとして活躍中だそうです。

 


Dieskau は後年、指揮者としても活躍しましたが、

1973年の Conductor Debut Concert デビューコンサートは、

Haydn Cello Concerto No.1 C major で、 

オーケストラは、 Camerata Academica Salzburg 、 

Cello は、Wolfgang . Boettcher ベッチャー先生でした。

この live recording が、CDで発売されています
                   = 「 Orfeo-C221901B 」


★これは、私の愛聴盤で、何度も何度も聴いています。

Haydn の音楽のもつ、悠揚迫らない、

抜ける青空のような世界を、朗々と歌い上げています。

Haydn という作曲家の本質が、自然に理解できる、

素晴らしい演奏です。


★先生は、 マスタークラスのために来日された際、

Haydn Cello Concerto No.1 C major を

日本でも、録音されていますが、

「 この録音は、気に入っていませんので、是非、

Dieskau 指揮の録音を聴いて欲しい 」 とのことです。

 


★私が師として慕う、もう一人の芸術家、 Bariton バリトンの、

 late Teiichi Nakayama 故 中山悌一先生も、

第二次大戦後、ドイツで勉強中に、

Dieskau の若い時代のオペラを、お聴きになったことがあります。

「 彼は、ある音域での声がザラザラする。

そのため、オペラより リートを選んだのではないか 」 と、

話されていました。


★中山先生は、Gerhard Hüsch ゲルハルト・ヒュッシュ から

「 Lied 」 を、学ばれた方です。

「 Dieskau の Lied 」 の、怜悧といもいえる個性とは、

少し、肌合いが異なっていました。

芸術家の真の評価は、死後に段々と定まっていくことでしょう。

 


                                    ※copyright © Yoko Nakamura
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■ 「子供の領分」は、ドビュッシーの作曲の粋を集約した“組曲” ■

2012-05-18 22:35:16 | ■私のアナリーゼ講座■

■ 中村洋子 《 Debussy Golliwog’s Cakewalk 》 アナリーゼ講座 ■

「子供の領分」は、ドビュッシーの作曲の粋を集約した“組曲”

                              2012. 5.18    中村洋子

 

 

★このたび、金沢の Kawai楽器で、アナリーゼ講座を、

 

開講することになりました。

 

Claude Debussy クロード・ドビュッシー (1862~1918) の、

 

≪Golliwog's Cakewalk≫を、自筆譜に基づき、お話いたします。

 

■ 日  時 :  2012  28日  午前10  ~ 12 30

■ 会  場 :  石川県立音楽堂 交流ホール        

                      JR金沢駅 『東口』 出口のすぐ右側

 

 

 

★ ことしは、 Debussy ドビュッシー (1862~1918) の、

生誕150年です。

「 Children's Corner 子供の領分 」 は、愛娘の Claude-Emma

クロードエマ(1905生)が生まれた翌年から、作曲を始め、

1908年にDurand 社から、出版されました。

子供たちが、いかにも喜びそうな可愛い表題を付けた

「 6曲構成の組曲 」 です。


 

★ 「 Children's Corner 」 は、 Debussy 円熟期の、

作曲技法が、凝縮された曲集です。

今回は、その第 6曲  「 Golliwog's Cakewalk

ゴリヴォーグのケークウォーク 」 の Debussy 自筆譜を基に、

“ Debussy 独特の和音や表現は、どこに由来するのか、

それをどのように表現するか ” を、分かりやすくお話いたします。

自筆譜には、その手掛かりが宝庫のように、散りばめられています。

 

★ さらに、他の 5曲も例にとりながら、重要な要素である

 「 旋法 」、 「 5音音階 」、「 全音音階 」 についても、

具体的に、解説いたします。


★ 海外の定評ある楽譜  「Bärenreiter ベーレンライター」、

 「Durand デュラン」 、 「Wiener Urtext Edition ヴィーン原典版

(Michel Béroff フィンガリングと解説)」 などの特徴と、

レッスンへの取り入れ方も、ご説明いたします。

 

■会  費 :  音研会会員2,500円 楽譜会員3,000円 一般3,500円

■ ≪ 参加ご予約・お問合せは ≫

カワイ音楽教室 石川事務所  Tel.076-262-8236

http://shop.kawai.co.jp/kanazawa/

kanazawa@music.kawai.co.jp

 

 

 

講 師 : 作曲家  中村 洋子

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。

日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

2003年~05年:アリオン音楽財団 《 東京の夏音楽祭 》 で新作を発表

07年: 自作品 『 無伴奏チェロ組曲第 1番 』 などを、チェロの巨匠

    Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏

     CD 『 W.ベッチャー 日本を弾く 』 を、発表

08年: CD:『 龍笛&ピアノのためのデュオ 』

     CD:『 ソプラノとギターのための、“星の林に月の船 ” 』 を発表。

08~09年: 『 バッハのインヴェンションアナリーゼ講座 』                                  

                                 全15回を開催。

  09年10月: 『無伴奏チェロ組曲 2番 』 が、W.Boettcher

ヴォルフガング・ベッチャー氏により、ドイツ・マンハイムで初演される。

  10年 : 楽譜: 『 Suite Nr.1 für Violoncello solo

                       伴奏チェロ組曲 1番 』が、ベルリンの

  リース&エルラー社Ries&Erler Berlin から、出版される

    CD :『 無伴奏チェロ組曲第 3番、2番 』 W.Boettcher

              ヴォルフガング・ベッチャー氏 演奏を発表。

    楽譜 :『 Regenbogen-Cellotrios  7 Trios  für 3 junge Cellisten

                レーゲンボーゲン・チェロトリオス ( 虹のチェロ三重奏曲集 ) 』 が、

         ドイツ・ドルトムントの ハウケハック社

          MUsikverlag Hauke Hack社 から出版される。

     スイス、ドイツ、トルコ、フランスの音楽祭で、自作品が演奏される。

11年4月 : 『 10 Duette Für 2 Violoncelli 

        チェロ二重奏のための10の曲集 が、ベルリンの

     リース&エルラー社 Ries&Erler Berlin から、出版される。 

現在、Kawai表参道で、「 平均律クラヴィーア曲集 」

     Kawai横浜で、 「 ショパンが見た平均律クラヴィーア曲集 」

     Kawai名古屋で、 「 Inventionen und Sinfonien 

                                         インヴェンション と シンフォニア 」 の、

     アナリーゼ講座を、開講中。

●上記の楽譜とCDは、

「 カワイ金沢ショップ」 http://shop.kawai.co.jp/kanazawa/

 「 アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で、販売中。

 

  

             

                                                    ※copyright © Yoko Nakamura
                       ▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

 

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■ Mannheimでの 「 Boettcher姉弟 Duo concert 」 の独紙記事 ■

2012-05-11 16:49:29 | ■私の作品について■

■ Mannheimでの  「 Boettcher姉弟 Duo concert 」 の独紙記事 ■

                                                2012.5.11 中村洋子

 


Wolfgang Boettcher  ベッチャー先生が、4月1日に演奏された、

Mannheim-Feudenheim マンハイム=フォイデンハイムでの、

「 Duo concert デュオコンサート 」 演奏会評の、

新聞記事を、送って下さいました。


■Feudenheimer Anzeiger 紙  Mittwoch, 25.April 2012

★≪ Duo-Abend mit Werken aus drei Stilepochen und drei Ländern

三つの時代様式と、三つの国の作品による デュオの夕べ ≫

のコンサートは、満員の聴衆の期待を裏切らず、

これ以上ない音楽の喜びを、与えてくれた。

 


★Ursula Trede-Boettcher と、Wolfgang  Boettcher の姉弟は、

ヴィルトゥオーソの技量を、発揮しただけでなく、

・Johann Sebastian Bach  バッハ  ( 1685~1750 )
・Johannes Brahms ブラームス (1833~1897)
・Robert Schumann  ロベルト・シューマン (1810~1856)
・Yoko Nakamura  中村洋子
・David Popper     ダーフィット・ポッパー

のような大作曲家の、真の感情を、表現した。


★火花が飛び散るような演奏が、終わると、

感動が満員のホールに渦巻き、拍手がいつまでも続いた。

二人の演奏活動は、長年にわたっている。

 


★Ursula Trede-Boettcher は、ミュンヘン国際音楽コンクールの

オルガン部門1位となり、その才能が証明され、それ以降、

世界中のたくさんの音楽祭や、

Wolfgang Boettcher との共演などで活躍。

私たちにとって大変に幸せだったことは、我々の地元 Feudenheim の、

Epiphaniaskircheで、彼女は、1984~2008年までオルガニストを勤めた。

1990年からは、コンサートオルガニストとして活動。
 

★Wolfgang Boettcher は、その感動的なチェロで大変に人気がある。

ベルリンフィルの首席チェリストを務め、カラヤン、メニューインなどと共演、

1976年から、ソリストとして活躍、今回のコンサートのように、

芸術作品の普遍の価値を、チェロで表現する。
                              ( 略 )

★Robert Schumann  ロベルト・シューマン (1810~1856) の、

「 Fantasiestücke op.73  ( 幻想小曲集 ) 」  Op.73は、

夢のように、心地よかった。

対照的に、21世紀の作曲家 Yoko Nakamura の

「 Japanisches Erntelied  ( 収穫の歌 ) 」 は、我々の心を躍動させた。

この曲は、Ursula Trede-Boettcher と Wolfgang Boettcher に、

献呈されている。

Popperの 「 Ungarische  Rhapsodie ハンガリーラプソディー 」

Op.68 は、チェロの最も高い音域まで、駆け上った。

二人のヴィルティオーソは、拍手が鳴り止むまで、

ずっと、アンコールを続けなくてはならなかった。

 

 

 

■Program

● Johann Sebastian Bach (1685~1750) 
                                Sonate D-Dur BWV 1028
● Johannes Brahms (1833~1897)
                                Sonte op.38 e-moll ( チェロソナタ 1番 )
● Robert Schumann  (1810~1856)
                                 Fantasiestücke op.73  ( 幻想小曲集 )
●Yoko Nakamura   
      Japanisches Erntelied Einleitung, Thema und Variationen
                                                                         ( 2009 )
●David Popper  (1843 ~1913)
             Ungarische  Rhapsodie op.68

(注:Popperはチェコ出身の作曲家、チェリスト。1890年、 Brahms の

         ピアノ三重奏曲第 1番を、 Brahms と一緒に初演した

    Wolfgang Boettcher  : Violoncello
    Ursula  Trede-Boettcher : Klavier
 

 

★ちなみに、Ursula 先生のお嬢さまの Melanieメラニーさんは、

日本美術史、特に、絵巻物や浮世絵などの研究者として、

著名な方で、ハイデルベルグ大とミシガン大学の教授です。

たびたび、来日されており、

日本の学習院大でも教鞭をとられたことが、あるそうです。

Prof. Dr. Melanie Trede
Professor of Japanese Art Histories, Heidelberg University
University of Michigan
Professor, Histories of Japanese Art

 

 

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■ ドイツのGlambeck で、私の作品が演奏されました ■

2012-05-03 21:16:15 | ■私の作品について■

■ ドイツのGlambeck で、私の作品が演奏されました■
                    2012.5.3    中村洋子

 

 

★ゴールデンウイークも、後半となりました。

五月晴れはなかなか顔を見せず、雨に降り込められています。

Berlin の Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生

から、お便りがありました。

「 Berlin は、急に夏になりました。

27~30度になってしまい、湖で泳げます。 」


Boettcher 先生は、4月 21日に、 Glambeck で、

お姉さまの Ursula Trede-Bottcher さん、

妹の Marianne Boettcher さんと、三人でコンサートをなさいました。


★≪ Meisterwerke der Wiener Klassik und Musik von Lili Boulanger

und Yoko Nakamura ≫ 

≪ ヴィーン古典派 と リリー・ブーランジェ と
                中村洋子のマスターワーク ≫ 
  
というタイトルの、音楽会です。 

2010年にも、 Glambeck で同様のコンサートをなさっています。

http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/d/20101011

 


■ Program
-----------------------------------------------------
・ W. A. Mozart (1756-1791) :  Klaviertrio g-dur KV 564

・ Lili Boulanger (1893-1918) :  Nocturne und D /
                                               un matin du printemps

・Yoko Nakamura  :  Japanisches Erntelied
                            Einleitung, Thema und Variationen
                            Wolfgang Boettcher und Ursula Trede
                            Boettcher gewidmet

・Ludwig van Beetheven (1770-1827) : Klaviertrio c-moll Op.1 Nr.3
                             Allegro con brio, Andante cantabile con
                             Variazione Menuetto Quasi Allegro

                      Marianne Boettcher          Violine
                      Wolfgang Boettcher         Violoncello
                      Ursula Trede-Bottcher      Klavier
-------------------------------------------------------

以上の、堂々たる 4曲です。

 


★Lili Boulanger は、わずか 24歳で夭折した、魅力的な作曲家です。

分野は違いましても、日本の樋口一葉も、

24歳 6ヵ月で、亡くなっています。

若いころは、あまり理解できなかった一葉ですが、

やっと、最近になって、 「 十三夜 」、 「 にごりえ 」、 

「 たけくらべ 」 を、少しずつ理解できるようになってきたと、

感じています。


★Lili Boulanger の姉の Nadia Boulanger  (1887-1979) は、

長命を保ち、20世紀に大きな影響を残した作曲家であり、

教師でした。

世界中で、彼女の弟子や孫弟子が活躍しています。

私も、その孫弟子の一人ですが、何か不思議な縁を感じます。

 

                                  ※copyright © Yoko Nakamura
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■平均律の楽譜は、自筆譜と Chopin 、Bartok の校訂版でこと足りる■

2012-05-02 23:58:14 | ■私のアナリーゼ講座■

■平均律の楽譜は、自筆譜と Chopin 、Bartók の校訂版でこと足りる■
                    2012.5.2    中村洋子

 

 

★一昨日の 「 Kawai 横浜みなとみらい 」 講座では、

Chopin が、平均律クラヴィーア曲集の楽譜に、書き込んだ

テンポ、ディナミーク、expresion 通りに、メトロノームも使って、

実際に、平均律 1巻 1番を弾いてみました。

多分、狭量なピアノの先生が聴きますと、目を剥いて、

お怒りになるような演奏かも、しれません。

例えば、フーガ 6小節目の 4拍目を sforzando とし、

7小節目 1拍目を、急に Piano とするところなどです。


★弾き終わった後、参加された皆さまから「ホ-」という、

感嘆とも溜息ともつかない、声が聞かれました。

そこにあるのは、 Bach に音を借りた、

まぎれもない Chopin の作品だったのです。


★Chopin が書き込みました fingering やアクセントを,

手掛かりに、この平均律 1巻 1番が、どんなに豊かな

counterpoint によって作曲された曲であるか、

さらに、 Chopin  の作品も同じく、複雑に張り巡らされた、

counterpoint の宝庫であることが、

お分かり頂けたことと、思います。

 

 


★ Bach をこのようにアナリーゼし、演奏した音楽家

( 作曲家、ピアニストを含め ) は、 Chopin  唯一人でしょう。

 Bach という大海から、天才にしか見つけることができない宝物を、

抽出し、自分の音楽を創り上げたのが Chopin  でした。


★これを、私は 「 天才のリレー 」 と、名づけました。

 Chopin から “ バトン ” を、受け取ったのは、

 Claude  Debussy  クロード・ドビュッシー (1862~1918) です。

 Debussy が校訂した Chopin ピアノ作品全集を見れば、

それは、一目瞭然です。


★4月 27日の表参道での 「 平均律クラヴィーア曲集 」 講座の後、

参加者の方から、「 Alfred Cortotアルフレッド・コルトー

(1877~1962)の、校訂した Chopin 作品の fingering は、

 Debussy 校訂版と、そっくりですね 」、

「 こういうアナリーゼの授業を若いころ、音大で受けたかったです」

という、感想をいただきました。

 

 


★Johann Sebastian Bach  バッハ  ( 1685~1750 )の、

「 平均律クラヴィーア曲集 」 は、大作曲家の、

Bartók Béla  バルトーク (1881~1945) も、校訂版を出しています。

「 横浜みなとみらい 」 での講座では、 1巻 1番 前奏曲を、

バルトーク校訂版の指示どおりでも、弾きました。

Chopin版とは、大きく異なっています。

にもかかわらず、その両者は、 Bach そのものであり、

その違いは個性の違いである、という、

不思議な体験を、されたことと思います。


★ Bach の平均律クラヴィーア曲集を、弾くには、

自筆譜ファクシミリと、上記 2種類の校訂版があれば、

その他の楽譜は、必要ないかもしれません。


Wolfgang Amadeus Mozart

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~1791) の、

pianosonata ピアノソナタ全集でしたら、

Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー (1886 ~ 1960) 版と、

バルトーク校訂版で、十分かもしれません。

ただ、これらの版は、大変に古いもので、

明らかな間違いは、散見されます。

それをもって、楽譜の価値を否定される方も、

いらっしゃるようですが、枝葉末節にこだわり、

本当の宝物の価値が、分からないのでしょう。

 


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Chopin ≪ 24 Préludes Op.28 ≫ の源も Bach

2012-05-01 22:34:10 | ■私のアナリーゼ講座■

■ 第 2回 「 ショパンが見た平均律クラヴィーア 」・アナリーゼ講座 ■

                        2012.5.1 中村洋子

 

 

★「ショパンが見た平均律」・アナリーゼ講座の第 2回は、

 平均律 第 1巻 第 2番 前奏曲とフーガ c-Moll ハ短調

Chopin ≪ 24 Préludes  Op.28 ≫ の源も Bach

■ 2012年 5月27日(日) 午後2時00分~4時30分

■ カワイミュージックスクールみなとみらい

          Tel.045-261-7323 横浜事務所

          Tel.045-227-1051 みなとみらい直通

 

★ Chopin が所有していました Bach 平均律の楽譜には、

たくさんの書き込みが、あります。

第 1巻 2番 前奏曲を、書き込み通りの

 「メトロノームテンポ」、 「expression」、 「強弱」 で、

忠実に演奏しますと、紛れもない、

Chopin自身の音楽が、眼前に彷彿と、

立ち現れます。

心底、驚かされます。

 

 

Chopin が記入した diminuendo の hairpin にも、

Bach の秘密を解く鍵が、隠されています。

Chopin の Bach への、深い傾倒が、

名曲 ≪ 24 Préludes Op.28 ≫ に、結実したのは、

間違いありません

 

平均律 2番前奏曲の、和声の大きな流れを見ますと、

Bach の Passion 受難曲との密接な関連も、

よく、見えてくるのです。

平均律 1巻 23番、24番とも深く、結びついています。

 

★Chopin が、そのことを鋭く見抜いたうえで、

演奏していたことは、Chopinが、フーガ 2番に自ら、

書き込んだスラーから、分析できます。

 

★Bachが Chopinを育て、

Chopinが Bach の真髄を、その作品を通して、

私達に、伝えていてくれるのでしょう。

 

 

                 ※copyright © Yoko Nakamura
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