音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■「ブラームス交響曲4番」に宿る「バッハ」を、自筆譜から解明する■

2023-06-28 01:00:32 | ■私のアナリーゼ講座■

■「ブラームス交響曲4番」に宿る「バッハ」を、自筆譜から解明する■
~2023年7月17日 岡山市三木記念ホールで講演いたします~
      2023.6.28    中村洋子

 

 

 

 


7月17日(月・祝日 15:45~16:55)岡山市・三木記念ホール

(岡山市北区駅元町19-2)で、

《「ブラームス交響曲4番」に宿る「バッハ」を、ブラームスの

自筆譜から解明する》というテーマで、講演を致します。

事前予約が必要ですが、入場無料です。

15時45分~16時55分です。


★私の講演は、【リジェネフォーティー先端医学セミナー】の一環

としての記念講演です。

このセミナーで、中心となられる中西徹先生からのご依頼です。

中西先生は、分子生物学者で、現在、脊髄損傷治療用細胞薬

開発に、尽力されています。

また、クラシック音楽を心から愛され、「日本モーツァルト協会」

会員で、特に、Johannes Brahms ブラームス (1833-1897)が

お好きです。

そんな音楽のご縁から、今回の「Brahms と Bach 」との関連を、

解きほぐす講演を、依頼されました。


J.S.Bach バッハ(1685-1750)の[平均律クラヴィーア曲集」は、

音楽史上「聖書」と言われます。

なぜ「聖書」なのでしょうか?

Bachはこの曲集で、私たちが今日当たり前に使っている「調性」

とは、一体何であるかを定義し、そして無限の可能性があること

実証しました

Bach以降、今日に至るまで約300年の音楽の歴史は、この曲集が

屋台骨となって支えています。


★講演では、「平均律クラヴィーア曲集」と、その後の「名曲」

ピアノで実際に演奏することで、いかにこの曲集が土台、

屋台骨なっているか、それを実感して頂きます。

 

 

                                                                                                               (蛍)


★平均律クラヴィーア曲集は、Ⅰ、Ⅱ巻共に24曲の

「プレリュードとフーガ」から成っています。

このプレリュードは、後世の大作曲家に計り知れない影響を及し、

Chopin(ショパン 1818-1849)の「24の前奏曲集」、

Debussy(ドビュッシー 1862-1918)の「PréludesⅠ(12曲)、

PréludesⅡ(12曲)」など枚挙に暇がありません。


Chopin の前奏曲集の第15番「雨だれ」や、

Debussyの前奏曲1巻 第8曲の「亜麻色の髪の乙女」は、

どなたもご存じの名曲ですが、Bach の技法を新しい"語法"で

再創造したものに他なりません。


★私たちは、ショパンやドビュッシーの曲を通して、知らず知らずの

うち「平均律クラヴィーア曲集」の世界に、足を踏み入れいるのです。

ピアノで音を出し、具体的にご説明いたします。


Brahms の Bach由来の曲はどこにあるか・・と申しますと、

答えは「彼の全作品に!」となります。

具体例として、Brahms 「交響曲第4番」(1884-85年作曲)作品98

を、Brahms の自筆譜を基に、分かりやすく解説いたします。

楽譜になじみのない方でも、「成程」と納得でき、

クラシック音楽の歴史が、名曲を通してご理解いただけると思います。


参加ご希望の方は7月16日までに下記へメールをお送りください。
southern.cross@regne4t.co.jp

 

 

 

 


ショパンやドビュッシーほどの大作曲家が、自作の曲集に

「Préludes 」と命名するのは、並大抵の覚悟ではありません。

私の曲は、Bach 「平均律クラヴィーア曲集ⅠⅡ巻」各24曲ずつ

計48曲の「Preludium&Fuga プレリュード&フーガ」の、

正当な後継である》と高らかに宣言している、とみてよいからです。


★ドビュッシーの前奏曲1巻 第8曲「亜麻色の髪の乙女」を、

一度も聴いたことがない人は、おそらくいないでしょう、

というくらい有名な曲です。

美しく、親しみやすい曲なのですが、子細に分析いたしますと、

空恐ろしいほどの「対位法の坩堝(るつぼ)」です。

大ドビュッシーが、ただ美しいだけの小品を「Prélude」と

名付けるはずがないのです。

それをピアノの音で確認しながら、分かり易くお伝えします。


★この曲の重要なカギは、≪3度音程≫です。

その「3度音程」について、Bachは「平均律クラヴィーア曲第Ⅰ巻」の

謎めいた「序文」で、とても重要な記述を残しています。

https://www.academia-music.com/products/detail/159893

ベーレンライター出版社(ドイツ語: Bärenreiter-Verlag)の

私が「日本語訳」と「解説」をしました「平均律クラヴィーア曲Ⅰ巻」

に、≪バッハの意図≫について、詳しく解説しております。

 

 

 


★このBach の考えを発酵させ、反映させたのがドビュッシーです。

2018年刊行「Durand版 Claude Debussy Préludes LivreⅠⅡ

(avec notes critiques)」=これは、ドビュッシー全集に基づく

「前奏曲集第1巻」、「同第2巻」の演奏譜に、新たな校訂報告

解説異版ファクシミリ(部分、モノクロ)が加わったものです。

(旧来の全集版演奏譜「第1巻・第2巻」は楽譜のみ)

https://www.academia-music.com/products/detail/183715?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=2306010


★この楽譜の巻末87ページに、「亜麻色の髪の乙女」の完成稿に

達する前のスケッチ写真が1ページだけ掲載されています。

この1ページを詳しく見て、私はとても驚きました。

私たちが親しんでいる完成稿の、「3度音程」が連続するあの美しい

冒頭の旋律

 

 

「3度+3度+3度」

 

 

ドビュッシー「初期スケッチ」は、「3度+3度+4度」だったのです。


★このスケッチは、調性が省略して書かれているので、

何調なのか不明ですが、ここではっきり分かることは、

当初の構想を変更し、推敲を重ね、

「3度+3度+3度+3度+3度+3度・・・・・」という

驚異的な旋律を、作り上げたことです。

 

 

 


★このドビュッシーの推敲には、Bach「平均律クラヴィーア曲Ⅰ巻」

「序文」が、密かに大きな翼となって、ドビュッシーを包み込んだ

ではないかと、私は推測します。


★さて講演で取り上げる大作曲家を、歴史順に並べますと、

Bachバッハ→ ショパン→Brahmsブラームス→ドビュッシー

となります。

Brahmsの「交響曲第4番」も、この「3度音程」が深く深く、

浸み込んでいます

「平均律クラヴィーア曲1巻」に、そのルーツを求めつつ、

ご自分の耳で、納得していただけるようお話する予定です。

 

 

                            (モリアオガエルの産卵)


★【リジェネフォーティー先端医学セミナー】
主催:リジェネフォーティー先端医学セミナー実行委員会
共催:ASEAN-JAPANゲノム医療研究推進会議(13:00~17:00)
東京工業大学・田川洋一先生、
和歌山県立医科大学・保富宗城先生
奈良先端科学技術院大学院大学・笹井紀明先生
京都府立医科大学・新井祐志先生
就実大学・山崎勤先生のご講演の後に、
私(中村洋子)の講演となります(15時45分~16時55分です)。

 


★中村洋子プロフィール
東京藝術大学作曲科卒。
・Bach「インヴェンション・アナリーゼ講座」全15回
  「平均律クラヴィーア曲集Ⅰ、Ⅱ巻アナリーゼ講座」全48回、
  「ゴルトベルク変奏曲・アナリーゼ講座」全10回を開催。
・ベーレンライター社刊のBach「ゴルトベルク変奏曲」原典版の
  「序文」  日本語訳と「注釈」を執筆。
・ベーレンライター社刊のBach「平均律クラヴィーア曲集第1巻」
  原典版に、Bach自身の「序文」について、「解説」を執筆。
・自作品「無伴奏チェロ組曲1~6番」、チェロ「二重奏のための
  10の曲集」  の楽譜を、「Musikverlag Ries&Erler Berlin 
  リース&エアラー社」   (ベルリン)より出版。
・自作品「無伴奏チェロ組曲1~6番」のSACDを、
  Wolfgang Boettcher  ヴォルフガング・ベッチャー演奏で
  発表(disk UNION:GDRL1001/1002)
  (レコード芸術 特選盤)
・CD『Mars 夏日星』(ギター二重奏&ギター独奏)を発表。
  (アカデミアミュージッ  クで発売中)
・著書
 ≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫
 ~バッハ、ショパンの自筆譜をアナリーゼすれば、曲の構造、
 演奏法まで分かる~(DU BOOKS社)
 ≪11人の大作曲家「自筆譜」で解明する音楽史≫
  ~バッハからバルトークまで~(DU BOOKS社)

 

 

 

 


※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

 

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