音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■私の作品≪4台チェロのための 10のファンタジー曲集≫が出版され、到着■

2012-12-31 20:12:39 | ■私の作品について■


■私の作品≪4台チェロのための 10のファンタジー曲集≫が出版され、到着
                        2012. 12. 31          中村洋子

 


★東京は曇天。

風もなく、寒さもあまり感じない、

穏やかな、年の瀬です。

やっとペンを取り、遅ればせの年賀状を書いておりましたら、

郵便ポストに、素敵な小包がコトリと落ちました。

待ちに待っていました、私の作品の新しい楽譜が、

ドイツから、やっと届いたのです

2012年に、間に合いました。


★≪ Zehn Phantasien für Celloquartett ( Band 1, Nr. 1 - 5 ) ≫

≪ 4台チェロのための 10のファンタジー曲集 ≫ 第 1巻、第 1番~ 5番

( この曲集は全 10曲から成ります )


★出版社は、Germany Dortmund  ドイツ、ドルトムントの

『 Musikverlag Hauke Hack 』 です。

      ◎ 2012  Musikverlag Hauke Hack - Edition Nr.25


★ 『 Musikverlag Hauke Hack 』 は、歴史は浅いのですが、

チェロ作品専門の、とても良い音楽出版社です。

この私の楽譜は、総譜とチェリスト 4人用のパート譜が、

セットになっていますので、直ぐに演奏できます。

 


★曲の題名は、

1)Altertümlicher Tanz    :  古風な踊り     

              ( 11.April  2010 compose )

2) Der Pferdeschlitten    :  馬の橇      

              ( 14.April  2010 compose )

3) Gabrielli              :  ガブリエリ     

               ( 5.Mai   2010 compose )

4) Regentropfentanz      :  雨だれの踊り     

              ( 22.Mai  2010 compose )

5) Vier Paar Kastagnetten :  4つのカスタネット

              ( 30.Mai  2010 compose )


★この曲集を書きましたのは、2011年 3月 11日に起きました、

 『 東日本大震災 』 の、およそ、1年前です。

現在の目で、曲を眺めてみますと、

“ 昔はものを思もわざりき ” ではありませんが、

音楽の喜びを、無邪気に溌剌と、

歌い上げている曲ばかりです。


この曲は、チェロだけでなく、ピアノでも演奏できます。

また、ソルフェージュにも楽しく、使えます。

1曲ごとの解説などは、今後のブログで詳しくご紹介いたします。

 


★気が付きますと、2009年から毎年、

ドイツで、私の曲が出版されていました。

大変に、光栄なことです。

2009年:「 Suite Nr.1 für Violoncello solo
                      無伴奏チェロ組曲第 1番 」 Ries & Erler Berlin

2010年 : 「 Regenbogen - Cellotrios, 7 Trios für 3 junge      Cellisten
  レーゲンボーゲン・チェロトリオス( 虹のチェロ三重奏曲集)」
                                            Musikverlag Hauke Hack

2011年:「 10 Duette für 2 Violoncelli
       チェロ二重奏のため の 10の曲集 」 Ries & Erler Berlin

 

★これで、チェロの独奏、二重奏、三重奏、四重奏の曲が、

出版されたことになります。

無伴奏チェロ組曲は、全 6曲を作曲しましたが、

現在は、第 1番のみの出版です。


★今回の出版につきましては、

Berlin の Wolfgang Boettcher先生に、

既に、ご報告してありますが、

先生も、 「 I am happy to hear it ! 」 と、

とても、喜んでおられました。


★なにかと、暗いお話が多い 2012年でしたが、

皆様におかれましては、

どうぞ、よい新年をお迎えください。

 

 

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■中村洋子 第 10回 Chopin が見た 「 平均律クラヴィーア曲集 」 アナリーゼ講座■

2012-12-24 00:38:44 | ■私のアナリーゼ講座■

 ■中村洋子 第 10回 Chopin が見た 平均律クラヴィーア曲集 アナリーゼ講座■

                        平均律 1 10 ホ短調 前奏曲&フーガ

~  平均律 10番と、Mozart ピアノソナタ KV 310 、そして Chopin  ~

 

 

★平均律 「 第 10番 ホ短調 前奏曲 」の前半 22小節の初稿が、

「 フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集 」 に、あります。

フリーデマンの楽譜は、右手 1拍目と 3拍目に、

8分音符の和音がポツポツと、奏されるだけです。

平均律では、その右手の和声音を、非和声音により、

縦横無尽に装飾し、溜息の出るような美しい旋律へと、

変化させています。

 

★バッハは、息子や弟子たちに、実際に、この両者を比較しながら、

「 旋律とはなにか 」 を、手取り教えたのでしょう。                                        

 

★この 「 旋律とはなにか 」 を、バッハから、深く学んだのは、

Mozart モーツァルトも、例外ではありません。

モーツァルトは、J.S. BACH の息子・クリスチャンからのみならず、

J.S. BACH からも、楽譜を通して、それを吸い取り、

その結実が、「 ピアノソナタ KV 310 イ短調 」 となったのです。

 

★その 「 モーツァルトのイ短調 」 が、 「 Chopin 」 へと、つながっ

ていくのは、自明の理です。 

 

 

★Chopin が所持していた平均律の楽譜の 「 前奏曲 10番 」 には、

fingering が二ヶ所あるだけです。

しかし、 「 フーガ10番 」 には、Chopin のみならず、

Mozart モーツァルトをも読み解くカギとなる、重要なfingering が、

書き込まれています。

この解釈を、詳しくご説明いたします。

 

★10番のフーガは、平均律の中で、唯一 「 二声 」 で、書かれていますが、

この短いフーガは、実は、対位法の極致で、二声として演奏すると、

本領は、発揮されません。

見かけ上の二声が、どのような 「 多声部 」 となっているか、

弾きやすくするにはどうしたらいいか、

分かりやすくお話します。

 

■2013年 1月 20日 (日) 午後 2時 00分 ~ 4時 30分

会  場 :  カワイミュージックスクールみなとみらい        

          横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F

           ( みなとみらい駅 『 出口 1番 』 出て目の前の高層ビル3F )

( 要予約 )  Tel.045-261-7323  横浜事務所

         Tel.045-227-1051  みなとみらい直通

 

 

講師:   作曲家  中村 洋子

  東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。日本作曲家協議会・会員。 ピアノ、チ ェロ、室内楽など作品多数。

2003年~ 05年:アリオン音楽財団《東京の夏音楽祭》で新作を発表。

  07年:自作品「無伴奏チェロ組曲第 1番」などをチェロの巨匠W.ベッチャー氏が演奏したCD『 W.ベッチャー日本を弾く』を発表。

  08年: CD「龍笛&ピアノのためのデュオ」、CD ソプラノとギターの「 星の林に月の船 」を発表。

  08 ~ 09年 :「 バッハのインヴェンション・アナリーゼ講座 」全15回を開催。

  09年10月:「 無伴奏チェロ組曲第 2番 」が、W.ベッチャー氏により、ドイツ・マンハイムで初演される。

  09年:「 無伴奏チェロ組曲第 1番 」が、ベルリンの リース&エアラー社 Ries &Erler Berlin から出版される。

  10年:CD『 無伴奏チェロ組曲第3番、2番 』 W.ベッチャー演奏を発表。  「 レーゲンボーゲン・チェロトリオス( 虹のチェロ三重奏曲集)」が、ドイツ・ドルトムントのハウケハック社Musikverlag Hauke Hack社から出版される。

  10年1月~12年6月:バッハ・平均律クラヴィーア曲集第 1巻の全曲アナリーゼ講座を、カワイ表参道で開催。

  2011年 4月 :「 10 Duette für 2 Violoncelli チェロ二重奏のため の 10の曲集 」が、ベルリンの「 Ries &Erler Berlin 、リース&

エアラー社 」から出版される。 スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、自作品が演奏される。

  ●上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/

 「 アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で、販売中。

 

 

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■第1回「 Bachフランス組曲・アナリーゼ講座 」のお知らせ■

2012-12-18 13:03:00 | ■私のアナリーゼ講座■

■第1回 「 Bachフランス組曲・アナリーゼ講座 」 のお知らせ■

 ~5番を素材に、Bachの 「 Suite 組曲 」 の本質について~

                       2012.12.17  中村洋子

 

 

■講師 : 作曲家  中村洋子

■日時 : 2013.1.17 ( 木 ) 午前 10時 ~ 12時 30分

■会場 : カワイ表参道 2F 「 コンサートサロン・パウゼ 」

                        ( 要予約 )   TEL  03- 3409 - 1958

 

★  Bachの「 Französische Suiten フランス組曲 」 全 6曲 は、

1722年から1725年にかけて、作曲されています。

1722年は、「 Das Wohltempererierte Klavier Ⅰ 

平均律クラヴィーア曲集 第 1巻  」  が、完成した年です。

翌23年には、「 Inventionen und Sinfonien 」 が、完成しています。

 

★「 フランス組曲 」 は、6 ~ 8曲の舞曲で、構成され、

短く親しみやすい曲も多く、単独で Bachへの導入として、

ピアノのレッスンに、使われることもあります。

しかし、 「 組曲 」 を、全体として見ますと、

「 無伴奏チェロ組曲 全 6曲 」 、

「 無伴奏ヴァイオリンソナタ & パルティータ 全 6曲 」 と同様、

「 6曲 」 を、一つのまとまりとして、大きな作品として、

Bachが、作曲していることが分かります。

 

★平均律クラヴィーア曲集で、 「 調性とは何か 」 を探求した Bachが、

平均律のエッセンスとしての、 「 Inventionen und Sinfonien 」 と、

同時期に作曲した 「 Französische Suiten フランス組曲 」 で、

何を、追求したのでしょうか?

 

★「 Französische Suite 5  フランス組曲 第 5番」  を、

深く勉強することにより、その答えを見出したいと思います。

 

 

★第一回目では、清澄な明るさに満ちた Allemande、

弾けるような喜びに溢れる Courante、

春の陽だまりを思わせるような Sarabande について、

手稿譜を読み取ることで、 Bachの作曲技法の迫るとともに、

偉大な Edwin Fisher エドウィン・フィッシャーの校訂版も参考に、

この曲を、ピアノでどう弾いたらいいのか、お話いたします。

 

★ピアノを始めたばかりのお子様が、 「 フランス組曲 」 の中の、

親しみやすい曲を、単独で弾くことは、

Bachの世界へといざなう最良の途である、と思います。

しかし、お教えになる先生方は、是非、Bachの大きな構想を理解し、

それを、やさしく噛み砕き、愛情をもってご指導ください。

 

 

 

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講師 : 作曲家  中村 洋子

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チ ェロ、室内楽など作品多数。

2003年~ 05年:アリオン音楽財団《東京の夏音楽祭》で新作を発表。

07年:自作品「無伴奏チェロ組曲第 1番」などをチェロの巨匠W.ベッチャー氏が演奏したCD『 W.ベッチャー日本を弾く』を発表。

08年: CD「龍笛&ピアノのためのデュオ」、CD ソプラノとギターの「星の林に月の船 」を発表。

08 ~ 09年:「 バッハのインヴェンション・アナリーゼ講座」全15回を開催。

0910月:「無伴奏チェロ組曲第 2番」が、W.ベッチャー氏により、ドイツ・マンハイムで初演される。

09年:「無伴奏チェロ組曲第 1番」が、ベルリンの リース&エアラー社 Ries &Erler Berlin から出版される。

10年: CD 『 無伴奏チェロ組曲第3番、2番 』  W.ベッチャー演奏を発表。

「 レーゲンボーゲン・チェロトリオス(虹のチェロ三重奏曲集)」が、ドイツ・ドルトムントのハウケハック社Musikverlag Hauke Hack社から出版される。

 

101月~126月:「バッハ・平均律クラヴィーア曲集第 1巻の全曲アナリーゼ講座」(全24回)を、カワイ表参道で開催。
 
2011 4月:「 10 Duette für 2 Violoncelli チェロ二重奏のための10の曲集」が、「 ドイツ Ries & Erler Berlin 、リース & エアラー社 」 から出版される。

スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、自作品が演奏される。

 

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■ Bachのコラールこそが、和声を学ぶ最良の教科書 ■

2012-12-13 03:20:21 | ■私のアナリーゼ講座■


■ Bachのコラールこそが、和声を学ぶ最良の教科書 ■

                       2012.12.13   中村洋子  Yoko Nakamura


★アナリーゼ講座を終えた後、「 和声をもっと勉強したいのですが、

いい教科書を教えてください 」  というご質問を、いつも受けます。

あるいは、講座の後、和声の教科書を買ってお帰りになる方も、

いらっしゃるようです。


★しかし、残念ながら、和声でお薦めできる教科書はございません。

さらに、日本で出版されている教科書の和声記号には、

日本独特の、特殊な約束事が多く、世界では通用しないものなのです。


★和声を学ぶための、ベストの教科書は ≪ Bachのコラール ≫ なのです。

Bachのコラールは、短いもので 10数小節、長くても 数10小節です。

その中でも、四声体で書かれたものを、お薦めします


★コラールの起源は、宗教改革を推し進めた、

Martin Luther マルティン・ルター(1483~1546)に遡ります。

ドイツ・プロテスタント教会で、信徒である普通の人々が、

カソリック教会のようにラテン語ではなく、

日常使う平易なドイツ語で、韻を踏み、

簡単に歌うことができるように、作られた曲です。

音程も、1、2、3、4、5度 音程が、多く、

難しい跳躍音程は、ほとんどありません。

それが、時代とともに、四声体コラールなどに進化していきました。


★四声体コラールとは何か?

ソプラノ、アルト、テノール、バス、つまり、女声二声 + 男声二声の曲です。

Bachは、いろいろな楽器や人声で演奏できるコラールをたくさん書いていますが、

例えば、≪ Herzlich tut mich Verlangen

私は心から望みます ≫  BWV 727という、

有名なコラールが、あります。

ソプラノ声部は、Hans Leo Hassler (1564~1612) という人の旋律、

詩は、Christoph Knoll (1563~1621) 作で、

Bachは、これに和声を付けています。


★このコラールは、そもそもはオルガン用に作られた 12小節の短い曲です。

それを、まず、ピアノで何度も弾くことをお薦めいたします。

そうしますと、これが、実は ≪ Matthäus-Passion マタイ受難曲 ≫ で、

何度も出現する、あの有名なコラールであることが、分かってくるでしょう。


★壮大なマタイ受難曲に、使われているだけでなく、

≪ Weihnachts Oratorium クリスマスオラトリオ ≫  の最終曲でも、

この偉大なコラールが、オーケストラの中に 四声体合唱として、

姿を、現してくるのです。


★上記以外にも、Bachは、 Hasslerのこの旋律をソプラノ声部として使い、

多種多様な曲を、作り出しています。

これこそが、和声付け、つまり、和声の教科書と呼ぶべきものなのです。

「 和声学 」 の分野では、「 ソプラノ課題 」 とされるものです。

ある旋律をソプラノ声部とし、その下のアルト、テノール、バスを、

創作する訓練です。

 

 


★和声を身につける最良の道は、次のような作業であると、思います。

① この Bachのコラールを、自分の手で書き写します。

② 毎日、それをピアノで弾きます。

③ 頭と指に和声を、叩き込む。


★その際、和音のⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ を、

見分けることが出来れば、便利です。

頭で考える前に、是非、1週間、1ヶ月と毎日、実行してください。

必ず、得るものがあります。


★ Bachは、このソプラノの旋律に、多様な和声をつけています。

しかし、その各曲に付けられている詩の内容は、異なっています。


★例えば、≪ Herzlich tut mich Verlangen

私は心から望みます ≫  BWV 727 の詩を、訳してみますと、

一番: ≪ 私は、心から安らかに息を引き取ることを望んでいます。

なぜなら、私は悲哀と不幸の真っ只中にいるからです。

私は、この酷い世界から逃れたい、永遠の喜びを見たいのです。

おお、イエスよ、直ぐに来てください ≫

二番: ≪ いま、私は全く一人きりで、主キリスト、あなたに向かおうとしています。

私に安らかな最期を与えてください。私にあなたの天使を遣わせてください。

私を、あなたが得ている永遠の命に導いてください。

そこでは、あなたは私の罪の重さのために、あなたの命を犠牲にしたのです ≫ (中村洋子訳)


★この詩は、Bach より 100年ほど前の、

Christoph Knoll (1563~1621) の作です。

流行病がはやり、厳しい身分制度の中で、人々は苦難に喘ぎ、

振り絞るような心の叫び、といえるかもしれません。


★一方、≪ Weihnachts Oratorium クリスマスオラトリオ ≫  は、

キリストの生誕を祝う、明るい曲です。

 Hassler (1564~1612) の旋律は、ここでは、最終曲以外に、

第 5番目の ≪ Wie soll ich dich empfangen

私は、あなたをどのようにお迎えしましょうか、

どのように、お会いしましょうか。

全世界が、あなたを待ち望んでいます。

私の心の誇りよ。

オー、イエス、イエス、松明を自ら掲げてください。

・・・  ≫ (中村洋子訳)という、

イエスの誕生を、わくわく待ちわびる、期待と喜びに満ちた曲にも、

使われています。


死への渇望と、キリストを待ちわびる期待。

この対照的な、二つの感情を表現する曲に、

同じ旋律が、使われています。

和声の付け方により、同じ旋律でも、喜びと悲しみという、

両極端の感情を、創り出すことができるのです。

これが、≪ 和声 ≫ なのです。


★同じ旋律ということではありませんが、

≪インヴェンションとシンフォニア≫ では、

重く深淵な 9番に対し、次の 10番は、喜びに溢れています。

正反対の感情が、表裏一体のものとして表現され、その二つを、演奏することにより、

完結するのです。

 


★12月 14日の「 KAWAI クリスマス・アナリーゼ講座 」 では、

≪ Herzlich tut mich Verlangen 私は心から望みます ≫ 

BWV 727 の、旋律が使われている、

他の幾つかのコラールを、比較することにより、

各々の和声の特徴を、明らかにします。

さらに、それらをどのように勉強したらいいのか、

レッスンに、どう生かすか、

ソルフェージュへの応用について、詳しくお話します。

 

★幸いなことに、≪ Herzlich tut mich Verlangen

私は心から望みます ≫ BWV 727について、

私たちは、Whilhelm Kempff ヴィルヘルム・ケンプにより、

オルガンとピアノ両方の名演奏を、CDで聴くことができます。


オルガンは、1954年 11月、広島平和記念聖堂での生演奏です。

コラール ≪ Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ

私はあなたに呼びかけます、主イエス・キリストよ ≫ と共に、

「 Kempff Transcriptions and Encore 」PROA-20

に収録されています。

この二曲が、ヒロシマに最も相応しい曲、と Kempff は考えたのでしょう。

 ≪ Ich ruf zu dir ≫ は、11月のアナリーゼ講座で、取り上げました。


★些細なことのようですが、この CDの解説には、

「 われ汝に呼ばわる 」という、大時代がかったひどい訳がついています。

誰でも分かる、平易な、普通の日常ドイツ語でのコラールを目指した、

Martin Luther マルティン・ルターの意図とは、かけ離れています。


★ピアノ演奏は、Decca 480 1288 に入っています。

 

 

 

 

 

 私の著書です、バッハ、ショパン、ラフマニノフなど大作曲家を一層、

深く、理解できるようになると思います。

http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/d/20160203

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■世界で大人気の映画「最強のふたり Intouchables 」は、仏版“寅さん” その4■

2012-12-06 12:04:23 | ■楽しいやら、悲しいやら色々なお話■

■世界で大人気の映画「最強のふたり Intouchables 」は、仏版“寅さん” その4完■

                  2012.12.6   中村洋子

 

★原題は ≪ Intouchables ≫ 。

英語の ≪ Untouchables ≫ 。

仏語の Intouchables には、「 最下層民 」という意味よりも、

「 触れるべからざる、神聖な 」というニュアンスも強いようです。

複数形になっています。


★一文無し、家もなし、教養も知識もゼロ、名誉心も財産欲もなし。

さらに凄いことには、それらに思い悩むことも全くありません。

あらゆるしがらみから、完全に解き放たれている、完全自由人。

人間としての理想かもしれません。

いやらしい打算もなく、いつも、親切心で人に接し、おせっかいを焼く。

おせっかいを焼くということは、他人のことを我が身のことととらえる暖かさです。

そんな人は、寅さんしかいません。


★自家用ジェット、大邸宅、使い切れないほどの富をもつ人は、

きっと、たくさんいることでしょう。

しかし、 Philippe と Driss のように、

深いところで通じ合える、人間関係をもっている人は、

案外、少ないかもしれません。

寅さん Driss のような人しか、入り込めないかもしれません。


★この映画の主人公は、どちらかといえば、身障者の Philippe でしょう。

Driss は、脇役かもしれません。

日本の寅さんはいつも、すねる、自分を卑下する、いじける癖があります。

その結果、いつもふられ、シリーズが続くのです。

そこが、Driss と異なる点です。

明るく前向きな Drissは、新しいキャラクターの登場かもしれません。

さて、Driss は次ぎに、どこに出没するか?

ノルマンディーの寒村か、コルシカ島のリゾート地か・・・。

 

 

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■世界で大人気の映画「最強のふたり Intouchables」は、“仏版寅さん その3■

2012-12-06 11:55:40 | ■楽しいやら、悲しいやら色々なお話■

■世界で大人気の映画「 最強のふたり Intouchables 」は、“仏版寅さん” その3■

             2012.12.6      中村洋子

 

★さて、映画はここから面白くなります。

Driss は邸宅を去り、新たに職安に行きます。

面接の女性に、 Philippe 邸で仕入れたばかりの踏韻や、

サルバトール・ダリについて、知ったかぶりをひけらかします。

まるで、寅さんです。


★ Philippe は、また、介護士を新規募集します。

仏頂面の男を嫌々、雇います。

しかし、死ぬほどつまらなく退屈、どこにも心の触れ合いがありません。

髭も剃らせず、無精ひげに。

遂に深夜、また発作が起きます。

 Driss に緊急電話、飛んで駆けつける Driss 。

そこで、冒頭のスポーツカーの疾走シーンが、再び登場します。

Driss が運転免許を持っていないことも、ばらされます。

音楽の再現部のようです。


★清々しいお昼、海辺の美しいレストランへと、 Philippe を連れ出します。

Driss は、消えます。

美しく母性溢れる女性が、 Philippe のテーブルの前に姿を見せます。

ダンケルクの、あの文通友達でした。

Driss の、見事なおせっかいです。

窓の外から、Driss がニコニコ手を振っています。

このシーンも、寅さんではお馴染み、いつも出てきます。

自分はガラスの向こうの世界にまた、戻るという象徴です。

かくして、二人のハッピーエンドを仄めかし、めでたしで終わります。


★寅さんで必ず出てきます ≪ マドンナ ≫ はどうでしょうか。

Driss は  Philippe の美人秘書に、チョッカイを出し続けます。

彼女は、からかうだけで、はなから相手にしません。

残酷にも、彼女は最後に “ 恋人 ” を紹介します。

レスビアンだったのです。

これが、ヨーロッパの現実かもしれません。

監督も二人です。                     ( 続 )

 



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■世界で大人気の映画「 最強のふたり Intouchables 」は、“仏版寅さん  その2 ■

2012-12-05 23:16:47 | ■楽しいやら、悲しいやら色々なお話■


■世界で大人気の映画「 最強のふたり Intouchables 」は、“仏版寅さん  その2 ■

                           2012.12.5   中村洋子

 

 

★この映画では、 ≪ 音楽 ≫ も重要な役割を果たしています。
現在のヨーロッパにおける、音楽の位置について、いろいろな思いがよぎります。

 
★ Philippe と Driss は、豪華なオペラを見に行きます。
周囲は着飾った紳士淑女、最良のバルコニー席です。
緑色の面白い衣装の歌手を見て、 Driss は、「 木が歌っているみたいだ、おかしい 」、
「 4時間も見続けるのか 」と、想像を絶する世界であると、言わせます。


★ Philippe の誕生日には、室内弦楽アンサンブルを呼び、親族と一緒に、
名曲の数々を、生演奏で聴くのが恒例です。
演奏会終了後、 Philippe は、特別にいろいろと演奏を頼み、Driss に聴かせます。
≪ ヴィヴァルディの四季・夏 ≫、Driss 「 何も感じない 」。
≪ 別のヴィヴァルディ ≫ Driss 「 職安で流しているあれだ。
“ 順番にお並びください、仕事まで 2年間待ちます ”」。
≪ Bach 無伴奏チェロ組曲 1番プレリュード ≫、 Driss 「 あ! 、コーヒーの宣伝だ 」。
≪ リムスキー・コルサコフ ≫ 、Driss 「 トムとジェリーだ 」
これは、寅さん映画でよく出てくる、権威をけなすシーンに似ています。


★Driss 「 今度はオレの番だ 」、「 音楽は踊れなくちゃ!!! 」。
小さな i-pot を机の上に乗せます。
アース・ウィンド&ファイアーの 「 ブギー・ワンダーランド 」が流れます。
強烈なリズム。
Driss は、体を上下左右、弓のようにクネクネしならせ、踊りまくります。
爽快です。    
普段は能面のような顔をしている女性執事も、大きな腰を振り降り、
 “ もうたまらないわ ” とばかりに、踊り始めました。
黒いタキシード姿の老給仕も、スッテンコロリ転びそうになりながらも、
踊りを、止めようとしません。


★この映画の観客は、正直、Driss の「ブギー・ワンダーランド」のほうが、
格段に楽しい、と感じていたのは、間違いないでしょう。
裃を着て、かしこまってクラシックの名曲を聴く人たちが、
ヨーロッパでも、化石になりつつあることを、示しているのかもしれません。
クラシックの名曲を、おざなりの商業的な演奏ではなく、
真の名演により、絶えず聴く経験を積み重ねる場がない限り、
この傾向を押し留める術は、ないのかもしれません。


★この Driss の反応に対する Philippeの顔は、複雑でした。
にこやかに、微笑んで入るものの、
「 ブギー・ワンダーランド 」に、組している顔ではありません。
この映画で、最も美しく聴こえたのは、
 Philippe の大邸宅を紹介するシーンで流れた、
 Chopin Nocturne Op.9-1 b-Moll でした。
                                    (続)
 

 

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■世界で大人気の映画「 最強のふたり Intouchables 」は、“仏版寅さん その1■

2012-12-05 22:39:28 | ■楽しいやら、悲しいやら色々なお話■

■世界で大人気の映画「 最強のふたり Intouchables 」は、“仏版寅さん その1■

                               2012.12.5   中村洋子

 


★フランス映画「 最強のふたり Intouchables 」を、見てきました。

脊椎損傷で、首から下が完全麻痺になり、全く動けない白人の超大金持ち、

40代後半とおぼしき、この白人への介護人として、

偶然に雇われた、スラム街出身のアウトロー黒人青年。

この二人による、楽しく暖かい、心の通い合い物語です。


★弓のようにしなやかな肉体をもち、ビート音楽と美人へのちょっかいが楽しみ、

権威、地位、肩書き、教養、芸術、法、社会秩序には、一切無関心で無知、

何ものにも囚われず、気ままに生きることに徹している“ 完全自由人”の青年。

その打算のない “ 無垢のおせっかい ” により、二人の心が熱く通じ合います。

体は動かなくとも、大金持ちも、一緒に自由に羽ばたくことができた、

というハッピーエンドの物語です。


★≪ Intouchables  ≫   

Realisateur / Scenario : Eric Toledono  /  Olivier Nalache
  監督 / 脚本 : エリック・トレダノ / オリビエ・ナカシュ

Cast  Philippe : François Cluzet  Driss : Omar Sy
  キャスト フィリップ:フランソワ・クリュゼ、ドリス:オマール・シー、


★≪ フーテンの寅さん、こと車寅次郎 ≫ を、フランス版に焼直したら、

このような立派な作品が生まれた、という見本である、と思います。

これを作った二人の監督は、 決して“ 白状 ” しないとは思いますが、

≪ 寅さん ≫ を学び尽くしたのでしょう。

素晴らしい作品の手法を、徹底的に学ぶ、まさに作曲と同じですね。

この作品を、作曲のようにアナリーゼしてみました。


★ストーリーは、練りに練られています。

飽きさせず、最後まで一気に引っ張られ、

見終わると 「 幸福感 」 を、共有していました。


★冒頭のシーン

真っ黒、精悍なスポーツカーのハンドルを握る黒人 Driss ドリス、

助手席には、無精髭が伸び放題、憔悴気味の Philippe フィリップ。

ブンブーン、咆哮する狼のようにアクセルをふかす。

時速200㌔を越える猛速、高速道を走っている車たちを蹴散らすように、

追い抜き追い抜き、小気味よく疾走します。

しかし、遂にパトカーに挟み撃ちにされ、

Driss は短銃を突きつけられ、危うく逮捕されそう。

「 身障者が発作を起こしているんだ、早く病院に運ばないと死ぬぞ。

お前たちも、責任を問われるぞ!!! 」と、

Driss の恫喝 インプロビゼーション。

フィリップも、激しい咳き込みと涎ダラダラ、瀕死を装います。

二人とも、見事な役者です。

危機を脱したふたりは、明け方の海を目指し、軽やかに走り去ります。


★次のシーンは、Chopin の夜想曲が美しく流れる Philippe の大邸宅。

いままさに、介護士の面接をしています。

「 応募の動機は? 」と、尋ねる美人秘書。

「 お金・・・、人間に・・・、身障者の自立と社会参加に・・・ 」など、

もっともらしいことを言う、白人の応募者たち。

小役人に見えます。


★一人だけ安物のズック靴を履いたドリスが、順番を無視し、

「 不採用の印鑑を押してくれ、三件不採用なら、失業保険が下りるからだ 」と、

ずけずけ、面接室に入り込みます。

 Driss の言葉は、家族や親しい仲で使う、馴れ馴れしい言葉使い。

それまで、しかめっ面をして面接をしていた Philippe は、ニコニコ顔に。

「 明朝、9時に来てください。」と、紳士的に Vous を使います。


★それまで、ほとんどの介護士が気難しい Philippe と合わず、

2週間ともたずに辞めていった、と後になって分かるのですが、

あくまで契約として働き、他人行儀で間違いがないように、

事務的な介護に徹する人たちに、

Philippeは、吐き気がしていたのでしょう。

心の触れ合いが、なかったからです。


★自分勝手で、回りに配慮せず、言いたいことを臆面も無く言う、

地位も階級も肩書きも通用しない、そんな Driss の天衣無縫な人格に、

Philippe は直感的に、惚れたのだと思います。

実は、これは、寅さんの性格そのものでもあるのです。


★一ヶ月の試用期間を与えられた Driss は、

Philippe を、身障者とはみずに普通に接します。

Philippe の外出は、それまで、

車椅子を固定できるワゴン車を、使っていました。

まるで、囚人護送車。

Driss は、シートを被せられたままの車を、目敏く見つけます。

めくり上げると、真っ黒なスポーツカー、怪しく光るエンブレム。

すぐさま、Philippeを抱きかかえ、助手席に。

ホーホーと喜びの奇声を発して、走り出します。

電動車椅子も、マラソン並みにスピードが出るように、

改造してしまいます。


★この映画では、フランスの富豪のお金持ち具合が分かります。

道路に面した通用路を車で入りますと、

美しい中庭があり、園丁が働いています。

その奥に、広大な邸宅があります。

外側からでは、全く分かりません。

秘書だけでなく、50代の女性執事もいます。

コックもいます。

Driss 用の広い部屋も肖像画が飾られ、隣の浴室は、本当に一部屋あり、

真ん中に大きなバスタブが、据えられています。

salle de bain の由来が、納得できます。


★それはさておき、寅さん同様、Driss は汚い下品な言葉も頻繁に使います。

お下の世話もすることになるのですが、≪●●取りなんぞ出来ねーよ≫・・・。

Philippe の親戚が訪ね、

「 法務省に尋ねたら、Driss は、宝石強盗で6ヶ月も服役していた。危険だ 」と、

忠告に来ます。


★寅さんは、的屋とか香具師(やし)と呼ばれる大道露天商、

広義ではアウトローの仕事。

いつも文無し、財布には五百円札が一枚だけ。

家族は叔父さん家族と妹のみ、妻も家庭もなく、住所不定の放浪生活。

トランク一つの寅さんに対し、Driss はズタ袋一つ。

中身は、飛び出しナイフとヌンチャクだけ。

環境設定を、似せています。


★Philippeは、親類に「 Je ne veux aucune pitié いささかも同情されたくない

Driss はそのように自分を扱ってくれる 」と、忠告に取り合いません。

Driss の仕事の一つは、たくさん届く手紙類の仕分けです。

弁護士に渡すもの、ゴミ箱行き、親書など・・・。

ブルーの封筒、女性からの手紙に気付きます。

ペンパルのようです。


★風俗の宣伝レターを、ゴミ箱に捨てません。

Driss は早速、自室にいかがわしい女性を招き寄せています。

遠慮もなく、Philippeに「 あっちのほうは? 」と尋ねてしまいます。

Philippe は正直に「 首から上は感じることができる、特に耳が 」と、

恥ずかしそうに、打ち明けます。

次のシーンは、

東洋風の美女から、耳マッサージを受けている二人の、楽しそうな顔。

マリファナも、吸っています。

寅さん映画は、セックスについては厳格に、俎上にのせませんが、

ここは汚い言葉の延長線、発展型か、

ヨーロッパでは、映画の要素として、本質的に必要なのかもしれません。


★次々と、ブルジョワ階級の生活を見せてくれます。

画廊で、抽象絵画を1時間以上も眺める Philippe に、

「 鼻血ブーのように、赤いインキがこびりついているだけじゃないか 」と Driss 。

しかし、買い気を示す Philippe 。

敵もさるもの引っ掻くもの、「 先ほどお知らせしました価格は、間違っていました、

3万フランでなく 4万 1500フランでした 」。

意に介せず、 Philippe は購入します。


★「 芸術は何か 」 という Philippe の問いに、Driss は「 商売だ 」と一言。

「 自分の跡を残すことである 」 と、 Philippe 。


★雪が降ると、公園に Philippe を車椅子で連れ出し雪合戦、

「 お前も、オレに雪をぶつけてみろよ 」と Driss 。

未明に Philippe が激しい息づかい。

Driss は、車椅子で外に出し、早朝のパリ、河畔を散歩させます。

「 午前 4時に散歩するのは、本当に久しぶり、ああ気持ちいい !!! 」。

職業としての介護では、思いつかない、出来ない行為でしょう。


★ Philippe はどうやら、自家用小型ジェットも保有しているようです。

ある夜、突然、夜間飛行に誘います。

地上では勇猛な Driss ですが、ちょっとした騒音にも怯え、震え上ります。

ハングライダーが趣味だった Philippe は、その事故で麻痺になったのですが、

補助付きで、あえてまた、挑戦します。

 Driss はといえば、滑稽なほど怯えまくり、足をばたばた抵抗します。

これも、寅さんそっくり、以外に臆病なのです。


★ Philippe に「 最大の悲しみは何か?」と、 Driss が問いかけます。

「 最愛の妻を、病気でなくしたことである 」。

子供がいないため、 Philippe は女の子を養子にしています。

ティーンエイジャーの彼女には、 Driss は、最初からまるで、

親のようにズケズケと話し、ボーイフレンドのことで、

叱りつけたりもします。

使用人という意識は、まるでないのです。

 

★文学にも教養の深い  Philippe は、青の封筒の女性に、

詩について、薀蓄を傾けた抽象的な手紙を代筆させ、せっせと出します。

「 いつから出してんだい?、6ヶ月前からだって。手紙だけか。

あれ!、電話番号が書いてある。≪・・・≫ という印もあるぞ。

その気があるんだ 」。

 Driss は、強引に携帯電話を掛けます。

渋る Philippe も遂に、意を決して話し始めます。

「 絶対、体重を聴くんだぞ 」 と、横からチョッカイを出す寅さん Driss。

女性から「 写真が欲しい 」、「 近く、ダンケルクからパリに出かけます 」、

次々と、進行していきます。


★Driss は、ありのままの写真を出すべきだ、と主張して譲りません。

しかし、 Philippe  は最後のところで、元気な時代に写真にすり替えます。

そして、パリのレストランでのデートに、漕ぎ着けます。

しかし、執事と一緒の Philippe は、女性が現れる直前、

逃げ出してしまいました。

障害者であることを、知らせていなかったことに忸怩たる思いがあったのでしょう。


★ Driss は、画廊でみたような抽象絵画は「 オレでも描ける 」と、

ペンキを塗りたくり、それらしい作品に仕上げます。

「 ロンドンとベルリンで個展を開いた新進画家の絵だ 」 と、

 Philippe は、金持ちの親類に売り込みます。

「 有名になってからでは高くなっているかもしれないし・・・」と、

親類は迷った末、遂に 1万 2000フランで買ってしまいました。

 Philippe と Driss は、一緒に悪ふざけをする、対等の親友になっています。  


★しかし、破局が訪れます。

Driss の弟がやってきました。

顔に殴られた跡があり、やっかいなことに巻き込まれているようです。

Driss はやっと、身の上話をします。

本名は別、母親は実母でない、子供がいない叔母の養子になったが、

その後、叔母に子供がたくさんでき、いまでは家から追い出されていること。

「 弟たちのために、帰ったほうがいい。ここは一生の仕事ではない 」 と、

 Philippe は、自分から別れを告げます。                         ( 続 )

 

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