音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■金沢で9月から、「インヴェンション・アナリーゼ講座」を新たに、開講■

2014-08-31 00:50:25 | ■私のアナリーゼ講座■

■金沢で9月から、「インヴェンション・アナリーゼ講座」を新たに、開講■
              2014.8.31  中村洋子

 

 

★9月から、KAWAI金沢で新たに、毎月1回、

「 Bach  Invention アナリーゼ講座」を、開くことになりました。

全15回です。


★08~09年にかけ、KAWAI 表参道で、「 Invention アナリーゼ講座

Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien」を、

開催いたしましたが、その後の勉強の成果もあり、

前回より、一層充実した内容となることと思います。


★現在、KAWAI 表参道で「平均律第2巻・アナリーゼ講座」を、

KAWAI 横浜で、「 Chopin が見た平均律1巻・アナリーゼ講座」を、

開講中ですが、 「Invention・アナリーゼ講座」が加わることで、

Bach の屈指の三大名曲集を、俯瞰的に同時進行的に、

学ぶことが、可能となります。


★これは、私にとって、大変に勉強となります。

≪ Bach の 全体像 ≫ が鮮明に、

焦点を結び始める、ということができるかもしれません。

 

 


★Bach は1722年、 「 Wohltemperirte Clavier Ⅰ 

平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 」 を完成させ、

翌年に「 Inventionen & Sinfonienインヴェンション & シンフォニア」を、

創り上げています。


★一般で思われているように、「 Inventionen & Sinfonien 」 は、

「 Wohltemperirte Clavier 平均律クラヴィーア曲集」への、入門ではなく、

「 Wohltemperirte Clavier 」の、真髄を抽出した、

≪人類の宝物≫ともいうべき作品です。


★金沢では、その点を、具体的に分かりやすく、

また、演奏にどう活かすべきかについても、

Bach の意図を探りつつ、お話する予定です。

 

 

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中村 洋子 BACHインヴェンション・アナリーゼ講座
     第 1回 「Inventio & Sinfonia  Nr.1  C-Dur」(全15回)
           ~ 第1番は、全30曲の 主題となる最重要曲 ~

・日  時  :  2014年 9月17日(水) 午前 10時 ~ 12時 30分
・会  場  :   カワイ金沢ショップ、金沢市南町5-9 
                        ( 尾山神社前 南町バス停より徒歩3分 )
・予  約  :   Tel   076-262-8236 金沢ショップ

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★感性に頼るだけの演奏では 「 何かが足りない 」 と

お思いになったことはございませんか?


アナリーゼで、曲の骨格・構成を分析することによって、

はじめて細部と全体像が把握できます。


その結果、より演奏しやすく、また、訴えかける演奏が可能です。

 

★インヴェンションの 1番は 22小節、シンフォニア 1番も 22小節という、

極端な短さです。


この 1番の中に 「 インヴェンション&シンフォニア 」 全 30曲の、

基本モチーフ・展開方法の全てが凝縮されています。


全 30曲を一つの大きな楽曲として捉えることが、

インヴェンションを演奏する上で不可欠です。

 

★この手法を徹底的に学んだのが、ベートーヴェン、ショパン、

ドビュッシー・・・その後の大作曲家たちです。


クラシック音楽の世界では、バッハを十分に理解しなくては、

ショパンもベートーヴェンもシューマンもドビュッシーも真に理解し、

優れた演奏をすることは、到底できません。

 

★楽譜の選択も、とても重要な要素です。

膨大な数の実用譜が出ていますが、

まず、Bachの「自筆譜」を徹底的に勉強することが出発点です。

そこから、どういう楽譜を選択すべきかを、詳しくお話いたします。

本物の楽譜は、限られているのです。

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■今後のスケジュール
・第2回 2014年10/15 (水)   Inventio & Sinfonia    第2番    
・第3回   2014年11/19 (水)  Inventio & Sinfonia     第3番

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

  2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

  07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

  08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
     CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

  08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

  09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
          「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

  10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

  10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

  11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

  12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

  13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

 ★上記の 楽譜 & CDは、
「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/   で
販売中

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■Chopin PreludeNo.6 の「倚音」の秘密、それを解いた Sofronitskyの名演■

2014-08-23 18:19:42 | ■私のアナリーゼ講座■

■Chopin PreludeNo.6 の「倚音」の秘密、それを解いた Sofronitskyの名演■
      ~24日の Chopin 平均律アナリーゼ講座は第1巻 21番 B-Dur ~

                       2014.8.23  中村洋子

 

 

 


明 24日(日) 午後 2時より、KAWAI 横浜 「 みなとみらい 」 で、

Chopin  が見た「平均律アナリーゼ講座」を、開きます。

第 1巻 21番 B-Dur です。


★KAWAI 表参道で以前、開催しました

「平均律アナリーゼ講座 」 では、Chopin 自身の書き込みや、

Röntgen 版については、言及いたしませんでしたので、

新たな角度からの分析が、加わることになります。


★また、Bach の 《 B-Dur  21番 Prelude 》 に、大きな影響を与えた、

Johann Caspar Ferdinand Fischer (1656? - 1746?)

カスパール・フィッシャー の、

「 Musicalishes Blumen-Büschlein  音楽の花束 」 (1698) の、

初版楽譜ファクシミリも、参考にしながら、

この素晴らしい Prelude の背景を、そして、

そこからどう、 21番が 生まれ出たかを、お話いたします。

 

 


★前回ブログの続きです:

勉強会の皆さまと一緒に聴きました、Vladimir Sofronitsky 

ソフロニツキー (1901-1961)

Chopin  「 Prelude  Nr.6  h-Moll 」  の演奏は、見事なものです。

「 23小節の 2、 3拍目 」 が、この曲の白眉です。

 

 

★「 23小節目 」 下声 2拍目の   ≪ d1 ≫ から、

3拍目拍頭 ≪ cis1 ≫ 、それに続く ≪ d1 ≫ の、 三つの音が、

同時に淡々と 刻まれている 上声 ≪ fis1 ≫ の 8分音符

repeatednotes の下で、

淡く “ 滲んだ ” ように響きます。

その瞬間の美しさは、譬えようもありません。


★静寂に包まれた湖面に、滴り落ちた雫が、

水面に幾重もの淡い輪を描き、

そして、また静寂の中に吸い込まれていく、

そのような印象です。


白眉である 「 滲み 」 のような響きは、

決して、 「 濁っている 」 のでは、ありません。

 

 

 

 

Chopinは、全 26小節の、この 「 Prelude Nr.6 h-Moll 」 で、

たった 三か所だけ ペダル記号 (Ped.) を書き込んでいます

13小節目に、二か所あり、三つ目は、 22小節と 23小節を区切る、

小節線の真下に、Ped. を記入しました。


★23小節目の 1拍目では、ありません。

その後、 ダンパー Pedal を上げる記号は、記されていませんので、

最後の 26小節目まで、Pedal を踏み続けるよう、

Chopinは、指示しています。


★この 23 ~ 26小節の 4小節間は、

 h-Moll の 「 tonic 主和音Ⅰ」 が、続きます。

ほとんどの音が、 「  tonic 主和音Ⅰ」 の構成音

≪ h - d - fis ≫ だけなのですが、例外が 二か所あります。

その1つが、 23小節目の ≪ d1 - cis1 - d1 ≫ の、

真ん中の音 ≪ cis1 ≫です。


★もう一ヶ所は、24小節目の下声 3拍目の ≪ d-cis ≫ と、

それに続く 25小節目 1拍目の ≪ H ≫、

この 3音 ≪ d-cis-H ≫ の真ん中の音 ≪ cis ≫ です。


この二つの ≪ cis1、cis ≫ は、 h-Moll の 

「  tonic  主和音Ⅰ 」 の、和音構成音ではありません。

≪ Fremde Töne  非和声音 ≫ です。

23小節の  ≪ cis ≫ は auxiliary note 刺繍音、

24小節の  ≪ cis ≫  は passing note 経過音です。


Sofronitsky が、妙なる ≪ 滲み ≫ の響きを現出させたのは、

この auxiliary note 刺繍音 です

刺繍音は、auxiliary note (英)、 broderie(仏)、 Hilfsnote(独)

です。

日本語は、おそらくフランス語の直訳でしょう。

和音構成音を平らな布地と見た時に、

あたかも刺繍針で 2度上に (あるいは 2度下に) 針を移動し、

布を装飾し、また 2度下 (あるいは 2度上) に、

針を、布という 「 和声音 」 に戻す、というイメージです。

 

 


★話を戻しますと、

Chopin はペダルを 4小節間踏み続けることにより、

当然、音の 「 濁り 」 が生じるーということを、

何故、意図したのでしょう?


Chopinが、この場所に ≪ Ped. ≫ 表示を記しませんでしたら、

どのピアニストも、音の 「 濁り 」 を避けるため、

この二か所の非和声音で、そっとペダルを踏み変えたことでしょう。


★この Prelude Nr.6 が、 《 h-Moll ロ短調 》 であることが、

この謎を解く、大きなヒントとなります。

Chopin と  《 h-Moll ロ短調 》 の関係で、真っ先に思い出されるのが、

「 Sonate  h-Moll  Op.58  ピアノソナタ 3番 ロ短調 」 でしょう。

この Sonate の 第 1楽章冒頭は、Prelude Nr.6 の、

冒頭 1小節目下声と、深く関連しています。

 

 


★この 二曲の源泉を辿っていきますと、

Bach の 「 平均律クラヴィーア曲集 1巻 24番  h-Moll 」  が

大きく、浮かび揚がってきます。

Chopinは、前奏曲集を作曲していた時期と同じころ、

マジョルカ島に滞在しますが、

この島でも、熱心に平均律の勉強を続けていた、ということと、

無関係ではありません。


★Bach の 「 h-Moll  Fuga 」 の冒頭、 Fuga の Subject は、

このように開始されています。

 

 

 

冒頭 1、 2拍は、 h-Moll の  「 主和音Ⅰ」 の和音構成音のみの、

≪ fis1 - d1 - h ≫ です。

Chopin の Prelude や Sonata と、よく似た発想です。

続く 3拍目の  ≪ g1 - fis1 ≫  の  ≪ g1 ≫ は、

「  tonic  主和音Ⅰ 」 の構成音である、

主和音 第 5音  ≪ fis1 ≫ に対する「 changing note 倚音 」

と考えられます


★「 倚音 」 は、先ほど解説致しました 「 刺繍音 」 の、

三つの音のうち、1番目の音を取り去った 「 非和声音 」 です。

Chopin の Sonata には、冒頭 この主和音構成音と、

主和音の 第 5音 ≪ fis1 ≫ に対する 「 changing note 倚音 」 

という、

Bachの 《 h-Moll  Fuga 》 の Subject 冒頭の要素が、

すべて、含まれています。

 

 

 


★もう一度   Sofronitsky の、Prelude Nr.6 演奏を聴いてみますと、

23小節目 3拍目 ≪ cis1 ≫ は、

≪ d1 - cis1 - d1 ≫ の、≪ d1 ≫ に囲まれた刺繍音のようには、

次第に、聴こえなくなってきます。


★そうなのです!

23小節目 2拍目の ≪ d1 ≫ は、独立した主和音の 《 和音構成音 》、

23小節目 3拍目の ≪ cis1 ≫ は、

それに続く ≪ d1 ≫ の 《  changing note 倚音  》 と、

捉えてほしい、という Chopin の意図なのです。


★刺繍音は、先ほど書きましたように、和声音と和声音を刺繍のように

縫っていく、穏やかな性格の非和声音です。

それに対して、 「 changing note 倚音 」 は、

いきなり非和声音が現出し、和声音に滑り込んでいきますので、

emphasis を、その性格に宿します。


Chopinは、 23小節の 3拍目の響きを、強調することで、

≪ cis1 - d1 ≫ の 2度 motif を、

ピアニストや聴く人に、再確認させているのです。

それをもとに、もう一度この Prelude Nr.6 を勉強していきますと、

深い山の中で、さーっと霧が晴れていくように、

この曲の凄さが分かってきます。

 

★ Sofronitsky は、Chopin の作曲意図 つまり、

「 23小節の 3拍目が、 auxiliary note 刺繍音 ではなく、

 changing note 倚音である 」  という

structured-base music design を見抜いたからこそ、

「 滲み 」 を創り出し、歴史に残る名演を残したのです。

 

★Prelude Nr.6 は、 《 counterpoint  対位法 》 が張り巡らされた、

Bachの申し子なのです。

 

 


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■日  時 : 2014年 8月 24日(日) 午後 2 時  ~ 4 時 30分

■会  場 :  カワイ ミュージックスクール みなとみらい        
       横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F
       ( みなとみらい駅『 出口1 番 』出て目の前の高層ビル 3F )
 
■予    約 :     Tel. 045-261-7323 横浜事務所
         Tel. 045-227-1051 みなとみらい直通

●    次回講座は、9月21日 ( 日 ) 午後 2時 ~ 4時 30分

 

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 ■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

   2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

   07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

   08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
     CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

   08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

   09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

   10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

   10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

        「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

   11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

   12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ 四重奏 のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

   13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

            「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

         スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

 ★上記の 楽譜 & CDは、
 「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
 「アカデミア・ミュージック 」
  https://www.academia-music.com/  で販売中

 ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 第1 ~ 6番 」
   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
  disk Union クラシック館で、購入できます。

 

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■Chopinの Prelude No.6 で、 sotto voce の記された位置がもつ重要性■

2014-08-15 21:01:05 | ■私のアナリーゼ講座■

■Chopinの Prelude No.6 で、 sotto voce の記された位置がもつ重要性■
                     2014.8.15     中村洋子

 

 

 

 

★八月十五日の終戦記念日を、迎えました。

窓の外からは、もう虫の音がかすかに、

聞こえてまいりました。

自然は本当に、正直です。


★私は、お相撲のファンでした。

元関脇 「 金剛 」 の元二所ノ関親方が、8月12日に、

お亡くなりになりました。

まだ、65歳でした。

確か、2008年だったと記憶していますが、

初場所千秋楽の終わった後、当時、両国に在りました

「 二所ノ関部屋 」 のパーティーに、招かれたことが、

ありました。


★後援者の方々が、百人ぐらいお集まりになり、

ちゃんこ鍋やご馳走を、つつきあいました。

和気あいあいとした、とても楽しい宴会でした。

私の大好きな、 “ うっちゃり名人 “  大徹  さんにも、

お会いすることができました。

見上げるほど、背の高い方でした。


★金剛さんは、 “  ほら吹き金剛  ”  とあだ名されたほど、

冗談好きで、当日も、たくさんのジョークを、

飛ばしていらっしゃいましたが、

それが、決して人を傷つけるものではなく、どっと笑い、そして、

心のどこかに、暖かいともしびが灯るような、爽やかさでした。

本当にまだお若いのに、寂しいですね。

 

 


★KAWAI表参道で、 「  Open seminar on Bach Wohltemperirte

Clavier Ⅱ Analysis  バッハ平均律アナリーゼ講座 」 とは別に、

月一回、少人数での 「 アナリーゼ勉強会 」 を、開催しております。


★現在は、 Chopin の 「 Prelude 」 を一曲ずつ、 Debussy 版、

Cortot (Alfred  Cortot, 1877- 1962)版、

Paderewski パデレフスキー(1860-1941)版、Ekier エキエル版、

そして、Henle 版など実用譜を参照しながら、

Chopin の 「 Manuscript Autograph facsimile 自筆譜 」 を、

詳しく解読し、自由に discussion しながら、

勉強を進めております。


★前回は、 Vladimir Sofronitsky ソフロニツキー(1901-1961) の、

演奏を聴きながら、子細に No.6 第 6番 を、分析しました。

Sofronitsky は、あまりお馴染ではない名前ですが、

Sviatoslav  Richter スヴャトスラフ・リヒテル(1915-1997)が、

心酔していました、大ピアニストです。


Chopin の校訂版はたくさんありますが、何といっても、

抜きんでているのが、Claude  Debussy  クロード・ドビュッシー

(1862~1918)版です。

ちょうど、Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー(1886~1960)が、

Bach の校訂版で、 fingering フィンガリングにより、

Bach の analyze アナリーゼをしているように、

Debussy もこの版で、 Chopin を 完璧に analyze しています。

 

 

★ よくいただく質問ですが、「 Chopin はどう勉強したらいいですか?」

このブログで、いつも書いていることですが、まず、

 Chopin の  「 Manuscript Autograph facsimile 自筆譜 」

 に当たります。

次に、 「 Debussy 版 」 で、彼の analyze アナリーゼを学びます。

そして、大ピアニストがその音楽をどう、具現化したか学ぶ・・・

この三つの手順です。


★ Frederic  Chopin ショパン (1810~1849) が、

その短い後半生をフランスでおくり、生涯を閉じたことが、

 Debussy をはじめとする “ 印象派 ” と称される、作曲家を生み出した、

といえると、思います。


★Claude  Debussy  クロード・ドビュッシー (1862~1918)

 Maurice Ravel モーリス・ラヴェル(1875~1937) などの大作曲家が、

一般的には、 “ フランス印象派 ” という曖昧な言葉で、

安易に、一括りにされているようですが、この “ 印象派 ” という言葉は、

大変に、誤解されやすい言葉です。

漠然としたあやふやな一種のムードを、さながら夢遊病者のように、

描いたという、イメージが強いのです。


Debussy などが創り上げた音楽は、

厳然とした、構造物としての威厳に満ちた音楽なのです。

印象派の画家といわれる人たちにも、同様の誤ったイメージが、

付きまとっていると、思います。

 

 


Parisパリに観光で出向き、セーヌ川の畔や名所旧跡を散策し、

感傷に浸っても、 Debussy の音楽には、

一歩たりとも、近づかないのです。

 Chopin が Paris で活躍したからこそ、Emmanuel Chabrier 

エマニュエル・シャブリエ(1841- 1894)を初めとする、

一連の近代フランス作曲家が、誕生しえたのです。


★その頂点の一人 Debussy の作品に、

Chopin と同名の曲集、 「 Préludes Ⅰ、Ⅱ  前奏曲集 」 や、

「 12 Études  12の練習曲 」 があるのは、偶然ではありません。

また、 Debussy の 「 旋法 」 について、あたかもそれが、

彼の専売特許であるかのように、言われ勝ちですが、

その源は 実は、Chopin にあるのです。


★ Chopin  の Preludes を学ぶことは、

その起源である Bach に遡ることであり、さらに、回りまわって、

後世に花開いた、Debussy の創造の泉を学ぶことに、

他ならないのです。


★この三人を、並行的に学ぶことが、クラシック音楽の神髄へと、

到達する最短の途である、といえます。

また、ほとんど本音を語らず、韜晦的にしか言わなかった Debussy が、

手の内を正直にすべてさらけ出し、 analyze アナリーゼしているのが、

Chopin ピアノ作品校訂版なのです。


★逆に、この  Debussy 校訂 「 Chopin 」 を学べば、

 Debussy の作品が、真の姿を現します。

そこは、思いつきや気まぐれで、Piano の音色をもてあそんだり、

どぎついドラマティックな効果を、狙った世界とは、

最も、かけ離れた音楽なのです。

 

 

★現在、 「 アナリーゼ勉強会 」 で学んでいます、

 Chopin   「 Prelude No.6 」 については、

ほとんどの校訂版が、冒頭の 1拍目 ~ 2拍目中ごろにかけて、

大譜表の右手と左手との間の空間に、

≪ sotto voce ≫ という記号を、書いています。


★しかし、 「 Manuscript Autograph facsimile 自筆譜 」 を、

見ますと、その位置に ≪ sotto voce ≫ は、ありません。

見当たらないので、不審に思っていましたら、

参加者の方が、 「 ここにありました!」 と、思わず、

声を上げられました。


★なんと、曲頭の 「 h-Moll  ロ短調 」 を示す、二つの 「 ♯ 」 と、

「 4分の3 」 という拍子記号との間に、 ≪ S . V.  ≫ と、

大きく黒々と、記されていたのです。

 

 


★この ≪ sotto voce ≫ という記号の意味は、なかなか、

日本語で表現するのが難しい、といえます。

「 The New Globe 」 を、紐解きますと、

「 sotto voce is to be performed in a under-tone,

not necessarily very softly  but  without any sort of

emphasis.

  sotto voce is often a specific direction to play nearer

the fingerboard where the sound is gentler. 」 とあります。


★ 「The New Globe」 :

 under-tone で演奏され、それは必ずしも、飛び切り柔らかく

でもなく、しかし、どんな種類の強調でもない。

 しばしば、鍵盤により近づけて弾くという、具体的な指示としても

使われ、音がより gentle になる。

「 under-tone 」 は、「 小声で、声を和らげて密やかに 」

 というような訳、

「 gentle 」 は、優しく穏やかというような意味でしょう。


Beethoven  も、後期の弦楽四重奏、例えばOp.132

第 3楽章冒頭で、≪ sotto voce ≫ を記しています。

ここを勉強いたしますと、 Beethoven の ≪ sotto voce ≫ が、

よく、理解できます。

Barylli Quartet による、名演があります。

 [ UCCW-3018/25 ]

 

 


★実は、実用譜のように、

第 1小節目に ≪ sotto voce ≫ が、記されるのと、

Chopin が記したように、

「 h-Moll  ロ短調 」 の調号の真下に、書くのとは、

根本的に、意味が異なってくるのです。


★≪ sotto voce ≫ が、第 1小節目に記される場合、

当然、曲の途中で、この指示が取り消される、

変更されるということを、前提とした書き方なのです。


★しかし、 Chopin の書き方は、この ≪ sotto voce ≫ が、

「 Prelude No.6 」 の全体を、支配しているのです。

厳然と、支配しているのです。

「 調性 」 と 「 拍子 」 という、曲を規定する二大要素に、

覆いかぶさるように、大きな字で、力強く、

 ≪ S . V.  ≫  と、書かれています。

これは、全曲を通して、≪ sotto voce ≫ で弾いて欲しいー、

という、 Chopin の意志です。

 

★参加者の中に、 Cello も嗜まれる方が、いらっしゃいます。

私も思っていたことですが、その方が、

「 この左手の旋律は、Celloですね 」 と、おっしゃいました。

Cello の歌い方、音色、語り口と見事に、一致しているのです。

 

 


★この Chopin  「 Prelude 」 集は、

No.1  C-Dur、  No.2  a-Moll、  No.3  G-Dur、

No.4  e-Moll、No.5  D-Dur  No.6  h-Moll ・・・というように、

調号のない 「 C-Dur 」 と、その平行調、

「 ♯ 」 一つの  「 G-Dur 」 と、その平行調、

「 ♯ 」 二つの  「 D-Dur 」  と、その平行調というように、

調号 「 ♯ 」 が、一つずつ 13番まで増えていきます。


★ここで注目したいのは、 「 h-Moll 」 が、

Chopin にとって、どういう調であったか、

ということです。

 
このブログで、いつも Bach と他の作曲家の名曲とを、

関連付けていることについて、

疑問をお持ちに、なるかもしれません。

それは、Bach が 「 調性音楽 」 の可能性を最大限に、

押し広げた人であり、この 「 調性 」 というシステムで作曲する以上、

それ以上には、可能性を広げることは不可能だからです。


★Bach に続く、後の作曲家による傑作作品は、限りなく、

≪ Bach 作品の Variant 変奏 ≫ でしか、ありえないからです。

次回ブログでは、 このお話をさらに、続けます。

 

 

 


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■平均律第 2巻 18番は、その時代を突き抜け、はるか先の世界を見据えていた■

2014-08-05 19:32:17 | ■私のアナリーゼ講座■

■中村洋子 Bach 平均律クラヴィーア曲集第2巻 アナリーゼ講座

Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅱ   Analysis
  「 第 18番  嬰ト短調   No. 18  gis-Moll  Prelude & Fuga 」
~18番は、その時代を突き抜け、はるか先の世界の音楽を見据えていた ~

              2014.8.5 中村洋子

 

 

★「 平均律 第 1巻」 から 「  Invention & Sinfonia 」 、

「 平均律 第 2巻 」  の順で、Bach は、3つの曲集を完成しました。

これらは、壮大な  “ 一つの曲集 ”  として、

連関させながら、同時に学ぶべきものであると、思います

 

★例えば、平均律 1巻と 2巻の、「 第 17番  As-Dur 」 と、

「 第 18番  gis-Moll 」 の双方を、同時に勉強いたしますと、

Bach の作曲意図がくっきりと炙り出されてきます。

「 Invention 」 には、この二つの調は存在しませんが、

最も緊密な関係にある調の曲を、ピックアップし、

併せて学びますと、その作曲意図が、

より一層、明確になってくるのです。

 

Bach の 「 自筆譜 」 は、平均律 第 1巻 がほぼ  1ページ 6段、

第 2巻 は、基本的に 1ページ 7段 です。

ところが、この 第 18番 からは 「 8段 」 が、

混在するようになります。

凝縮度が、増してきているのです。

第 18番は、最後の “ 全力疾走 ” の出発点ともいえます。

 

 

 

 

18番は、異名同主調の 「17番  As-Dur 」 と、

深く関連づけて、作曲されています。

例えば、17番  Fuga の 26、27小節と、

18番  Prelude の 26、27小節は、

同じモティーフが、使われています。

屏風の、右と左のような関係です。

 

18番  Prelude には、Bach 自身による、

piano  と forte  の記載があります。

 これは、「 Concerto nach Italienischen Gusto

イタリア協奏曲 」 で、

Bach が記していたことを、思い起こさせます。

 

18番  Fuga の方は、ほぼ 8分音符で淡々と進むと、

見せかけていますが、

Subject に対して、当然あるべき Counter-subject がなかったり、

あるいは、 Subject が、あるべきところになく、

Counter-subject のみであるなど、意表を突く手法です。

これは、極めて  “ 新しい ”  のです。

Bach の眼は既に、その時代を突き抜け、

はるか先の世界の、音楽を見据えていたのです。

 

★その 「 新しさ 」 と 「 新しさの起源 」 を、

講座では、詳しくご説明いたします。

 

 

 

 

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■日  時 :  2014年 9月 9日(火) 午前 10時 ~ 12時 30分

 

■会  場 :  カワイ表参道  2F コンサートサロン・パウゼ

 

■予  約 :   Tel. 03 - 3409 - 1958

 

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■今後のスケジュール           各回: 10:00 - 12:30

 ・第 16回  10/9(木)       第19番 イ長調 

 ・第 17回  11/25(火)    第20番 イ短調 

 ・第 18回  12/18(木)    第21番 変ロ長調

 ・第 19回  1/22(木)     第22番 変ロ短調

・第 20回  2/17(火)     第23番 ロ長調

・第 21回  3/10(火)     第24番 ロ短調

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

  2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

  07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

  08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
     CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

  08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

  09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版

          「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

  10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

  10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

  11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

  12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

  13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

 

 

 

★上記の 楽譜 & CDは、

「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/  

「アカデミア・ミュージック 」

 https://www.academia-music.com/    で販売中

 

  ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

  ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

 

 

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■Bach 平均律 2巻 17番と Beethoven Op.110から学べるAs-Dur の響きと性格■

2014-08-03 17:38:12 | ■私のアナリーゼ講座■

■Bach 平均律 2巻 17番と Beethoven Op.110から学べるAs-Dur の響きと性格■
~ Bach 平均律第 2巻アナリーゼ講座 第 17番のお知らせ ~

              21014.8.3 中村洋子

 

 

 

 

★8月 5日( 火 )  のKAWAI表参道 「 Bach  平均律クラヴィーア曲集

第 2巻  Open seminar on Bach Wohltemperirte

Clavier Ⅱ   Analysis 」 アナリーゼ講座は、

No.17  As-Dur  17番 変イ長調 です。

British Library が所蔵します Bach Manuscript Autograph  で、

勉強をしております。


★この 17番の Manuscript Autograph  は、紛れもなく、

Bach の自筆なのですが、 「 Wohltemperirte Clavier Ⅱ 」 の、

他の曲とは、大きく異なるところがあります。

特に、 Prelude は、他の曲に比べ、小さい 「 五線紙 」に、

書かれています。

また、この曲集で唯一、右手部分が 「 G clef ト音記号 」 で、

記譜されています。


★また、小節線が 「 上声 」 と 「 下声 」 を貫いて、

一本の線として、記されています。

しかし、その他の曲は、すべて、 「 上声 」 と 「 下声 」 との間は,

空白、つまり、通常の記譜法になっています。


★また、題名も 「 Prelude e Fugue Par J.S.Bach 」 と、

フランス語風に書かれています。


★さらに、2、3ページ目が、水に濡れたようにぼやけており、

大変に、読み難くなっています。

この Prelude だけが、他の曲とは書かれた時期が、

異なっているのかもしれません。

 

 

 


★しかし、この 17番以降、「 Wohltemperirte Clavier Ⅱ

平均律クラヴィーア曲集 第 2巻 」 は、

異例続きの、物凄い “ 高揚感 ” と “ 密度 ” をもって、

進んでいきます。

その合図と、受け取るべきなのかもしれません。


★また、 17番  Fuga の楽譜は、いつもの書式に戻っていますが、

第 1提示部 ( 主調 提示部 ) が、異常に高い音域で、

構成されています。

1、2小節の Subject  ( 主題 ) の提示は、 Alto アルト 声部 ですが、

最高音が 「 f2 2点 へ音 」 で、まるで soprano ソプラノ の音域を

カバーしているような主題です。


★3、 4小節の Answer  ( 応答 ) は、 soprano ソプラノ 声部ですが、

最高音は、なんと 「 c3 3点 ハ音 」 です。

同時に  Counter subject 対主題が、 alto アルト 声部で、

奏されるのですが、この soprano ソプラノ 声部と

alto アルト 声部の二声が、異常に 「 高音域 」 にあるのです。

 

 


★6小節目は、 tenor テノール 声部で Subject 主題が、

提示されますが、これも高い音域であるために、

下声部は、お決まりである 「 bass バス記号 」 ではなく、

「 alto アルト記号 」 で、記譜されています。


★このような高い音域で提示しますと、一般的には、

やや貧弱に聴こえることも、あるのですが、

この提示部は、 ≪ 清澄でやや憂いを帯びた ≫

美の極致 ともいえるほど、素晴らしい提示部です。


★「 As-Dur 」 で、高い音域がとても特徴的である音楽が、

どこかにあった・・・と、ふと、思いました。

 

 

 

 


★Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー (1886~1960) の

「 Wohltemperirte Clavier Ⅱ 平均律クラヴィーア曲集 第 2巻 」

の録音を、聴きました。


★ 分かりました。

Beethoven  ベートーヴェン(1770~ 1827) の Op.110

≪ Klaviersonate As-Dur  ≫ の1楽章 第2 Thema テーマ の響きと、

大いに、共通するものがあることに、気付きました。

この Op.110 Sonata には、美しい Fuga があることも、

偶然ではないのです。


★Bach  と Beethoven  の偉大な作品から、

この ≪ As-Dur の響きと性格 ≫ を、私たちは、正確に、

学ぶことができるのです。

 

 

 


★講座では、また、Bartók や Röntgen の

fingering フィンガリング によって、

示されている 「 解釈 」 、「 演奏法 」 についても、お話します。


Röntgen 版では、Prelude の 1小節目 下声冒頭の

「 as 」  に  「 3指 」、

1小節目 下声 5番目の  「 g 」 が 、  「 2指 」  に、

指定されていますが、これにより、

「 as - g 」  の motif モティーフ が、形成されていくのです。


★それが、例えば、 Fuga 3小節目の先ほど述べました 

soprano ソプラノ 声部の Answer 応答  冒頭の、

「 as2 」  と 「 g2 」 の  motif モティーフに、

どう発展していくか、それを、ご説明いたします。


★通常、 4分の 3拍子の  Prelude の場合、

1拍単位で、音を見ていきますから、

下声は、 「 as - b - c1 」 の一拍目と、 「 es - g - as 」 の 二拍目と、

「 c - des - es 」 の 3拍目を、グループとしてとらえ勝ちで、

演奏もそのように、強拍を中心とした、

単調で機械的な演奏に、なり勝ちです。


★しかし、Bach の音楽はそのように単調で、

干からびたものでは、ありません。

そこから、どう脱却し、Bach の豊饒な世界に近づくかを、

この fingering フィンガリング が、指し示しているのです。

 

 

 


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