音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■Casals編曲 「 Song of the Birds 鳥の歌 」 が、なぜ名曲なのか■

2014-01-26 21:03:42 | ■ 感動のCD、論文、追憶等■

■Casals編曲 「 Song of the Birds 鳥の歌 」 が、なぜ名曲なのか■
                             2014.1.26    中村洋子





★1月 16日、あるロータリークラブで、「 音楽 」 について、

お話しをさせていただきました。

≪ なぜ、BACH バッハが、ポピュラーまで含む西洋音楽の源泉なのか、
    そして、私の作品『無伴奏チェロ組曲』について ≫ という題でした。


★Bach の 「 無伴奏チェロ組曲 」 について、そして、

埋もれていた人類の宝のようなこの作品を、

世に広めた Pablo Casals パブロ・カザルス(1876~1973) についても、

少し、お話しいたしました。


★Casals は 13歳の時、バルセロナの海の近くの楽譜店で、

触れるとボロボロになりそうな、黄ばんだ一束の楽譜を見つけました。

これが、Bach の 「 6 Suiten für Violoncello solo

無伴奏チェロ組曲 全 6曲 」 でした。

それから何年もの間、すべての情熱と魂を傾け、

組曲の研究に没頭しました。

 

★Casalsが聴衆の前で無伴奏チェロ組曲を演奏するようになると、
だれもそんなことをしたチェリストがいなかったため、
一般の人も批評家も一様に驚いた。
 ある高名な学者先生の、たっぷりと眉に唾したもの言いは、Casalsを批判する立場を代表している。 「 あの練習曲をほんとうに人前で演奏するんだって? 」

  Casalsは、同業者たちの非難には当惑したものの、
新聞や雑誌に論陣を張る批評家たちのことは無視した。
だいいち、彼の Bach 演奏に対する評価は賛否相半ばしていたし、
聴衆が彼の 「 自由な 」 演奏に感動していたことは、疑いようもなかったから。
  組曲第 3番のクーラントを、スタッカートで弾いたことについて、こう言った。 
「純性主義者たちは、私の演奏に憤慨している。
なぜなら、 Bach の時代にはスタッカートは存在しなかったらしいー
そうらしいからって言うんだね 」

 よくあることだが、このたびも、Casalsの直観の正しさが証明された。
後の研究で、スタッカートとスピカートの両方の技法が
タルティーニとジェミニアーニによって使われていたことが判明し、
1687年というかなり古い時期に書かれた 「 ヴァイオリン論 」 という
文章のなかでは、ジャン・ルソーが 「 リコシュ 」、小石の水切りと呼ばれる、
跳ね返る弓のストロークに言及していたのである。

 「 組曲は、アカデミックな作品と考えられていた。テクニック一辺倒の、
機械的で温かみのないものだと。考えてごらんよ! 
広がりと詩情が一点の曇りもなく輝きあふれるあの曲が冷たいだなんて、
だれが言えるのだろう! あの作品はBach の音楽の本質そのもので、 B
ach は音楽の本質そのものなのに 」

= パブロ・カザルス 「 鳥の歌 」 J. ウェッバー編 ちくま文庫 より。





★私もピアノで、Casalsの 「 Song of the Bird (Cant dell Ocells)

鳥の歌 」
を、演奏しました。


★Casals が1971年、国連でこの曲を弾いたのは有名ですが、なぜ、

「 Song of the Bird 」 が、 Bach の 「 無伴奏チェロ組曲 」 同様、

彼の心を終生とらえて、離さなかったのでしょうか。


★「 Song of the Bird 」 は、弦楽合奏の前奏に続き、

チェロ の ソロが始まります。

Auftakt の 「 e ( ミ ) 」 の 8分音符です。

そして、 「 a ( ラ ) 」  の付点 8分音符が、後続する小節の 1拍目となり、

次に、 「 h ( シ ) 」 の 16分音符が続きます。


この 4つの 「 e - a - h - c1(  ミーラーシ ード) 」 の音だけで、

胸が締まるような美しさです。

Casalsは、「 この曲は、 Bach や Beethovenなどすべての偉大な音楽家が

愛したであろう曲です 」 とまで、語っています。


★カタロニア地方のキリスト降誕を歌った古い祝歌 ( キャロル )が、どうして、

このように、偉大なチェリストの心を捉えたのでしょうか。

その理由を、少し、分析してみます。


チェロソロの開始に現れる 「 4つの音 」 について、

私はいつも、どこかで聴いた懐かしい曲のように、感じていました。


★そうです!

Robert Schumann  ロベルト・シューマン (1810~1856) の、

CelloConcerto 第 1楽章 4小節目の orchestra前奏の後、

Cello solo が切々と歌う  「  e1 - a1 - h 1- c2 ( ミーラーシード )  」

と、そ
っくりなのです。







★「 e1 」 は全音符で、 5小節目終わりまで、ずっと音が延ばされますが、

次に奏されます 「 a1 」 は、6小節目の 1拍目で、なんと付点 2分音符。

そして、続く 「 h1 」  は、4分音符です。


★音価 ( 音の長さ ) は、付点 2分音符 「 a1 」 の 「 3 」 に対し、

4分音符 「 h1 」  は 「 1 」 で、 「 3 対 1 」。

いわゆる 「 付点のリズム 」 です。

「 Song of the Bird 鳥の歌 」 も、 「 a1 」  と  「 h1 」  の音価は、

「 3対1 」、 「 付点のリズム 」 です。


この 「 a1 」  に、Schumannは、accent を付けていますので、

5小節目の p の全音符 「 e1 」 は、Auftakt ではありませんが、

6小節目の accent の付いている 「 a1 」 を、目指していく音となります。


★「 Song of the Bird 鳥の歌 」 の Auftakt  「 e ( ミ )」 と、

 Auftakt e ( ミ ) が目指す 1拍目 ( 強拍 ) の 「 a(ラ) 」 に、

似ています。


★これは、偶然の一致でしょうか?

そうかもしれませんが、指摘できることは、この二曲が、

「 名曲の条件 」 を満たしているから、とも言えます。

冒頭の 「 完全 4度 」 と、それに続く 「 3度 」 です。


★3度音程は、調性を規定する音程で、

完全 4度音程は、和声を規定する音程です。


★例を挙げますと、 主音「 C ( ド ) 」 に対し、

上方に長 3度高い 「 E ( ミ ) 」 が音階の第 3音となる

「 C-Dur ハ長調 」 をイメージさせます。


★Cに対し、上方に短 3度高い 「 Es ( ミ♭ ) 」 を配置しますと、

「 c-Moll  (ハ短調 ) 」 と認識します。


★長調と短調の違いは、主音と第 3音の関係が、

長3度であるか、短3度であるかが、最も大きな要素です。

それゆえ、調性を規定する音程の最も重要な音程が、

「 3度音程 」 となるのです。  


★それに対し、 「 4度音程 」 は、講座でいつも指摘していますように、

「 和声 」 を規定する、重要な音程です。


★そして、大半の名曲の重要な motif は、この 2つの音程が、

精緻に組み合わさっているのです。

「 Song of the Birds 」 と Schumann の Cello Concerto は、

この 2つの要素が、装飾されずにむき出しで奏されているのです。

そして、 rhythm も、極めて共通するところが多いのです。

「 名曲 」 の必須条件を、満たしているのです。






★ちなみに、Schumannに見出された彼より 23歳若い、

Johannes Brahms ブラームス (1833~1897) は、

2つの Cello Sonata を作曲していますが、

その Sonata für Klavier und Violoncello e-Moll Op.38 の、

冒頭の Celloは、 「 E - G - H - c - H 」 、

E - G ( 短 3度 ) 、 G - H  ( 長 3度 ) という、

3度の積み重ねです。


Eは 2分音符、Gは付点 4分音符、Hは 8分音符ですが、

この 3つの音の音価を、各々 2倍にしてみますと、

E は全音符、G は付点2分音符 H は4分音符となります。

SchumannのCelloConcertoの 5、6小節目と同じリズムで、

音も Schumannは、 「 e1-a1- h ミ ラ シ」 で、

Brahmsは  「 Eー G- H ミ ソ シ 」 ですから、

高さはともあれ、 「 ラ 」 と 「 ソ 」 の 1音が違うだけです。


★これは、 「 剽窃 」 などでは毛頭ありません。

どれもこれも、名曲はよく似ている、ということなのです。

そして、その源泉は、勿論、 Bach という 「 宝庫 」 に、

すべて、蔵されているのです。







★ロータリーでの講演では、「 counterpoint 対位法 」 を、

分かりやすくご説明したのですが、ふと思いついて、

マタイ受難曲の有名なコラールを、弾きました。

このコラールは、 「 E - A  ( ミ ラ )」 の、

完全 4度音程から始まるからです。

鳥の歌と全く、同じだからです。


★また、有名なムード音楽 「 白い恋人 」 が、

インヴェンションのある曲から、和声を取り出して作られていることを、

実際に音を出しながら、お話ししました。

Bach の断片を使うだけで、甘いムード音楽も見事に、

簡単に出来上がるのです。


 


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■私の「6 Suiten für Violoncello Solo チェロ組曲」全6曲の出版が決定■

2014-01-13 00:19:39 | ■私の作品について■

■私の「6 Suiten für Violoncello Solo チェロ組曲」全6曲の出版が決定■
~ Furtwänglerの自作自演から、彼の演奏設計図が解明できる~ 
           2014.1.13     中村洋子

 

 

★前回ブログで、少しご紹介いたしました Wilhelm Furtwängler 

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー (1886 - 1954) の作品を、

CDで、聴いています。

「 Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社 」 から、

作品が出版されています 

≪ Sinfonisches Konzert: für Klavier und Orchester

ピアノと管弦楽のための交響的協奏曲 ≫ です。

Piano:  Edwin Fischer

Conductor:  Wilhelm Furtwängler

Berliner Philharmoniker     

Recorded 1939.  Ⅱ Adagio 第2楽章 アダージョのみ


作曲家としての Furtwängler の作品を、彼自身の指揮で聴きますと、

Furtwänglerが、どのような  “ 設計図 ” で、

自作品を演奏していたかが、実によく分かります。

Bartók Béla  バルトーク (1881~1945) 校訂の

Wohltemperirte Clavier 平均律クラヴィーア曲集を勉強しますと、

Bartók が、どう Bach を弾いていたかを知ることになり、それにより、

Bartókの作品を、より深く理解できるようになります。


★これは、作曲家がどう演奏したかを、学ぶことから、

その作曲家自身への深い理解に到達する、という話ですが、

逆に、演奏家・指揮者 Furtwängler が、自身で作曲した曲を、

どのように演奏したか、を学ぶことから、

彼が、 Beethoven ベートーヴェン (1770~ 1827)や、

Johannes Brahms ブラームス (1833~1897) などの大作曲家を、

どう分析して、いかなる “ 設計図 ” で演奏したか、

それも、分かってくるのです。

Furtwängler の演奏が、どうして飛び抜けて素晴らしいのか、

その謎が、自作自演を聴くことで、

氷解したような気がしました。




Berlinの  『 Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社 』  から、

お手紙が、届きました。

社長の Andreas Meurer アンドレアス・モイラーさんが、

「 まず、なによりも先に、新年おめでとうございます。

あなたのご多幸を祈ります。

私たちは、あなたの ≪ Solo Suite für Violoncello  Nr. 2 、4、 5& 6

無伴奏チェロ組曲 2 、4、 5& 6番 ≫ の publish 出版を、

decide 決定しました。

Boettcher 教授に、校訂をお願いして、承諾をいただきました・・・ 」


★社長の Meurer モイラーさんは、 「 Musikverlag  Ries & Erler  Berlin 」

の二代目 Robert Ries (1889-1942) の、

お嬢さんの息子さんで、四代目です。


既にお知らせしましたように、 1、 3番の楽譜は出版されており、

私の作品 「 無伴奏チェロ組曲 」 全六曲が、

Ries & Erler  から、出版されることになったのです。


「 Solo Suite für Violoncello  Nr. 4、 5、 6

無伴奏チェロ組曲 4、5、6番 」 の CD解説に書きましたように、

Bach 「 Suiten für Violoncello solo 無伴奏チェロ組曲 」 全 6曲の

顰に倣うことは、 Ikaros イカロスが、蝋付けの翼で、

あまりに高く飛んだため、太陽の熱で蝋が溶け、

海に落下してしまった、というギリシア神話のお話のように、

身の丈に余る、無謀な試みのようにも思いました。


★しかし、Bach の国 Germany ドイツで、

老舗出版社が、全曲出版を、決定してくださいました。

大変光栄で、心から嬉しく思います。





★Bach の 全 6曲は、緊密な設計のもとに作曲され、

6曲全部で、壮大な 1つの曲と、みることができます。

「 緊密な設計 」 の中に、「 調性の設定 」 も含まれますので、

安易に調性を変更することは、よほどの熟慮か、

特段の理由がない限り、行うべきではないと、思います。
http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/e/31dece61fd3e030eb9b7e7c710f65466

私の6曲も、全体で 1曲となるように、作曲いたしました。


新着の 「  無伴奏チェロ組曲 3番 」 の楽譜を、是非、

Boettcher ベッチャー先生の録音された CDを聴きながら、

勉強していただきたいと、思います。

大変に、得るところがあるはずです。





★例えば、≪ Ⅴ  Eicheln rieseln von Bäumen

Acorns Fall Lightly From the Trees

第5曲  木の実時雨 ≫ の 1~8小節目 pizzicato と、

9~33小節目の acro ( 弓で弾く ) 、 34~39小節目 pizzicato

の 3か所を、比較してお聴きください。

40~41小節目の acro と、 42~47小節目の pizzicato も、

同様に、比べてお聴きください。


★これは、弦楽器奏者のにならず、ピアニストにとりましても、

大変、参考になります。

pizzicato は、弓を使わず、指で弦を弾きますから、

弓を擦ることで可能な、持続音の crescendoや diminuendo、

vibrato は、不可能です。

一種の打楽器奏法といえます。


★それは、ピアノの奏法ととてもよく似ていると、いえます。

ピアノの場合、打鍵した後、いかなる crescendo や diminuendo も、

その打鍵した音に対して、加えることはできません。

ピアノの Legato 奏法、つまり 「 音をつなげ、滑らかに弾く 」 奏法も、

打鍵された瞬間から、減衰する音をいかに

滑らかにつながって連続しているかのごとく、聴かせるか、

一種のトリックとも、言えるのです。


ピアニストが何気なく行っている 「 Legato 」 ですが、

本当の 「 Legato 」 を獲得するのは、至難の技です。

打鍵する瞬間、attack する瞬間に、

心臓の鼓動する、生身の人間が発する、

生きた attack が、必要なのです。


★その attack を、「 SuiteNr.3 für Violoncello solo  Ⅴ

無伴奏チェロ組曲 3番 第 5曲 」 で、 pizzicato と arco とを、

比較勉強することで、学び、

ご自分のピアノ演奏に、役立ててください。

pizzicato が、ピアノの打鍵に近似し、

arco が、ピアノの legato の理想なのです。


★まずは、 1小節目の pizzicato と、

それを 4度上で、模倣した9小節目の arco を、

各々、1小節分だけで結構ですが、

楽譜を見ながら、何度か聴き込んでください。

本当の Legato を手に入れる第一歩です。




★「 中村洋子作曲  無伴奏チェロ組曲 3、2番 」の CD

Wolfgang  Boettcher 演奏は、

KAWAI表参道1階楽譜売場 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/

アカデミアミュージックhttps://www.academia-music.com/ で、

お求めになれます。

 


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■「無伴奏チェロ組曲 第3番 Suite Nr.3 für Violoncello」楽譜が、到着■

2014-01-07 23:59:21 | ■私の作品について■

■「無伴奏チェロ組曲 第3番 Suite Nr.3 für Violoncello」楽譜が、到着■
               2014.1.7   中村洋子

 

 


★新しい年が、始まりました。

2011年の東北大震災から、3年目のお正月です。

冬枯れの木立を見ながらの初詣は、清々しいものです。


★私の作品 「  Suite Nr.3 für Violoncello

無伴奏チェロ組曲 第 3番 」が、昨年、ドイツで出版されましたが、

やっと、日本に入荷しました。

ベルリンの出版社 ≪ Ries&Erler リース&エアラー社 ≫

http://shop.rieserler.de/ からは、既に、

「 Suite Nr.1 für Violoncello,  無伴奏チェロ組曲 1番 」、

「 10 Duette für 2 Violoncell,  チェロ二重奏のための 10の曲集 」 が、

出版されており、これで、 3冊目となります。

http://shop.rieserler.de/product_info.php?info=2840

 

 


★この 「  Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 3番 」

 の楽譜は、

アカデミアミュージックで、購入することができます。

https://www.academia-music.com/academia/search.php?mode=detail&id=1501720283


★≪ Ries&Erler リース&エアラー社 ≫ は、

Franz Ries フランツ・リース ( 1846 Berlin-1932 Naumburg )  と、

Hermann Erler ヘルマン・エアラー (1844 Radeberg - 1918 Berlin ) の

二人が、1881年に設立した出版社です。


★Humpedinch フンパーディンク、 Pfitzner プフィッツナー、

ヴァイオリン教則本の作曲家として著名な、Carl Flesch(1873 - 1944)

カール・フレッシュなどの、出版権をもち、

Franz Ries ( 設立者の祖父で、設立者と同じ名前 ) と、

Ferdinand Ries ( 設立者の叔父 ) の作品など、

多くの作品を、出版しています。 

最近は、指揮者 Wilhelm Furtwängler 

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー (1886 - 1954)の交響曲、歌曲や、

このところ演奏される機会が増えてきました、オーストラリアの

Hans Rott ハンス・ロット (1858 - 1884)の、

交響曲などを、精力的に出版しています。

https://www.academia-music.com/academia/s.php?mode=list&kubun=1&word=Furtwangler
https://www.academia-music.com/academia/r_rott.php

 


★小学校のころ、何度も読み返しました 「 Beethoven の伝記 」 の中で、

この 「 Ries 」 の名前が、私の記憶に、刻み込まれています。


★設立者の祖父 Franz・Anton・Ries  (1755-1846) は、

Bonnボンで、Beethoven ベートーヴェン (1770~ 1827)の先生だった

ヴァイオリン奏者、指揮者です。

Beethoven が、16歳で最愛の母を亡くし、暴力を振るう酒乱の父と、

苦しい荒んだ日々を送っていたころ、彼を、

自分の家にたびたび招き、暖かい家庭の味を振る舞うなどして、

心身から支えたのが、 Franz・Anton・Ries でした。

愛情に満ちた人でした。


★私が読みました伝記には、 「 Riesリース先生 」 という言葉で、

何度も現れます。

Riesは、五男五女の子宝に恵まれました。


★その長男が、Ferdinand Ries です。

現在、作曲家としての評価が高まってきており、

盛んに、作品が出版されつつあります。

https://www.academia-music.com/academia/m.php/20130703-1

彼は、ウィーンViennaで、Beethoven の下で学び、

後に、Beethoven の秘書も務めます。

私の伝記では、彼は  「 Ries リース君 」  として登場します。


★Beethoven は、リース君にピアノは教えましたが、

作曲は、Albrechtsberger アルブレヒツベルガー を、

紹介します。

Albrechtsberger は、当時、最高の音楽理論家で、

Beethoven も、彼から、対位法を学んでいます。

 

 


★私は、 Beethoven の気持ちがよく分かります。

恩師の長男に、心を込めてピアノを教えました。

しかし、 「 作曲は教えるものではない。自分で獲得するものである 」

と、思っていたのでしょう。

そして、当時の最高の先生を紹介し、基礎的な理論を学ばせました。

後に、 「 リース君 」 は、イギリスに渡り、晩年の Beethoven を、

経済的に支えていきます。


★「 Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社 」 の、

設立者である Franz Ries は、 「 祖父 Franz Ries 」  の五男の息子です。

Ferdinand Riesは 、 「 祖父 Franz Ries 」  の長男ですから、

叔父にあたります。


★二代目社長の Robert Ries (1889-1942) は、1930から1933年まで、

Verband Deutscher Musikverleger

ドイツ音楽出版社連盟の会長を、務めています。

日本の岩波書店のような老舗です。

 

 


★お話しは変わりますが、岩波の 「 図書 」 2014年 1月号に、

瀬戸内寂聴さんの講演が、掲載されていました。

とても興味を引かれる指摘が、ありました。

≪ いま売れている本は、あてにならない。いま売れに売れている人も

いますし、私もいくらか売れていますけれども、

売れる本がいい本じゃないんです ≫

≪ 100年後なんて、すぐ来ますよ。自分が生きて、

もうすぐ100年ですからね。振り返ってみたら、「ああ、短いな」と、

思います ≫

 

★≪ 生々流転、仏教では全てが変わることが根本思想です。

全ては変わるんですよ。

だから、いまの状態は全て変わると覚悟してください。

変わらないのは、本当に立派な本ですね。

それから、いい音楽、いい絵画、
いいお芝居、

そういうものは変わらないで、

そのまま伝えていかなくてはなりません。

それが文化です。

古典です。

文化が死んでいくなら、その国は滅びます。

皆さん、どうか日本の文化を守ってください ≫


★私の作品は、幸い、捨てられることはなく、

「 Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース & エアラー社 」 が、

出版してくださったのですから、

これから、 「 楽譜 」 として残ることでしょう。

 「 時 」 の判断を、仰ぐことになります。


 

 




 

 

 

  ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

 

Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

 

全国の主要CDショップや amazon でも、ご注文できます



 

 

 

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