音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■Bach はなぜ平均律第 2巻 8番を 「es-Moll」 でなく、 「dis-Moll」 にしたか■

2013-09-28 18:50:49 | ■私のアナリーゼ講座■

■第 6回「平均律クラヴィーア曲集 第 2巻・アナリーゼ講座」
  第 2巻 8番 dis-Moll 嬰二短調  prelude & fugue
~ Bach はなぜ 8番を 「es-Moll」 でなく、異名同音調 「dis-Moll」 にしたか ~

                             2013. 9. 28  中村洋子

 


 

 

私の作品 「 無伴奏チェロ組曲 4、5、6番 

Suite für Violoncello solo Nr. 4、5、6 」

Wolfgang  Boettcher
ヴォルフガング・ベッチャー先生 

演奏の CD が、

≪ アカデミア・ミュージック 
               03 (3813) 6751、 Fax 03 (3818) 4634 ≫

   https://www.academia-music.com/ 
でも、

お求めになることが、できるようになりました。

よろしくお願いいたします。

 

台風が過ぎ去り、美しい秋の空となりました。

澄み切った青さに、

思わず、見とれてしまいました。

9月 26日の講座では、台風の雨にもかかわらず、

たくさんの皆さまが、ご参加くださいました。

きっと、 「 Bach先生からのご褒美 」 があることでしょう。

 
★次回の第 6回講座は、平均律 第 2巻 8番 dis-Moll 

嬰二短調 prelude & fugueです。

prelude は、 2番 c-Moll ( ハ短調 ) 、5番 D-Dur に続く、

二部構成の曲です。

反復記号を伴った副縦線で、前半と後半が区切ら
れています。






★7番  「 Es-Dur」  に続く  8番がなぜ、 「 es-Moll 」 ではなく、

「 dis-Moll 」  なのでしょうか?

Bachはどうして、 「 es-Moll 」 の異名同音調  「 dis-Moll 」 を、

選択したのでしょうか?

 

★ちなみに、 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻で、

異名同音調は、
8番 prelude と fugue との間にあります。

ここ 1か所だけです。


8番 preludeは  「 es-Moll 」 であるのに対し、 

fugueは 「 dis - Moll 」  です。

8番という  「 一組 」  のなかでの、出現です。

第 2巻では、7番の次の 8番が、

 「 異名同音調の同主調 」 です。




 

★8番 fugue について、 Richter リヒテルは

「 これは、私が一番好きな
 fugue です 」  と 、語っています。

fugue の 第 1小節目冒頭、 8分休符の後に奏される、

8分音符の 三つの  repeated notes  ( subject 主題の頭部 ) 

「 dis  dis  dis 」  は、 “ 憂愁の雲 ” に閉ざされたように、

メランコリーです。



★しかし、これは実は、平均律 2巻 5番 D-Dur  fugue の

第 1小節目 冒頭の主題 「 d1  d1  d1 」  と同型なのです。

ここでは、弾けんばかりに明るく、

喜びに満ちた曲想です。


この第 2巻 8番という曲は、平均律 第 2巻 全 24曲のなかで、

ちょうど 3分の1の地点にあり、

ひとつの到達点と、位置付けることができます。

それゆえ、それまでの7番までのいろいろな要素が、

ここに注ぎ込まれているのです。

講座では、 異名同音調 とした理由を含め、

8番の全体像を、分かりやすくお話いたします。

 

 ★また今回は、Bach と同い年の Domenico Scarlatti

ドメニコ・スカルラッティ(1685 - 1757) のソナタについても、

二人の共通点と、大きく異なった
個性に触れながら、

少しお話する予定です。


---------------------------------------------------------------

■ 日 時 : 2013 年 10 月 15 日(火) 午前 10 時 ~ 12 時 30 分

■ 会 場 : カワイ表参道  2F  コンサートサロン・パウゼ

■ 要予約 :
 Tell..03-3409-1958



 


---------------------------------------------------------------

■ 講師 :   作曲家  中村 洋子 Yoko Nakamura

 

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

 

2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

 

07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
        無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
        Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
     CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

 

08年:CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
    CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

 

08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

 

09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

 

        「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」
              が、W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイ ム
              で、初演される。

 

10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

 

10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

 

     「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

 

11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

 

12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
     チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」 を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
  

   スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、

    自作品が演奏される。

 

★上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」   http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「アカデミア・ミュージック 」 
https://www.academia-music.com/ で、販売中。 

 

    ※copyright © Yoko Nakamura    
                 All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント

■ショパンは、平均律 15番を徹底的に学び、バラード 2番を作曲した■

2013-09-24 15:55:54 | ■私のアナリーゼ講座■

■ Chopin が見た「平均律クラヴィーア曲集・アナリーゼ講座」■
   第 15回 第 1巻 第 15番 G-Dur  prelude & fugue
~ショパンは、平均律 15番を徹底的に学び、バラード 2番を作曲した~

                                2013・9・24  中村洋子



 

★金木犀の香りが、ほのかに漂ってきました。

秋ですね。


★次回の Chopin が見た 

「 平均律クラヴィーア曲集・アナリーゼ講座 」 は、

第 1巻 第 15番 G-Dur  prelude & fugue です。


★15番 ト長調の 「 主音 G 」 は、

1番 ハ長調 ( 主音 C ) の「 属音 」です。


バッハが、平均律クラヴィーア曲集で追及したのは、

≪ 調性とは何か ≫ です。


1、 2番の主音 「 C 」 、 3、 4番の主音 「 Cis 」 から、

5、 6番の 「 D 」 へと、
主音を半音ずつ上げていき、

辿り着いたのが ≪ C の属音である G ≫ です。


 ★ 「 主音から属音へ 」  という一つの世界が完結し、

ここで新たに 「 属音から主音へ 」 という世界が、

開かれていきます。

 

 

★独自の 曲順配列で校訂された

Bartók Béla  バルトーク(1881~1945)の

「 平均律 全 2冊 」 では、
この 1巻 15番は、

第 2冊目の第 1曲目に、配置されています。


この配置を見るだけでも、

バルトークの、 Bachアナリーゼの深さ、

洞察力の見事さが、実によく分かります。

★この曲を、学び尽くしたもう一人の作曲家は、ショパンです。

1838年、28歳だった Frédéric Chopin ショパン (1810~1849)が、

マジョルカ島で、存分に平均律を弾き、

そして、「 前奏曲集 」 と 「 バラード2番 Op.38 へ長調 」 を、

推敲したことは、有名なお話です。


★このバラード 2番の Chopin 直筆譜と、

平均律 15番のバッハ直筆譜とを、見比べますと、

その発想の類似性に、驚かされます。


★ Bartók と Chopin の ≪ バッハ へのアプローチ ≫ を、

お話しながら、

Chopin が、 平均律第 1巻に書き込んだ fingering を手掛かりに、

この 15番の  prelude & fugue を、

実際の演奏に、どう生かしていくか、

分かり易く、お話いたします。



--------------------------------------------------------

■  2013.10.14 ( 月・祝日 )  午後 2時 ~ 4時 30分 

■ 会場: カワイミュージックスクールみなとみらい        

     横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F
      ( みなとみらい駅 『出口 1番 』 出て、目の前の高層ビル3F )

■ 要予約    Tel.045-261-7323 横浜事務所
         Tel.045-227-1051 みなとみらい直通

---------------------------------------------------------------

■ 講師 :   作曲家  中村 洋子 Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
        無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
        Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
     CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

08年:CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
    CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        「 Suite Nr.2 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 2番 」
              が、W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイ ム
              で、初演される。

10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

     「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
     チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」 を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
  

   スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、

    自作品が演奏される。

★上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」   http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「アカデミア・ミュージック 」 
https://www.academia-music.com/ で、販売中。 

 

 

     ※copyright © Yoko Nakamura    
                   All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント

■平均律 第 2巻 8番 前奏曲は “ 木の実時雨 ” ■

2013-09-18 23:13:12 | ■私のアナリーゼ講座■

■平均律 第 2巻 8番 前奏曲は “ 木の実時雨 ” ■
       ~ Acorns Fall Lightly From the Trees ~
                                2013.9.18  中村洋子

 

 


★猛烈な台風が、日本列島に襲来し、

各地で、大雨の被害が出ているようです。

大雨は嫌ですが、日本語には、雨を表現する

雅な言葉が、
たくさんあります。

秋雨、 春雨、煙雨、霧雨、恵雨、小糠雨、五月雨、村雨、

驟雨、氷雨、緑雨、夜雨、 時雨・・・

風情を感じます。


★私の作品 「  Suite für Violoncello solo Nr.3

無伴奏チェロ組曲  第 3番 」 の楽譜が、

「 Musikverlag  Ries & Erler  Berlin ベルリン リース&エアラー社 」

から、近く出版されます。


Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生による、

「 芸術 」 ともいえる丹念な Einrichtung と Spieltechn. が、

書き込まれています。

Einrichtung と Spieltechn とは、ボーイングやフィンガリング、

どの弦を使うか、ハーモニックスの使い方など、演奏に必要な、

あらゆる技法のことです。


★cellist で editor の Thomas Schwalbe さんに、

校訂をしていただきました 。

漢字は、ドイツ人にとって 「 エキゾチックで、 かっこいい 」 ようで、

各楽章の日本語を、私の字で書いて欲しい、という依頼が

ありました。

表紙に使われるのかもしれません。

 

 


★「 Suite für Violoncello solo Nr.3 」 は、全 7楽章です。

第 5楽章は、 「 木の実時雨 」 という題です。

木の実が、コロコロ地上に落ちてくる様を、

時雨に譬えています。


★私は、Ein Regen von Eicheln im Spätherbst

晩秋のドングリの雨、と訳して送りました。

今回、「 Ries & Erler  Berlin 」 は、

Eicheln rieseln von den Bäumen

Arcorns Fall Lightly From the Trees.

とても分かりやすい訳です。


★「 訳 」 といいますと、楽譜の Edition も、

「 訳 」 の一種かもしれません。

KAWAI 表参道で 26日に開催します 「 Wohltemperirte Clavier Ⅱ

平均律クラヴィーア曲集 第 2巻 」 のため、いま、

Julius Röntgen ユリウス・レントゲン (1855–1932) の、

楽譜 ( Revision 版 ) を、勉強しています。


その、あまりの内容の深さに、息を呑む思いです。

いままで気付かなかったことに、目を開くことができます。

 


★7番の prelude は、 8分の 9拍子です。

8分の 9拍子とは、 8分の 3拍子という  「 単純拍子 」 が、

三個集まった 「 複合拍子 」 です。

1、 4、 7拍目を強拍とする ≪ 3拍子の曲 ≫ であると、

大まかに、いうことができます。


★1小節目の和声は、 Es-Dur の主和音  (  tonic  )  です。

Röntgen は、 下声  ( 左手 ) 5拍目 「 b  ( 変ロ音 ) 」  に、

≪ 2指  ≫ を指定しています。

上声 ( 右手 )  8拍目  「 g1 ( 1点 ト音 ) 」 にも、同様に、

≪ 2指 ≫ を指定しています。    


★まず、下声 5拍目について、詳しく見てみましょう。

下声 1拍目は、 8分休符、続く 2、 3、 4拍目は、

es1  ( 1点 変ホ音 )、  d1 ( 1点 ニ音 )、   es1 ( 1点 変ホ音 ) です。

「 es 」 は主音ですので、 「 d 」 は、 2、 4拍の主音をつなぐ

刺繍音 ( 非和声音 ) です。

この 三つの音で、≪ Es-Dur の主和音 ≫ を、

聴く人 ( 弾く人 ) の耳に、しっかりと焼き付けます。


★そして、次に来る 「 b音 」 は、常識的にみて、

ほとんどの人が、「 2指 」 で弾くでしょう。

しかし、Röntgen レントゲン は、そこにわざわざ敢えて、

≪ 2指 ≫ と書いて、指を指定しています


★わざわざ、書き込みました理由は、

この音を 「 注視せよ 」 というサインでしょう。

この 「 b ( 変ロ音 ) 」 の次には、 「 g  ( ト音 ) 」、

「 es ( 変ホ音 )  」 が、続きます。

そうです、 「 b - g - es 」  を、垂直に置き換えますと、

≪ Es-Dur の主音 ≫  が、できます。

主音を確定した後に、主和音を確定する。


それも、主和音の 「 第 5音である b  」 、 「 第 3音の g 」 、

「 根音の es 」 の順で、  Fall Lightly  From the  “ 5th ” 、

5音から、軽やかに下行していくのですから、

( ピアノ ) dolce の指示も、頷けます。

 


★Röntgen レントゲン の指示は、

1、 4、 7拍を強拍とする、単純な、3拍子系では、

ありません。


★上声 ( 右手 ) は、

1小節目 「 8拍目の g1 」 、 2小節目 「 8拍目 f 1 」 、

3小節目 「 3拍目 es1 」、

この 三音 ≪ g1 -  f 1 -  es1 ≫ に、付けられた ≪ 2指 ≫ の、

fingering から、この 三音がとりわけ重要で、

それを繋ぎますと、 「 一つの Motiv 」 ができることを意味します。


こうして Röntgen レントゲン 版で、音楽を作っていきますと、

興奮するくらいに、活き活きとした Bach が、生まれてきます。

そして、 “ この演奏は、どこかで聴いたことがある ” と、

思いました。

そう、あの Pablo Casals パブロ・カザルス(1876~1973) の、

演奏なのです。


★ Pablo Casals パブロ・カザルス(1876~1973) のインタビューを、

読みますと、Röntgen レントゲン について、たびたび言及し、

彼の音楽を、大変に尊敬していることが分かります。

Röntgen レントゲン の、音楽構造を読み解く方法が、

Casals  カザルスと非常に近いものだったのでしょう。


★同様に、Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー

(1886~1960) 版を、勉強しますと、

Wilhelm Furtwangler ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

(1886~1954) の音楽が、浮かび上がるのです。

この二人による、極め付けの演奏は、

Beethoven ベートーヴェン (1770~ 1827) の、

Piano Concerto No. 5  Es-Dur Op. 73 "Emperor"  です。

これは1951年の録音です。

 

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント

■ 私の作品 「 無伴奏チェロ組曲 4、5、6番 」 の CDが、遂に完成 ■

2013-09-07 00:01:18 | ■私の作品について■

■ 私の作品 「 無伴奏チェロ組曲 4、5、6番 」 の CDが、遂に完成 ■
                    2013.9.6  中村 洋子

 

 

★2011年暮、Wolfgang  Boettcher

ヴォルフガング・ベッチャー先生に、録音していただきました、

私の作品 「 無伴奏チェロ組曲 4、5、6番 

Suite für Violoncello solo Nr. 4、5、6 」 の CD が、

遂に、完成しました。 


★ Boettcher 先生の、精魂傾けた演奏、

録音は、日本で最高の技術者である 杉本一家さん、

桜井卓さんのお二人に、担当していただきました。

マスタリングも、杉本さん。

通常では考えられないほどの手間をかけた、丹念な作業で、

電気ノイズが少ない深夜に、なさったそうです。

音質の良さは、極め付けです。

透明感溢れる、素敵なジャケットも、

若く、才能豊かな朝倉朋子さんのデザイン。

 

 


★2007年に発表しました 「 無伴奏チェロ組曲 1番

 Suite Nr.1 für Violoncello solo  」 を CD録音した際、

 Boettcher 先生に、 「 日本の四季をテーマにして、

6曲の組曲を、書きたい 」  と、お話ししました。


★1番は 「 春 」 、 2番は 「 冬 」 、 3番は 「 秋 」 。

先生は、 「 4、 5、 6番のうち、1曲は夏だけど、他はどうなるの 」 と、

お尋ね。


★4番は 「 春分 」 です。

5番が 「 夏 」 、そして 6番は、季節にとらわれず、

「 喜び 」 を、表現しました。

なんの喜びでしょうか。

音楽の喜び、生命の喜び、生きる喜び、

心から横溢する喜び、といってもいいでしょう。


★この 「 6曲 」 という数は、もちろん Bach の

 「 6 Suiten für Violoncello solo 無伴奏チェロ組曲 全 6曲 」

に、由来します。


★Bach の顰に倣う、というのも、

随分と、傲慢のように思えますが、

Bach の至高の 6曲を学ぶ過程で、生まれ出てきた、

と思っています。


★自分で曲を書きながら、Bach の 6曲を学びますと、

それが、どれだけ凄いものであるか、更に更に、

実感できるのです。

 

 


★Bach の1番 を、 Pablo Casals パブロ・カザルス(1876~1973)が、

演奏した頃、世間では、この人類の財産ともいうべき名曲を,

≪ 練習曲 ≫ と、認識していたのは、有名な話です。

先日の 「 KAWAI アナリーゼ講座 」 で、勉強しました、

「 Wohltemperirte Clavier Ⅱ 平均律クラヴィーア曲集 第 2巻 」 の、

「 6番 d-Mol l 」 を、  “ 練習曲風 ” と書いて憚らない解説書が、

日本では、いまだに幅を利かせているくらいです。


Bach は、彼の音楽に向き合った人の、

≪ 音楽的能力に見合っただけの姿 ≫ しか、

見せてくれないのでしょう。

Bach の音楽を貶める、軽く見る人の、

人間性まで、炙り出すともいえましょう。


私の CDは、Bach の天才の爪先に少しでも、

近づこうとした、道程です。

この 6曲の組曲が、日本ではなく、Bachの国 ドイツで、

暖かく、迎えられていることが、何を意味するのか、

考え、噛みしめています。

 

 


2007年に、 「 無伴奏チェロ組曲 1番

Suite Nr.1 für Violoncello solo 」
を作曲し、

5月に、 CD録音をいたしました。

Boettcher ベッチャー先生は翌月、Berlin の 「 赤の市庁舎

Rotes Rathhaus 」 大広間で開催されました、

フンボルト財団の記念式典演奏会で、Suite Nr.1 を、

初演してくださり、大変に好評でした


★そして、楽譜が欲しいという要望に応え、

Ries & Erler Berlin ベルリンのリース&エアラー社 が、

この 「 Suite Nr.1 für Violoncello solo 」 を、出版しました。


★ また  「 Suite Nr. 3 für Violoncello solo 

無伴奏チェロ組曲 3番 」 も、Ries & Erler Berlin から、

近々出版されることになり、最終校訂がちょうど、

終わったところです


★何はともあれ、 Boettcher ベッチャー先生の名演を、

どうぞ、皆さまの耳で直接、お聴きください。


★このCD (¥2000 ) は、 「 KAWAI表参道 」
http://shop.kawai.co.jp/omotesando/  楽譜売場、

「アカデミア・ミュージック 」 
https://www.academia-music.com/ で、

                           お求めになれます。

連絡先は、
≪ KAWAI 表参道 03 (3409) 2511/代表 1F 楽譜売場まで ≫

あるいは ≪ KAWAI 表参道 音楽教室/直通 03 (3409) 1958 ≫

≪ アカデミア・ミュージック 
               03 (3813) 6751、 Fax 03 (3818) 4634 ≫

●組曲 1番を収録した 「 Boettcher ベッチャー Plays Japan 」 、
●「 組曲 3、2番 」 の CDも、同様にお求めになれます。

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント

■ Inventionの、心に刻み込む ≪ 暗譜方法 ≫ ■

2013-09-04 18:05:35 | ■私のアナリーゼ講座■

 

■ Inventionの、心に刻み込む ≪ 暗譜方法 ≫ ■
     Bach インヴェンション・アナリーゼ講座

  第 12回  「 Invention & Sinfonia 12番 A-Dur イ長調 」 
                
                  2013.9.4  中村洋子

   

 


★深い憂愁に閉じ込められたような 「 11番 ト短調 g-Moll 」 。

それに続く 「 12番 Invention A-Dur 」 は、

Invention & Sinfonia も、真夏の太陽のように、

明るく、力に漲った曲です。

Sinfonia  12番の、9~12小節目、20~23小節目バスは、

あたかも、次の時代の様式を先取りしたような、音型です。


★しかし、その音型の源泉は、イタリアの Alessandro Marcello

アレッサンドロ・マルチェッロ (1669~1747) や、

Antonio Vivaldi 
アントニオ・ヴィヴァルディ (1678~1741) の、

協奏曲まで、
辿ることができます。

それについて、具体的にご説明し、

どのような楽器をイメージし、どんな音色で演奏すべきか、

お話いたします。

 

 


★類似した音型の曲は、Telemann テーレマン (1681~1767) の

「 Leichte Fugen mit kleinen Stücken 簡単なフーガと小品 」

にも、見られます。

これを、 Invention と併用しますと、Bachをより深く理解できます。

比較することで、Bach の素晴らしさが、

一層良く、分かるのです。

レッスンに直ぐ、応用できます。


この 12番 を基に、もう一度、 「 暗譜の方法 」 を、

おさらいいたします。

漫然と、反復練習して ≪ 曖昧に指先で覚える ≫ のではなく、

≪ 心と頭に、インヴェンションをゆるぎなく定着させる暗譜 ≫ が、

必要です。

そのような ≪ 暗譜 ≫ ができますと、 「 本物 」  の音楽と、

「 そうではない音楽 」 とを、判断する能力が、

自然に、身に付きます。


★ Bach の最高の演奏家であった Albert Schweitzer 

アルベルト・シュヴァイツァー (1875 - 1965) は、

著書で、次のように書いています。

 

 

≪ 平均的な音楽家が、もし、本物の芸術と偽物を、

厳しく、見分ける能力をもっているとすると、それは、 

まさに Bach の Invention のお陰である、といえる。

 Invention を練習したことのある子供は、それがたとえ、

ピアノ習得のための、機械的な練習だったとしても、

多声部の作曲法を、既に身につけたといえる。

それは生涯、消えない。≫


★インヴェンションを、生涯にわたって忘れないためにも、

「 本当の暗譜 」 が必要なのです

-----------------------------------------------------------

■ 日 時 : 2013年 10月 30日(水) 午前 10時 ~ 12時 30分

■ 会 場 : KAWAI 名古屋  2F コンサートサロン・ブーレ

                           ( 要予約 )   Tel.-052-962-3939

-----------------------------------------------------------

・第 13回  2014年 2月26日(水)   午前 10時 ~ 12時 30分 





 ■ 講師 :   作曲家  中村 洋子 Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello 
        無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
        Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
     CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN 
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』
 を発表。

08年:CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
    CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

08~09年: 「 Open lecture on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」

                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        「 Suite Nr.2 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 2番 」
              が
W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイ ム
             
で、初演される。

10~12年: 「 Open lecture on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」

                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。


10年: 
CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello 
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang
Boettcher 演奏を発表 。

     「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
            
ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。


11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」
を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
     チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」 を、
      Musikverlag 
Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

     スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

★上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」   http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「アカデミア・ミュージック 」 
https://www.academia-music.com/ で、販売中。
  

 


             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント