音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■私の作品、「チェロとピアノのためのDuo・スペインの庭」」がマンハイムで初演■

2018-04-20 23:03:35 | ■私の作品について■

■私の作品、「チェロとピアノのためのDuo・スペインの庭」」がマンハイムで初演■
 ~"Spanischer Garten" war ein schöner Erfolg in Mannheim~
 ~「スペインの庭」は、マンハイムで素晴しい成功をおさめました~
          2018.4.20  中村洋子

 

 


★マンハイムで2018年4月8日に開催されました
「Deutsches  und Spanisches 」
「ドイツとスペインの作曲家」という演奏会です。

Wolfgang Boettcher : Violoncello
ヴォルフガング・ベッチャー : チェロ
Ursula Trede-Boettcher : Klavier
ウルズラ トレーデ-ベッチャー : ピアノ


  

★タイトルは「ドイツとスペインの~」となっていますが、

日本人である私の作品も、

題名が「Spanischer Garten スペインの庭」ですので、

 Boettcher ベッチャー先生の格別のご好意で、

プログラムの中に入れて頂き、初演されました。


★滞在先から、先生がお手紙とプログラムを送って下さいました。

"Spanischer Garten" war ein schöner Erfolg in Mannheim" 

「スペインの庭」はマンハイムで素晴しい成功をおさめました」と、

書いてありました。


★プログラムは以下の構成です。

・Felix Mendelssohn Bartholdy (1809-1847)
      Variations concertantes op.17

・Johannes  Brahms (1833-1897)
     Sonate e-Moll op.38

    PAUSE

・Manuel De Falla  (1876-1946)
     Suite Populaire  Espagnole

・Yoko Nakamura
     Spanischer Garten
       Uraufführung, den Geschwistern
       Boettcher gewidmet

・Eginhard Teichmann (geb.1937) (2017)
     Tango Botticello 
   
 den Geschwistern Boettcher gewidmet

・David Popper(1843-1913)
     Aus "Spanische Tänze" op.54,Nr 2 & Nr.5

・Alberto Ginastera(1916-1983)
     Pampeana Nr.2
     Rhapsodie op.21

以上の豪華なプログラムです。

 

 


★お二人はたくさん録音されており、CDでも聴くことができます。
https://www.discogs.com/artist/2316372-Ursula-Trede-Boettcher

ベッチャー先生の演奏も、勿論CDで聴く事ができます。
http://tower.jp/artist/discography/691507


★今回初演されました私の作品「Spanischer Garten」の原曲は、

チェロ四重奏曲です。

この楽譜に収録されています。
https://www.academia-music.com/shopdetail/000000177497/


★冬が厳しいドイツにとって、南の国スペインやイタリアはきっと、

憧れの国なのでしょうね。

先生のお手紙にも、「長く厳しい冬の後、やっと晴れた春の日が

来た様に見えます」と書いてありました。

夏の一歩手前のような、異常気象とも言ってよい日本と、

相当違います。

 



5月26日の「平均律1巻 第3番 アナリーゼ講座」では、

Bach「Cis-Dur Praeludium und Fuga」が、

後世に、どれほど甚大な影響を及ぼしたか、

具体的には、Beethoven→ Chopin→ Ravel を例にとり、

分かりやすく、ご説明するつもりです。


Chopinが、ポーランドからフランスに移り住むことによって、

フランスの音楽を激変させたこと、

フランスの「印象派」と称されている大作曲家は、

≪Chopinなしには存在し得なかった≫こと、

"発表会用の小品"と、誤解されている

「子犬のワルツ Valse op.64-1」(Chopinは名前を付けていません)

が、その後のフランス音楽に与えた影響

それをRavelのどこに見出すか・・・等をお話いたします。


★「ドイツとスペイン」というリサイタルから、

ヨーロッパを東西に横切って、

フランスに移り住んだChopinを思い、

勉強に励んでいます。

 

 

 

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■Ravel「Ma mére l'Oye マ・メール・ロワ」のフィンガリングは、作曲そのもの■

2018-04-07 22:54:03 | ■私のアナリーゼ講座■

■Ravel「Ma mére l'Oye マ・メール・ロワ」のフィンガリングは、作曲そのもの■
~第1曲「眠れる森の美女のパヴァ―ヌ」はわずか20小節、対位法の極致~
              2018.4.7   中村洋子

 


★寒い冬から、ひとっ飛びで初夏のような暖かさ、

と思うと、またストーブの冬に逆戻り。

こうして春は深まっていくものですね。

≪百代の過客しんがりに猫の子も≫ 加藤楸邨(1905-1993)

 

★「月日は百代の過客にして行かふ
  年も又旅人也舟の上に生涯  
  をうかへ馬の口とらへて老をむ」

松尾芭蕉の「奥の細道」自筆の冒頭です。

これにつきましては、

私の著書「クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり」
http://diskunion.net/dubooks/ct/detail/1006948955


30~32ページにかけて、詳しく書きました。
(なお、第1刷をお持ちの方は、30ページ11行目奥の細道本文
「行かふ」が「行きかふ」となっておりますので、お手数ですが、
「き」を削除して「行かふ」にご訂正お願いいたします)


★月日は永遠の旅人。

その絶えることなき、長い時間の流れの一番しんがりに、

この春生まれたばかりの子猫ちゃんが、連なっています。

生命の連鎖。

 

 


4月8日はお釈迦さまの誕生日

2月15日(または3月15日)は、釈迦入滅の日。

冬の終わりに入滅、春の始まりに、仏生会(誕生会、灌仏会)。

季節の廻りにあわせた行事のようにも思えます。


★イエスの誕生日である「クリスマス」が、冬極まった12月25日。

≪さあ、これから新しい年!≫という時にあるのと、

共通しているかもしれません。


★眠りについた釈迦を取り巻き、人間や動物、そして花までも

嘆き悲しんでいる。

「仏涅槃図」は、数多く残されています。

犬も猿もありとあらゆる動物が泣いています。

この「涅槃図」の動物たちと、百代の過客しんがりの猫の子も、

一本の線でつながっているように、感じられます。

お釈迦さまのお誕生と、ネコの新しい命。

猫につきましては、2回前の当ブログでも書いております。
https://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/d/20180321
お読み下さい。

 






連綿と受け継がれてきたもの。

Bachの革命的な「Cis-Dur」を、挙げることができます。

5月26日の「第3回平均律アナリーゼ講座」は、第3番「Cis-Dur」です。

これは、昨年私が書きました、

Bärenreiterベーレンライター版「平均律第1巻楽譜」添付の解説書、

9ページをお読みください。
https://www.academia-music.com/shopdetail/000000177122/


★この画期的な調性を、その後の大作曲家がどう受け継いだか、

Beethoven ベートーヴェン(1770-1827)、

Frederic Chopin ショパン(1810-1849)、

Maurice Ravel モーリス・ラヴェル(1875-1937)を例に、

お話する予定です。


★「Ravelのピアノ楽譜は、どれがよいですか」とのご質問を、

受けます。

現在の時点では、Edition Peters Urtext Edition by Roger Nichols、
(ペータース版のロジャー・ニコルス校訂、原典版)が、
https://www.academia-music.com/shopdetail/000000148967/

ベストでしょう。


★例えば、「Ma mére l'Oye マ・メール・ロワ」 (1908-1910) 第1曲目

「Pavane de la Belle au bois dormant 眠れる森の美女のパヴァ―ヌ」

だけですが、Ravelの自筆譜ファクシミリ
(Ravela Autograhp of the 'Pavane de la Bell au bois dormant'
from the collection of the late Jean Godebski) が掲載され、

Ravelのフィンガリングを、見ることができます。


★「Ma mére l'Oye マ・メール・ロワ」全5曲の組曲は、

譜面を一見しますと、簡潔そのもの、

とても単純な曲にすら見えます。

しかし、その洗練された簡潔さの中に、"透明な糸"で、

複雑、精緻な counterpoint 対位法が縦横に張り巡らされています。

"糸"の存在が分かれば分かるほど、

その巨大さを、実感できるでしょう。

Bachの作品と同じです。








巨大さを解くカギは、Ravelが自ら付けたフィンガリングにある

といえます。


第1曲目の「眠れる森の美女のパヴァ―ヌ」と、

最後の第5曲目「Le Jardin féerique 妖精の庭」は、

とりわけマグマのように、エネルギーに満ち溢れた曲。

これが両端から、中ほどの第2、3、4曲目を、

押し上げている構造です。


★第1曲「眠れる森の美女のパヴァ―ヌ」を、手掛かりに、

5曲を探り、その後に第2、3、4曲を詳しく探求していきますと、

全体像が浮かび上がってきます。


★「眠れる森の美女のパヴァ―ヌ」第1小節目のフィンガリングを

見まして、Ravelの天才にいまさらながら驚きました。



この曲は、友人のGodebski ゴデブスキーの子供、

Mimie ミミとJean ジャンのためにプレゼントされています。
(Pour Mimie et Jean Godebski )

★いくらRavelが、幼い子供のためにフィンガリングを

書いたとはいえ、あまりに、当たり前過ぎるフィンガリング。

しかし、それを一つずつ解きほぐしていきますと、

驚くほど示唆に満ちているのです。







★まず右手3番目の付点四分音符「e²」音の「付点」につきましては、



私の著書「クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり」の

19~20ページをお読みください。


★この1小節目右手3番目の付点四分音符「e²」音と、

4番目の八分音符「d²」は、


 
第5曲「妖精の庭」に直結しています。


 

★「妖精の庭」のPRIMAピアノの、上声2小節目、第1、2拍の

「e¹ d¹」につながっていきます。


 

そして、この2小節目の「e¹ d¹」は、3小節目3拍目の「d¹」と、

4小節目1拍目「e¹」によって形成される「d¹ e¹」とは、



「逆行カノン」の関係になります。


 

★この「妖精の庭」の2~4小節目も、2小節目の「e¹ d¹」と、

3、4小節目の「d¹ e¹」が、両端から押し合っている、

ともいえます。




★お話を第1曲に戻しますと、

1小節目「e² d²」には、全5曲にわたって影響を及ぼす、

秘めた力があることが、分かります。


★更に1小節目「e² d²」に続く「g¹」を含む3音を、一つのモティーフと

見ますと、


 

これも 第5曲PRIMAピアノ2小節目に、変化を加えながら、

再現されています。




 
★では、第1曲目冒頭「a¹ c² e²」に、何故Ravelは、わざわざ、

≪1-3-5≫と、当たり前過ぎるフィンガリングを付したのか?

「大切なモティーフです、大事に弾いてね」と、言いたげです。


 

解答はやはり、第5曲「妖精の庭」の冒頭4小節間にあります。




Ravelのフィンガリングの素晴らしさ、そのほんの一端を、

ここで紹介しました。

これを知るだけでも、弾き方、聴き方がずいぶん変わってくるでしょう。







★実は、これがクラシック音楽の本道、本筋なのです。

第1曲のたった全20小節間に、自ら、

ぎっしり書き込んだフィンガリングは、

Ravelが、「作曲」を別の面から表現し、

「作曲」そのものが、凝縮されていると言えるのです。


★そして、この20小節という極小の曲に、

これだけの深い内容を、込めているということから、

Bachの「Inventionen und Sinfonien 

インヴェンションとシンフォニア」を思い起こされた方も、

おいでになると思います。

クラシック音楽の本道から逸れないためにも、

勉強には、「良い Edition」を選ぶことが、

必須事項である、といえましょう。

 

 

 


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