■平均律 1巻 13番を吸収し尽くしたベートーヴェンから、「 テレーゼ 」が誕生■
2011.6.19 中村洋子
既に、「 cis moll prelude & fuga 4番 嬰ハ短調 前奏曲 & フーガ 」 と、 Beethoven ベートーヴェン(1770~ 1827)の ピアノソナタ 14番 嬰ハ短調 Op.27-2 「 月光 」 Piano Sonata No.14 Op.27 - 2 cis-moll との、 深い関連性を、お話いたしました。 「 Etudes エテュ―ド 全 2巻 」 を、 Johann Sebastian Bach バッハ ( 1685~1750 ) の 「 Das Wohltemperirte Clavier 平均律クラヴィーア曲集 」 を、 下敷きとして、作曲しました。 すべて、バッハの作品が、根幹にあることは、明白です。 ベートーヴェン:ピアノソナタ 24番 Op.78 「 テレーゼ 」 Fis dur 嬰ヘ長調 は、 バッハの 「 平均律 第 1巻 13番 Fis dur 嬰ヘ長調 」 の、 豊かな “変奏” である、 といえます。 ★それは、ベートーヴェンが、若い時から、バッハを学び続け、 バッハが血肉化していたため、自然ににじみ出たものでしょう。 “ バッハが、自然ににじみ出ている・・・ ” これは、クラシック音楽が傑作であるための、 必要条件である、ともいえます。
★開催中の「 バッハ・平均律クラヴィーア・全曲アナリーゼ講座 」では、
★ Frédéric Chopin ショパン (1809~1849) は、
★同様に、 ≪ ベートーヴェン ピアノソナタ全 32曲 ≫ は、
★特に、Beethoven: Piano Sonata No. 24 " À Thérèse "
★どなたが、ご覧になりましても、 13番 fuga フーガ 主題の冒頭、
「 Cis 嬰ハ音 」 と 「 Fis 嬰へ音 」 とによって形作られる
「 完全 4度 」 と、
ベートーヴェン・ピアノソナタ 24番 「 テレーゼ 」 の、
第 1小節目 冒頭の 「 Cis 嬰ハ音 」 と 「 Fis 嬰へ音 」 とによる、
「 完全 4度 」 が、酷似していることは、すぐに、分かります。
★しかし、ここで、最も重要なことは、平均律 13番 フーガで、
多用されている ≪ repeated note ≫ ( 同じ音を連続して演奏する ) を、
ベートーヴェンが、どのように ≪ 応用 ≫ したか、です。
★具体的に例を挙げますと、 Fuga フーガ 7小節目の
ソプラノ 16分音符 Ais - Cis - Cis - Ais の中の、
「 Cis - Cis 」が、 ≪ repeated note ≫ です。
★ベートーヴェン 「 テレーゼ 」の 第1楽章 18小節目 上声の、
1拍目 Cisis - H - Ais - Cisis 、 2拍目 Cisis - H - Ais - Cisis のうち、
1拍目最後と、2拍目最初の Cisis - Cisis が、
≪ repeated note ≫ です。
★さらに、詳しく見ますと、 「テレーゼ」 1小節目 一番最後の音
Gis と 2小節目冒頭の Gis も、 ≪ repeated note ≫ です。
テレーゼの18小節目の ≪ repeated note ≫ は、実は 、
1小節目から、導き出されている、ということが、分かります。
★これを、どう演奏するかは、
Artur Schnabel アルトゥール・シュナーベル (1882~1951) と、
Claudio Arrau クラウディオ・アラウ (1903~1991) の校訂した
「 ベートーヴェン・ピアノソナタ全集 」 の、
Fingering フィンガリングが、大きな示唆を、与えてくれています。
★Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー ( 1886~1960 ) が、
「 Sinfonia シンフォニア 15番 」 で示した、
≪ repeated note ≫ のフィンガリングも、大いに参考となります。
★6月 21日( 火 )に開催します、
表参道・カワイでの 「 第 13回平均律・アナリーゼ講座 」 で、
それらの点を、詳しく、ご説明いたします。
※copyright ©Yoko Nakamura
( ヘビイチゴ トマトの花、シロツメクサ )
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