2007/10/4(木)
★「ブラームスのクラリネットトリオ」のお話の続きです。
なぜ、晩年のブラームスが、クラリネットの曲をたくさん書いたか?
それは、1891年3月、ブラームスが58歳の時、
マイニンゲン宮廷オーケストラの素晴らしいクラリネット奏者
「リヒャルト・ミュールフェルト」に出会ったからです。
いちどは、作曲から引退する決意をしていたブラームスに、
このクラリネット奏者が、再び作曲する意欲を、奮い立たせたのでしょう。
★レコードが存在していない時代のお話ですので、
この「ミュールフェルト」の演奏が、どれだけ素晴らしいものであったか、
残念ながら、現代の私たちは知ることができません。
しかし、真に優れた演奏家は、作曲家に、
“どうしてもこの人に演奏してもらいたい”という
熱望を湧き立たせるものです。
★それは、普段、作曲家が、フラストレーションに
苛(さいな)まれている裏返しでもあります。
“こんな風に書いた覚えはない”。
“このような演奏では、私の作曲の意図が伝わらない”などの苛立ちです。
逆に、“このような大演奏家ならば、私の曲をどんなにか素晴らしく、
自分が創作しようとした世界を越え、
それを突き破る天空に導いてくれるであろう”と、
胸躍らせるものなのです。
ブラームスは、きっと、このようにわくわくしながら、作曲したのでしょう。
ですから、このトリオは、並みの奏者では歯が立たない曲なのです。
3人のマエストロが、完璧に、息を合わせないと、不可能な曲ともいえます。
★一楽章では、16分音符の速い音階のパッセージが、
ピアノ、クラリネット、チェロとも、要所要所で多用されています。
特に、クラリネットとチェロが、ユニゾンでとても速い音階を演奏したり、
3度の重音で、同じ音階を、駆け上がったり、交差したり、駆け下りたり、
あたかも、めまぐるしく疾走しているかのようです。
凡庸な奏者では、怖くて歯が立たない音楽です。
ライスターとベッチャーの二重奏は、完璧です。
完璧なうえ、詩情が漂っています。
完璧だからこそ、はじめて、詩的な叙情が漂うのです。
それゆえ、めったにこの曲が演奏されないのです。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★「ブラームスのクラリネットトリオ」のお話の続きです。
なぜ、晩年のブラームスが、クラリネットの曲をたくさん書いたか?
それは、1891年3月、ブラームスが58歳の時、
マイニンゲン宮廷オーケストラの素晴らしいクラリネット奏者
「リヒャルト・ミュールフェルト」に出会ったからです。
いちどは、作曲から引退する決意をしていたブラームスに、
このクラリネット奏者が、再び作曲する意欲を、奮い立たせたのでしょう。
★レコードが存在していない時代のお話ですので、
この「ミュールフェルト」の演奏が、どれだけ素晴らしいものであったか、
残念ながら、現代の私たちは知ることができません。
しかし、真に優れた演奏家は、作曲家に、
“どうしてもこの人に演奏してもらいたい”という
熱望を湧き立たせるものです。
★それは、普段、作曲家が、フラストレーションに
苛(さいな)まれている裏返しでもあります。
“こんな風に書いた覚えはない”。
“このような演奏では、私の作曲の意図が伝わらない”などの苛立ちです。
逆に、“このような大演奏家ならば、私の曲をどんなにか素晴らしく、
自分が創作しようとした世界を越え、
それを突き破る天空に導いてくれるであろう”と、
胸躍らせるものなのです。
ブラームスは、きっと、このようにわくわくしながら、作曲したのでしょう。
ですから、このトリオは、並みの奏者では歯が立たない曲なのです。
3人のマエストロが、完璧に、息を合わせないと、不可能な曲ともいえます。
★一楽章では、16分音符の速い音階のパッセージが、
ピアノ、クラリネット、チェロとも、要所要所で多用されています。
特に、クラリネットとチェロが、ユニゾンでとても速い音階を演奏したり、
3度の重音で、同じ音階を、駆け上がったり、交差したり、駆け下りたり、
あたかも、めまぐるしく疾走しているかのようです。
凡庸な奏者では、怖くて歯が立たない音楽です。
ライスターとベッチャーの二重奏は、完璧です。
完璧なうえ、詩情が漂っています。
完璧だからこそ、はじめて、詩的な叙情が漂うのです。
それゆえ、めったにこの曲が演奏されないのです。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲