音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■カイザー・ヴィルヘルム記念教会でチェロ組曲が演奏される■

2008-09-28 23:58:56 | ■私の作品について■
■カイザー・ヴィルヘルム記念教会でチェロ組曲が演奏される■
                 08.9.28  中村洋子

★草津音楽祭から、ドイツに帰国されたベッチャー先生より

ご連絡をいただきました。

先生は、帰国から間もない9月7日(日)、

ベルリン中心部にある「カイザー・ヴィルヘルム記念教会」(注)で

私の無伴奏チェロ組曲1番(2007)を、演奏されました。


★私の曲のほかに、バッハの「無伴奏チェロ組曲3番」ハ長調(1720)を、

演奏されました。

教会関係者から、先生に送られたお礼状も、

先生は私に、FAXしてくださいました。

そこには「中村洋子さんの美しい音楽に心から、感謝申し上げます」と

書かれていました。


★ベッチャー先生のお手紙に

「You have new friends for your music」と

書き添えてありました。

後日いただきましたご連絡によりますと、

先生の古くからのお弟子さんの女性チェリストが、教会で

私の曲を聴いて気に入り、楽譜を所望されたそうです。

「チェロ組曲のほかに、あなたの 10 Duos for young cellists も

楽譜を送りました」と先生。


★この10 Duos for young cellists は、

昨秋、完成させた作品です。

先生のお弟子さんや、たくさんの孫弟子の方々に、

楽しんでいただいております。

著名なフルートのマエストロ、オーレル・ニコレの

義妹がチェリストで、ベッチャー先生のお弟子さんです。

この方も、私の組曲と10 Duosが、

大変お気に入られているそうです。


★10 Duos for young cellists は、

1)Choco Chip Cookie 

2)Two Bicycles

3)A Small Church in the Snow  

4)Spanish Festival

5)Peacok's Sarabande in Indian Lotus Garden

6)A Cello Performance by Two Crickets

7)Stars in a calm night

8)Dawn by the Seashore in Summer

9)Autumn Dance  

10)Dodecaphonic Dance


★2台チェロの作品は、あまり多くありません。

また、初心者や若い方のための作品は、なおさらです。

あまり演奏が難しくなく、音楽の喜びが味わえるように

作曲いたしました。


★私は、ベッチャー先生に「先生の孫弟子の方々が、

10 Duosを楽しまれ、素晴らしいチェリストに成長された後、

私のチェロ組曲1番~3番を演奏してくださるといいですね」と

お返事いたしました。


●注 「カイザー・ヴィルヘルム記念教会」
(Kaiser- Wilhelm- Gedaechtnis-kirche)は、
ヴィルヘルムI世とビスマルクによって成立した
ドイツ帝国を記念し、4年の歳月と膨大な費用をかけて
1895年に完成したロマネスク様式の教会(尖塔の高さ113m)。
第二次大戦中の1943年、大空襲により、
広島の原爆ドームのように 大きく崩れました。
戦後、戦争の実態を記憶に留めておこうと、
破壊された教会をそのままの姿で残し、その横に、
超モダンな新しい教会を建て、二つを並立させています。
新しい教会は、青紫色のステンドグラスで覆われ、
幻想的で美しい建物です。その対比が見事です。
繁華街クーダム(Kudamm)にあり、
ベルリン市民には「虫歯」というあだ名で親しまれ、
ベルリンの観光名所にもなっています。

教会の写真は、以下のwikipediaでご覧下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E6%95%99%E4%BC%9A


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■第3回インヴェンション講座は、9月30日、規範フーガ■

2008-09-25 11:47:09 | ■私のアナリーゼ講座■
■第3回インヴェンション講座は、9月30日、
             規範フーガについてです■
                    08.9.25日 中村洋子

★インヴェンションとシンフォニアの1番は、

3度と4度のモティーフの展開。

2番は、使われる音程を、6度、7度に広げて展開しています。

1番、2番は、一組としてみることが必要です。

このモティーフの展開という手法が、全30曲の根底にあります。


★このような視点からみますと、

3番、4番も一組として設計されています。

特に、シンフォニアの3番と4番は、

「フーガ」という形式を学ぶための導入として、最高の曲です。

これ以上の曲はありません。

この講座では、3番のシンフォニアの形式と、

「規範フーガ」との関係についてもお話いたします。


★「規範フーガ」(student's fugue   fugue d'ecole)という形式は、

バッハが自分で、命名したものではありません。

日本では、「学習フーガ」ともいわれます。

バッハ以降、この形式に則って、フーガを書く訓練をすることが、

作曲を学ぶ上で、基本中の基本、イロハとなっていきました。

いつごろから、そうなったか、という記録は定かではありませんが、

フランスでは、ガブリエル・フォーレがこの形式によって、

「フーガ」というものを学び尽くしました。

そのフォーレが、コンセルバトワールの試験で、

出題したテーマも現存しています。


★今回の講座は、その意味で、大変に重要な位置づけとなります。

平均律クラヴィーア曲集を学ぶうえでも、必要不可欠な内容です。


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■ショパン・バラード1番の演奏比較について ■

2008-09-22 17:42:21 | ■私のアナリーゼ講座■
■ショパン・バラード1番の演奏比較について ■
             08.9.22 中村洋子

★9月30日(火)は、カワイ表参道「コンサートサロン・パウゼ」で、

第3回「バッバ・インヴェンション アナリーゼ講座」を開きます。

インヴェンションとシンフォニアの各3番です。

翌10月1日(水)は、カワイ表参道地下1階で、月2回開催の

少人数アナリーゼ講座で、ショパンの幻想即興曲と、

ブラームスの交響曲第4番の2楽章を取り上げます。

今週は、この準備の勉強と、作曲で大忙しです。


★ショパンのバラード1番の演奏を、

3人のピアニストのCDで聴き比べました。

アシュケナージ、ポリーニ、ルービンシュタインです。

アシュケナージは、録音が1967年? 8分54秒と

1975~85年録音 9分43秒の2種類。

ポリーニは、1999年の録音、8分35秒。

ルービンシュタインは、1959年録音 9分22秒。


★ト短調のナポリの和音で始まるラルゴの序奏は、

若き日のアシュケナージは、3小節目第1拍のドに続く

連続倚音(いおん)のソ、シ♭、さらに、

和声音のラ♭を頂点とする幻想的な曲の始まりです。


★2回目の録音では、ショパンのpesante(ペザンテ~重々しく)の

表示を忠実に、一音一音を噛み締めるように弾き、

頂点は、4小節目の4拍目のラ・ナチュラル、ソまで遅らせています。

同じ演奏家でも、時を経て、表現が変わっていくよい例です。

どちらも、詩的な美しく暖かい演奏です。


★ポリーニは、よくぞ、ここまで曲をアナリーゼし、

研究し尽くしたという演奏です。

思いがけない内声が、浮き上がってくるところでは、

ショパンが、バッハの影響をいかに深く受けていたか、

それを、ポリーニが、読み込んだうえで演奏していることが

手にとるように分かります。


★ショパン演奏が“絶品”といわれたルービンシュタインですが、

なぜか、公式には72歳まで「バラードの全曲録音」が成されていません。

バラード1番に限っても、大変に有名で人気がある曲ですが、

形式一つとっても、ショパンが4年間かけて、

格闘し練り上げたものですので、

一筋縄ではいかないのです。


★種々の解説本によりますと、

バラード1番は「ソナタ形式の一種」と書かれていますが、

どれ一つ明確な説明を見たことがありません。

どうも、これはどこかから孫引きされたものが、検証なしに

延々と孫引きされ続けている結果のようです。

講座で、しっかり説明いたしましたように、これをソナタ形式ととると、

演奏上、手も足も出なくなるのです。


★ルービンシュタインは、おそらく、

ポリーニのような詳細な研究を経た後で、

彼にしか表現のできない、大きな「宇宙」のような、

バラード像を創り上げました。

この演奏が、“究極の演奏”かもしれません。


★是非、皆様もいろいろな演奏を聴き比べ、

皆様のショパン像をおつくり下さい。

ムードミュージックにしないために、

曲の構造を研究し理解しませんと、

聴き所も逃すことになります。


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■第三回アナリーゼ講座ショパン・バラード1番を終えて■

2008-09-21 14:10:41 | ■私のアナリーゼ講座■

■第三回アナリーゼ講座ショパン・バラード1番を終えて■
                08.9.21 中村洋子



★9月15日、カワイ表参道「コンサートサロン・パウゼ」で、

ショパン・バラード第一番のアナリーゼ講座を開催しました。

『ショパンに秘められた“古典性”』がテーマでした。

100人超の熱心な音楽愛好家の方々に、参加していただきました。


★講座でお話いたしました、幾つかの要点につきまして、

すこしづつ、ブログでもご紹介いたします。

①ショパンの古典性は、どこから来ているか。

②ショパンは、誰に影響を与えたか。

③名ピアニストによる、バラード1番の演奏比較。

④楽譜をどう選ぶ、なにを使うか、などです。


★今回は、「ショパンが影響を与えた作曲家」についてです。

ロマン主義以降の「バラード」という形式は、

ショパンが実質的に作り出したものといえます。

ガブリエル・フォーレは、自分でも「バラード」を作曲しています。

フォーレの弟子ラヴェルの、ピアノを熟知したピアノ曲は、

ショパンなしには、考えられません。


★ショパンの心酔者ドビュッシーは、ショパンの「前奏曲集」と

同じ「前奏曲集」を作曲し、名実共にショパンの後継者でした。

フランスのピアノ音楽に、ショパンが与えた影響は、

あまりに明白ですので、今回は、

ロシア音楽への影響について、少々述べます。


★チャイコスフキー(1840~93)は、

ショパン(1810年生、異説あり)の「次世代の作曲家」です。

1833年生まれのブラームス(1833~97)と、ほぼ同世代です。

(シューマンは1810年生まれで、ショパンと同年生まれ)

彼が生まれた年、ショパンは30歳の円熟期でした。

シューマン、ショパンという天才が開拓した新しい音楽を、

学び、豊かに深めていったのが、

チャイコスキー、ブラームスの世代です。


★5歳のときから、教養豊かなフランス人の女性家庭教師につき、

7歳で、彼女からピアノを学び始めたチャイコフスキーが、

ショパンを徹底的に学んでいたのは、間違いありません。

(余談になりますが、後年、チャイコフスキーの後援者となった

フォン・メック夫人が、まだ10代だったドビュッシーを、

家庭のピアニストとして雇い、その天分を、チャイコフスキーに

逐一報告していたのは、おもしろい逸話です。)


★彼の有名なピアノ曲集「四季」op.37b(1875~76)を見てみますと、

「十月・秋の歌」の12小節目は、ショパンのバラード1番・35小節の、

左手内声に現れる「ミ♭、レ、ド♯、ド・ナチュラル」に酷似します。

同様に、バラード1番・43小節目の左手内声の

「ソ、ファ♯、ミ♭、レ」は、四季・十月の32小節に、

やはり、極めて似ています。

そして、その「ファ♯、ミ♭」の増2度は、チャイコフスキーが

好んだ音程となり、最後の交響曲「悲愴」にも使われています。

チャイコフスキーらしい、哀切なオーケストラの響きは、まさに、

この音程の賜物といえます。


★ショパンの35小節の内声は、39小節の右手内声に縮小形として、

反復され、このような「拡大、縮小という手法」は、

バッハから、ショパンが学んだことです。


★36小節目は、5声と考えることができます。

ソプラノの「シ♭、ラ」と、右手の内声「レ、ファ、ミ♭」で、

まず、2声になります。

左手の四分音符の「ファ、ミ♭」、「ミ♭、レ」

(この音形は、右手内声の拡大形です)、

2分音符で充填される和声音、そして、バスの「ソ、ファ♯、」、

これで3声になります。

そして、右手と左手を合わせると5声になるのです。


★この部分は、バッハのフーガを弾く時と同じように、

複数の独立声部を、弾き分ける練習をしませんと、

ショパンが単なるムード音楽になってしまいます。


★「弟子から見たショパン」(そのピアノ教育法と演奏美学)

ジャン・ジャック・エーゲルリンゲル著=音楽の友社=によりますと、

ショパンはピアノの弟子に、「バッハを勉強しなさい、

ピアノ上達のためにはこれが、一番の方法です」と、

平均律クラヴィーア曲集を、いつも薦めていました。

フランツ・リストは1852年、ショパンについて、

「J.S.バッハの熱狂的な弟子」と、評したそうです。


★また、ショパンが、マジョルカ島に持っていった唯一の楽譜が、

平均律クラヴィーア曲集でした。

レンツ(熱烈なファン)の「どうやって、演奏会の準備をするのですか」

という質問に、「2週間ほど、家に閉じこもってバッハを弾くのです。

それが私の準備です。

自分の曲は練習しないことにしているのです」と、答えています。

さらに、暗譜でバッハを見事に弾くショパンを見て、

感心した弟子のピアニスト・シュトライヒャーに対し、

「バッハの曲は、忘れようとしても忘れられないものなのです」と

ショパンは、答えています。


★今回は、「ショパンは、誰に影響を与えたか」でしたが、

やはり、根源のバッハのお話に戻ってしまいました。


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■山形新聞文化欄に私のエッセイが掲載されました■

2008-09-20 17:32:24 | ■ 感動のCD、論文、追憶等■
■■山形新聞文化欄に私のエッセイが掲載されました■■
                  08.9.20 中村洋子

★ことし2月1日、山形新聞の連載企画「滔々と 最上川今昔」で、

私の作曲しましたギター二重奏曲「もがみ川」が紹介されました。

そのご縁で、9月9日に山形新聞夕刊・文化欄に、私が「奥の細道」に

どのように触発されて「もがみ川」を作曲しましたか、などを

綴りましたエッセイが、掲載されました。


★ギター二重奏曲「もがみ川」を作曲して 中村洋子

見出し 『感じてほしい芭蕉の世界』
     『舟唄主題に「もがみ川」作曲』


●俳人松尾芭蕉(一六四四―九四年)は四十六歳の八九(元禄二)年

旧暦三月、「おくのほそ道」へと旅立ちました。

西洋で言えば、クラシック音楽の父バッハが四歳のころです。

四十年ほどずれているとはいえ、ドイツと日本の最高の芸術家が、

江戸時代のほぼ同時期に活躍したことになります。

同年六月三日(新暦七月十九日)、最上川で川舟に乗り、

六月十三日(新暦七月二十九日)、酒田の港まで下りました。
 

●私は東京生まれで、実は最上川を見たことはないのですが、

芭蕉の最上川の句に触発され、「もがみ川」という曲を作りました。

芭蕉の文にそれだけ大きな力があったからです。

川を目の当たりにしなくても、あたかも自分が川下りを

体験したかのように想像させる芭蕉の文の力。

今度は、音楽でその最上川を感じることができるように願い、

作曲しました。

 
●二〇〇六年七月、東京・小石川にある徳川家ゆかりの

名刹・伝通院本堂で、「おくのほそ道」の旅立ちから

旅の終わりまでの幾つかの場面を、ギターや楽琵琶、

龍笛などで描く個展リサイタル「東北への路」を開催しました。

最上川の川下りは、二台のギターのための「もがみ川」という

曲にこめました。

最上川舟唄を主題とした六つの変奏曲から成ります。

 
●最上川舟唄は、船頭さんの「掛け声」や、

口ずさむ「松前くずし」という歌、さらに「酒田追分」の

歌詞の幾つかを組み合わせ、戦前にまとめられた歌です。

ブラームスが生涯にわたって民謡を収集し、それを

編曲することによって、自分の作曲の源泉としていたように、

私もこの舟歌をよりどころとして、芭蕉の世界を縦横に構築しました。
 

●テーマは、クラシックのバルカローレ(舟歌)の形式です。

波と舟の揺れを模した、単純な伴奏を繰り返すのが特徴です。

最上川舟唄をその形式に当てはめてみますと、

新しい魅力を発見できます。

最上川上流の繊細な流れが、変奏によって勢いづき、

岩に当たって泡立ちます。

次に静かな「子守唄」。幼子がお母さんに抱かれ安心して眠るように、

川のおおらかさ、懐の深さを表現します。

さらに間断なく五月雨が降り、霧にけぶった川が滔々と流れます。

「五月雨を集めて早し最上川」。

ちなみに「五月雨」は陰暦五月、現在の梅雨に当たるようです。


●ここで、私は芭蕉の旅姿に思いを馳せます。

芭蕉は夜の帳が下りた旅籠で、昼間の光景を行灯の下でしたためます。

ゆっくりとした音が時を刻みます。

最後の変奏は「暑き日を海に入れたり最上川」。

盛暑の焦げるような暑さが、激しい動きの変拍子で奏され、

クライマックスを迎えます。


●ギター演奏は斎藤明子さん、尾尻雅弘さんのお二人。

斎藤さんは、米ニューヨークのカーネギーホールでソロリサイタルを

開くなど、国際的に活躍中です。

新作は、なかなか再演機会に恵まれないことが多いのですが、

この曲は、不思議に聴いてくださった方の「もう一度聴きたい」

という要望で、度々演奏いただいております。

ことし七月にも、長野・あずみ野コンサートホールで演奏されました。


●「五月雨を集めて早し最上川」「暑き日を海に入れたり最上川」。

この句だけで、まだ見ぬ“芭蕉の最上川”が、

時空を超えて読者の心の中で流れ続けます。


●私は昨年、日本の冬から春、夏へと移り変わる時の流れを

表現した曲「無伴奏チェロ組曲第一番」を作曲し、

ベルリン芸大教授のチェリスト、ボルフガング・ベッチャー先生が

CD録音してくださいました。

ドイツ各地での演奏会で、深くドイツ人に共感をもって

迎えられているそうです。

ことし六月、先生率いる「ベルリンの十二人のチェリストたち」

によって、私の新作「みじか夜」が初演されました。


●「もがみ川」の十二人のチェリスト版も、ドイツに送りましたので、

間もなくドイツの地でも“芭蕉の最上川”が流れることでしょう。

ギター版「もがみ川」は来年、CD録音の予定です。(作曲家)


▽なかむら・ようこさんは東京生まれ。東京芸大作曲科卒。
故池内友次郎氏などに作曲を師事。独奏や室内楽、
さらに雅楽など和楽器のための作品を作曲している。
2003|05年「東京の夏音楽祭」で新作を発表。
今月、CD「龍笛とピアノのためのデュオ」、
ソプラノとギターの「星の林に月の船」を発表した。


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■草津音楽祭で、私のピアノ三重奏が初演されました■

2008-09-12 00:23:31 | ■私の作品について■

■■草津音楽祭で、私のピアノ三重奏が初演されました■■
             08.9.11 中村洋子

★群馬県草津町で、毎年『草津国際音楽祭』が開かれておりますが、

8月28日の演奏会「ドイツクラシック音楽」で、

私の曲が、初演されました。


★演奏曲目は、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第7番
作品30-2 サシコ・ガブリロフ(Vl)、フェレンツ・ボーグナー(Pf)

ベートーヴェンのチェロ・ソナタ 第5番 作品102-2
 ヴォルフガング・ベッチャー(Vc)、ボーグナー(Pf)

ベートーヴェンのピアノ三重奏曲 第6番 作品70-2
 ガブリロフ、ベッチャー、ボーグナー


★そして、アンコールとして、私の作品「荒城の月幻想」の

ピアノ三重奏版が、演奏されました。

実は、この三重奏版は、ベッチャー先生から、

演奏会の一週間前に、ご依頼されました。

チェロとピアノの二重奏版は、「ベッチャー日本を弾く」のCDに

録音されています。


★三重奏版では、ベッチャー先生のアイデアを入れました。

曲の後半は、主題から離れて完全4度のモティーフを

自由に展開して作曲していますが、

ここで、ヴァイオリンとチェロの対位法的処理と、

ヴァイオリンとチェロのユニゾンを使いました。

ベッチャー先生が、「ユニゾン」を提案されたとき、
 
「2オクターブはいかがでしょうか」と答えましたら、

先生も私も「Oh、ラヴェルのピアノトリオ」とおもわず、

同じ言葉が、口に衝いて出てきました。


★ラヴェルのピアノトリオでは、同じメロディーを、

2オクターブ離して奏するところがありますが、

これが、透明で懐かしい「ラヴェル・トーン」の

要素になっているのです。

この2オクターブを使うことにより、

弦楽四重奏のように、各楽器が調和して

ひとつの響きを作るのではなく、各楽器が独立して

その声部を明確にするという働きがあります。


★ピアノトリオという形式が、

“名人3人による形式にふさわしい”と言われる所以です。

ピアティゴルスキー、ハイフェッツ、ルービンシュタインの

「100万ドルトリオ」に見られるように、

火の出るような名人芸を発揮する半面、

各奏者間の関係が、非常にスリリングで危険すら伴う状況に

陥ることもあるのです。


★今回、3人のマエストロは、友情で結ばれ、お互いの尊敬に満ち、

とても和やかな雰囲気でした。

作品完成後、3人のマエストロによる

初見のリハーサルに、立ち会いました。

正直に申しまして、演奏していただく嬉しさより、

あまりに質の高い演奏に接し、世界の壁がいかに厚く高いか、

言葉を失うほど、圧倒されました。


★特に、この曲は、譜面上はとてもシンプルに見えますが、

非常に演奏は、高い技量を求められます。

ピアノの「箏」を模した32分音符の表現は、日本人でもなかなか困難です。

ボーグナー先生に、たった一言「ここは、日本の箏です」と申しましたら、

「よく分かる、故郷のハンガリーにも、同じ様な楽器があります、

弦が震えるような弾き方ですね」とおっしゃり、即座に、

溜息がでるほど繊細で、作曲家の意図を見抜いた演奏をされました。

“日本的な曲だから、日本人が弾ける”という訳ではないことが、

これほど、見事に証明されたのを、目の当たりにしたのは初めてです。


★ガブリロフ先生の、哀切で、しかし決して格調を失わない演奏も

特筆すべきものでした。

特に高い音域を、これだけ艶やかで、伸び伸びとした音で

聴いたのは初めてです。

ガブリロフ、ベッチャー両先生が、唯一、念入りに合わせた所は、

6度の重音で、両者が同じメロディーで動いていくところでした。

この6度音程の美しさといったら、ピアノで作られる平均律の6度ではない、

澄んだ秋の空のような音程でした。


★この演奏会には、天皇皇后両陛下もご出席の予定でしたが、

アフガニスタンでのNGO殺害を悼み、急遽、喪に服すため、

出席をキャンセルされました。

とても残念でしたが、アンコール後、

Hildegard Behrens ヒルデガルト・ベーレンス先生が、

わざわざ 「 I was so moved 」 と、祝福しに来てくださいました。

さらに、ベーレンス先生は「あなたの曲が終わったあと、

聴衆は暫く沈黙していました。それから、拍手がわき上がりましたね、

皆さん本当に感動していたのです。

あの曲は、私の心の中にも深く残りました」と、おっしゃいました。

ガブリロフ、ボーグナーの両先生からも、

「シェーン(美しい)」と評価していただきました。



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■■ CDを2枚、発表いたしました ■■

2008-09-03 14:44:38 | ■ 感動のCD、論文、追憶等■

■■ CDを2枚、発表いたしました ■■

     08.9.3  中村洋子

★本日(08.9.3)、私の作品を録音しましたCDを2枚、

 発表しました。

 一枚は、歌曲とギターの「星の林に月の船」
 
 二枚目は、「龍笛とピアノのデュオ」です。


★ 『 星 の 林 に 月 の 船 』 [NYBACH 02]
        A Crescent-Shaped Boat in the Starry Sky
■Five Poems from Manyoshu    万 葉 五 題
■The Spring in Tsugaru     津 軽 の 春
■Thirteenth-Day Moon      十 三 夜
■The Japanese Twelve Months 日本の十二ヶ月
■Thirteenth-Day Moon       十 三 夜

ソプラノ 五十嵐郁子 
   ギター  斎藤 明子
作曲   中村 洋子



★ 『 Duo for  Ryuteki  and  Piano 』 [NYBACH 03]
 龍笛 と ピアノのための デュオ 

  ■Autumn of Etenraku      越殿楽の秋  
  ■ Summer Again Ⅰ       巡りの夏Ⅰ
  ■Funeral March         挽 歌
  ■ Summer AgainⅡ        巡りの夏Ⅱ
  ■Spring in the Land of Ko 胡国の春 
  ■Time for Piano(Improvisation on Etenraku)
      即興越殿楽 piano solo

     龍笛  八木 千暁
 作曲 &ピアノ 中村 洋子


■≪星の林に月の船≫は、無伴奏のソプラノ独唱『万葉五題』、

  ギター伴奏の『日本の十二ヶ月』と 『津軽の春』、それに

  ギター独奏曲『十三夜』から、成っております。


★『万葉五題』は、柿本人麻呂、山上憶良など万葉集のなかでも、

 特に味わい深く、親しまれている詩に、メロディーをつけました。

 無伴奏で歌われます。

 『津軽の春』は、東北・津軽に伝わる民謡「謙良節」をもとに、

 雪国で春を待ちわびる思いを、歌い上げます。


★『日本の十二ヶ月』は、ヴォカリーズです。

 万葉集のほか、与謝蕪村、俳句の季語などから 

 インスピレーションを得、日本の美しい風景など思い描いて、

 作曲しました。

 ギター独奏曲『十三夜』は、『日本の十二ヶ月』をまとめて、

 象徴する曲として、『日本の十二ヶ月』の前後に配置しました。

 同一の曲ですが、テンポも異なり、表現の多様さが楽しめます。


■≪ Duo for Ryuteki and Piano ≫は、雅楽の龍笛に

 ピアノの伴奏を付けた、大変に興味深い曲です。

 龍笛は、ピッチの問題もあり、西洋音楽の楽器とは

 なかなか調和しません。

 これまで、ピアノとのデュオ作品は、

 存在しなかったのではないか、と思われます。

 ピアノは、私が弾きました。


★有名な「越殿楽」には、実は、三つの調の曲があります。

 有名な「平調(ひょうじょう)」のほかに、

 「盤渉調(ばんしきちょう)」、「黄鐘調(おうしきちょう)」です

 三曲は、同じ曲とは思えないほど違った相貌を見せています。

 
★「平調」は秋、「盤渉調」は冬、「黄鐘調」は夏を象徴しています。

 さらに、春を象徴する調である「双調(そうじょう)」の

 「酒胡子(しゅこうし)」という曲を加え、四季を表現いたしました。 

 「黄鐘調」は、J.Sバッハが、組曲でメヌエットをダ・カーポによって

 繰り返したように、変容させて、2回登場いたします。


★最後の「即興越殿楽」は、録音が無事終了し、ほっとして、

 即興で弾いたものです。

 アンコールとして、お楽しみください。


★CDの定価は、いずれも2500円(税込)です。

 取扱は、

カワイ表参道 1F 楽譜売場 
 
 または、

 武蔵野楽器
 〒114-0003 東京都北区豊島1-5-5
TEL 03-5902-7281  FAX 03-5902-7282
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 E-mail : musashino@gagaku.net


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