音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■≪バッハ・インヴェンション講座≫の日程が決定 ■

2008-07-30 00:59:39 | ■私のアナリーゼ講座■
■≪バッハ・インヴェンション講座≫の日程が決定■
               08.7.30 中村洋子


★カワイ・表参道で開催しておりますJ.S.バッハ

≪インヴェンション・アナリーゼ講座≫の今後の日程が決まりました。


★7月26日の第2回は、インヴェンション2番と
             シンフォニアの第2番のハ短調でした。

・第3回は、9月30日(火)10時~12時30分
         インヴェンションとシンフォニアの 各3番

・第4回は、10月29日(水)10時~12時30分
         インヴェンションとシンフォニアの 各4番

・第5回は、11月21日(金)10時~12時30分
         インヴェンションとシンフォニアの 各5番


★第1回では、1番のインヴェンションとシンフォニアを

構成している動機(モティーフ)を、徹底分析しました。

第2回の2番では、その動機がどのように用いられ、

この全30曲の曲集を形作っていくか、について

お話いたしました。


★受講生の方から「ピアノで、インヴェンションの演奏をする場合、

ペダルを使ってもいいのでしょうか」という、ご質問がありました。

答えは「OKです」。

ただし、チェンバロという楽器と、その奏法をきちんと理解したうえで、

バッハの音楽をピアノで演奏する、という態度で臨まなければ、

独りよがりな演奏になり勝ちです。


★今後の予定は、チェンバロを会場に運び込み、

ピアノと両方で、同じインヴェンションを奏して、

バッハの音楽を、ピアノでどう表現するか、

ご一緒に考えます。


★さらに、名ピアニスト、名チェンバリストが、

CD(LP)録音で、バッハをどのように演奏していたか、

比較分析し、演奏論にも踏み込みたい、と思います。


★2回目の講座では、シンフォニアの2番を

≪舞曲≫ととらえ、そのテンポで演奏していた、

歴史的な大家の解釈に、“なるほど”と、

つくづく納得いたしました。


★一方、このシンフォニア2番を叙情的に、

遅いテンポで、歌わせて弾くことも可能で、事実、

たくさんの大家が、そのように演奏しております。

どちらも、真正なバッハ演奏であることに、変わりないことが

バッハの偉大さ、融通無碍な大きさと、いえそうです。



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■伝通院納涼コンサートが、記事になりました■

2008-07-29 23:44:34 | ■ お薦めのコンサート ■
■伝通院納涼コンサートが、記事になりました■
        08.7.29   中村洋子


★7月19日に開催されました「伝通院納涼コンサート」が

新聞の記事として、掲載されました。

『中外日報』という、仏教関係専門紙の7月26日付けです。

とても大きな扱いです。


★写真も2枚添付され、

一枚は、私とヴィオラのシッケタンツさんが

一緒に曲の解説をしている写真。

もう一枚は、演奏会が終わった後、

私たちとソプラノの五十嵐郁子さん、

それに、文京区と姉妹都市を結んでいる

ドイツ・カイザースラウテルン市から訪問されていた

若いお二人のドイツ人女性の、計5人で撮った写真です。


★文京区の成澤廣修区長の談話も載っていました。

「ヨーロッパでは、教会でよくコンサートが行われてますが、

日本では、お寺での演奏会はまだまだ珍しい。

このような会が、ますます発展することを、期待します」。


★確かに、お寺の本堂での演奏会はめったに、ございません。

立派な檜作りの本堂は、音響面からみて、

能舞台にも匹敵する素晴らしさです。

読経が美しく聞こえるよう、何百年もの歴史的積み重ねで、

現在の伽藍建築が、出来上がっているのです。


★伝通院様のように、たくさんのお寺様が、

もっともっと、本堂などの施設を公開され、

ヨーロッパでの教会のように、音楽会が、

日常的に、お寺様で開催されるといいですね。



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■伝通院納涼コンサートは、大成功でした■

2008-07-21 20:35:31 | ■ お薦めのコンサート ■
■伝通院納涼コンサートは、大成功でした■
              08.7.21   中村洋子


★伝通院でのコンサート(08.7.19)は、盛況のうちに終りました。

予定の時間も大幅に伸び、シッケタンツさんの楽しいお話もあり、

満員のお客様は、心から楽しんでいらっしゃいました。


★本日(21日)の東京新聞「わが街、わが友」というコラムに、

女優・野際陽子さんが、伝通院について次のように書かれています。

「この辺りは、そこら中に歴史や文学ゆかりの場所がある。

後楽園と茗荷谷の中間というちょっとした不便さが、

いまひとつあか抜けない、ひなびた都会という風情を与えている」。


★演奏会場の本堂は、ご本尊様の安置されている壇上に、

金色に輝く装飾が、たくさん吊り下げられています。

チェンバロの漆黒の本体が、ご本尊様やその飾りと、

見事に溶け合い、全く違和感なく、調和していました。

チェンバロの蓋を開けると、木目のきれいな響板が見えます。

そこには、美しい花の絵が、色とりどりに描かれています。

花の絵が黒い蓋に写り、まるで“極楽”のようです。


★バッハ「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」の

チェンバロの舞曲を、今回、ヴィオラとチェンバロ用に、

私が編曲して、演奏しました。

シッケタンツさんは、バロック用の弓を用い、いかにも、

バッハが、家庭で楽しんだ音楽会という雰囲気が出ていました。

「ピアノでいま練習している曲を聴けて、嬉しかった」

というお子さまも、いらっしゃいました。


★この5月に録音しました「万葉の歌」の歌曲も、

その一部を、今回、初演いたしました。

CDでは、ソプラノだけ独唱でしたが、

今回は、チェンバロで伴奏を入れました。

五十嵐さんのハミングがとても、柔らかい響きで、

万葉の春の雰囲気が、醸しだされ、皆さまウットリ。

バロック時代のレチタティーヴォのような感じも出て、

万葉、バロック、仏教寺院という

前代未聞の取り合わせでしたが、

心地よく馴染んでおりました。


★私が、ソプラノ、ヴィオラ、チェンバロ用に編曲しました

「赤とんぼ」も、好評でした。

アンコールの「浜辺の歌」は、シッケタンツさんが、

「Am Strand」という訳までつけていただき、

浜辺の“波音”が、ご本堂に響き渡りました。


★チェンバロ独奏は、ガルッピのイタリアらしい

明るい澄み渡った響きのソナタから、始まりました。

プログラムを一部追加し、「2声のインヴェンション」1番を、

私がチェンバロで、独奏しました。

当日、最も怖く、難しいのがこの曲でした。

いまさらながら、この曲の偉大さ、凄さを感じました。

特に、単純極まりない、ハ長調の音階をどう処理するか、

大きな宿題を貰った様な気がします。


★26日の「カワイ・インヴェンション講座」では、

今回の経験も、お話したいと思います。


★シッケタンツさんは「バロック舞踊をバッハの舞曲にどう生かすか」、

というお話と、メヌエットのステップを実演していだき、

とても喜ばれました。


★さらに「日本では、炊飯器、洗濯機などの終了音として、

このバッハのメヌエットなどが組み込まれ、流れてくる。

それは機械的な電子音でしかなく、断じて音楽ではない。

音楽もどきであって、falsch=wrongです」と、辟易した様子で、

指摘されました。


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■伝通院で、素晴らしい「ダウド」のチェンバロを弾きます■

2008-07-17 19:00:19 | ■私の作品について■
■伝通院で、素晴らしい「ダウド」のチェンバロを弾きます■
           
                08.7.17 中村洋子

★「伝通院納涼コンサート」が、明後日の19日(土)に開催されます。

今回は、モモセハープシコード(株)様の、ご好意で、

素晴らしいチェンバロを、貸し出して頂くことが出来ました。


★≪French double manual harpsichord
    after N.et F.Blanchet1730 William Dowd 1982≫

というチェンバロで、CD録音でよく使われる名器です。

1730年に、ブランシェという人が製作したチェンバロを、

1930年に、W.ダウドが再現した二段鍵盤の楽器です。


★この楽器を弾きますと、

チェンバロという楽器が、とてもよく分かります。

リハーサルの合い間に、バッハの「インヴェンション」を

弾いてみましたが、“なんと弾きやすい”と驚きました。

特に、ピアノ演奏の際に苦労する、腕の交差する部分や

長いトリルが、苦もなく弾けます。


★フレーズの作り方、さらに音色も、

“バッハが、このように意図して、作曲したのだろう”と

楽器が、私に教えてくれます。

この発見を、26日の「インヴェンション・アナリーゼ講座」でも

お話したい、と思います。


★≪当日のプログラム≫

ソプラノ: 五十嵐郁子、

ヴィオラ&ヴァイオリン: ダーフィット・シッケタンツ

チェンバロと作曲、お話: 中村洋子 の3人が出演いたします。


★≪曲目≫

①ガルッピ作曲 「チェンバロソナタ5番」ハ長調 1楽章

②「アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
                    
より、8番ポロネーズ、

以上の2曲は、チェンバロ・ソロで、楽器の説明もいたします。


★③ヘンデル作曲 「メヌエット」

④⑤「アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
            
より、最も有名な4番と5番のメヌエット、

これを、「ヴァイオリンとチェンバロ」、

「ヴィオラとチェンバロ」の、2種類の組合せで演奏し、

ヴァイオリンとヴィオラの音色の差を、実感していただきます。


★⑥⑦⑧は「アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集」                            

より、16番Marche(マーチ)  22番Musette(ミュゼット)

7番Menuet(メヌエット)

⑨バッハ作曲 「管弦楽組曲第3番」より、Air(エアー)

⑩中村洋子作曲 「越殿楽の秋」

以上が、ヴィオラとチェンバロで演奏されます。


★⑪中村洋子作曲 「星の林に月の舟」 「秋の七草」

「巨勢(こせ)の春」 「夕波千鳥」~万葉集による歌曲~

⑫童謡より 「うみ」と 「ホタル」=中村洋子編曲

⑬中村洋子作曲 「津軽の春」

以上は、ソプラノとチェンバロです。


★最後は、昔懐かしい 「赤とんぼ」を、

ソプラノ、ヴィオラ、チェンバロの三重奏でお楽しみいただきます。

伝通院本堂の、素晴らしい音響も、どうぞお楽しみください。


★ガルッピ(1706~1785)は、最近、耳にすることが

多くなった作曲家です。

バッハより約20年遅く、イタリア・ブラーノ島で生まれました。

バッハは、マルチェッロやビバルディーの協奏曲を編曲することで、

イタリアの音楽を学びました。


★ガルッピは、そのB.マルチェッロの紹介で、

A.ロッティに音楽を学びました。

チェンバロソナタを85曲、作曲しました。

チェンバロソナタという、新しい形式の先駆者といえます。

バッハが、聖トーマス教会の楽長であったように、

ガルッピは、ヴェネチアのサン・マルコ聖堂で、楽長を務めました。


★大きな視点で見ますと、マルチェッロ、ガルッピという流れの中に

巨大なバッハが位置していた、ともいえそうです。

ロッティ門下のドメニコ・アルベルティ(1710~1740)にちなんで

名付けられた「アルベルティ・バス」

(“ドソミソ”のように、左手で分散和音を、反復する伴奏音形)が、

このガルッピの曲には、使われていますが、

モーツァルトのピアノソナタにも、

この「アルベルティ・バス」が多く、見られます。


★ガルッピは、バロック音楽から、次の時代への架け橋の役割を

担ったといえそうです。

マルチェッロの作品から、たくさんのものを学んだバッハは、

新しい傾向を知りつつも、その流れに同調することなく、

独自に自らの音楽を、深めていったのです。



★私たち日本人にとって、ヨーロッパのバロック時代の舞曲は、

馴染みのないものです。

しかし、バッハを演奏するうえでは、

その「リズム」や「音の運び」を理解し、知ることは大変重要です。

バッハが、楽長を務めたライプチッヒ「聖トーマス教会」で、

洗礼を受けた生粋の“ライプチッヒっ子”の

ダーフィット・シッケタンツさんが、メヌエットのステップを、

実際に舞台で、ご披露してくださるかもしれません。

ご期待ください。


★午後6時開演、入場整理券(無料)は、午後5時からの配布です。


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■ ショパンに秘められた古典性!!! ■

2008-07-10 12:22:50 | ■私のアナリーゼ講座■
■≪ショパンに秘められた古典性!!!
   ショパンの『バラード』をアナリーゼする≫■
  08.7.10 中村洋子


★9月15日(月)敬老の日、午後1時半~午後4時

カワイ表参道2F「コンサートサロン・パウゼ」で、

「第3回アナリーゼ講座」を開催いたします。


★フレデリック・ショパン(1810~1849)は、

1831年~35年にかけ、「バラード第1番ト短調」を作曲しました。

ショパンは、その短い39年の生涯のなかで、バラード4曲を、

ほぼ10年かけて、書き上げました。

≪第2番(1836~39)、第3番(1840~41)、第4番(1842)≫


★この講座では、バラードという様式が

ショパンにとって、どういう意味をもっていたか、さらに

それが、後世の作曲家にどのような影響を与えたかについて、

詳しくお話いたします。


★バッハの音楽がなければ、現在のクラシック音楽が全く、

別なものになっていたのと同様、

ショパンなくしては、その後のピアノ音楽、

特に、フランスやロシアのピアノ音楽は、

全く違う形になっていたことでしょう。


★それらを、バラード第1番を分析しながら、解説いたします。

また、バッハを由来とするゆるぎない構成力と、

“ああ!ショパン”と、感じさせる、独特な和音の配置、

その和音をどう弾き、どう聴けばショパンの

本質を捉えることができるか、についても説明いたします。


★さらに、この第1番を、ソルフェージュの課題に、

応用することも、触れてみたいと思います。


★7小節から成るLargoの序奏は、

神秘的なナポリの和音で始まります。

この序奏の「動機」が、全曲を有機的に構成していきます。

それが、バッハの手法です。


★それまで、演奏者の即興に任されていたような

装飾的なパッセージまで、ショパンは、楽譜に書き込みました。

それは、バッハが「イタリア協奏曲」の第2楽章で、

細かく音符で、書き込んだことと同じです。


★大ピアニストのアルトゥール・ルービンシュタインは、

「ショパンの作品には、インスピレーション、

ピアノ的な構想力、さらには、古典派的バランス感覚の

絶妙な組合せが見られる。

≪ロマン派≫の代表であるべき彼としては、

これは意外なことであろうか?。

実は、作品に見られる彼の思想は、

≪ロマン派的思想≫とは正反対だった」

と、語っております。


★ブラームスも愛好しましたナポリの和音や、

バッハから学んだ保続音や、半音階を

詳しくアナリーゼしながら、

どこにショパンの独創性と個性があるか、そして、

それらを演奏に生かす方法も触れてみたい、と思います。


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