音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■" 主よ、人の望みの喜びよ " 、 中村洋子クリスマス・アナリーゼ講座 ■

2012-09-28 23:51:08 | ■私のアナリーゼ講座■

■ " 主よ、人の望みの喜びよ " 、 中村洋子クリスマス・アナリーゼ講座 ■
   ~ Bachの名曲を、ピアノ編曲で弾く喜びと楽しみ ~

                       2012.9.28  中村洋子

 
 
 
※開催日の日時で、訂正がございます。開催日は、≪11月 15日(木)≫です。
                               お詫びいたします。 
 

★ 2008年から、 Inventionen und Sinfonien
 
インヴェンションとシンフォニア全曲 (15回)、
 
The Well-Tempered Clavier
 
平均律クラヴィーア曲集第1巻全曲 (24回)、
 
それに、イタリア協奏曲アナリーゼ講座 (全3回) を、開催してきました。
 
インヴェンション講座では、平均律クラヴィーア曲集のエッセンスとしての
 
インヴェンションの意味、
 
平均律講座では、調性とは何かという Bach の命題と探求、
 
イタリア協奏曲では、協奏曲様式を鍵盤楽器でどのように表現するか・・を、
 
皆様と一緒に勉強してまいりました。
 

★ 今回は、その延長線上ですが、2012年の Christmas
 
クリスマスを前に、Bachのよく知られた、それゆえ、
 
類まれな美しい旋律をもつ、有名な三つの編曲作品を、
 
ご一緒に、味わってみたいと思います。
 
 
 

★ Myra Hess マイラ・へス ( 1890~1965 )や、
 
Wilhelm Kempff  ヴィルヘルム・ケンプ
 
( 1895~1991) の編曲で名高い
 
≪ Jesu , Joy of Man's Desiring from Cantata BWV147 
 
 Herz und Mund und Tat und Leben
 
主よ、人の望みの喜びよ ≫ では、原曲のカンタータの味わいを、
 
ピアノ独奏にどのように生かすか、さらに、
 
四声体コラールとの関係についても、お話します。
 

★≪ Klavier Konzert Nr.5 f-Moll BWV 1056
 
クラヴィーア協奏曲 ヘ短調 ≫ 2楽章の有名な 「 Largo 」 を、
 
Alfred Cortot アルフレッド・コルトーや、Edwin Fischer
 
エドウィン・フィッシャーの編曲で、楽しみましょう。
 

★「 Orgelbüchlein オルゲルビュッヒライン 」 から、
 
≪ Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ イエスよ、私は主の名を呼ぶ ≫ は、
 
Dinu Lipatti ディヌ・リパッティの名演が、残されています。
 
しかし、Bachのオリジナルを知っていますと、
 
マエストロたちの編曲に、あえてこだわる必要もありません。
 
この曲は、 Bachのオリジナル通りに、そのままピアノで弾くことも、
 
十分可能です。かえって、弾きやすいかもしれません。
 

★クリスマスを前に、 Bachをお一人でしみじみと、あるいは、
 
お友達やお弟子さんなどと一緒に楽しく、弾きましょう。
 
 
 
 
■日時:  2012年 11月 15日(木) 午前 10時 ~ 12時 30分
 
■会場:  カワイ表参道・コンサートサロン 「 パウゼ 」
 
■予約: ℡ 03-3409-1958
 

■講師: 作曲家 中村 洋子

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。日本作曲家協議会・会員。 ピアノ、チ ェロ、室内楽など作品多数。
2003年~ 05年:アリオン音楽財団《東京の夏音楽祭》で新作を発表。
07年:自作品「無伴奏チェロ組曲第 1番」などをチェロの巨匠W.ベッチャー氏が演奏したCD『 W.ベッチャー日本を弾く』を発表。
08年: CD「龍笛&ピアノのためのデュオ」、CD ソプラノとギターの「 星の林に月の船 」を発表。
08 ~ 09年 :「 バッハのインヴェンション・アナリーゼ講座 」全15回を開催。
09年10月:「 無伴奏チェロ組曲第 2番 」が、W.ベッチャー氏により、ドイツ・マンハイムで初演される。
10年:「 無伴奏チェロ組曲第 1番 」が、ベルリンの リース&エアラー社 Ries &Erler Berlin から出版される。
CD『 無伴奏チェロ組曲第3番、2番 』 W.ベッチャー演奏を発表。
「 レーゲンボーゲン・チェロトリオス( 虹のチェロ三重奏曲集)」が、ドイツ・ドルトムントのハウケハック社Musikverlag Hauke Hack社から出版される。
10年1月~12年6月:「バッハ・平均律クラヴィーア曲集第 1巻の全曲アナリーゼ講座」( 全24回 )を、カワイ表参道で開催。
2011年 4月 :「 10 Duette für 2 Violoncelli チェロ二重奏のため の 10の曲集 」が、ベルリンの 「 Ries &Erler Berlin 、リース&エアラー社 」から出版される。
スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、自作品が演奏される。

●上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「 アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で、販売中。

 

 

 

        ※copyright Yoko Nakamura  All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

 
 
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■第 7回Chopin が見た平均律・アナリーゼ講座」のお知らせ

2012-09-23 18:51:55 | ■私のアナリーゼ講座■
■Chopin が見た平均律クラヴィーア曲集・アナリーゼ講座
  第 7回 平均律 第 1巻 第 7番 変ホ長調 前奏曲&フーガ
~平均律第 7番と、Beethoven Pianosonata 第 31番 、Chopin をつなぐもの~
 
               2012.9.23      中村洋子
 
 
 

★バッハは、平均律クラヴィーアの各曲を、書くに当たり、

1ページ を 6段 または 7 段にレイアウトして、書いています。

 この前奏曲 7 番 の曲頭は、フーガ 6番の終わった後、
 
のまま書き始めています。
 
別のページから、始めてはいないのです。
 

★“ 紙を節約しようと、6番フーガの終わりから、書き始めた ″

と、主張するむきもありますが、
 
バッハは、自分の芸術を、紙の倹約より下に置く、
 
ということは、決してありません。

平均律クラヴィーア曲集の、他の曲を見ますと、ゆったりと、
 
余白を残している曲も、たくさんあります。


★なぜ、 6番フーガの後で、すぐに 7番前奏曲を、
 
書き始めたか?

この前奏曲の曲頭は、見開き 2ページの右ページ真ん中です。

その左のページ冒頭は、6番のフーガの出だしです。

この楽譜のレイアウトで、7番の前奏曲を弾こうとしますと、

否応なしに、常に、6番フーガのテーマが、
 
視界のなかに、入ってくるのです。
 
 


★7番前奏曲には、 Chopinが 2ヶ所の fingering を、
 
書き込んでいます。
 
その fingering こそが、7番前奏曲のレイアウトを、
 
なぜ Bachが変則的にしたのか・・・、という疑問に対する答えを、
 
示唆しています。

さらに、深く読み込んでいきますと、
 
6番、 7番、 8番の前奏曲&フーガの、驚くべき関連性が、
 
浮かび上がってきます。


★ベートーヴェン 「 Piano Sonata 31番 Op.110 」 の
 
1楽章は、一見、対位法音楽のようにはみえませんが、
 
実は、筋金入りの対位法音楽です。
 

★それらを理解し演奏するための、最良な道標 ( みちしるべ ) が、

この平均律 7番の前奏曲とフーガです。

幼少から Bachを、探究し尽くした Beethovenが、

彼の引出しから選び取り、育て上げたものが、

この 31番といえましょう。

この 7番前奏曲&フーガを、詳しく分析することで、

なぜ筋金入りの対位法音楽であるのか、

その理由が、分かってくるのです。

 

■日時 : 10月28日(日) 午後 2時 00分 ~ 4時 30分
■会場 : カワイミュージックスクールみなとみらい

 

 

■講師: 作曲家 中村 洋子
東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。日本作曲家協議会・会員。 ピアノ、チ ェロ、室内楽など作品多数。
2003年~ 05年:アリオン音楽財団《東京の夏音楽祭》で新作を発表。
07年:自作品「無伴奏チェロ組曲第 1番」などをチェロの巨匠W.ベッチャー氏が演奏したCD『 W.ベッチャー日本を弾く』を発表。
08年: CD「龍笛&ピアノのためのデュオ」、CD ソプラノとギターの「 星の林に月の船 」を発表。
08 ~ 09年 :「 バッハのインヴェンション・アナリーゼ講座 」全15回を開催。
09年10月:「 無伴奏チェロ組曲第 2番 」が、W.ベッチャー氏により、ドイツ・マンハイムで初演される。
10年:「 無伴奏チェロ組曲第 1番 」が、ベルリンの リース&エアラー社 Ries &Erler Berlin から出版される。
CD『 無伴奏チェロ組曲第3番、2番 』 W.ベッチャー演奏を発表。
「 レーゲンボーゲン・チェロトリオス( 虹のチェロ三重奏曲集)」が、ドイツ・ドルトムントのハウケハック社Musikverlag Hauke Hack社から出版される。
10年1月~12年6月:「バッハ・平均律クラヴィーア曲集第 1巻の全曲アナリーゼ講座」( 全24回 )を、カワイ表参道で開催。
2011年 4月 :「 10 Duette für 2 Violoncelli チェロ二重奏のため の 10の曲集 」が、ベルリンの 「 Ries &Erler Berlin 、リース&エアラー社 」から出版される。
スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、自作品が演奏される。

●上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「 アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で、販売中。

 

 

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第 9回 名古屋インヴェンション・アナリーゼ講座 のお知らせ

2012-09-19 22:04:16 | ■私のアナリーゼ講座■

■ 「 第 9回 名古屋 インヴェンション・アナリーゼ講座 」

~曲集の頂点をなす 9番の 「 受難のモティーフ 」 は、どこから来たか~

                 2012.9.19    中村洋子


★バッハ・インヴェンション講座も、三分の二の道のりに、

さしかかりました。

西洋クラシック音楽では、曲の三分の二のところに、

クライマックスを置くことが、よくあります。

ソナタ形式ですと、ちょうど、展開部が終わり、

再現部に、入るところです。

 

★このインヴェンション、シンフォニアとも、

バッハは、曲集としての大きなクライマックスを、

この 9番に置いている、と私は考えます。


★バッハの受難曲では、キリストが受難する場面が、頂点となります。

その受難を象徴する 9番と、その前後の 8番、10番とが、

どのような関係で、結ばれているか、詳しく、お話いたします。


★インヴェンション 9番は、「 嘆き(エスプレッシーヴォ)の歌 」。

シンフォニア 9番は、印象的な 「 半音階 」 のバスに、

歩行の音形がかぶさり、沈痛に曲が始まります。


★ロ短調ミサ曲や、平均律クラヴィーア曲集 1巻 24番、

イタリアの作曲家・アレッサンドロ・マルチェッロ Alessandro Marcello の

Oboe Concerto in D minor 「 オーボエ協奏曲 」 との、
 
親密な関係についても、お話いたします。
 

 

 

★9番は深い内容ですので、“ 子どもに与えるには早すぎる ”

というのは、大きな間違いです。


★宗教的な意識の有無を問わず、バッハの音楽は、

人類共通の、普遍の感情を表現しています。

誰が弾いても、美しく深く、音楽の真の喜びを、

味わうことができます。

人類にとって、かけがえのない宝物なのです。


★レッスンを始めて間もないお子様でも、無理なく弾けるような、

指導方法や、バッハのカンタービレ奏法とは、何か、

ソルフェージュに、どう応用するか・・・ などを、

分かりやすく、ご説明いたします。


★曲の構成を詳しく理解することによって、

バッハを弾くことが、さらに喜びに満ちたものとなり、

自信をもって弾くことが、可能になります。
 
 
■ 日時: 2012年 10月 31日(水)  10:00  ~  12:30
■ 会場: カワイ名古屋2F コンサートサロン 「 ブーレ 」
 
■ 連絡先  Tel 052-962-3939 
 
 
 
 

■講師 : 作曲家 中村 洋子

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。日本作曲家協議会・会員。 ピアノ、チ ェロ、室内楽など作品多数。
2003年~ 05年:アリオン音楽財団《東京の夏音楽祭》で新作を発表。

07年:自作品「無伴奏チェロ組曲第 1番」などをチェロの巨匠W.ベッチャー氏が演奏した CD 『 W.ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

08年: CD 「 龍笛&ピアノのためのデュオ 」、CD ソプラノとギターの 「 星の林に月の船 」 を発表。

08 ~ 09年 :「 バッハのインヴェンション・アナリーゼ講座 」全15回を開催。

09年10月:「 無伴奏チェロ組曲第 2番 」が、W.ベッチャー氏により、ドイツ・マンハイムで初演される。

10年: 『 無伴奏チェロ組曲第 1番 』 が、ベルリンの リース&エアラー社 Ries &Erler Berlin から出版される。

CD 『 無伴奏チェロ組曲第3番、2番 』 W.ベッチャー演奏を発表。

「 レーゲンボーゲン・チェロトリオス( 虹のチェロ三重奏曲集)」が、ドイツ・ドルトムントのハウケハック社Musikverlag Hauke Hack社から出版される。

10年1月~12年6月:バッハ・平均律クラヴィーア曲集第 1巻の全曲アナリーゼ講座(全 24回)を、カワイ表参道で開催。

2011年 4月 :「 10 Duette für 2 Violoncelli チェロ二重奏のため の 10の曲集 」が、ベルリンの 「 Ries &Erler Berlin 、リース&エアラー社 」から出版される。

スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、自作品が演奏される。

 

 

 

 

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■上野で、レンブラント、ルターの肖像画と 2枚のフェルメールを見る■

2012-09-12 22:37:01 | ■楽しいやら、悲しいやら色々なお話■

■上野で、レンブラント、ルターの肖像画と 2枚のフェルメールを見る■
                          2012.9.12  中村洋子

 

                           (国立西洋美術館)

 

★9月も半ばになりましたが、猛暑が続いております。

暑いさなか、上野の山へ、ルターとレンブラントの肖像画、

二枚の Vermeer フェルメールを見に行きました。


★Vermeer の一枚目は、オランダの Den Haag デン・ハーグにある、

The Royal Picture Gallery Mauritshuis 

マウリッツハウス美術館の、

Johannes Vermeer ヨハネス・フェルメール の、有名な

『 Girl with a Pearl Earring 真珠の耳飾りの少女 』。

青いターバンに、真珠のイアリングの少女です。

 

                                     (東京都美術館)


★もう一枚は、西洋美術館で開催中の、

Staatliche Museen zu Berlin ベルリン国立美術館の、

『 Woman with a Pearl Necklace  真珠の首飾りの女性 』。

「 ネックレスの女性 」は、初来日です。


★Vermeer フェルメールも、素晴らしかったのですが、

両展覧会に出品されている、いくつかの肖像画に、

深く、心を打たれました。


★「 青いターバンの少女 」 の隣室に、飾られていたのが、

Rembrandt Harmensz.van Rijn レンブラント・ファン・レイン

(1606~1669)の、亡くなった歳の作品、

最晩年の、自画像です。

 

 


★ Rembrandt レンブラント(1606~1669)。

J.S.Bach バッハ(1685 ~ 1750)に匹敵する芸術家。

堅実な家庭生活を送った Bach とは、対極的に、

劇的波乱万丈な生活、豪奢と無一文という両極端を経験。

天才レンブラントの、最後の顔とは、一体どういうものなのでしょうか。

興味が、尽きません。


★柔らかそうでありながら、鋭い眼光。

一部の隙も、ありません。

安易に眺める者を、射すくめるような強い眼光です。

一瞬にして、相手の本質を見抜く眼です。

だが、冷たい光ではありません。

一種の暖かみも、感じられます。

諦観、あるいは世俗への哀れみにも似た感情に、

裏打ちされているからでしょうか。

顔には、なによりも自信、

自分と自分の才能への自負に、満ちています。

“ まだまだ、やりたいことはたくさんある。

しかし、成すべきことはした、後悔はない ”

とでも、語っているようです。

 

会場には、Rubens ルーベンス(1577~1640)、

 Anthony van Dyck ヴァン・ダイク(1599~1641)、

 Frans Hals フランス・ハルス(1581~1666)など、

 同時代の巨匠の肖像画も、レンブラントと一緒に並べられています。

 卓越した技法によって描かれた顔、豪華な衣装などは、

 迫真的、生き写しです。

 まさに、注文主の希望どおり、 “ 写真のような ” 出来栄えです。

 権勢や富の頂点にある人物が、

“ 己の頂点の瞬間を、描いて欲しい ”、

 それに応えるのが、当時の肖像画です。

 
★しかし、それらの肖像画は、

 Rembrandt レンブラントを、知ってしまった私にとっては、

 残念ながら、物足りないのです。

 Rembrandt レンブラントの肖像画には、

人物の、その時点に至るまでの、

 人間としての歴史がすべて、塗り込められています。

 その人物の、生き方や生き様、哲学、

性格、癖、個性、長所、短所、欠点までも、

 すべて、Rembrandt レンブラントが、見抜き、

浮かび上がらせています。

 生身の人物より、 “ 生身 ” なのです。

 
★Rembrandt レンブラント自画像を、じっと、眺めていますと、

 レンブラントが、私に向かって、

 ≪ あなたは誰ですか?、どこにいますか?、

何を考えていますか?、 いま何をしていますか?、

これから何をしたいのですか?、幸せですか? ≫

 彼は、恐ろしい怖い質問を、優しく、次々と問いかけてきます。

つまり、レンブラントに、逆に、見られているのです。

レンブラントに、まるで、自分の肖像画を、

描いてもらっているような、体験をするのです。

絵画を見る醍醐味、真骨頂が、

ここに、あるのです。

 

Rubens ルーベンスなどの肖像画は、その人物の、

 その時点の瞬間を、切り取った断面であり、

 その人物の “  歴史 ” は、それほど感じられません。

 それゆえ、どの人物も同じように見えます。

逆に申しますと、Rubens に肖像画を依頼した人は、

大満足でしょう。

Rembrandt に頼んだ人は、  “ こんなはずではなかった ” と、

不満を、募らせたかもしれませんね。

 

★私にとって、Rembrandt レンブラント自画像との対話は、

 これから終生、止むことがないように思われます。

 J.S.Bach バッハ(1685 ~ 1750) の Mess h-Moll

ロ短調ミサ のような、存在になりそうです。

 


★『 Woman with a Pearl Necklace  真珠の首飾りの女性 』 と、

ちょうど対角線上の位置に、レンブラント派の作品とされる

『 Man in a Golden helmet 黄金の兜の男 』  が、

飾られていました。

 

 


★この 『 黄金の兜の男 』 のヘルメットの、燦然と輝く黄金色は圧巻です。

その下に、厳しさが結晶化しているような狷介な老人の顔。

『 真珠の首飾りの女性 』  の、優しい光との対比で、

人間の老いの残酷さが、強く迫ってきます。


★『 Woman with a Pearl Necklace  真珠の首飾りの女性 』 は、

ポスターや画集で見た限りでは、なんとなく、

ぼんやりとした絵、というイメージでした。


★しかし、実物は、全く異なります。

左側の窓に向かって、右側に若い女性が立ち、

手でネックレスを、引っ張っている構図です。

画面中央は、乳白色の壁、しかし、本物でこれを見ますと、

窓からの光が、“ 太陽の光とは、このような色だったのか ” と、

思わされます。

Vermeerは、太陽の光の色を、初めて描けた画家であると思います。

 


★柔らかく、神々しいその光の色は、

聖書の 「 Es werde Licht !  Und es ward Licht

光りあれ! 」 の世界、

神の恩寵を、表現しているのでしょう。


★印刷物では、はっきり分からなかった少女の顔も、

実物を見ますと、顔一杯に光を浴び、恍惚としているようです。

少女の左耳につけられている真珠のイアリングが、

星のように、きらめいています。

それが、少女がすっくと立ち上がった椅子の、

金色の鋲と、呼応しているのは言うまでもありません。

その鋲の数は、 3個を 一組とした 3組です。


★レンブラント派 『 Man in a Golden helmet 黄金の兜の男 』 の、

黄金が、現世的な光を怪しく、放っているのに対し、

フェルメールの光は、神の国の光。

それらが、美術館の一つの部屋に、

絶妙に好対照的をなして、配置されています。

 

 


★同じく、ベルリン国立美術館展での、私のお目当ては、

Martin Luther マルティン・ルター(1483年~1546)の肖像画でした。


Lucas Cranach ルーカス・クラーナハ(1472~1553)の描いた、

Martin Luther ルターの肖像画を、是非、見たいと思っておりました。

Bach が敬愛してやまなかった Martin Luther ルター。


★Cranach クラーナハの作風は、レンブラントの写実とは、

大いに異なり、この肖像画を見た瞬間、

日本の鎌倉時代の 『 源頼朝像 』 と、

大変に似ていると、直感しました。


★Martin Luther ルターほどの、人物の肖像は、

このような書き方しかないのか、とも思います。

両眼の方向が、現実にはありえない方向を向いています。

左目は左方向を、右目は右方向を見ています。

日本画では、竜や風神雷神などのように、

神性を帯びた性格を描く際、

まなこが違う方向を向いていることが、多いのです。

16世紀のドイツで、人並みはずれた偉大な人を描くのに、

同じ技法がつかわれていることは、

大きな、発見でした。

これにより、ルターは、世界を見据えているのです。

 


★ルターは、ドイツの歴史で最大の人物。

現代ドイツ語、文学、音楽のすべての基礎を築いた人。

ドイツ文化の源流を、どの分野から探っても、

必ずやルターに行き当たるのは、間違いないのです。


★このように、偉大な人の肖像を何点か見ましたが、

「 Bridgestone Museum of Art ブリジストン美術館 」 開館 60周年

「 Debussy、音楽と美術 」 展に、出品されている

Claude  Debussy クロード・ドビュッシー(1862~1918) の

肖像画も、見てきました。


★Marcel Baschet(1862~1941) による、

若いころのドビュッシー(1885年作) と、

Jacques = Emile Blanche(1861~1942)の、

1902年作の肖像画の 二点を見ました。

 

レンブラントや、クラーナハと比較するのは、

酷かもしれませんが、やはり、

ドビュッシーの天才には、位負け気味のようでした。

Debussy の人間を捉え切れていない、

一面しか、描けていない作品のようです。


★もう一つ、Pierre Louÿs ピエール・ルイス(1870~1925) 作の、

写真を合成して作った、ドビュッシーの肖像もあり、

こちらのほうが、作曲家 Debussy の素顔が、

読み取れるように、思いました。


★この展覧会には、ドビュッシーの自筆譜が、

何点か、展示されていました。

例えば、『 ImagesⅠ 映像第 1集 』 の

「 Reflets dans l'eau 水に映る影 」 、

『 Pelléas et Mélisande ぺリアスとメリザンド 』 の、

第 4幕 4場 の試作スコアなどですが、

1ページしか、眺めることができず、

あまり、参考にはなりません。


★曲は違いましても、私の所有する Debussy の、

他の自筆譜ファクシミリの鉛筆の色、筆の圧力を、

再確認する程度の参考にしか、なりませんでした。

 

            ※copyright Yoko Nakamura
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■ Karl Leisterカール・ライスターが、私の曲を演奏 ■

2012-09-01 23:23:06 | ■私の作品について■

■ Karl Leister カール・ライスターが、私の曲を演奏 ■
~荒城の月幻想を、Leister,Boettcher,Spiri,Ranieriの 4人で ~
                           2012.9.1   中村洋子

 


★本日は、1923年の関東大震災から 89年目、「 防災の日 」 です。

昨夜は、フィリピン沖で M 7.6の大地震が発生しました。

一昨日未明には、宮城沖でも M 5.6の地震が起き、

心休まらない日々が、続きます。


★そんな中、うれしいニュースがあります。

草津音楽祭に参加されていた Wolfgang Boettcher

ヴォルフガング・ベッチャー先生に、お電話しましたところ、

8月 25日のコンサートで、私の作品

「 Fantasy on a Kojo-no-Tsuki 荒城の月幻想 」 を、

Karl Leister カール・ライスター(Cl.)、

Wolfgang Boettcher(Vlc) 、

Anthony Spiri アントニー・シピリ(Pf)、

Luca Ranieri ルカ・ラニエリ(Vla) の四人で、

演奏していただいたそうです。


★この曲は、2008年の同音楽祭で、

Saschko Gawriloff サシコ・ガヴリロフ(V)、

Ferenc Bognar フェレンツ・ボーグナー(Pf)

Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー(Vlc)により、

初演された曲です。

http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/e/37b3800bb6950ca05fcf04cd1e258258


今回も、聴衆の皆さまが、大変に感動され、

Ranieri はわざわざ、Boettcher先生に、

「 so moved とても感動した 」 と、おっしゃったそうです。

亡き Hildegard Behrens ヒルデガルト・ベーレンス先生も、

会場で、同じように 「 so moved 」 とおっしゃって、

抱擁してくださったことが、

懐かしく、思い出されます。

 

 


★私は、高校時代、 Leister演奏の Brahms ブラームスの

Clarinet Sonata クラリネットソナタ No.1、No.2 の LPを、

繰り返し繰り返し、聴いていました。

私の中では、Leister イコール、Brahms Clarinet Sonata と、

結びつきます。

そのような当代随一の巨匠に、私の作品を演奏していただき、

とても、幸運です。

 

★Leister ライスターや Boettcher ベッチャー 、さらに、

Oboe オーボエの 故 Lothar Koch ローター・コッホ など、

極め付きのマエストロたちが、メンバーとして勢揃いしていた、

当時の Berliner Philharmoniker

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、

夢のようなオーケストラだった、のですね。

 

★草津に来日前の Wolfgang Boettcher 先生は、

相変わらずお忙しく、ヨーロッパからいただきましたお手紙には、

Liechtenstein リヒテンシュタイン、

ドイツ・Baden-Baden バーデンバーデン、

イタリア・Bolzano ヴォルツァーノ、

スペイン・Oviedo オヴィエドで、

マスタークラスやコンサートを、開催されていたそうです。

 


★来日前のお手紙では、

Baden-Baden で開催された 「 Carl Flesh Akademie 」  で、

gifted 才能に恵まれた二人の子供のチェロ奏者、

ドイツの13歳男子 Johann Heske、

もう一人は、台湾の12歳になる少女 Nana Ou- Yang が、

私の作品  「 10 Duette für 2 Violoncelli

 チェロ二重奏のための 10の曲集 」  を、

public concert で演奏し、大成功だったそうです。

特に、「 The  girl is a real great talent  」 と、

書かれていました。

お弟子さんについて、" real great talent " と、

先生がお書きになるのを、初めて見ました。

きっと、大変な才能の持ち主でしょう。

将来が楽しみですね。

 


★また、お手紙には、

「 草津で、Empress Michiko 美智子さまと、

Mendelssohn メンデルスゾーンの、

Pianotrio ピアノトリオを弾くのを、楽しみにしています 」

とも、書かれていました。

美智子さまは、Boettcher先生の大ファンだそうです。

お電話で先生にうかがいましたら、新聞などで報道されたほかに、

もう一回  「 二回も Mendelssohn を、演奏しました 」 そうです。

美智子さまも、大好きなピアノを、マエストロと一緒に、

心ゆくまで楽しまれ、さぞかし、お喜びだったことでしょう。

http://www.youtube.com/watch?v=stnEly66Mu0

 
★私の作品を、Leisterのような巨匠に、

演奏していただくのと同じくらい、若く才能がある人に、

演奏してもらうのは、とてもうれしいことです。

「 Fantasy on a Kojo-no-Tsuki 荒城の月幻想  」 は、

私の CD 「 Wolfgang Boettcher plays Japan 」 に、

収録されています。


★上記のデュオは、ベルリンの出版社  「 Ries & Erler 」 から、

出版されています。

http://www.rieserler.de/index.php?manufacturers_id=729

http://www.rieserler.de/product_info.php?products_id=2635
 
http://www.rieserler.de/product_info.php?products_id=2529
 


★9月は、23日横浜みなとみらいでの

「 Chopin が見た平均律アナリーゼ講座 」 6番 d-Moll、

28日は、カワイ表参道  「 イタリア協奏曲第 3回(最終回) 」 の、

アナリーゼ講座を予定しています。

特に、「 イタリア協奏曲アナリーゼ講座 」 では、

Bach が、イタリアの作曲家の 「 協奏曲 」 を、吸収し、

自家薬籠中のものとして、その管弦楽作品を

鍵盤楽器ソロに編曲したかを、お話しています。

 

 


★私の 「 Fantasy on a Kojo-no-Tsuki 荒城の月幻想 」 も、

もともとは、piano と cello の作品でしたが、

2008年版として、piano 、cello 、violin の三重奏に、作曲し直し、

また、2011年 4月 Berlin ベルリンでの、

「 東日本救援コンサート 」 のため、さらに楽器の数を増やしました。


★いま、「 編曲とは何か 」、ということをじっくり考えています。

Myra Hess マイラ・へスや、

Wilhelm Kempff ウィルヘルム・ケンプの、

Bach 作品への素晴らしい編曲と自演を、楽譜を見ながら、

CDで聴くにつけ、

イタリア協奏曲アナリーゼ講座が、終了しましたら、

Bach の編曲作品について、講座で取り上げてみたいと、

思っております。

 

 

 

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