音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■登場する作曲家は年代順でないものの、これが音楽史の根幹です■

2022-06-17 18:12:49 | ■私の作品について■

■登場する作曲家は年代順でないものの、これが音楽史の根幹です■
~私の新著を「ディスクユニオン・御茶ノ水クラシック館」が店頭販売を開始~


                2022年6月17日 中村洋子

 

 

 

 

     
★私の新著《11人の大作曲家「自筆譜」で解明する音楽史》

書店発売は、6月22日ですが、東京・お茶の水の「ディスクユニオ

ン・御茶ノ水クラシック館」の店頭に、6月16日から並びました。

お待ちかねの皆様は、一足早く、このお店でお求め下さい。
https://www.dropbox.com/s/y2iew7zg4cefcgw/%EF%BC%88%E8%A3%8F%E8%A1%A8%EF%BC%8911%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%A4%A7%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E5%AE%B6%E3%80%8C%E8%87%AA%E7%AD%86%E8%AD%9C%E3%80%8D%E3%81%A7%E8%A7%A3%E6%98%8E%E3%81%99%E3%82%8B%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E5%8F%B2.pdf?dl=0


★11人の大作曲家の登場順は、年代順ではありません。

巻頭の作曲家はロベルト・シューマン(Robert Alexander  

Schumann 1810-1856)です。

シューマンは、「Album für die Jugend ユーゲントアルバム( 子供

のためのアルバム) Op.68」の第1曲目を、「Melodie メロディー」

と、名付けました。


★著書で、詳しくご説明しましたが、この曲こそ「Harmonie 和声」

または「Kontrapunkt 対位法」という題名にしたほうが適切である

といってもよい曲です。

シューマンは、何故か「Melodie メロディー」と名付けました。

 

★この曲は一見、教則本「バイエル」と間違えてしまうくらい、

簡素ですっきりと、優しい曲です。

それがどうして厳しい「Harmonie 和声」あるいは「Kontrapunkt 

対位法」と命名してもよいくらいの曲なのでしょうか。

それを本書で、解き明かしました。

その答えをかみ締め、すっと納得できるようになるまで、

読み返してください。

そういたしますと、厳格で近寄りがたいと思われた「和声」と

「対位法」が、イソップ物語「北風と太陽」のお話のように、

暖かく柔らかい、冬の日の太陽のように感じられることでしょう。


★シューマンは、それを意図していたと思います。

そして「こんなきれいなメロディーも《和声と対位法》によって、

できています。ですから和声も対位法もちっとも恐がる事はありま

せん。親切で優しいお友達です」と、七歳の長女マリーちゃんに

語りかけているように、私には感じられます。

 

 

 


★さぁここから、皆様もシューマン先生からいただいた「和声と

対位法を解く鍵」を手にして、続く10人の大作曲家の作品を紐解

いていきましょう。

そうしている内に、クラシック音楽にとって「Melodie メロディーとは

何ぞや」という答えが、カーテンを開けると美しい花園が眼前に

広がるかのように、浮かび上がります。


★その結果、大作曲家が「Melodie 旋律」に付けた、スラーの

位置が、その旋律の冒頭の符頭から著しくずれている、例えば、

前のめりだったり、後ろから始まったりと、大きく離れていても、

それは意図的に書かれ、曲を解釈をする上で、大きな意味がある

ことが、お分かりになっていくでしょう。

一般の市販譜では、スラーは機械的に、符頭から符頭へと

掛けられています。


★この本は音楽史を語る本でありながら、第2章はシューマンの

後に、いきなりモデスト・ムソルグスキー(Modest Mussorgsky 
 
1839-1881)の「展覧会の絵 プロムナード Promenade」

飛びます。

有名な第1曲プロムナードの

「g¹ f¹ b¹ c² f² d² ソ ファ シ♭ ド ファ レ」の「c² f² d²」のスラー

を、ムソルグスキーは自筆譜で変幻自在に、書き分けています。

それが何を意味するのかを、詳しく解説しました。

 

 

 


★そして、そのムソルグスキーの作曲の土台となった作曲家

Frederic Chopin ショパン(1810-1849)が、第3章の主人公です。

第3章は、ショパンの「Valse Op.64 No.1~3」

(ワルツ3曲作品64)を取り上げました。

この3曲のうち、冒頭の「Valse Op.64 No.1」のニックネームは、

「子犬のワルツ」です。

ショパン自身は、この曲にニックネームは付けていません。

このワルツ3曲は、晩年のショパンのとても峻厳な作品といえます。

それを理解しますと、ショパンの本質、真価が更に深く理解できる

ようになることでしょう。


★ショパンが第3章であるならば、当然第4章は、ショパンが終生

にわたって敬愛し、作曲家としての原点、出発点そして到達点と

して、仰ぎみていた Johann Sebastian Bach バッハ

(1685-1750) になります。


★第4、5章では、バッハの「フーガの技法」第1曲を解説しつつ、

何故、「フーガの技法」が《d-Mollニ短調》のみで書かれたか・・・

の謎を、解き明かしました。


★私は、学者先生の本を殆ど読みません。

自分でこつこつ勉強し、辿り着いた結論です。

どうぞお読みください!

このように時間軸とは一致しませんが、これがクラシック音楽史

の根幹であると、自負しています。

これらが分かってきますと、クラシック音楽を聴き、演奏し、勉強

する楽しさがますます深まることでしょう。

どうぞお楽しみください。

 

 

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■《11人の大作曲家「自筆譜」で解明する音楽史》の発売は6月22日■

2022-06-13 17:29:40 | ■私の作品について■

■《11人の大作曲家「自筆譜」で解明する音楽史》の発売は6月22日■

 ~前書:大作曲家の作品に「バッハが宿っていないものはない」~

              2022年6月13日 中村洋子

 

 

 

 

★私の新著《11人の大作曲家「自筆譜」で解明する音楽史》

発売日は、残念なことに、6月17日が22日に変更になりました。

流通の都合で、当初の予定より5日間ほど遅れ、6月22日に書店、

楽器店の楽譜売り場に並びます。

お待たせしまして、申し訳ございません。


★書店へ本を運ぶ流通トラック便が、減っているためだそうです。

雑誌がよく売れていた時代には、毎日のように搬送されていたの

ですが、雑誌が売れなくなり、トラック便が減り、小さな書店ですと、

週に1便まで、落ち込んでいるそうです。

ネットショップでは、注文翌日に配送される現状に照らしますと、

街の本屋さんが苦戦しているのが、実感できます。

 

 

 


★一日でも早く手に取り、お読みになりたい皆様は、

東京・お茶の水の「ディスクユニオン」御茶ノ水クラシック館まで

お出かけください。

この本の発売元です。

〒101-0062  東京都千代田区神田駿河台2-1-18 
                     tel 03-3295-5073
https://diskunion.net/shop/ct/ocha_classic

6月22日の数日前から、店頭販売が始まります。

販売開始日が確定しましたら、又お知らせいたします。


★私は、この「御茶ノ水クラシック館」が大好きで、絶版になった

貴重なCDを数知れず、ここで求めました。

今では入手可能になりましたが、絶版状態だった

「Barylli Quartet バリリ弦楽四重奏団」のモーツァルト弦楽四重奏

の全集を、一枚一枚揃えていった事は、懐かしい思い出です。


★この全集は、LPレコードのジャケットが、そのままCDジャケット

になっていますので、垢抜けたデザインも楽しみです。

ネット上でお手軽に音源をさっと聴き、「ハイ、それまでよ」という

音楽の楽しみ方には、馴染めません。

名演を何度も何度も聴き、学びます。

 

 

 


海外で作られたCDは、優れた解説も多いので、日本版、海外

版のCDが同時にあるときは、躊躇なく、海外のものを選びます

優れた演奏のCDは、解説も見識ある人のものが多く、愛情や

熱意が伝わってきます。

読みごたえがあります。

辞書を引き引き、その解説を読むのですが、こうすることにより、

頭と心に、その内容が沁みこむ気がします。


《11人の大作曲家「自筆譜」で解明する音楽史》「まえがき」

を、ここに転載します。

どうぞこの本を手に取り、じっくりと本当の「クラシック音楽」を

楽しむ手がかりを、ご自分のものとしてください。

 

 

 


★まえがき
 2016 年3月、私は『クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!』を上梓しました。私はそこでは「なぜ、大作曲家の自筆譜から学ばなければならないのか」、その理由と「自筆譜を読み込む方法」について、詳しく書きました。
 本書はその内容を更に深めると同時に、音楽史の流れに沿って、大作曲家の自筆譜を「鳥の目と虫の目」で、さらにもっと深く勉強していきたいと思います。

 「鳥瞰(ちょうかん)」という言葉の通り、大空に舞う鳥の目となってはるか上空から、大作曲家の自筆譜を眺め、作品の「大きな構造」を把握します。それと同時に、小さな虫たちの眼をもって、曲の「細部」を詳しく徹底的に分析する能力を養っていきたいと思います。

 この二種類の「目」を持ちませんと、名曲といわれるクラシックの作品の理解、演奏、そして鑑賞は、底の浅いものとなってしまいます。「鳥の目&虫の目」による分析がなされた上、豊かな感情が溢れ出る演奏こそが、本物の演奏といえましょう。
本物の演奏をすることができる、演奏が本物かどうかを判断できる能力を自身で養うことができる、それこそがクラシック音楽の演奏、鑑賞の醍醐味です。
 
 曇りのない「鳥の目&虫の目」を持つために必要なものは、『和声と対位法』です。「和声と対位法」を自家薬籠中の物 とするのは、至難の業です。本書に取り上げるような大作曲家でなければ、和声と対位法に熟達する、ということは、かなり難しいともいえます。それでは諦めるしかないのでしょうか?

 いいえ、そうではありません。私は、「和声と対位法」とは一体どんなものなのか? という問いに対する答えの手掛かりを、この本で示すことは可能であると思っています。

 本書をじっくり読んで、その手掛かりを体験して下さい。スッと皆様の掌に何かつかめるものがあったとき、何か腑に落ちるものがあったとき、「和声や対位法」という音楽の技術の範疇を超えて、芸術の根本、そして人間の技の素晴らしさ、英知に触れることのできた一瞬なのです。その体験があれば、大作曲家が駆使する「和声、対位法」という大きな山の麓まで辿り着いたことになり
ます。誰のものでもない、皆様ご自身の「和声と対位法」を構築する第一歩なのです。

 無味乾燥な理論書に依ることなく、大作曲家の名曲の中にある「生きた和声」、「生きた対位法」を学びましょう。皆様が「和声と対位法」の真髄に触れたと感じる瞬間を得ることができますよう、私はこの書を編みました。

 クラシック音楽は、バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750)以前と、バッハ以後ではがらっと相貌を変えます。バッハ以前の例えば、ギヨーム・デュファイ(Guillaume du Fay 1397-1474)、ジョスカン・デ・プレ(Josquin Desprez1450/1455-1521)、ウィリアム・バード(William Byrd 1543-1623)など綺羅星のごとく存在する大作曲家の曲に、心を奪われない人がいるでしょうか?

 私の高校生時代、毎日の最大の楽しみは、毎朝6時すぎから始まる NHK のFM 放送「バロック音楽の楽しみ」(1963-1985 放送)を聴くことでした。毎朝むさぼるように聴き、バッハ以前の大作曲家の作品に魅せられていきました。服部幸三先生、皆川達夫先生の平易でわかりやすく、音楽に対する愛に満ちた解説が、放送を聴く人の心を捉えて離さなかった番組でした。
 バッハ以前の大作曲家の作品は、真珠の輝きにも似た美しいものでしたが、番組でバッハの音楽を取り上げた日は、生命力に満ち溢れた太陽が、その姿をこの世に初めて姿を現したかのように、異次元の圧倒的な感動が伝わってきました。

 そしてバッハ以降の大作曲家の作品はどうなったのでしょうか?
モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart 1756-1791)、ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven 1770-1827)、ショパン( Frederic Francois Chopin 1810-1849)本書に登場する大作曲家の作品に、“ バッハが宿っていないもの ” は、皆無であるともいえるようになりました。言葉を変えますと、バッハが宿らない作品は、傑作として成立しなくなったとも言えます。

 「バッハの存在」というのは、それほど大きく重いものです。本書では、そのバッハの影響を、バッハ以降の大作曲家の作品の自筆譜から探っていきます。通してお読みいただけますと、自ずと音楽史の流れが見えてくると思います。

 クラシック音楽の要素は、「和声」と「対位法」、さらにもう一つ、重要な要素があります。それは「旋律」です。ロベルト・シューマン(Robert Alexander Schumann 1810-1856)は、「Album für die Jugend ユーゲントアルバム( 子供のためのアルバム) Op.68」の第1曲の題名を「Melodie メロディー」としました。この命名は、とても意味深いものです。まずはその意味を詳しく説き明かし、「和声」「対位法」「旋律」が、どのように絡み合って楽曲を構成していくか
を見ていくことから、本書の扉を開きたいと思います。
                         
             2022 年 3 月 21 日 中村洋子      


★https://www.dropbox.com/s/y2iew7zg4cefcgw/%EF%BC%88%E8%A3%8F%E8%A1%A8%EF%BC%8911%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%A4%A7%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E5%AE%B6%E3%80%8C%E8%87%AA%E7%AD%86%E8%AD%9C%E3%80%8D%E3%81%A7%E8%A7%A3%E6%98%8E%E3%81%99%E3%82%8B%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E5%8F%B2.pdf?dl=0

 

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする