水曜日の夕方、モミィが熱を出した。
お腹も少し、こわしていたようだ。
翌木曜日の朝、妻と2人で駅前の小児科へ連れて行った。
診察を受け、風邪薬、抗生物質、頓服の解熱剤、胃腸薬などをもらって帰った。
その日の症状はあまり変わらなかったが、38度前後の熱が続いた。
そしてその翌日の金曜日の早朝…
モミィといっしょに寝ていた妻が僕のところへ来て、
「モミィの様子がおかしいの」
と、心配そうな顔で言った。
39度以上の熱があり、口内炎や喉の痛みを訴えて、
お茶も水もアクエリアスもジュースも、何も飲まないという。
モミィは布団の上で 「痛いよう、しんどいよう」 とシクシク泣いていた。
むろん、こんな早朝に、まだどこの医院も開いていない。
「救急病院に連れて行ったほうが…」 と妻。
「そうやね。救急…って、どこにあるのかなぁ?」 と僕。
消防なら詳しいだろうと、地域の消防本部に電話をした。
電話口に出てきた消防士に、
「小学校1年生ですが、発熱がひどく、救急病院を探しています」
と伝えると、「じゃ、メモのご用意をお願いします」 と言ってから、
「え~っと」 と何かを調べている様子。
「小児科ですね…。小児科…。 え~、河〇総合病院がありますね」
「どこにあるのですか?」
「東大阪市の〇本付近だと思います。電話番号を言います」
僕は言われるままにメモしたが、ここからはずいぶん遠い。
「遠いですね。 もっと近くにはないのですか?」 と聞くと、
「小児科が…なかなか、ないのです」 と申し訳なさそうな声に、
「わかりました。ありがとうございました」 と電話を切った。
モミィはもう乳幼児ではなく小学生だし、症状は風邪である。
小児科でなくても、内科の先生でも診てくれるのではないか。
そう思って、急いでネットで近隣の救急病院を調べてみた。
消防士が言ったように、内科や外科は沢山あるが、小児科はない。
そこで、僕も何度も通ったことのある城〇病院へ電話をした。
「小学1年の女の子で、高熱が出てます。診てほしいのですが」
すると電話に出た男性は、「申し訳ありませんが…」 と前置きし、
「それは小児科になります。当方に小児科はありませんので…」
「でも、内科の先生がおられるでしょう? 風邪の症状ですから」
なんとか診てもらえないか、と僕は言おうとしたけれど、
「すみません。ダメなんですよ。内科の先生は診られないのです」
これ以上言っても押し問答になるだけだ、と思った。
「では、どこかこの辺で小児科の救急のあるところ、知りません?」
と聞いてみたが、相手は「ちょっと、それは…」と口ごもったので、
「わかりました」と僕は電話を切った。
次は自分が2ヵ月に一度通う徳〇会病院に電話をした。
ここならどんな状況でも患者を引き受けてくれるはずだ。
「もしもし、うちの小学校1年生が、熱で苦しんでいるのですが…」
「は? 小学生さんですか?」
「そうです、小学1年生です」
「それは小児科に…」
「ええ、わかっているのですが、この辺に小児科の救急がないのですよね」
「はぁ…」
「で、風邪引きのようだし、内科の先生に診てもらいたいと思いまして」
「はぁ…、しかし、小児科の先生がいませんので…」
「だから、内科の先生に診てもらいたい、ということで…」
「いえ、内科の先生では小児の治療法はわからないわけで…」
「わからない? なんで? 風邪引きぐらいがわからないの?」
救急でなければ、普通は、内科でも小学生を診てくれるはずだ。
電話の相手は黙ったままなので、
「僕もそちらの病院へ何年も通ってるんですよ。なんとかなりません?」
と、僕は別の方向から攻めてみた。 しかし…
「はぁ…。すみません…」 という声が返ってくるだけである。
「ですから、なぜ内科の先生が小学生の風邪を診られないのですか?」
…と、自分でもしつこいとは思いながらも、懸命に食い下がる。
「薬の出し方とかがですねぇ、小児科の先生しかわからないのです」
「薬の出し方…?」
「はい。子供さんの場合、出す薬の量が年齢によって違ってきますので…」
「はぁ…、う~ん、まあ、そりゃそうだと思いますが…」
「そこが内科医は専門外とのことで、出来ないことになっています」
へぇ~
そういうこと…?
「じゃぁ、いったい何歳までが小児科なのですか?」 と質問を変えた。
「15歳未満です。ですから、14歳までが小児科です」
14歳までは小児科…?
14歳と言えばすでに中学生ではないか。
それでもまだ小児科なのか?
「15歳以上は薬の量が大人と一緒ですので、内科医が診られるのです…」
「…ふ~ん。 わかりました。 朝早くからどうも」 と僕は電話を切った。
何のことやら…
結局僕は最初に消防で教えてもらった河〇総合病院に電話した。
電話の受付の男性は、僕の話をきちんと聞いてくれ、
「わかりました。ではお名前と生年月日を教えてください」
と言った。
「はい。 名前は〇〇、生年月日は、昭和…」 と僕。
「あのぉ、お子様のお名前と生年月日なんですけど…」
げっ。 恥ずかし~
つい、自分の名前と生年月日を言ってしまったのだ。
「すみません。名前はモミィ、生年月日が平成17年の…」
…ということで、行く準備をしたら、妻が 「ちょっと」 と声をかけた。
「どうしたの?」
「熱が38度に下がったの」
さっきは39度5分くらいあったのに…
それに、口の中を痛がって飲めなかったジュースも今は飲んでいる。
あちらこちら電話をしているうちに、モミィの症状が和らいできたようだ。
「どうする…?」
「医院の開く9時まで待っても、いけそうやね」
そんなわけで、すったもんだのあげくの果て、結局、
救急病院に頼らず、かかりつけの医院へ行くことにした。
河〇総合病院には、キャンセルの電話をかけ、お詫びした。
医院では、昨日今日と2日連続で来たものだから、
モミィに、点滴をすることを勧めた。
「てんてき、イヤや~」
とモミィが言っても、またしんどくなるよ…と妻が言い聞かせ、
看護師さんについて、処置室のほうに2人で入って行った。
あぁ、やれやれ…
なんとか一段落したようである。
この2日間、初めて学校を休んだ。
そして今日の土曜日は、口内炎が出来てそれが痛いと言っている。
午前9時半現在、熱は37度台である。
機嫌はずいぶんよくなって、口数も増えてきた。
この土・日曜日はキックベースの練習には行けないけれど、
2日間で完治させ、月曜日からまた学校へ行けるようになってほしい。
それにしても…
どうして小児科救急がこれだけ少ないのか?
しかも、14歳までは小児科…というではないか。
時間外に切迫した症状を起こす子も多いはずだ。
そのことが腑に落ちないし、不思議でしようがない。
これでは子育て中のママたちも、不安で仕方ないだろう。
なんとかならんもんでしょうか…?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます