学生時代から上方落語が大好きだった。
寄席の舞台にもよく足を運んだ。
特に好きだったのは、桂米朝と桂春団治だった。
その米朝さんが去年3月に亡くなられたと思ったら、
今度は春団治さんが亡くなられた。
年齢的にも、もう高座は見られないのはわかっていたが、
やはり、亡くなられたとなると、寂しさがこみ上げる。
春団治さんの落語は、新聞等で書かれているように、華麗だった。
そして、話しながら、羽織をさっと脱ぎ捨てる仕草も粋だった。
十八番(おはこ)の「代書屋」などは、僕は全部暗記して、
近大の学生だった頃、小さな舞台でそれを演じたこともある。
それを見たケイコさんという女友達が、
当時、関大出身の桂三枝(今の文枝)が人気上昇中だったことから、
「あんたも、落語とかのお笑いの世界に入ったら人気が出るかもね。
普通のサラリーマンになるより、ずっと楽しい人生を送れるわよ」
などと真剣に、僕に落語家になることを薦めたことを思い出します。
それだけ大好きだった落語。
米朝、春団治をこの目で見て、この耳で聴ける幸せを感じていた。
梅田のホールへ落語会を見に行ったある時、
トリに春団治が出てきて「皿屋敷」を演じた。
お菊さんが井戸から「うらめしや~」と出てきて、
「いちま~い、にま~い、さんま~い」と数える噺だけれど、
僕はそれ以来「皿屋敷」にハマり、本を買ってこれも全部暗記した。
しかし、それは社会人になってからで、人に聴かせる場もなく、
仕方なく、妻の姉の家に遊びに行ったとき、そこで一席ぶった。
皆、こんなものを聴かされて、さぞ迷惑したことでしょう(笑)
その春団治さんの「皿屋敷」が明日17日(日)午後2時から、
NHK・Eテレで全国放送されますので、ぜひご覧を。
ところで、
春団治さんが亡くなられたのは1月9日でしたが、
その日は、僕の誕生日でした。
……不思議な縁を感じます。