僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

 耳鳴り・TRT療法というもの

2008年01月09日 | 心と体と健康と

 
 
今年の1月4日は、僕の耳鳴りが始まってから100日目だったそうです。
 ~だったそうです…というのはまるで他人事のようですが。
 誰がそう言っていたのか?

      ↓

 1月4日のテレビニュースがそう言っていました。

…とまあ、新年早々ボケた話から入るわけですが、むろん「のんさんの耳鳴りから100日が経ちました」とテレビが伝えるはずはないけれど、実は、僕の耳鳴りが発症したのは、昨年の9月26日のこと。この9月26日というのは、自民党の福田さんが内閣総理大臣に就任した日と同じ日なのである。

そのおかげ(?)で、新聞やテレビを見ていると、
10月26日には「福田首相、就任から1ヶ月…」
11月26日には「福田政権2ヶ月目を迎えて…」
12月26日には「福田総理3ヶ月の成果は…?」
…などと、毎月26日が来ると首相就任何ヶ月目、というニュースが報じられるので、それと同じ日から耳鳴りが始まった僕は、「あぁ、耳鳴りからもう2ヶ月かぁ」とか、「3ヶ月なぁ、う~む、この先いったいどうなるのか…」などと、なんとも言いようのない感慨を抱いて、僕にとってはこの上もなく忌まわしい9月26日という日を、思わず振り返ってしまうのである。

…そんなとき、1月4日のニュースで、「福田政権100日の歩み」という特集なんかをやっていたので、

 あ~、耳鳴りからもう100日か…

となったわけで…。
ただそれだけの話です。わけわからなくて、すみません。

でもね。この先、福田政権がどれくらい続くのか知らないけれど、福田内閣より僕の耳鳴りのほうが「長期政権」になるかもしれない。いやだなぁ…。


さて、それから4日過ぎた昨日の1月8日。つまり耳鳴り発症から104日目に当たる日、僕は、大阪城公園の隣にある大手前病院へ行った。昨年10月以来、耳鳴りでこの病院へ行くのは4回目か5回目くらいになる。

年末はいろんな都合で行けなかった。
薬をもらわなければならないので、妻に代わりに行ってもらった。
その際、妻に、医師への手紙をことづけた。
「次回はTRT療法をお願いしてもいいですか?」という短い内容の手紙だ。
それに対して医師は「では次回にそのお話をしましょう」と言ってくれたそうだ。

だから今回はちょっと「意気込み」が違うのだ。
「今日こそは、医師にTRT治療のことを直訴しなければ…」
そう心に決めての病院行きだった。

(TRT療法とは慢性耳鳴りの治療法のひとつ。後ほど詳細を…)


しかしまあ、9連休だったというのに、なんとも冴えない年末年始だったなあ。
休暇中、僕の耳鳴りの症状は、まったく改善する兆しはなかった。
それどころか、風邪をこじらせて体調が悪かったことも関係していたのか、左側の耳鳴りは今までよりもさらにキーンと高く鋭い音に増幅し、右耳の側もそれに呼応するかのように高くなり、苦痛度がいよいよ増してきた。「慌てるな。怖がるな。
焦るな。気にするな。どうっていうことないねんから…」と懸命に自分の心に言い聞かせ、それによって心身症を起こさないように努力をするのだけれど、数日間は吐き気と疲労感と食欲不振が続いた。まあ、飲酒も原因になっていたのだろうけど、9連休で数キロ痩せ、仕事始めの日に履いたズボンはブカブカであった。

さて、昨日の1月8日のことに話を戻す。
午前中だけ仕事の休暇をもらって、僕は朝から病院へ行った。

病院の耳鼻咽喉科の待合で、僕の前の男の人は、鼻血が止まらず苦しそうだった。その前の人は、強いめまいがして仕事ができない、と嘆いていた。
病院を訪れる人たちは、みんな、それぞれ大変なんだ。
ま、それはさておき…
40分少し待って、僕の順番が来た。

診察の前に、二重の扉に仕切られた聴力検査室で検査を受ける。
検査が終わってから診察である。
聴力は、高音部の難聴が少しあるという、これまでと同じ結果だった。

これまで、病院へ来て、医師の診察を受けても、聴力検査をして、デパスという安定剤をもらうだけだった。しかし、今日はこれでは引き下がれない。
医師に現状を細かく伝えて、
「少しでも苦痛の度合いを軽くしたいので…」
ということで、本格的な治療をぜひお願いしたいと訴えた。

「前回は奥さんが来られまして、TRTというご希望でしたね…」
医師は落ち着いて、カルテを見ながら、
「では、そういうことにしましょう」
と言ってくれた。

医師が僕の症状について理解を示してくれたことがうれしかった。
医師は、耳鳴りは数ヶ月間で慣れる人も多いので、これまで様子を見ていたけれども、そういう状況であれば、今後はTRT療法に切り替えましょう、と言ってくれたのである。あ~、いい医師に当たってよかった。

やっと耳鳴りの治療への出発点に立てたという気持ちであった。

TRT療法とは、耳鳴りを意識しないように訓練するという治療方法で、比較的新しい療法だそうである。TCI(Tinnitus Control Instrument)という耳鳴り制御機器があって、超小型の耳かけ形の補聴器のような形をしたものなのだが、これを耳にはめる。その機器からノイズを発生させ、耳鳴りに対する意識レベルを下げる訓練であって、最終的に耳鳴りを消すのが目的ではなく、あくまでも「意識しないように」訓練をするものである。

1日にかなり長時間装着し、しかも効果が出るまでには1年以上かかると言われている訓練なので、生半可なことでは続けられそうにもない。だけど、耳鳴りの苦痛は、それ以上に生半可なものではなく、その苦痛を少しでも軽減できるのならどんな苦労も厭わない、という気持ちも、耳鳴りで悩む人たちの真情である。

さて、医師の診察を終えた後、TRTに関する予備検査というのをした。
検査技師さんが僕の隣に座って、まず、
「今現在、耳鳴りの大きさは、ゼロから100までのうち、どれくらいですか?」
と尋ねてきた。
「えっ…? 今、ですか?」
と僕は一瞬考える。
その時もキーンと鳴り響いている耳鳴りだが、果たしてこれがいつもと比較してどの程度の大きさなのか?
今は病院へ来ているという安心感とか、TRTに関する対話に集中しているとかの心理が働いているから、めっちゃ大音量だという感じはしない。普段の方がもっと音が大きい。しかし、今はゼロから100までのうちどれくらいか、と言われるとなぁ~。むずかしい。
「…そうですね。70くらいでしょうか…」
と、ここは自信なく、適当に言わざるを得なかった。

そのあと、機器を使って、耳鳴りの高さや、大きさの検査をした。
ヘッドホーンをつけると、「ピー」とか「プー」とか「ジー」とか「キーン」とかの音が繰り返される。
「どの音が今の耳鳴りに一番近いですか?」と技師さんが尋ねる。
「キーン、です」と僕は答える。
その次は、ヘッドホーンをつけたまま、そのキーンという音が少しずつ大きくなるのを聴く。
「耳鳴りの音と同じくらいの大きさになったら言ってください」
これで耳鳴りの音量を計るのである。
耳鳴りの種類や音量は客観的に計測できないので、すべて僕自身の主観だ。
ちょっと頼りないが、まあ大体この辺だろうというところで「はい」と答える。

次に「ザ~ザ~ザ~」というノイズの入ったイヤホーンをつける。
それで耳鳴りの音が消えるまでボリュームが上げられる。
これがTCIと呼ばれる耳鳴り制御機器と同種のものなのだろう。
それをつけて、1分間じっと目を閉じ、「ザ~ザ~ザ~」を聴く。
1分後にイヤホーンを取ると、耳鳴りはピタリと止んでいる。
…が、数秒したらまた「キーン」と小さく響き始め、すぐに元の音量に戻った。
「あ、聞こえない。あ、聞こえてきた。あ、今、元の音量に戻った」
と、そのつど、技師さんに伝えるのである。

そのあと、耳鳴りに関する問診票のほか、精神分析や性格テストみたいな内容の用紙を何枚かもらった。
「次回までに、書き込んでおいてくださいね」
と検査技師さん。

次回は1月23日と決まった。

その時にTRT療法のより具体的なことを教えてもらえるのだろう。

まあ、とにかく、耳鳴り発症後104日目に、ようやく本来の治療に向かってレールが敷かれたことにいささか安堵している。耳鳴りが強くとも、「耳鳴りを克服する訓練が控えている」と思えば、それを心の支えにして耐えることもできるだろう。

まずはお正月だから、これを「おめでたいこと」としておこう。
あとは、頑張るしかないけれど…。

 

 

 

コメント (15)
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