月末の開花予想の日が次第に近づき、目黒川の桜も
日に日に膨らみを増しています。
川の色も流れる風も何となく春めいてきて、人々の服装と共に
明るい春の色彩に変わってきました。
そんな中、目黒川に沿って夜桜を楽しませる沢山の提灯の
準備が始まりました。
しかし、今年は至る所に宴会中止を求める掲示板が貼られています。
毎年目黒川の桜は有名になり、その結果沢山の花見客で溢れる
全国区のお花見場所として知れ渡りました。
特に、ここ数年は、交通渋滞が起こるほどの賑わいで、
ピーク時には歩くのもままならぬ状態になっています。
私もこの地に住んで、早30年以上になりますが、初期の頃のお花見と
近年の状況はまるで別の土地であるかのように変わってしまいました。
目黒川の護岸工事が何度か行われ、今の様なしっかりとした遊歩道に
頑丈な手すりとなりました。
かつて、川面まで続く土手には、菜の花やタンポポが咲き乱れ、
今の季節は、つくしをとって料理の一品にしたものでした。
この頃は、桜を見る為に特別に場所取りをしなければならない事は無く、
好きな場所で集まって、近所の方々と桜を愛でる会をしたものでした。
むやみに騒ぐ人もなく、酔っ払ってヒンシュクをかう人はまずいませんでした。
当時、宴会の席で毛布に包まれて寝ていた息子も、今では立派な社会人。
子どもたちは母になり父になり、今では自分の子供を連れての参加です。
何十年も続いている集まり、この時期に他県に移った方も集まります。
毎年同窓会の様に集まる面々、お互いの近況を聴き、子供たちの成長に
目を細め、桜の下に集えた喜びを感じます。
そんな、長い間行われてきた地域の大切な集まりが今年はできません。
確かに最近はマナーの無い乱暴な花見客も多く、宴会による場所取りが
交通の妨げになったり、その後のごみ処理に地域の人に多大な迷惑が
掛かっている事も事実です。
しかしながら、何も相談もなく、何の対策もなく、一方的に中止を言われても
素直に従おうと思う方は少ないと思います。
家族同士、ご近所同士が、普段なかなか交流が無くても、この時期になれば
子どもから年寄りまで同じ話題で楽しく会話ができます。
桜の力は、単に綺麗だけでなく、世代間を超えた心の触れ合いの大切さを
教えてくれるのです。
桜を見て、ただ飲みたいと言う人もいるでしょう。
しかし、この時期に家族や地域の人々の心の触れ合いが生まれている事を
中止を決めた方々は解っているのでしょうか。
様々な方々が宴会を行なっています。
人に迷惑を掛けるような方もいるでしょう。お酒を飲まず静かに桜を楽しむ方も
多いでしょう。様々な問題が生まれているのは事実です。
でも、誰もが桜が大好きで集まっていいるのです。
桜を愛でて、楽しむ気持ちは同じでしょう。
でも、その喜び楽しみに水を差すようなことでは、せっかくの花見も台無しです。
桜を見に来る方々の意見をよく聞いて、どうしたら皆が本当に楽しめるのか
十分なディスカッションが行われたのでしょうか。
一部の意見だけを聴いて勝手に判断したのではないでしょうか。
目黒川の桜が日本中に知れ渡り、沢山の人々がその素晴らしさに感動し
幸せな気持ちになってくれたら、ここに住む私たちにとって、
こんなに素晴らしい事は有りません。
私の意見から言うと、夜桜様に設置されるコマーシャルの書かれた
桜と合わない無粋な提灯はどうにかしてほしいものです。
毎年、提灯に店舗名を書くことにより収入を得ていると思いますが、
余りにも粗雑で、桜の風景に全く合いません。
収入を得る事が目的となり、桜とのバランスが最悪です。
更に、宴会で言えば、あのブルーのビニールシート程、
桜の美しさを損ねているものは有りません。
桜の美しさを本当にに考えるなら、様々な観点から意見を出し合い
美しい日本の四季として世界に発信していくべきだと思います。
街の美しさや自然の美しさはそこに住む人々や訪れる人々によって
長い時間をかけて作られていくものと思います。
目黒川の美しい桜が、未来の人々に愛され育てられていくには
目先の事や、一方的な考えで判断されない事を願いたいものです。
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