めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

緑の回廊と香しい焼き立てのパン

2016-05-02 15:35:44 | 連休

ソメイヨシノが川面に散って、緑のトンネルに変わると、
その足元に色鮮やかなツツジが咲き誇りました。
しかし、その華やかな姿も、五月と成ると次第に色あせ始め、
季節の移り変わりの速さに驚かされます。

今日は、平日とは言え、連休としてレジャー真っただ中の方も

多いとは思いますが、日曜日にしか休みを取れない個人営業は
残念ながら、多くの観光地で笑顔を浮かべ、美味しい物を食べる
人々をテレビで見るのみです。

毎年の事であり、朝夕のラッシュアワーを免除されているから善しと

考えるべきかもしれませんが、それにしても、一度くらい有給休暇成るものを
取ってみたいと思ったりします。

今朝、久し振りに早起きして、と言うより、昨日アルコールを飲んで

早々と寝てしまった為に早朝に目が覚めてしまいました。
春先までは、規則正しく早起きをして、ウォーキングをしていたのですが、
桜の花が咲くころから仕事が忙しくなった事もあり、疲れがたまり、
早朝に目が覚めない状態でした。

先月末に仕事がひと段落して、連休ののんびりとした日々と成りました。

仕事に関わっていた方々は、観光旅行をしたり、家族奉仕をしたりと、
多くの方が休みを取っている事から、出勤して来てもパッタリと暇となりました。

やや曇り気味な目黒河畔に出てみると、いつの間にか、深い新緑に包まれ

遊歩道の先が薄暗くなっています。
一か月前には、華やかなピンクのトンネルが続いていたのですが、今や、
うっそうと茂る緑の桜葉が、歩道全体に被さる様に広がっています。

連休なのだからでしょうか、歩く人の数は極端に少なく、単に早朝と言うだけでなく

巷はお休みムードで、どこかにお出かけをしているのかも知れません。
数キロ歩いて、いつもの公園までやって来ると、前回来た時に、大きな花を付けて
豪華な雰囲気を見せていた普賢象や一葉と言った八重桜がすっかりと緑に成り、
公園全体の色を変えていました。

最初に咲いていた修善寺桜は、沢山のサクランボが赤く色づき始め、周囲の色は

赤や黄色のバラの原色に変わっていました。
この地は、東京でも数少ない富士山が見える場所として有名ですが、
気温が上がって来た為か、西の丹沢山系に見える富士の姿が見つけられません。

しばらく高台からの眺めを楽しんだ後、また目黒河畔に降りてくると、やはりそこは

緑のトンネルに深く覆われ、桜の頃の景色とは全く別の世界と成っていました。
ブラブラと自宅に向かって遊歩道を歩いていると、いつもの香しい匂いが漂って来ます。
帰る途中にあるパン屋さんです。

ウォーキングが目的なので、中に入る予定は有りません。

しかし、足先はどんどん入り口に向かってしまいます。
一生懸命その場を去ろうとするのですが、その香りは、私の心を鷲掴みにして
一気に店内に引き込みます。

何と香しいパンの焼けた匂いでしょう。強靭な意思も、あっという間にへなへなと

消え去ってしまい、喉の奥から食べたいと言う欲望がせり上がって来ます。
眼の前で焼いている様々なパンは、触れると熱くホクホクしています。
後、1キロもすれば自宅なのに、何と意思の弱い事か。

パン袋を片手に家に帰ると、眠そうな目を擦りながら、妻が寝床から起きて来ました。

叱られるかと思いきや、また、いつもの事か、と言った諦めの目を私に向けると、
そのまま、また寝床に向かいました。
朝食の時間には、まだ一時間以上あり、妻はもう一眠りするようです。

汗をかいた洋服を脱ぎ、乾いた下着に変え、軽い家着に着替えると、

先ほど買ったパンの袋が、蒸気で濡れています。
思わず手を伸ばすと、まだ温かくて柔らかい生地に指先が吸い込まれます。
口の中に放り込むと、焼きたての香ばしさと、水分を含んだシットリ感で
心の中まで癒されます。

しばらくして、妻が朝食の準備に起きてくると、私の手元を見て、一言、

また朝ご飯が食べられなくなるでしょ!
解かってはいるのですが、ウォーキングの意思を凌ぐ誘惑の香りにまたもや
負けてしまった私に、子供を叱るように見る妻の目は優しい諦めの眼差しでした。



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