ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2021年5月24日。緊急着陸事件余波

2021-05-24 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 2021年5月24日。昨日のライアンエアーがミンスク空港に緊急着陸した事件の余波が続いています。

 ミンスクで身柄拘束されたテレグラムチャンネラー、プロタセヴィチ氏ですが、いっしょに登場していた恋人も身柄拘束されました。この恋人ですが、ウラジオストック出身のロシア人で、リトアニアの大学生です。ベラルーシ国籍ではないのですが、要するにロシア国籍の人だろうが何だろうが、ベラルーシの警察は反ベラルーシ政府の人間はみんな逮捕するということです。

 プロタセヴィチ氏の友人の話では、アテネ空港で搭乗するとき、プロタセヴィチ氏は空港内ですでに誰か複数名の人物に尾行されていたそうです。確実に搭乗するかどうか確認していたのしょう。

 ミンスク空港で緊急着陸したとき、プロタセヴィチ氏とその恋人が拘束されたので、その後ビリニュスに到着したとき、乗客数は2人減っていたのは分かるのですが、実際には6人減っていました。この4人はもしかして、アテネ空港でプロタセヴィチ氏を尾行していた人でしょうか。

 最初から緊急着陸させる計画だったのでしょう。

 ライアンエアーの最高経営責任者は、今日、強制着陸させられたことについて、「国家主導のハイジャック」と非難しました。

 偶然この飛行機に乗り合わせていた無関係の乗客も大迷惑です。あなたの乗っている飛行機に爆発物が仕掛けられているかもしれません、と言われたら恐怖以外の何物でもないし、緊急着陸後、爆発物がないのは分かっているけど、ベラルーシの係官に全身金属探知機を当てられ、荷物検査を受けて、ストレスです。

 それで後になって、乗客の1人を逮捕したかったから、爆発物があると言った、と聞かされたら、どんな気持ちになるのか。また私の予想ですが、ギリシアからリトアニアに用事があってそこへ向かっていた、という乗客は少なくて、多くは乗り換えのためにビリニュス空港に向かっていたと思うんですよ。ビリニュス空港はハブ空港として、人気の空港なのです。それがミンスクにっ緊急着陸して、7時間も到着が遅れていますから、次に乗ろうと思っていた飛行機に乗り遅れた人が大勢いたと思います。

 気の毒です・・・。団体の訴訟問題に発展するかもしれません。

 

 またこのライアンエアーの飛行経路記録では、ミンスクの管制塔が「爆発物が仕掛けられている可能性があるので、ミンスク空港に緊急着陸せよ。」と指示を出した時点では、同機から最も近い空港はミンスク空港ではなく、ビリニュス空港であったことも判明。

 ほとんど目的地に近づきつつあったのに、引き返したことになっています。しかもミンスク空港にまっすぐ飛行するのではなく、迷走しているように見えるのです。私の予想ですが、おそらく旅客機の多いミンスク空港ではなく、バラノヴィチ軍用飛行場に着陸させたかったのではないでしょうか。(そこにハイジャック対策の設備があって、爆発物処理しやすいなどの理由から。)

 しかし、バラノヴィチ市郊外で5月19日軍用練習機が墜落してパイロット(ベラルーシ人軍人)2名が死亡する事故が起きており、これは政治は無関係な事故ですが、昨今「いつヨーロッパが攻めてきても国は国民を守ってみせる。ベラルーシ共和国軍は強力だ」アピールをしていた政府からすると、イメージダウンの事故です。

 結局、今バラノヴィチなどの軍飛行場を使用するのはイメージが悪い、そして結局、爆発物処理をするつもりが最初からなかったので、首都近くのミンスク空港に着陸させようかと、移動中に決めたような気がします。

 ミンスク空港に向かう途中、ミグ戦闘機が誘導していましたが、これも爆発から機体や乗客を守るためではなく(飛行中に爆発が起きたら、守るのは不可能)確実にミンスク空港に着陸させたかったのでしょう。もし、パイロットが管制官の言うことを聞かずに別の方向へ飛んで行こうとしたら、ミグが旅客機に対して威嚇射撃していた可能性もありますね・・・。(可能性はかなりゼロに近いですが、ゼロではないです。)

 ちなみにミグ戦闘機の発進命令を出したのはベラルーシ大統領だと、国営メディアも伝えていますが、報道の仕方が、外国の旅客機の安全確保のために戦闘機まで発進させてあげて、気配りができる優しくて賢明で頼り甲斐のある大統領ですねと国民にアピールしているように思えるのです。

 ロシア政府側はベラルーシ政府の対応を賞賛、擁護。欧米諸国が今回の緊急着陸に対して、ショッキングな事件と評しているのが逆にショックですよ、と見解を述べています。

 プロタセヴィチ氏は反政府を何年にも渡って行っていたのですが、主に反政府活動について、ネット上で情報発信していたのです。政府は政権転覆(クーデター)を計画して扇動した疑いで指名手配。直前にプロタセヴィチ氏はオンラインメディアの編集長をしていましたが、辞任すると言って国外へ出国。ポーランドに行っていたはずですが、最近はリトアニアで活動を続けていたようです。

 一歩でもベラルーシ国内に足を踏み入れたら、逮捕、そして死刑になると分かっていたでしょうが、ベラルーシ領内を飛び越えるのは大丈夫だろうと思っていたのでしょう。しかし、ベラルーシ政府の執念なのか、無理やり飛行機が着陸させられました。

 ベラルーシ政府からちょうど乗り合わせていた乗客の証言によると、プロタセヴィチ氏はベラルーシに安全上の問題により緊急着陸するとアナウンスがあったときには、それが何のためなのか(爆発物は関係ない)すぐ分かったらしく、機内持ち込みの荷物から、所持品を出して壊していたそうです。証拠隠滅でしょうか。(全然事情を知らない乗客がこれを見たら、この人が爆発物を仕掛けた人?と勘違いしそうですね。)

 連行されるとき、プロタセヴィチ氏は「私はここで死刑になる。」と言っていたそうです。

 乗客数は170人だという報道もありますが、123人が正しいと思います。この中にアメリカ国籍の乗客がいたため、アメリカの国務長官はルカシェンコ政権を非難するとともに、プロタセビッチ氏の釈放を求める声明を出しました。

 EUも「全く容認できない。説明をベラルーシに求める。」と述べました。これからどうなるのか・・・。

 


ベラルーシのコロナウイルス感染者38万6978人。死者数2780人

2021-05-24 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報

 2021年5月24日の書き込みです。

 ベラルーシのコロナウイルス感染者数は386978人になりました。1日の新規感染者数は953人です。減ったように見えますが、新規検査数も10102件と減ったので、感染拡大のスピードはそのままだと思います。

 死者数は2780人です。 

 377105人が回復しました。

 622万件を超える検査数となりました。

 

 ベラルーシはやっと気温が上がってきたのですが、そうなるとマスクをする人がどんどん減るので、心配です。