2021年5月18日午前、独立系メディア、トゥト・バイに治安部隊が乗り込みました。家宅捜査トップ・マネージャー、ニュース編集長、ジャーナリストなど次々と身柄拘束を受けています。
そして、トゥト・バイのサイトやブログなどが閲覧できなくなりました。政府がブロックしたことを公表しました。
少し前までは、「治安部隊が家宅捜査に来ました。」と自分たちでニュースにして報道し、実況中継のようになっていたのですが、昼過ぎにはサイトが閲覧できなくなりました。
モギリョフ支局のスタッフも所在不明です。ゴメリ支局、ブレスト支局も午前10時台に家宅捜査が始まりました。来たのは財務捜査局なので、フェイクニュースを流しただろう、といった疑いではなく、あくまで金銭の流れ(賄賂を受け渡ししているなど)を捜査に来たようです。(その後の報道では、脱税の疑いで捜査に来たことが判明しました。)
もう今朝から全国一斉に捜査の手を入れることを政府は計画していたようですね。
拘束されたジャーナリストの自宅も家宅捜査を受け、自宅からそのまま警察へ連行されたジャーナリストもいます。同行する弁護士もいます。独立系メディアで反政府活動を隠さず報道しているメディアはこうなることをとっくに予想していたと思います。それで、弁護士などもちゃんと用意していたと思います。
トゥト・バイ創立者はすでに故人ですが、その夫人も所在不明になりました。後で自宅が家宅捜査されていたことが分かり、それは数時間後に終わったものの、血圧が上がって体調が悪くなり、病院に搬送されました。このまま入院という名の身柄拘束にならなければいいのですが。案の定、病室の周りを治安部隊が固めているようです。
トゥト・バイ関係者で今、所在不明になった人は今、警察で尋問を受けている可能性が高いです。
午後2時45分には、EU各国の財ベラルーシ大使が一斉にベラルーシ政府に異議声明を発表しました。反応が早いですね。
アメリカ大使館も厳しい非難声明を発表。基本的人権と自由をベラルーシ政府に求めています。
(こういう場には日本大使は沈黙しています。報道の自由が弾圧されていることに異議を唱えないということは、弾圧を認めるんですね、日本政府は・・・そういう国なんですね、日本は・・・と現地人に思われても仕方がないですね。)
野党リーダー、チハノフスカヤ氏も異例の早さでビデオメッセージを作成、ネット上で公開しました。「報道機関への殺人行為」と厳しく批判しています。
ベラルーシ・ジャーナリスト協会も政府に対して批判声明を発表しました。そのほかの独立系メディアも政府に一斉に反発。今回のニュースを大きく取り上げています。明日は我が身という気持ちもあるでしょう。しかしジャーナリストとしては、報道の自由への政府の弾圧というのは見過ごせないと思います。
欧州安全保障協力機構はトゥト・バイをめぐる状況について懸念を発表しました。またベラルーシのメディアの報道の自由は危機的状況だと言及しました。
リトアニア外相は、トゥト・バイに対して、拠点をリトアニア国内に移すことを提案しました。またスタッフについてもリトアニアで難民指定する考えがあると発表しました。あくまで今のところ外務相一人の意見です。
政府は、刑事事件としてトゥト・バイを告訴する、と発表しました。もっとも容疑は脱税です。すでにスタッフなど14人が逮捕され、起訴されるという情報もあります。またこのうち3人はオクレスチナ収容所に現在収容されました。
大統領は捜査に関わった治安部隊などに対して、労を労う言葉を国営テレビニュースで流しました。