ベラルーシ日本語能力試験実行委員会から、今年7月に予定されていたミンスクでの試験実施が、コロナウイルス感染拡大のため中止と決定したという連絡が来ました。
昨年7月の試験は全世界全ての会場で中止。12月はそれぞれの地域の状況により、実施された会場と中止になった会場といろいろでしたが、ミンスクはもともと1年に1回だけ、それも7月だけの実施と決められているのです。
昨年申し込んで受験料を支払ったベラルーシ人に対して、すぐに返金あるいは1年後(2021年)の受験料に振り返るかどちらか選んでください、と言われ、返金手続きが面倒なのと、全額返ってくるわけではない(銀行の手数料が引かれる)さらに来年必ず受験するから、と返金手続きを取らなかった人もいるのです。
その受験希望者(すでに受験料支払済の人)に対して、また中止になったから、今回は全員返金します、とミンスクの実行委員会から日本語教師に生徒さんに説明しておいてくださいねというメールが届いたのです。
ベラルーシでは建国以来ずーっとインフレが続いているので、1年前の80ルーブルで買えていた物が、もう今年は買えないのですよ。再び中止する可能性も考慮に入れて、去年申込者全員に一律に返金するべきでしたね。結局は時間差で全員返金になって、去年返金だった人と今返金になったベラルーシ人の間に不公平感が生まれています。
1年前に授業料支払済みの人がいるのですから、もうちょっと実施に向けて進めてほしかったです。コロナウイルス感染がベラルーシで拡大しているから、というの理由も弱いです。
なぜなら、ベラルーシでは非常事態宣言も出ておらず、ロックダウンも営業時間短縮も外出禁止令もありません。
冬の今、感染者が増えるのは当然ですが、実際の試験は夏なのでその頃にはコロナだけではなくさまざまなインフルエンザなどの病気も感染者数が少なくなっているはずです。
また日本ではまだ始まっていないコロナウイルスワクチン接種もベラルーシではすでに先月から始まっています。
そうであるにも関わらず、またすでに受験料を支払っている人もいるのに、日本語能力試験の公式サイトを見た限りでは、ベラルーシが世界で一番早く今年7月の試験中止を決めた会場のようです。悲しいですね。(コロナウイルスだけが中止の理由なんでしょうか。)
1年に1回しか実施されない会場なので、2年連続中止になると、影響が出てきます。日本語の勉強をやめてしまって、別の外国語に切り替える人もいますし、認定証をもらって、日本への進学や留学、就職を考えていたベラルーシ人の人生計画が狂ってしまいます。
私としては今まで受験勉強を続けてきた日本文化情報センター日本語教室の生徒たちが不憫です。そこで日本語能力試験の代わりになる日本語テストを独自に作成することにしました。
出題形式やレベルは本物の日本語能力試験と全く同じで、問題の内容は私が自力で作成します。合格の基準なども日本語能力試験と同じ条件です。
公的な認定証は発行できませんが、受験することによって、将来の合格に役立つ模試にしたいと考えています。このテストの結果により今年9月の新学期以降のクラス編成を行います。
このテストの名称は「私たちのテスト」で、チロ基金の支援により作成・実施します。(何のひねりもないネーミングですね。(笑)分かりやすいほうがいいかと。)
受験料はチロ基金の支援のおかげで、全員無料です。会場は日本文化情報センターで、5月末にN3レベルのテストを、9月初めにN4とN5のテストを行います。8月には直前特訓授業が予定されています。
実は「私たちのテスト」は昨年7月の日本語能力試験が全世界中止になったので、その代わりとしてN3,N4,N5レベルは実施しました。その後その結果によりクラス編成を決定し、今年の受験を目指して勉強していたのですが・・・
この「プレ・私たちのテスト」ですが、コストカットのために表紙は省いたり、いろいろ工夫した結果、いかにも簡易版・・・という感じでした。しかし、今年の「私たちのテスト」は、もっと本物の日本語能力試験に近づけようと考えています。
いつもベラルーシでの日本語学習を応援してくださっているチロ基金支援者の皆様には、今年ミンスク会場が現地の実行員会の独自の判断で中止になったこと、ご報告するのも心苦しく感じています。
代わりに「私たちのテスト」で、ベラルーシ人の日本語学習者の情熱が冷えないようにしたいと考えています。ご協力くださっている日本の皆様に感謝申し上げます。実際に「私たちのテスト」が実施されましたら、改めてご報告いたします。