電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響モーツァルト定期Vol21でピアノ協奏曲第9番と交響曲第30番他を聴く

2014年02月16日 06時01分22秒 | -オーケストラ
湿った重い雪が降り続く大雪の土曜日、午後から山形交響楽団のモーツァルト定期こと交響曲全曲定期演奏会「アマデウスへの旅」第21回に出かけました。雪のために、仙山線は早々と運休、山形新幹線も止まり、国道48号線は雪崩のために全面通行止めになったとのことで、音楽監督の飯森範親さんのマネージャーさんも仙台市で足止めを食っているのだとか。開演前のプレ・コンサート・トークで、飯森さんの第一声も雪の話題でした。



それはともかく、今回の演奏会の曲目および演奏者は次のとおり。

(1) 交響曲 第24番 変ロ長調 K.182
(2) ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271「ジュノム」、ピアノ:仲田みずほ
(3) 交響曲 第22番 ハ長調 K.162
(4) 交響曲 第30番 ニ長調 K.202
   飯森範親指揮、山形交響楽団

今回も、オクタヴィア・レコードの社長であるエザキさんが来形し、録音をしているのだそうです。飯森&山響の「モーツァルト交響曲全集」に、期待が高まります。

さて、楽器配置は対向配置を基本とし、ステージ左から、第1ヴァイオリン(9)、チェロ(5)+ファゴット(1)、ヴィオラ(6)、第2ヴァイオリン(8)、正面奥にフルート(2)、オーボエ(2)、さらに奥にホルン(2)、コントラバス(3)、という具合です。今回のゲスト・コンサートマスターは、安紀・ソリエールさん。飯森さんの説明によれば、フランスの方で、ヨーロッパ室内管弦楽団のメンバーであるとともにルツェルン祝祭管弦楽団のメンバーでもある。アバドやアーノンクールからも高い信頼を得ている奏者だそうです。以前、このモーツァルト定期で参加していただいた、長岡京アンサンブルの森先生のお姉さんの娘さんなのだとか。上は黒っぽいブラウス風で黒いスラックス風のスタイルで、ちょいと「高校の生物の先生」みたいな雰囲気を持っています(^o^)/

第1曲、交響曲第24番、変ロ長調 K.182 が始まります。第1楽章は、アレグロ・スピリトゥオーソ、4分の4拍子。明るい音楽です。第2楽章、アンダンティーノ・グラツィオーソ、4分の2拍子。フルートとヴァイオリン・ヴィオラで始まり、バックでチェロとコントラバスのトップがピツィカート。この後に、優雅な音楽が続きます。第3楽章:アレグロ、8分の3拍子。第1楽章の雰囲気に戻ります。明るい音楽です。

続いて第2曲は、ピアノ協奏曲第9番、変ホ長調 K.271「ジュノム」。
どうやらモーツァルトのお気に入りの曲だったらしい「ジュノム」を演奏するのは、仲田みずほさん。2012年度文化庁新進芸術家海外研修員として、現在はチューリヒ芸術大学在学中だそうです。実は、中村紘子さんが飯森さんに推して演奏を聴く機会があり、ぜひにと山響との共演が実現したとのこと。
楽器編成は前の曲と少し変更があり、独奏ピアノを中央にオーボエ(2)、ホルン(2)に弦楽5部(9-8-6-5-3)となります。
第1楽章:アレグロ、4分の4拍子、リトルネロ形式。リトルネロ形式というのは、繰り返されるたびに調性が変わる点がロンドとの違いだそうで、管弦楽とピアノが対話をするような形で演奏されます。第2楽章:アンダンティーノ、4分の3拍子、ハ短調。悲劇的な性格を持つ調ではありますが、それよりも、はっきりとした、よく響く豊かな音を持った、明瞭なモーツァルトです。第3楽章:ロンド、プレスト、2分の2拍子。ソリストも、オーケストラも素晴らしい!

拍手に応え、仲田みずほさんのアンコールは、シューマンの「献呈」(リスト編)。当方も大好きな曲ですが、夢見るような夢幻性よりはむしろ、楽器を充分に鳴らして、リスト編曲を納得させるダイナミックな表現です。



ここで、休憩です。当記事も、ここで休憩といたします。休日とはいえ、まずは雪かきをしなければなりません(^o^)/

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ここから、追記部分です。

後半は、第3曲目、交響曲第22番ハ長調、K162 です。
楽器編成が少し変わり、チェロのパートにファゴットの高橋あけみさんが再び加わります。さらに、ヴィオラの後方に、トランペット(2)が加わり、Ob(2),Fg(1),Hrn(2),Tp(2),弦楽5部(9-8-6-5-3)となりました。もちろん、ホルンはナチュラルタイプ、トランペットもバロック・トランペットです。
第1楽章:アレグロ・アッサイ、4分の4拍子。たしかに「始まりますよ~!」という風の、オペラの序曲みたいな音楽です。第2楽章:アンダンティーノ・グラツィオーソ、ヘ長調、4分の2拍子。弦楽合奏から始まり、Hrn+Obが呼応して弦と木管の対話となります。緩徐楽章の通例とおり、Tpはお休みです。第3楽章:プレスト・アッサイ、8分の6拍子。時折ハッとするような転調を折り込みながら、元気よく優雅な中にも活力がある音楽です。

曲間に、さりげなくチューニングをします。このあたりは、もしかすると飯森さんの給水タイムなのかも(^o^)/

そして始まる4曲目、交響曲第30番ニ長調K.202です。この曲も、もちろん初めて聴きます。楽器編成は第22番と同じで、ティンパニはなし。ステージ上に変化はありません。第1楽章:モルト・アレグロ、4分の3拍子。元気よく華やかに始まります。この曲あたりになると、強弱や音色を対比させながら充実した響きを聴かせる、後のモーツァルトのスタイルに近づいているように感じます。生き生きとした自由さです。第2楽章:アンダンティーノ・コン・モート、ニ長調、4分の2拍子。VnにVla,Vc、そしてCbが加わって、優雅なアンダンティーノです。管楽器はお休みで、弦楽アンサンブルがきわめて美しい!思わず聴きほれます。第3楽章:メヌエット。メヌエットというにはやや強めの始まりです。転調もみせながら。全休止の後、雰囲気を変え、喩えは悪いけれど「どこかに忍び込むような(^o^;)」風情です。さらに全休止で元に戻ります。第4楽章:プレスト、4分の2拍子。トランペットもファゴットも参加して、緊張感とテンポ感のある、いい曲です。プログラムの最後に来るだけのことはあるなあ、などと思っていたら、あれれ、指揮者がひょっこり後ろを向いて「終わったよ~」の合図か(^o^)/wahaha
意外にさりげなく、消えるように終わるのですね。いや、たしかにプログラムにはそう書いてありましたけど(^o^)/

今回も、けっこう楽しいプログラムでした。主として明るく活発なモーツァルトの面を楽しんだ演奏会でした。終演後のファン交流会で、ソリストの仲田みずほさんのインタビューを聞きましたが、山響の雰囲気に好印象を持ったようで、モーツァルトはもちろんですが、ご本人いわく、ラフマニノフやプロコフィエフなどの「どんどこ系」もわりと好き(^o^)/ なのだそうです。「どんどこ系」!うふふ。あの響きで、プロコフィエフなどを聴いてみたい気がします。



ところで、テルサの駐車場に戻ったら、あまりの積雪量にスタックしてしまったらしく、山形ナンバーの車がもがいておりました。タイヤで掘ってしまった雪の段差を削ってならした上で、ドライバーのご婦人に頼まれて運転を代わりました。タイヤの向きをまっすぐ直進に直し、前進とバックを反復して前後に車体を揺らして、無事に救出に成功!
帰り道、あちこちで同じような状態の車を見かけ、二台ほど押すのに力を貸して救出しました。こういう時には、雪国の人の親切が頼りになります(^o^)/



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2 コメント

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ヤンネ舘野さんの演奏会について (大内 勝利)
2014-02-16 10:39:40
突然の私信にて失礼いたします。大内勝利と申します。昨日の山響MOZART定期プログラムにヤンネ舘野さん演奏会告知のチラシ挟みがあったかと思いますが、その主宰者をしております。
かねてから貴ブログおける文化度の高さに魅了され、時折訪問させていただいておりました。

是非、4/29(火祝)のヤンネ舘野さんリサイタルへの来場をご検討いただけないでしょうか?
曲目はチラシにある通りですが、出来るだけ多くのお客様にお聴きいただきたいと思い、いろんな集客活動をしておるところです。

面識もないところ、不躾なご案内になり大変申し訳ございません。どうか宜しくお願いをいたします。

簡単に自己紹介を記します。

氏名:大内勝利(おおうち かつとし)
職業:一般企業の会社員
趣味:合唱(現在 山響アマデウスコア団員)
大内 勝利 さん、 (narkejp)
2014-02-16 19:55:43
コメントありがとうございます。4月29日のヤンネさんの演奏会は、ぜひ聴きにいきたいと考えています。これまでも何度かチャンスがあったのですが、定年退職前でしたので、何かと行事と重なって涙をのみました。今回は、プログラムに大好きなフランクのヴァイオリンソナタが含まれておりますし、今度こそ実現したいものだと考えております。

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