電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響第245回定期演奏会でエルガー、ブルッフ、ヴェルディ等を聴く

2015年05月11日 06時08分39秒 | -オーケストラ
5月の山響定期は、第245回の二日目、日曜のマチネに出かけました。開演前のプレコンサート・トークで、新事務局長の西浜さんが登場、ネパール地震の被災地救援の募金を呼びかけました。飯森範親さんは、関西フィル事務局長を長くつとめた西浜さんの経歴を紹介します。また、今シーズンは定期演奏会が一日だけの回がありますが、今後なんとか二回に戻せるように努力したいとのことでした。また、協奏曲のソリストの新倉瞳さんは、こんどソニーに移籍することになり、今回はレコーディングを行っていることを紹介。へぇ~、「新倉瞳のチェロ、飯森範親指揮山形交響楽団による、エルガーのチェロ協奏曲」がソニーから出るのか! それは興味深いお話です。

さて、本日の曲目は、

  1. ヴォーン・ウィリアムズ/グリーンスリーブスの主題による幻想曲
  2. エルガー/チェロ協奏曲 ホ短調 op.85  新倉瞳(Vc)
  3. ブルッフ/コル・ニドライ op.47      同上
  4. ヴェルディ/オペラ序曲集
     「ナブッコ」「椿姫」「運命の力」「リゴレット」「仮面舞踏会」

というものです。

楽団員が登場、コンサートマスター席には犬伏亜里さんが座ります。
1曲目、ヴォーン=ウィリアムズ「グリーンスリーヴスの主題による幻想曲」は、弦楽5部とハープとフルート(2)にて。楽器配置は、左から1st-Vn(8)、2nd-Vn(7)、Vc(5)、Vla(5)、右手奥にCb(3)、左手奥にHrp(1)、中央にFl(2)となります。
指揮の飯森さんは指揮棒なしで。弦楽合奏の音色は、いいですね~。フルートとハープ、そしてしっとり弦楽合奏。解説には、green sleeves は「緑の袖」という意味で、おそらくは娼婦、とありますが、曲想は清潔感のあるもので、ずいぶんイメージとは違いますね~。

2曲目:エルガーのチェロ協奏曲です。ジャクリーヌ・デュプレやピエール・フルニエなどの演奏で、近年になって親しむようになった曲ですが、今やすっかりお気に入りの音楽となりました。楽器配置は、8-7-5-5-3 の弦楽セクションに、正面奥に Fl(2),Ob(2) その奥に Cl(2),Fg(2) その奥には Hrn(4),Tp(2) そして最後列に Timp と Tb(2),BassTb(1),Tuba が並びます。中央指揮台の左にチェロ用の台が置かれ、栗色のストレートな長い髪を揺らしながら、黒っぽいエメラルドグリーンのドレスを着て、今回のソリスト、新倉瞳さんが登場します。
第1・第2楽章、出だしのチェロのあの強い音は、オーケストラのチェロ・パートも加わってのものだったのですね。初めて知った事実に、うーむ、なるほどと納得。ホルンは、ミュートをつけたり外したりします。すると総奏の音がたしかに丸くなる。なるほど。CDではとてもそこまではわかりません。第3楽章:憂愁の緩徐楽章。独奏チェロと対話するような弦楽合奏が、ひたすらに美しい音楽です。第4楽章:ティンパニも管楽器も加わって、力強い音楽です。独奏チェロのピツィカートも全身で力がこめられ、活躍する金管楽器では特に迫力あるチューバの威力を感じました。

3曲目:ブルッフの「コル・ニドライ」。私の手許にあるCDでは、この曲はいずれもピアノとの二重奏バージョンですので、オーケストラとの協演は初めてです。ユダヤ教の贖罪の歌ということですが、嘆き訴える独奏チェロを、オーケストラは時に受け止めるように優しく、また時には威圧的に聞こえるほどに強く鳴らします。

聴衆の拍手に応えて、指揮の飯森さんがマイクで「ソリストの新倉さんの肉声で」と促すと、新倉さんが「では肉声で」と返し、ご挨拶を含めてアンコールの曲目を紹介します。スペイン民謡から「鳥の歌」をオーケストラと。これも素晴らしかった!

ここで、15分の休憩です。ホワイエで新倉瞳さんのCDを購入しようと意気込んで行ったら、すでに売りきれたとのことでした。なんと、すごい人気ですね~(^o^)/

後半は、ヴェルディの序曲集です。楽器編成では、チューバに代わり、妙な形の大きな金管楽器が登場し、チューバの席につきます。頭上に大きなラッパを載せたような形で、どうやらこれがチンバッソ(Cimbasso)という楽器らしい。飯森さんの解説によれば、狭いオーケストラ・ピットの中でチューバよりも場所を取らないため、という理由もあるらしい。
第1曲:「ナブッコ」。そのチンバッソを含むトロンボーン部隊による始まりと、オーケストラの爆発。弦楽器が不安をかきたてる中に、打楽器が打ち鳴らされます。ゆっくりしたテンポで、オーボエが聞き覚えのある旋律を吹きます。このあたり、実際にオペラの画面で観てみたい。
第2曲:「椿姫~ラ・トラヴィアータ」前奏曲。パリで「椿姫」の舞台を見たことがきっかけとなり、作曲されたものだそうです。前妻の父の支援を受けたヴェルディは、父親の違う三人の子の母である歌手のジュゼッピーナと同棲中という境遇で、どうやら自分の状況と重なって特に共感したためらしい。当方も大好きなオペラで、幕が上がって次の場面が始まるのを思わず期待してしまいます(^o^)/
第3曲:「仮面舞踏会」。音楽は、弦のピツィカートとフルートの囁きで静かに始まります。スウェーデンのグスタフ三世の暗殺という史実をもとに作られたものだそうで、舞台をイギリス植民地時代のボストンに置き換えて、ボストン総督のリッカルドが秘書レナートの妻をひそかに愛してしまうがゆえの悲劇です。うーむ、これも本編を観たい、聴きたい!
第4曲:「リゴレット」。ここでもまた、ちょいと気味の悪い感じの、金管による始まり。ヴェルディはこういうのが好きですね~(^o^)/
音楽は不安と悲劇を表現したものですが、内容もまた、言わずと知れた悲劇です。マントヴァ侯爵に扮したルチアーノ・パヴァロッティの姿を思い出してしまいます。こちらも昔のLDで観たもので、また観てみたい。
第5曲:「運命の力」。残念ながら、これはまだオペラ本編を観たことがありません。解説を読むと、なんとも暗~い話のようですが、この音楽を聴けば、なんとか一度は観てみたいものです。
うーむ、オペラの序曲を聴いて終わりというのは、ちょいと切ないぞ。やっぱり本編が観たい。「椿姫」か「仮面舞踏会」かな。



写真は、終演後の交流会の様子です。スイスのバーゼル市に在住の新倉瞳さん、古楽奏法で有名な某カンマー・オーケストラと協演の機会があり、山響のサウンドは独自のものだけれど、共通するものを感じて、演奏しやすかったとのこと。「アマデウスへの旅」で培ったものが、きっと大きな影響をおよぼしているのでしょう。ソニーによる今回の録音がいつ発売になるのかは、すぐ打ち合わせが予定されているとのことでした。これもまた、楽しみができました。

新倉さんのCDは入手できませんでしたが、飯森&山響によるブルックナーの「交響曲第1番」のCDを購入、飯森さんにサインしてもらいました。何歳になっても、ミーハー精神は相変わらず健在です(^o^)/


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