電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

村上もとか『JIN~仁~』第7巻を読む

2011年10月26日 06時02分22秒 | 読書
妻と二人でテレビドラマの「JIN~仁~」にはまり、原作まで読み始め、第7巻まで来ました。集英社文庫版の、村上もとか著『JIN~仁~』第7巻です。この巻は、賑の章「対面」から始まります。

白粉(おしろい)の中に含まれる鉛の中毒で役者生命が立たれたかに見えた坂東吉十郎、最後の芝居に全生命を燃焼させ、息子の与吉はその演技を目に焼き付けます。このあたり、江戸庶民の哀歓に通じる話ですが、さらに今度は相撲の世界のお話。負けず屋の異名をとる大関陣幕の左肘を、手術で再生させるお話。お次も江戸庶民の哀歓・・・ではなくて、女スリのお駒と十手持ちで悪党のガマ親分との因縁ですが、咲さんのお友達もからむあたりが、大江戸も狭い(^o^)/

西洋医学の医学所と本道(漢方医学)の医学館の対立は続きますが、両方のトップは南方仁先生の医術の価値を理解しています。ペニシリン製造の中心となっている山田純庵先生は、ペニシリン産生能力の高い青カビの選抜に熱意を燃やします。純庵先生の老母は、息子の努力を認め、励まします。葬儀を抜け出してまで確かめた新しいペニシリン高産生株。山田先生の努力の結晶です。そして、偶然にも、咲さんが高純度アルコールにペニシリン溶液を加えたために、ペニシリンの結晶化の方法を発見してしまいます。これに続く、仁先生が咲さんに現代の指輪をあげて求婚するところは、なかなかいい場面です。

そして川越藩の藩主の奥方様にできた首の瘤を除去する話が続きますが、このときは粉末化ペニシリンだけでなく、輸血の体制をとるところが、なかなかの見せ場です。この章では、夫婦のあり方を問う場面があったり、仁先生と咲さんが道中の宿屋で同じ部屋に泊まることになったりするなど、読者をやきもきさせるようになっていますが、残念ながらその幸福感は、宿屋の少女の事故で一転してしまいます。


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