電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

田部京子のピアノでシューマン「交響的練習曲」を聴く

2012年09月23日 06時04分54秒 | -独奏曲
ようやく涼しさを感じる秋の郊外路を走る通勤の音楽に、このところ取り上げていたのが、田部京子のピアノによるシューマン「交響的練習曲・子供の情景」のCD(DENON COCO-70931)でした。今から13年前の1999年の8月に、群馬県の笠懸野文化ホールで収録されたPCM/デジタル録音で、キーシンのライブ録音(*1)にはトラック分けがなされていないこともあり、よく聴くものです。

もともとクララ・シューマンを代弁者として作品を発表していたR.シューマンですから、女性ピアニストの演奏は、本来あるべき姿でしょう。実際、初版にあった練習曲二つを加えた田部京子さんの演奏は実に魅力的で、詩的で、美しい。当方、遺作変奏がお気に入りなのですが、遺作変奏の配置は、練習曲9の後に5曲を順にまとめて配置し、その後に練習曲10~12を置く形をとっており、キーシンともリヒテルとも違う独自のものになっています。田部さんの考え方なのでしょう。その理由や合理性といった専門的なことは、当方の手に余るものですが、通して聴くと、遺作変奏の中で展開される叙情性からフィナーレに至る高揚まで一貫した説得性が感じられ、音楽解釈の多様性を示すものなのでしょう。

週末に自宅のステレオ装置で聴くときは、録音も自然で優秀で、ピアノの豊かな響きがよくとらえられており、たいへん楽しめるものです。

■田部京子(Pf)
total=39'52"
(主題、第1~第3変奏、練習曲、第4~第7変奏、練習曲、遺作変奏1~5、第8~第9変奏曲、フィナーレ)
■エフゲニー・キーシン(Pf)
total=27'10"
(遺作変奏1~5は、別々に挿入されている模様。)
■スヴィャトスラフ・リヒテル(Pf, LP:Victor MKX-2002)
I=10'05" II=24'00" total=34'05"
(Iは第1練習曲から第5練習曲、IIは遺作変奏1~5に続き、第6~第12練習曲)

(*1):シューマン「交響的練習曲」を聴く~「電網郊外散歩道」2007年2月

コメント    この記事についてブログを書く
« 村山市の東沢バラ公園での弦... | トップ | 興味関心の広がりと狭まり »

コメントを投稿

-独奏曲」カテゴリの最新記事