電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

室内に生けた桃の剪定枝に花が咲いた

2024年04月05日 06時00分40秒 | 季節と行事
三月下旬に剪定した桃「あかつき」と「川中島白桃」の枝を、妻が何本かドサッと水に入れて書斎に飾っていましたら、先日、開花し始めました。書斎ではまだ暖房を入れていますので、戸外よりもずっと暖かいです。おそらく、ソメイヨシノと同様に累積温度が開花に必要な値に達したためと思われます。



咲き始めの桃の花は薄いピンクで、つぼみの先端のほうが濃いピンクです。葉芽も先端が緑色になってきて、徐々に伸びようとしているのがわかります。これは、桃農家だからできる豪華な生花かもしれない。



では、野外の桃の花芽の様子はどうか。これは、気温が低いせいか、まだまだ花芽も固いです。例年の開花時期は、当地では4月20日前後となることが多いですが、4月5日ではまだ2週間ほど間があります。おそらく、累積温度がまだ開花に必要な値に達していないからでしょう。



多くの植物は、短日植物・長日植物に区分される草本植物のように昼と夜の長さで開花時期をコントロールしますが、桜や桃などの場合は気温の累積が一定の値に達すると開花を始めるようです。ということは、光周性に基づいて産卵や孵化がコントロールされる昆虫の場合と比較するとき、室内のように開花時期が早まってしまうと、訪花昆虫はまだ全然姿も見えない、したがって受粉もできない、という事態が起こることになります。果樹園芸農家が温暖化を懸念する理由の一つです。

とはいうものの、春とはいえ日が陰ると外はまだまだ寒く、暖かい室内に生けた桃の剪定枝に花が咲いたのを眺めるのはいかにも春らしくて嬉しいものです。理性は温暖化の進行を懸念しながら、素朴な感情としては季節を早めた桃の開花が嬉しい、そんな気分。

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