電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ボロディン「交響曲第1番」を聴く

2011年10月24日 06時03分12秒 | -オーケストラ
珍しく2011年の新譜を購入した、ボロディンの交響曲全集を、通勤の音楽として繰り返し聴いておりました。ジェラード・シュワルツ指揮シアトル交響楽団による演奏で、NAXOS の 8.572786 というCDです。録音は、米国シアトルのベナロヤ・ホールにて、2011年の2月に収録されたもので、全3曲中では一番新しいデジタル録音です。

Wikipedia(*1)によれば、作曲者ボロディン(1833-1887)の正式な名前は、アレクサンドル・ポルフィーリエヴィチ・ボロディンというのだそうで、ヘモグロビンやクロロフィルなどのポルフィリン環(*2)を連想してしまうのは、生化学を学んだ者の条件反射でしょうか(^o^;)>poripori
交響曲第1番変ホ長調は、1862~7年、5年の歳月をかけて作曲されたもので、作曲者が29歳から34歳頃の作品です。公開初演は1869年、36歳のとき。日曜作曲家といえども、もはや習作とは言えません。

第1楽章:アダージョ~アレグロ~アンダンティーノ。重々しい序奏から始まりますが、主部は力強いもので、量的にも技巧的にも、盛りだくさんな印象です。
第2楽章:スケルツォ(プレスト)~トリオ(アレグロ)。軽快なスケルツォです。
第3楽章:アンダンテ。ボロディンらしい旋律美がつまった楽章です。幻想性が特徴的。
第4楽章:アレグロ・モルト・ヴィーヴォ。活力ある始まり。半音階を含むロシア的な旋律が提示され、豊かに展開されて行きます。

演奏は、他の録音を知らないので何とも言えませんが、ロシア五人組という言葉から受ける印象よりはずっとすっきりしたもので、幸福な化学者ボロディン(*3)らしい、明るい快さがあります。悲劇的な情念をぶつけるような音楽とは違い、一般的な人気はあまり高くなりにくいのかも(^o^;)>
逆に、ハイドンやメンデルスゾーン、シューマン等の明るい面が好きな人ならば、気に入りそうな音楽です。私は?もちろん気に入りました。

ところで、多忙なボロディンは、どんなふうに作曲を進めていたのだろう?と興味深いものがあります。作曲し、楽譜に書く作業は、かなり辛抱強さが求められると思いますが、化学の研究や医科大学の公務に明け暮れる日常の中で、週末作曲家としての「副業」をどのように営んでいたのか。もしかすると、日頃から書き溜めておいた断片をつなぎ合わせるような形で作曲をしていたのか?だとしたら、第2番が第1番よりも短いのは理解できるような気がします。断片をつなぎ合わせて全体を作り上げるにとどまらず、第二番では全体的な視点からそれをもっとずっと刈り込み、削って行って、緊密な作品として仕上げたのではなかろうか?そのあたりに、交響曲作曲の経験が生きてくるのではなかろうか?まあ、単純に演奏時間から判断した、素人音楽愛好家の妄言ですので、当てにはなりませんが(^o^)/

参考までに、演奏データを示します。
I=12'34" II=6'54" III=7'45" IV=7'11" total=34'24"

(*1):アレクサンドル・ボロディン~Wikipediaの説明
(*2):ポルフィリン~Wikipediaの説明
(*3):愛妻に捧げる夜想曲~ボロディン「弦楽四重奏曲第2番」を聴く~「電網郊外散歩道」2008年7月

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