電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

サクランボの赤色と食味の相関性

2023年06月01日 06時02分53秒 | 週末農業・定年農業
サクランボの収穫期なので、農協からカラーチャートが届きました。当地の主力品種、佐藤錦と紅秀峰が対象です。



佐藤錦は、もともと「黄色いサクランボ」を親に開発された品種ですので、あまり赤黒いほど真っ赤にはなりません。色づきの度合いを示す等級が「特秀」でも、早生種「紅さやか」や晩生種「紅秀峰」の「特秀」ほど真っ赤にはなりません。では、あまり美味しくないのかというと「とんでもない!」。生産農家としての私見では、佐藤錦がやっぱり最美味、サクランボの女王です!

実が熟してくれば赤い色素も生合成が進みますので、同じ品種であれば黄色い実よりも赤い実のほうが糖度が高く食味も良くなっているのは確かです。しかし、赤い色素の生合成は品種による差が大きいので、「紅さやか」と「佐藤錦」を比べて「赤いほうが美味しい」とは言えないのです。「紅さやか」は昔の黒いサクランボの系統ですので、完熟すれば赤黒く変化していきます。ですから、ジャムにするには「紅さやか」のほうが色がきれいで適しています。佐藤錦は生食には適していますが、ジャムにすると黄色いジャムになり、サクランボの赤い色は出ません。

晩生種の「紅秀峰」も食味は良好で実がしまっているので、当地では軟化してしまう収穫晩期の佐藤錦よりも好む人も多いようです。ただし、多産生で芽かきや摘果が必須になるのと、収穫がちょうど梅雨どきにぶつかるために、雨よけテントがないと実割れしてしまい、露地栽培には必ずしも適していないようです。そんな理由で、我が家では他家受粉の佐藤錦を主力とし、花粉樹として紅さやかやナポレオン、紅秀峰などを混植しています。もっとも、植えたのは亡父で、ほぼ40〜50年前になりますが(^o^)/

さて、今日までは良いお天気になりそうです。昨日は午前中に地区の防災の会議、夕方にはご近所の訃報が入り弔問に行くなど、収穫作業に専念できませんでした。今日こそは、早生種「紅さやか」をどんどん収穫・選果・出荷したいものです。

【追記】
佐藤錦の場合、収穫の途中でつまみ食いする基準は、実は粒の「大きさ」です。赤いけれど小さい実よりも、色はさほどでもないけれど大きい実のほうが実(じつ)はかなり糖度が高く美味しい。ようするに赤い色は直射日光=紫外線の量、粒の大きさと味は光合成の量。光合成量は葉の枚数に比例するので、葉の影になりやすい。葉を摘みすぎると色はつくが味が乗らない。これ、ナイショ(^o^)/

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