電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ハイドンの弦楽四重奏曲第63番(Op.64-1)を聴く

2012年06月17日 06時18分57秒 | -室内楽
このところ、通勤の音楽にハイドンの弦楽四重奏曲を聴いております。梅雨に入ったとはいうものの、さいわいにまだジメジメした気候にはほど遠い日が続いておりましたので、さわやかな音楽を楽しむことができました。聴いていたのは、コダーイ・クヮルテットによるナクソス盤で、六曲の第三トスト四重奏曲を2枚のCDに分けたうちの第1集で、第63番から第65番までの三曲を収録しています。カーステレオでエンドレスに流していると、それぞれの曲の個性が少しずつわかってきて、なかなかおもしろい。基本的に晴朗で自然体で、危うさの要素はごく少ない音楽です。湿っぽくないロ短調の第64番も好みですが、まずは第1曲目のハ長調Op.64-1から。

第1楽章:アレグロ・モデラート。
第2楽章:メヌエット:アレグレット・マ・ノン・トロッポ。
第3楽章:アレグレット・スケルツァンド。
第4楽章:フィナーレ、プレスト。

作品64は、作曲者58歳の1790年に作曲されたもので、出版されたのは翌1791年、ウィーンで、あるいは英語版がロンドンで、それぞれ刊行されたそうです。モーツァルトとザルツブルグの大司教との関係を思えば、ハイドンとエステルハージ候の関係は興味深いものがあります。雇い主が、従業員が楽譜を出版し収入を得るという副業を認めていたのですから、かなり理解のある人と言えましょう。還暦間近なハイドンもまた、自由な身分に憧れながらも、こうした境遇の価値を十分に認識していたものと思われます。

そういう見方をするならば、ハイドンの音楽には、エステルハージ候の好みやあり方が、かなり反映していそうです。ハイドンも、若い頃には疾風怒濤の年代の激しい要素を持っていたのでしょうが、もしかするとエステルハージ候の好みに合わせ、晴朗で自然体なスタイルをとったのかもしれません。なんとなく、生まれながらの上流階級という品のよさを感じさせるところがあります。

■コダーイ・クヮルテット (Naxos:8.550673)
I=7'08" II=4'38" III=4'15" IV=3'41" total=19'42"

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