電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

和田竜『のぼうの城(上)』を読む

2012年06月06日 06時05分48秒 | 読書
出先の書店で、平積みになっているのを見つけて、小学館文庫の和田竜著『のぼうの城』上下巻を購入しました。映画の原作になっているようで、たしかに明るい戦国エンターテインメントになりそうです(^o^)/

豊臣秀吉の北条攻めに連動して、忍城を攻めたのは、石田三成と大谷刑部らの軍勢二万五千人です。これに対して、主な軍勢は小田原城に派遣されており、守勢はわずかに残る者たちばかり。ところが、家臣はおろか領民からさえ「のぼう様」と呼ばれる「でくのぼう」の成田長親が、豊臣方の高飛車な降伏勧告を拒否し、敢然と戦を主張します。家臣も領民も、「のぼう様」が戦と決したならば、助けてやらにゃなるめぇ、というような具合で、忍城内の一同は、圧倒的な不利を顧みず、戦を前に奮い立つのです。

このあたり、実際の忍城の攻防戦はどんなふうだったのか、まったく知識を持ちませんが、バンカラ高校生や元バンカラ中年あたりが好みそうな痛快なストーリー展開ではあります。ただ、なんとなく違和感を持つのは、忍城を守る一騎当千の強者たちが発する台詞です。たとえば、柴崎和泉守が家臣たちに言う台詞「おめえたちゃ手え出すんじゃねえぞ」(p.155)とか、正木丹波の台詞「餓鬼みてえになんだ」(p.184)とか、思わずガクッと来ます。忍城のあたりでは昔からこういう口調が普通なのか、そのへんは不明ですが (^o^;)>poripori

「武ある者が武なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。これが人の世か。ならばわしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ」

という「のぼう様」長親の品格と比べて、ぐっと格調が下がるように感じるのは否めません。

さて、下巻はどうなる?楽しみです。
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