電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

湯浅卓雄指揮アルスター管でナイマン「蜜蜂の踊る場所」を聴く

2010年11月19日 06時01分18秒 | -協奏曲
最近の通勤の音楽は、英国の現代作曲家マイケル・ナイマンによる「蜜蜂の踊る場所」「ピアノ協奏曲」のCDを聴いております。今回、取り上げるのは、実質的にサキソフォン協奏曲と思われる「蜜蜂の踊る場所」です。演奏は、湯浅卓雄指揮アルスター管弦楽団、8.554168J という型番のナクソス盤です。



夜明けが始まるように、ひそやかに音を出すピアノに続き、サキソフォンが入ってきます。おや、サキソフォン・ソナタなのかな?と思っていると、サキソフォンのブイブイいう音に続き、オーケストラとピアノがカッコよく入ってきます。たぶん、サキソフォンのソロは、一匹のミツバチが花のありかを伝えようとする様子なのかも。8の字ダンスと太陽の位置の角度で情報が伝えられると、ミツバチの群れは大騒ぎ。そんな感じのワクワク感、あるいは飛行感があります。

昔、岩波新書に桑原万寿太郎さんの『動物の太陽コンパス』という名著があり、理系学生の必読書になっていました。今や子どもの高校生物の教科書にもしっかりと書いてある知識ですが、よく考えるとすごいことです。一匹のミツバチが他の多くのミツバチに花の在り処を伝達する行動があるなんて、凡人にはなかなか思いつかないことです。おそらく、作曲家も生物のそんな仕組みに対する感動が発端になっているのでしょう。知れば知るほど感動してしまう、生物界の仕組みの見事さです。

ちなみに、アルスター管というのは、北アイルランドを代表するオーケストラだそうで、日本で言えば札幌交響楽団のような存在でしょうか。サキソフォン独奏はサイモン・ハラーム、1997年からロンドン・シンフォニエッタの首席奏者を務める、とあります。(ちなみに日本語リーフレットあり。)
サキソフォンは、プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」やビゼーの組曲「アルルの女」などでお気に入りの音であり、現代曲だからといって、抵抗感は全くありません。たいへん聴きやすく、楽しい音楽になっています。

■湯浅卓雄指揮アルスター管 16'36"
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