電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ベートーヴェン「ピアノソナタ第5番Op.10-1ハ短調」を聴く

2010年09月12日 06時05分08秒 | -独奏曲
朝晩は、ようやく涼しくなりました。これまでは、暑さでげんなりしていましたが、ようやくベートーヴェンのピアノソナタを聴いてみようという元気も出てきます。ピアノソナタ第5番 Op.10-1 ハ短調、ブルーノ・レオナルド・ゲルバーの演奏で、DENON 33CO-2203 という正規盤。ゲルバーのベートーヴェン・ピアノソナタ全集の初回発売で、3,300円のCDを1枚ずつ購入し、全部が揃うのを楽しみにしていたものでした。

第1楽章:アレグロ・モルト・エ・コン・ブリオ。出だしからしてすでに「ベートーヴェンのハ短調」の特徴が全開です。強弱、高低などの強い対比があり、訴える力のある、いかにもベートーヴェンらしい楽章と言ってよいでしょう。
第2楽章:アダージョ・モルト。変イ長調。変化や対比に富みますが、若いベートーヴェンらしく、後期のような深刻な深さには至らず。でも全体として精緻で気品ある緩徐楽章です。
第3楽章:フィナーレ、プレスティッシモ。一種の切迫感を感じさせる音楽が、自然に解決していくような過程がおもしろい。フィナーレとしては意外なほど短い楽章です。

添付の解説(平野昭氏)では、1795年から1797年の間に作曲されたとされていますが、青木やよひさんの『ベートーヴェンの生涯』の年譜では1798年、ベートーヴェン28歳の時の作品とされています。この年、ピアノソナタでは、第5番、第6番、第7番、第8番「悲愴」、第9番が書かれているそうです。いずれにしろ、彼の難聴が次第に明瞭になり自覚されるようになる、まさにその直前の時期の作品と言ってよいでしょう。

使用した楽譜は児島新校訂の春秋社版で、ピアノはスタインウェイ。1987年の7月29~30日の2日間、パリのノートルダム・デュ・リパン教会でデジタル録音されています。制作は馬場敬、録音はピーター・ヴィルモース、技術は高橋幸夫とクレジットされており、鮮明で自然な雰囲気の収録です。

■ブルーノ・レオナルド・ゲルバー盤
I=5'34" II=7'43" III=3'49" total=15'06"
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