電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

この20年で、書斎のイメージはどう変わったか

2007年05月07日 06時39分08秒 | -ノンフィクション
連休を利用して書棚を整理していたら、講談社現代新書で昭和62年に出た『書斎~創造空間の設計』という本を見つけました。今年は平成19年ですから、ほぼ20年前のものです。当代の27人の著名人が、「読み・書き・考える」場所について説明した文章には、当時の書斎のイメージと実態がよくあらわれています。

この中で、大部分の人は、たくさんの書籍や資料を整理することや、お気に入りの机や椅子や文房具、そして趣味や息抜きについて書いています。本を読み、資料を調べ、万年筆で原稿を書く。これが、当時の一般的な書斎の姿だったのでしょう。

昭和62年当時としてはちょっと変わった記述を探すと、少しだけありました。荒俣宏さんは、ネットワークとデータベースについて期待を寄せています。荻昌弘さんと山根一眞さんはキャノワード、妹尾河童さんはOASYSと、計3人がワープロ専用機について、そして古川タクさんがマッキントッシュについて言及しています。



写真は、1987~88年頃のもので、初代の無印マックではありませんが、車を買おうかパソコンを買おうか、真剣に悩んだ頃に集めた資料の一部。結局、長距離通勤のガソリン代に音をあげて、ディーゼル車に化けてしまったのでした(^o^)/

現在では、インターネットに接続されたパソコンがデスクに置かれ、すでに書斎の中心的な存在となっているでしょう。各種の辞典や百科事典を引く前に、キーボードから検索語を入力し、GoogleやWikipediaで参照することが多くなっていますので、実際上すでに多数の書籍を収める大きなスペースは不要で、専門分野の資料と、専門分野以外では手がかりになる概説書がひととおりあれば、ほとんど足りるようになっているのではないかと思います。

以前も、昭和の50年代頃と思われる、『日本の名随筆・別巻6 書斎』に触れて、書斎のデジタル化について言及したことがあります(*)が、書斎の構成要件に、パソコンやプリンタ、電話回線やモデム等が少しずつ入り込み、ネットで間に合うようなものが次々に追い出されていったのが、昭和の末から平成の20年間の変化なのでしょう。

(*):デジタル化の周辺~書斎
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