電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

昭和末期の『ワープロ書斎術』

2007年05月08日 06時25分14秒 | -ノンフィクション
連休を利用して整理している書棚の奥から、講談社現代新書で西尾忠久著『ワープロ書斎術』が出てきました。初刷が1985(昭和60)年ですから、その後たくさん出た「ワープロ指南」新書本のはしりだったのではないかと思います。

目次から、内容はこんな感じです。カッコ内は私の注です。
1 書斎の革命記念日 (ワープロの導入)
2 導入までの逡巡 (辞書の自分化、編集機能に感激)
3 書斎の改造 (机とイスの高さ、辞書を手近に)
4 ワープロ操縦心得 (キーボード入門、練習法)
5 5×3カードで情報整理 (カードにワープロで打ち出す工夫)
6 ワープロ遊び (各種リストの作成、ソート、日記、雑記フロッピー)

ワープロフェッサーを自称する西尾忠久氏が当時使っていたのは、業務用のパナワード2000にインクジェットのプリンターとのこと。8インチのフロッピーディスクにゴトゴトと書き込む音が聞こえるようです。

この時代、ワープロ導入に感激した人が、様々なワープロ入門書を出しました。今になって見ると、一つの時代の記録という意味はあっても、残念ながら実用的な意味はほとんどなくなってしまっています。

フロッピーディスクに分類して保存するという原始的な方法は、やがて引き出しにFDがあふれて、どれに入っているかわからない事態を引き起こしましたし、互換性の欠如は共同作業を阻害しました。

私は1980年代の初期にパソコンに接し、パソコン派でしたので、ワープロ専用機とのご縁はほとんどありませんでした。結局、本書を購入した理由は、ワープロ本体よりも、デスクやイスや、環境の整備を参考にしたかったのでしょう。5×3カードの清書機に使ったり、書籍の一覧に使ったりはお遊びのうちで、雑記メモに使うところは普遍的です。そういう目で見ると、この時代に、書斎の中核にデジタル機器を持ち込むという点で、機器の陳腐化に影響されない本質的な提案が光りました。
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