電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ブラームス「クラリネット五重奏曲」を聞く

2007年02月06日 06時31分28秒 | -室内楽
一度は引退を決意した、ブラームス最晩年に作曲された、クラリネット五重奏曲を聴きました。例の、ミュールフェルトという名奏者に出会って一気に創作意欲が高まった、という、モーツァルトと同様のエピソードを持つ音楽です。

演奏は、ウィーン室内合奏団。アルフレート・プリンツ(Cl)、ゲルハルト・ヘッツェル(Vn)、クラウス・メッツェル(Vn)、ルドルフ・シュトレング(Vla)、アーダルベルト・スコチッチ(Vc)というメンバーです。1980年の4月に、ウィーンのポリヒムニア・スタジオで収録された、アリオラ=オイロディスク原盤のアナログ録音。

第1楽章、アレグロ。悲劇的な、しかし激しさと強さを秘めた嘆きの音楽は、クラリネットの調べによりやわらげられているようです。
第2楽章、アダージョ、ピゥ・レント。しみじみと心を打つ、クラリネットの響き。さまざまな民族音楽を研究していたブラームス(*)らしい、どこか民族的なメロディです。
第3楽章、アンダンティーノ、プレスト・ノン・アッサイ、マ・ノン・センティメント。ブラームスは、ミュールフェルトというクラリネット奏者のどこに魅力を感じたのでしょう。どうも、音域により音色が大きく変化する、クラリネットの特徴を存分に生かす演奏技術、というところのように思います。
第4楽章、コン・モト。早朝だと、ちょっともの悲しくなるような旋律。いや、夜ならもっとでしょうか。作曲時のブラームスと年齢的に近くなりましたので、創作力の衰えや意欲の低下などは、他人事ではありません。それだけに、こういうしみじみとした音楽にはほっとするところがあります。

この演奏、実はCDを2枚持っています。1枚はDENONのクレスト1000シリーズのもの。こちらは、ブラームスのクラリネット三重奏曲が併録されています。もう1枚は、同じくDENONのClassic Galleryシリーズの分売品で、ブックオフで入手したもの。モーツァルトのクラリネット五重奏曲に併録されています。組み合わせが異なるため、気分によってどちらかを選び、聴いています。

■ウィーン室内合奏団、プリンツ(Cl)
I=11'55" II=11'35" III=4'44" IV=8'20" total=36'34"

(*):ブラームスが日本の音楽を研究したきっかけ
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