電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

『小説家を見つけたら』を読む(1)

2007年02月09日 23時27分53秒 | -外国文学
本来はこういう文庫を手にすることはなかったであろうに、某ブックオフで105円という値段とショーン・コネリーの顔につられて読みました。ついでにDVDまで購入。J.W.エリソン作の『小説家を見つけたら』(原題"Finding Forester")を読みました。

ニューヨークのブロンクスに、母と二人で住む16歳の黒人の少年ジャマールは、バスケットボールがうまい。それだけでなく、実は作文が好きで、自分だけのノートにたくさんの文章を書いています。
ある日、少年は仲間と賭けをして、古いアパートの最上階に閉じこもって外出することのない、いつも窓から自分達のバスケのゲームを見下ろしている謎の老人の部屋に忍び込むことになります。見つかってしまったジャマールは、ナップザックを置きっぱなしで逃げ出しますが、翌日謝罪に出向いたところ、ノートに書きためていた文章には、徹底的な添削批評が加えられていました。

そこから、ジャマールと老人との交流が始まります。ジャマールが統一学力テストの成績とバスケットボールの素質を買われて、私立の名門校メイラー・キャロン高校にスカウトされても、謎の老人は(1)他人に話をしないこと、(2)過去を聞き出そうとしないこと、(3)文章を持ち出さないこと、の3つを条件に、同様に作文を教えるのでした。

転学したメイラー高で作文を教えるのは、かつて文筆を志した、辛辣で厳格なクロフォード先生。そして最初に学校を案内してくれた少女クレア・スペンスと仲良くなりますが、彼女は作家ウィリアム・フォレスターの『アヴァロンを求めて』の愛読者だといいます。お金持ちの彼女が所有する初版本には、著者の若かりし日の写真が掲げてあり、それはあの謎の老人だったのでした。



ウィリアム・フォレスターなんて、どこかで聞いたような名前ですが、表紙のショーン・コネリーの写真がいいですねぇ。いかにも老作家という感じが出ています。続きはまた明日。
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