評価 (3点/5点満点)
夢を見ているのに日常が変わらない、夢は何かと聞かれても答えられない。そのような状態から脱却し、自身の殻を破りつづけ、夢を実現するための「構想術」「思考術」「行動術」についてまとめた1冊。
著者の岡田光信さんは、東大を卒業し、大蔵省、マッキンゼー、プライベートエクイティファンド、IT企業経営者と、振り向けば何ら定まっていない己の方向性に不安を覚えていたそうです。しかし40歳の時、とことん宇宙に関わる覚悟を決めて「アストロスケール」という会社を立ち上げます。この会社のミッションは、スペースデブリを除去すること。
スペースデブリとは、人工衛星のような大きなものから、ロケットの残骸から出た破片といった小さなものまでを含む、地球の衛星軌道上を周回する人工物。これまで増えつづけるスペースデブリを放ってきたため、宇宙空間で衝突や爆発が起きています。最終的には人工衛星の利用が不可能となってしまうことも。
コストのかかるこの問題は、アメリカやロシアといった国家でも、NASAなどの宇宙機関でも、企業でも「誰かがやらないといけないけど、自ら進んではできない」という状態が30年以上も続いたのです。
そんな壮大な問題に立ち向かい、自分を超えつづけるために、岡田さんがいつも念頭に置いている方程式は次の2つです。
○課題方程式:(課題)=(あるべき姿)-(現実)
○実現方程式:(実現)=(思考)×(行動)
あるべき姿。この誰からも教わるわけでもない、まったく各自にユニークなものを定義する力を「夢想力」と本書では呼びます。
また、頭がちぎれるくらい考えて、行動があるべき姿に向かうように仕向けるスキルを「孤考力」と呼びます。
さらに、さまざまな課題を漏れなく同時に解決し、仲間を増やしていくスキルを「広道力」と呼びます。
岡田さんの事業は、ハーバード・ビジネス・スクールの教科書でも取り上げられています。愚直さに思考と行動の方法を加えることで、自分のコンフォートゾーンを突き抜け、あるべき姿に最速で向かうことができるのです。
【my pick-up】
◎課題を場合分けで細分化する
課題にぶつかって、行動を起こせないときは次の2つのパターンしかない。
・子課題がまだ大粒すぎて次の一歩が踏み出せない
・子課題を十分な粒度に高めてみたが、課題設定の切れ味が悪くピンと来ない
切れ味のよい場合分けのパターンはほぼ決まっている。大きく分けて、順序で分ける、直交軸で分ける、その他、の3パターンになる。
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