評価 (3点/5点満点)
この本では、これまで軽視されてきた「疲労」について、科学的な解説を加え、
・人はなぜ疲れるのか
・疲れても無理をして休まずにいると、人間の体はどうなるのか
・どんな休み方をすれば最も効果的に疲れがとれるのか
といった疑問に答えていきます。
睡眠時間を長くしたり、ベッドやソファで横になったりしているだけでは、かえって逆効果になることを本書から知りました。
活力を上げる7つの休養モデル(休息・運動・栄養・親交・娯楽・造形/想像・転換)を活用しましょう。
【my pick-up】
◎適度な運動をする
休養学では運動を休養の一種とみなします。適度な運動をすることで、より疲労回復が進むからです。運動すると血液の流れがよくなり、細胞の1つひとつにしっかりと酸素と栄養を運ぶことができます。それによって老廃物の除去が促進されたり、リンパの流れがよくなったりするので、疲労感の軽減につながります。具体的にはヨガ、ストレッチ、ウォーキングなどがいいでしょう。入浴も血液の流れを良くさせるという意味では、運動タイプに分類されます。何歳になっても運動をすることで筋肉が育つことはよく知られています。
◎食べすぎない
休養学では「食べないこと」や「食事の量を減らすこと」も重視します。食べすぎないことが体を休めることになると考えるからです。私は「食べない栄養」というものがあると思っています。体の消化器系を休ませたり、老廃物を輩出するデトックスに焦点を当てたリするほうが重要です。「栄養をとる」という足し算の考え方ではなく、いかに栄養摂取を控える機会をつくるかという引き算の考え方をもってほしいと思います。
◎年とともに「眠り足りなくなる」のはしかたない
高齢者には「眠れない」「睡眠が足りない」と訴える人が多いのですが、実際は、睡眠量はそれほど変わりません。おそらく、中途覚醒が多いので、睡眠が足りない感じがするのでしょう。もしかしたら、昼間うとうとして足りない睡眠を補充してしまっているのかもしれません。
◎上手な休養のためには「寝すぎない」
休んでばかりいると体の機能が衰えてきます。つねに適度に動かしていないと、能力がだんだん下がっていきます。入院しているときなどがまさにこの状態にあたります。食事ももってきてもらえるし、場合によってはトイレにすら行かなくてもいい。体の内部で生理的な活動をおこなっているけれども、生活上の活動はほぼ止まっている状態です。ベッドレストの状態が必要以上に長引くと、体の機能はどんどん低下します。実はたった1日、寝て過ごすだけでも、骨格筋という体を動かす筋肉の中の筋タンパクがおよそ0.5~1%減少するというデータがあります。現代人は仕事中はどうしても座っていることが多くなります。自分の体力をなるべく高い位置に保つには、休日は体を動かすことを心がけてください。
◎「休んだときはお互いさま」の精神で
ドイツでは一緒に働いていても「早く帰りたい、会社には可能なかぎりいたくない」という人ばかりでした。限られた時間内に、いかに集中して効率よく仕事をするか、休みをとるためにがんばって仕事を片づけよう・・・と知恵をしぼります。だから生産性が高いのです。誰かが長期休暇をとると、取引先も「担当者が休みだったら仕方がない、じゃあ待つか」とあきらめてくれます。ちょっとした問い合わせ程度なら、回答が数週間後になってもそれほど大きな問題ではないことが多いのではないでしょうか。
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