評価 (4点/5点満点)
プロジェクトマネジメントにおける「すべし」と「すべからず」について、思いつく限りのポイントを解説した1冊です。
プロジェクトマネジメントのスキルというのは、最も業界横断的に活用が可能であり、かつ「持つ者」と「持たざる者」とのあいだに大きな差を生むことになるスキルだと思います。
理由は、プロジェクトマネジメントのスキルは、組織として成果を出すためのスキルであるから。
多くの人は、キャリアのどこかの段階で、個人として成果を出す責任から組織として成果を出す責任へとシフトします。
組織として成果を出す段階にきているにもかかわらず、論理思考やプレゼンテーションといった個人技を見せつけたいために部下の仕事を取り上げるということをしていると、いわゆる「残念なマネージャー」ということになり、その人のキャリアがそこで停滞することになります。
山口周さんが2016年に書いたものですが、プロジェクトを進める上でのリスクや対処法を豊富な事例とともに紹介しています。
【my pick-up】
◎メンバーのアサインメントを決める
簡単なモジュールは優秀なメンバーに任せて、難しいモジュールは、プロジェクトマネジャー自らが腕まくりして手を突っ込み、サポートに「それほどでもないメンバー」を据える。
「優秀なメンバーに簡単なモジュールを任せ、そのモジュールについてマネジャーは忘れる」というのが正しいやり方です。
◎空気に流されて「なあなあ」の結論を飲み込まない
「先日ご指摘いただいた優先順位は間違っていたので、○○さんの指摘する優先順位と同じということで進めていいですね?」とデジタルに追い込んでいかなければいけません。
プロジェクトを成功させるリーダーが必要に応じて行っている上位役職者の人たちとの「生意気なやりとり」は、多くの場合、その人の高評価につながっているというのが筆者の印象です。突き抜けるようにして上がっていく人というのは、ほぼ間違いなく「生意気」な人なのです。
◎「場をコントロールする」という意識をもつ
集団が形成されて、その中で一番先に話し始めた人が、リーダー格になっていくのです。一番先に話した人のことを周囲の人は、より知的で、エネルギーに溢れ、人格が優れていると考える傾向があります。
やらなければならないのは、聞きたいことなどなかったとしても、「何をさておいても一番先に質問する」ということです。別に質問の中身はどうでもいいのです。とにかく、集団のなかに身を置いたら「一番先に話し始めた人」になることを心がけましょう。
◎リーダーの仕事は「目的」を決めること
「率先垂範」とは、行動によって模範を示すということです。一方で「目的を決める」というのは、言葉によってゴールを示すということです。リーダーの仕事は目的を決めることであって、その実現は可能な限りメンバーに任せるべきです。
ここで重要なのは「目的を決める」ということと「手段を決める」ということを混同してはならない、ということです。なぜなら、手段を決めてしまうとメンバーのモチベーションは著しく低下してしまうからです。
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