評価 (3点/5点満点)
著者の川上浩司さんは京都大学デザイン学ユニット特定教授で、不便益(不便だからこそ得られる益や豊かさ)について研究されています。
この本は、「深く考える」ことを考え、1冊を通して「考え抜く力」を高める本です。
・頭が良いとは、深く考えられること。
・深く考える力をつけるには、深く考えるしかない。
・いくら素早く答えても、その答えは的を得ていないこともある。
・深く考えるとはプロセスであり、必ずしも最適解を出すことではない。
・思考のプロセスにこそ真の問題や新たな解決法が隠れていて、価値もある。
本書では、深く考える旅の相棒として、鉛筆を選んでいます。なぜ、鉛筆でメモを取る人にはできる人という印象を抱いてしまうのか?
・鉛筆は「物のコトワリ」に即しているから「実感」を抱きやすい。
・数字を用いた「PC的な説明」よりも、「わざ言語」などを用いた「鉛筆的な説明」のほうが実感を伴って腑に落ちやすい。
・「鉛筆で書く」というプロセスそのものが、「書いた結果」としての「絵」よりも重要で、そこを意識すれば「考える癖」がついて思考力はおのずと磨かれる。
・「何を足せるか」ではなく、「何を引けるか」を考える。そうすれば、鉛筆のようにシンプルで「本質が際立った」アイデアが生まれる。
考えている最中に、「あ、今考えている」と意識することこそが「深く考える」ことの第一歩となり、AI時代に機械に負けない、これからの人類に求められるスキルなのです。