厳選!ビジネス書 今年の200冊

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2012年30冊目『伝説の外資トップが説く 働き方の教科書』

2012-03-04 19:55:30 | おすすめビジネス書
伝説の外資トップが説く 働き方の教科書 伝説の外資トップが説く 働き方の教科書
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2011-12-09

評価  (4点/5点満点)

シェル石油企画課長→日本コカ・コーラ市場開発本部長→ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長→53歳で会社立ち上げ、といった経歴を歩んできた新将命さんが、人生、特にビジネス人生における成功の三大要諦とでもいうべき「原理原則」「FUN」「運」について、「実論」(実際に役に立つ論)として解説します。

考え方や働き方の原理原則を学び、何をやるときもFUN(楽しい)の精神で当たり、運に恵まれさえすれば人生はうまくいくということです。

特に、以下の2点が本書の根幹を支えています。

・「自分に残された時間があとどのくらいあるのか」を頭の片隅にインプットしておくと、時間を大切に使おうという気持ちが湧いてくるものです。

・「成功」というのは限りなく主観的なものです。成功の定義は人によって違います。主観的なものであるがゆえに、個々の人間が決めるべきです。世の中を変えるために何か役に立つことをすることで、自分が生きた証を残すよう努力すべきです。

久しぶりに、数多くの失敗や挫折を通じて学んだ現場経験がベースとなった、生きた仕事術を学びました。多くのビジネスパーソンに読んでほしい力強い1冊です。

【my pick-up】

◎成り行き人間と目標人間

これまでさまざまなビジネスパーソンを観察してきた経験から言うと、疲労感、疲弊感、閉塞感といった言葉が口をついて出てくる人には、十中八九、明確な目標が欠けています。仕事であれプライベートであれ、「いついつまでにこの目標を達成するぞ!」という具体的方向感覚がないと、人は精神的な疲れを感じ、前に進む気持ちが萎えてしまうのです。

◎情熱の火を分けてくれる人と付き合う

人間は、よくも悪くも付き合う人から非常に大きな影響を受ける生き物です。そういえば、「友人とは自分の鏡である」という言葉があります。そうであれば、情熱の火を常にメラメラと燃やしたいなら元気印・情熱印の人と積極的に付き合うことです。知識や経験が必要なのは言うまでもありませんが、それに負けず劣らず重要なのが、実は「情熱の火を分けてくれる人と付き合う」ということなのです。

◎〝1年を20日で暮らすいい男(女)〟

時間という資源に限りがある以上、思い切って何かを手放さないかぎり本当に重要なタスクを精度高くこなすことはできません。「すべてを追えばすべてを失う」ということにならないように、どこかでスパッと割り切る心が必要です。

私の場合は、42歳で経営職に就いて以降はゴルフをいっさいやめました。ゴルフ場での人脈づくりのメリットと、コースを回ると1日がかりになってしまうデメリットを天秤にかけたとき、私にとってはデメリットのほうが大きいと感じたのです。同様の理由で、酒宴の2次会も遠慮するようになりました。

惰性的な〝お義理残業〟もご法度です。慢性的にだらだらと夜遅くまで残業を続けている人は、もしかしたら昼間の時間の使い方が下手なだけなのかもしれないのだから、間違っても自慢してはいけません。私は、夜の9時を過ぎてまで仕事をしていたことはほとんどなかったし、家に仕事を持ち帰ることもまずありませんでした。残業というのは必要悪です。というよりは、多くの場合、不必要悪です。私はこの不必要悪は、絶滅したほうがよいと思っています。

◎眠りを削るは命を削る

持続力の衰えを防ぐには、まず何よりも定期的なエクササイズで体力を保つ努力をすることです。私の場合、会社勤めをしたいたころは、夜の予定が何もなければ20時までに仕事を終え、週2~3回はジムに通って1時間半ほど汗を流していました。この定期的なジム通いは、私にとっては遊びではなく仕事の一環でした。ビジネスパーソンとしていい仕事をするためには健康が大前提だからです。

◎可処分時間配分法

仕事以外で可処分時間にできることといえば、基本的に次の4つです。

①体を休める(睡眠をとって文字どおり身体を休める)/②体を鍛える(ジムなどに行って汗を流す)/③心を休める(仕事から離れて趣味や娯楽を愉しむ)/④心を鍛える(読書や勉強会への参加などの座学)

あなたの可処分時間を①~④にどのように配分するか-ここが勝負の決め手です。

ちなみに私は、若いころは週に2日ほどは就業後にジムに通って汗を流していました。最近ではジムに通う時間が捻出できないほど可処分時間の絶対量が足りないので、それをやめる代わりに時間が許すかぎり毎日40分のウォーキングと毎日300回の腕立て伏せをしています。

また「心を鍛える」ことに関しては、毎日最低30分程度を読書に充て、海外のニュース番組を英語で聴く、といったことをもうかれこれ40年以上一貫して実践しています。

◎無用の学と有用の学

いままでに何千人というビジネスパーソンとお付き合いしてきた経験からはっきり言えることですが、本を読まない人は絶対に伸びません。なぜ本をおすすめするかというと、読書のすばらしい点は3つもあるからです。

第一のメリットは、「本は文句も不平も不満も言わない」ということです。第二は「安い!」ということです。第三に、これがいちばん重要なメリットなのですが、「先人・先達や専門家の英知がキッシリ詰まっている」という点です。こう考えると、世の中に本ほどお得な買い物はありません。

では、どんな本を読めばいいのでしょうか?「有用の学を7割、無用の学を3割を目安にしてみては?」と。「有用の学」とは、営業、経理、技術など、ビジネスに直結するテーマを扱った本を読むことです。これに対し、哲学や文学、歴史、中国古典といった、今日の仕事にはすぐに役立たないかもしれないが、自分の教養の裾野を広げ、感受性を豊かにしてくれる本を読むことを「無用の学」と言います。

日中のミーティングとは違い、欧米のビジネスパーソンはカクテルパーティーなどではあまり日常的なビジネスの話題は引きずりません・教養ある外国人は何の話をするかというと、「大英博物館ではいまこういう特別展をやっている」とか「○○フィルハーモニーの指揮者はすばらしい」「『四書五経』のどの書にはこんなすばらしい一節がある」という具合に、ビジネス以外の話をすることが圧倒的に多いのです。話といえばゴルフと孫の自慢話ばかりというおおかたの日本の経営者との、これが決定的な「教養の違い」と言えるでしょう。

◎素直であるほど人は伸びる

真の謙虚さとは次の3点に凝縮されます。

・人の意見に素直に耳を傾けること/・人のよいところを見て、そこから学べること/・人に感謝し、ありがとうと言えること

◎胆識とは

20年に及ぶ自分自身の社長職経験を振り返って、つくづく思うことがあります。それは、ある程度大きな意思決定をするときに、「限りなく十分に情報が集まったうえで意思決定をした」などという記憶はタダの一度もない、ということです。本当に必要な情報はいつも不足しているのです。

それでも、情報が準備万端整うのを待ってぐずぐずしていると、ビジネスチャンスという名のバスに乗り遅れてしまう。バスに間に合う可能性の高いうちに、多少のリスクは覚悟のうえで「エイヤッ!」と物事を決める。そのために必要なのが「胆識」なのです。

見識(知識+自分の考え方)+決断力+断行力=胆識

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