ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

地獄の沙汰も酒次第(9)

2016年07月22日 04時36分52秒 | 酒の話
さて、鬼の手下が肉を持ってくる間に、
担当赤鬼にインタビュー(?)。
「ねえ、こんな地獄に籠ってばかりで面白くない?
たまには娑婆旅行なんかしたら?
昔は娑婆では鬼は怖がられてたけど、最近なんか影が薄いよ」
「う~~~ん、そうなんだ。
昔は娑婆でさんざん悪さをしてきたけど、今では誰も怖がらない。
それどころか今では娑婆の方が怖い!!
昔は年に一度は娑婆旅行に行ったけど、今ではいじめられて帰ってくる。
そしてすっかりバカにされ、挙句の果ては『きぁ~~~、かわいい!』なんて言われる始末。
これじゃ鬼の立つ瀬がない。
それでいつしか娑婆ツアーも中止になってしまったんだ」
といって涙ぐむ。
鬼の目にも涙。
ここは慰めねば。

「うんうん、そうだよね。わかるわかる。
今では節分やもっとローカルな秋田のなまはげにしか鬼に用はないもんね・・・
まあ、呑めや、呑め!」
(といいながら1升瓶から注ごうとしたら、
ん?娑婆から持ってきた瓶がもう空からだよ、さてはこの赤鬼が全部呑んでしまったな!?
でもまあいいや、ここは酒地獄。酒はふんだんにある。
第3のビールや甲類焼酎や醸造酒ばかりだけど・・・)
そこで鬼の目を盗んでこっそり酒地獄の醸造酒を1升瓶に汲んできて、
「まあ呑め、ぐいぐい呑め!」
ごくっと鬼は呑んで
「ん?」
でもまあ相手は酔っ払い。
なぁ~に酒の味などわかるもんか。

というわけでこの担当赤鬼と呑んでると、手下の鬼が戻ってきた。
肉をいっぱい担いで。
「ん?これ何の肉?」
「熊!」という。
「へ~え、クマ肉。娑婆でも食べたことはない」
赤鬼も珍しいのか「へ~え、よく手に入ったなぁ」
どうやら熊肉は地獄でも珍しいらしい。
そして「食え!」
熊は娑婆では食べたことないけど、恐る恐る食べてみると、
これが実にうまい!
これだったら娑婆で食べておけばよかったな。
でも娑婆には、くまもり隊とかいう、それはそれは恐ろしい人たちがいて熊を殺したら怒り出すらしい。
まして食べたとなると何をされるかわかったもんじゃない。
でもここは地獄、文句あるなら地獄まで落ちてこい!

というわけで熊肉を肴に大いに呑んだのだった。


(続く)
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