長谷部愛 「天気でよみとく名画-フェルメールのち浮世絵、ときどきマンガ」読了
前回読んだ本と同じような趣の本だ。今度は詩歌に書かれた生物ではなく名画に描かれた“天気”を分析している。
絵画の鑑賞に際して、天気に着目してみるとそれまでとは違った魅力が現れてくるという。
有名な絵画というのはそれが描かれた場所や年代が特定されているものが多い。だから、その場所のその当時の気候や天気はどのようなものであったかがわかっている場合が多い。この本は、画家たちがその時の天気をどのように切り取ったかを鑑賞するのである。
サブタイトルに書かれているフェルメールは窓からの斜めの日差しを受けた人物像で有名だが、風景画も描いていて、その中でも「デルフトの眺望」という絵画は空の表現が際立っているという。
デルフトというのはオランダの都市だそうで、海抜0メートルの土地が多く空が広く見える。しかし、この絵が描かれた17世紀というのは、14世紀から19世紀まで続いた「小氷期」の中でも最も寒い期間であったそうだ。低温と荒天が続いたこの時代にあって、貴重な青空が描かれている。
フェルメールはこの絵と合わせて2点だけ風景画を残しているそうだが両方ともその貴重な青空が描かれているということだ。青空を渇望していたのである。欧米の美術館41館が所蔵する1400年から1967年に描かれた1万2千点の絵画の天候を定量的に調べると、小氷期に描かれた絵画には曇天で、かつ暗く描かれた傾向があるそうで、そういったことを考えてもこの青空は貴重な青空と言えるのである。
イギリスでは有名なジョン・コンスタンブルはかなり雲の風景を観察し続けた作家のようである。1805年~17年の間に1点、1828年に同じ構図でもう1点描いていて、2点目は相当科学的な正確さで書かれている。タイトルは「テダムの谷」という。
この時代には科学的な知見に基づいた気象学が始まり、ルーク・ハワードというイギリス人のアマチュア気象学者が考案した「国債雲図帳」は今でも国際的に使われている雲の分類の基礎になっているそうだ。
この作品の変化は素人が見てもわかるレベルだ。
写実的な絵画だけでなく抽象的な絵画にも描かれた当時の天候を反映している作品があると著者は考えている。ムンクの「叫び」はかなり有名な絵画だが、背景の空の色は赤く燃えている。
この絵画は1893年に描かれたがその10年ほど前、1883年8月27日、インドネシアのクラカタウ火山が大爆発を起こし、その火山灰は長く全世界を覆った。日本では天明の大飢饉を引き起こしたのではないかと言われているがムンクの住んでいたノルウェーでもその影響で長い間空が赤く染まっていた可能性があり、その空のイメージが「叫び」に反映されているのではないかというのである。
他の作家の作品でもこの時代、絵画の色彩の分析をすると緑よりも赤の割合が多いそうだ。そんな分析をしている学者がいるというのにも驚かされるが・・。
日本の絵画では歌川広重と葛飾北斎の浮世絵の数々が紹介されている。広重は写実的、北斎は様々な雲の種類をアレンジしながら描いているそうである。しかし、どちらの浮世絵も雲の形だけでなく、雨や風の表現を改めて見てみると天気が見せるその時々の風景を印象深く描いている。
広重の絵では人は主人公ではないのだろうが、その動きはその時の風や雨の情景を映し出す。急な雨に慌てる人々、春先に降る強い雨にじっと耐える人々。
北斎の絵にも突風に慌てて対応しようとする人々が出てくるがこれなどは見えないはずの風の筋がはっきり見えてきそうである。
浮世絵というのはこんなに魅力的に自然を切り取っていたのかと思うと、永谷園のお茶漬けの素の付録をきちんと集めておくべきだったと思うのである。
広重の浮世絵には不思議な絵が1点ある。「名所江戸百景 亀戸梅屋敷」という浮世絵だが、夕焼けを描いているのはわかるのだがなぜか空の上の方が赤くなっている。
“なぜだか”とは書いたものの、多分幾度かは目にしていたことがあるはずだがそれがまったく不自然だとは気がつかなかった・・。
夕焼けというのは水平線に近い方ほど赤くて上に行くほど淡い色になるものだ。写実派の広重にしては想像で描いているのかと思えるのだが雲が空の高いところに出ている日の夕焼けは濃淡が逆になる日もあるらしい。細かな観察がこの絵を生んだと言える。
この絵はゴッホが魅了された浮世絵として有名だがその裏にはこんな特殊な気象現象があったのである。
日本には100を超える雲の表現が、雨にいたっては400を超える表現あるそうだ。これだけたくさんの表情をもつ気候がある日本だからこそ世界のコレクターを魅了する絵が生まれるのであろう。
この前のボウズの釣行で、絵心があればこの雲を描いてみたいと思ったのは、ちょうどその頃この本を読んでいたからである。
絵に描かれたものではなくても十分絵になるのが日本の空ということだろう。
この本意には、マンガやアニメの世界で表現されている気象現象についても書かれている部分があるのだが、そのマンガやアニメについての知識がまったくないのでこの感想文では触れないことにした。
この本には気象用語の解説が付録として掲載されている。雲については「十種雲形」というものが興味深い。これから先、雲を見るときの参考にもなると思うので記しておこうと思う。
雲を観測するときは、その形や発生する高さによって、大きく10種類に分類する。国際的に決められており、「十種雲級」とも呼ばれる。その際、使う漢字は次の5つだけでありその組み合わせで雲の名前を作っている。
「巻」(記号:C・Ci)上層(5~13km)の雲・氷晶からなる
「高」(記号:A)中層(2~7km)の雲・水滴からなる
「層」(記号:S・St)水平方向(横)に広がる雲
「積」(記号:C・Cu)垂直(縦)に発達する雲・対流性の雲
「乱」(記号: N・b)雨を降らせる雲
① 巻 雲(けんうん)
糸のように散らばった白い雲で「すじ雲」とも呼ばれる。はけで描いたような形が多く、秋から冬によく見られる。数ある雲のうち最も高いところに現れる。巻雲どうしが重なり合ってあばら骨状になると、次第に天候が悪化することが多くなる。
② 巻積雲(けんせきうん)
小さな雲のかたまりが、魚のうろこのように規則的に集まっている雲。「いわし雲」や「うろこ雲」とも呼ばれるが、よく耳にする「ひつじ雲」とは別物でである。
「ひつじ雲」は中層雲である「高積雲」を指すので雲が発生する高度が異なる。巻積雲のほうがより高い場所で発生するので、小さく見えることになる。判別するのはやや難しいが、1つ1つの雲が小さいほうが巻積雲(いわし雲・うろこ雲)、大きいほうが高積雲(ひつじ雲)ということになる。
巻積雲が現れ、次第に高積雲へと変化していく場合は、徐々に天候が悪化することが多い。
③ 巻層雲(けんそううん)
薄いベール状で太陽が透けて見える雲。うすぐもとも言う。この時、太陽の周りにぼんやりと輪っかのようなものが見えることがあり、これを「ハロ(暈)」という。
この光の輪は、太陽の光が雲の中に含まれる氷の粒に当たり、屈折することにより発生する。ハロ(暈)が起きる時、すなわち巻層雲が現れている時は、徐々に天候が悪化することが多い。
①~③は上層雲と呼ばれる。
④高積雲(こうせきうん)
白色または灰色の丸みのある雲のかたまりが規則的に並ぶ雲。巻積雲(けんせきうん)と特徴や成因が似ているが、高積雲のほうが低い位置に現れるのでより大きく見える。「ひつじ雲」は上記のとおりこの高積雲のことを指す。巻積雲⇒高積雲の順に現れると、次第に天候が悪化することが多い。
⑤高層雲(こうそううん)
灰色でやや厚みのあるベール状の雲。おぼろぐもとも呼ばれる。空全体を覆うように広がることが多く、太陽はぼんやりと見えるようになる。巻層雲(けんそううん)と特徴や成因が似ているが、高層雲は雲粒の大部分が水滴であるため「ハロ(暈)」は発生しない。また、高層雲は巻層雲と比べて分厚いので、日光を遮り、地上の物に影ができない。よって高層雲と巻層雲は地上に影ができるかどうかで判別することができる。
⑥乱層雲(らんそううん)
空全体を厚く覆う暗い灰色の雲。いかにも雨を降らせそうな雲である。
雨や雪を降らせることから、「雨雲」や「雪雲」と呼ばれる。雲頂部は、ところどころ積乱雲のように盛り上がっている。中層雲に分類されるが、発達して上層や下層に広がることも多く見られる。乱層雲が現れた場合は、これから天気が悪化するというよりも、すでに悪化している状態である。
④~⑥は中層雲と呼ばれる。
⑦層積雲(そうせきうん)
灰色または白みがかった大きなかたまりの雲。「くもり雲」とも呼ばれる。レンズ状、ロール状などの形状で、丸みがある。雲のかたまりは、つながったり離れたりしていて、規則正しく並ぶ。地上から2000mくらいの高さに現れ、やや分厚く見えることもあるが、降水をもたらすことはあまりない。積雲と比べるとやや灰色っぽくみえる。
⑧層 雲(そううん)
灰色の霧のような雲で、「きり雲」とも呼ばれる。きり雨(きりのように細かい雨)を降らせることがある。この雲が明るい灰色の時は天気が安定していると言われる。数ある雲の中で最も低い、地上から600mくらいのところに現れる雲である。「霧」との違いは、地表に接しているかどうかで決まる。地表面に達していれば「霧」、地表から離れていれば「層雲」となる。
⑨積 雲(せきうん)
青空にぽっかり浮かぶ白いわたのようなかたまりの雲。「わた雲」とも呼ばれ、地上から2000m付近で良く発生する。この雲が発達し、大きくなると中層や高層にまで広がる雄大積雲になる。雄大積雲の下は激しい雨となり、突風を伴う。積雲と積乱雲の違いは、外見上では判別しにくいが「雷」が発生しているかどうか決まり、雷が発生していると「積乱雲」、そうでない場合は「積雲」となる。
⑩積乱雲(せきらんうん)
巨大な山や塔のように垂直方向に発達した濃密な雲。「入道雲」や「カミナリ雲」とも呼ばれる。雲のてっぺんはカリフラワーのように盛り上がった形をしている。雲の底は非常に暗く、突風を伴って強い雨やひょうを降らせる。積乱雲が限界まで発達し、上部が平らになったものを「かなとこ雲」と呼び、ここまで発達した積乱雲の直下では、激しい雨や雷雨となっていることが予想される。
⑦~⑩は下層雲と呼ばれる。
前回読んだ本と同じような趣の本だ。今度は詩歌に書かれた生物ではなく名画に描かれた“天気”を分析している。
絵画の鑑賞に際して、天気に着目してみるとそれまでとは違った魅力が現れてくるという。
有名な絵画というのはそれが描かれた場所や年代が特定されているものが多い。だから、その場所のその当時の気候や天気はどのようなものであったかがわかっている場合が多い。この本は、画家たちがその時の天気をどのように切り取ったかを鑑賞するのである。
サブタイトルに書かれているフェルメールは窓からの斜めの日差しを受けた人物像で有名だが、風景画も描いていて、その中でも「デルフトの眺望」という絵画は空の表現が際立っているという。
デルフトというのはオランダの都市だそうで、海抜0メートルの土地が多く空が広く見える。しかし、この絵が描かれた17世紀というのは、14世紀から19世紀まで続いた「小氷期」の中でも最も寒い期間であったそうだ。低温と荒天が続いたこの時代にあって、貴重な青空が描かれている。
フェルメールはこの絵と合わせて2点だけ風景画を残しているそうだが両方ともその貴重な青空が描かれているということだ。青空を渇望していたのである。欧米の美術館41館が所蔵する1400年から1967年に描かれた1万2千点の絵画の天候を定量的に調べると、小氷期に描かれた絵画には曇天で、かつ暗く描かれた傾向があるそうで、そういったことを考えてもこの青空は貴重な青空と言えるのである。
イギリスでは有名なジョン・コンスタンブルはかなり雲の風景を観察し続けた作家のようである。1805年~17年の間に1点、1828年に同じ構図でもう1点描いていて、2点目は相当科学的な正確さで書かれている。タイトルは「テダムの谷」という。
この時代には科学的な知見に基づいた気象学が始まり、ルーク・ハワードというイギリス人のアマチュア気象学者が考案した「国債雲図帳」は今でも国際的に使われている雲の分類の基礎になっているそうだ。
この作品の変化は素人が見てもわかるレベルだ。
写実的な絵画だけでなく抽象的な絵画にも描かれた当時の天候を反映している作品があると著者は考えている。ムンクの「叫び」はかなり有名な絵画だが、背景の空の色は赤く燃えている。
この絵画は1893年に描かれたがその10年ほど前、1883年8月27日、インドネシアのクラカタウ火山が大爆発を起こし、その火山灰は長く全世界を覆った。日本では天明の大飢饉を引き起こしたのではないかと言われているがムンクの住んでいたノルウェーでもその影響で長い間空が赤く染まっていた可能性があり、その空のイメージが「叫び」に反映されているのではないかというのである。
他の作家の作品でもこの時代、絵画の色彩の分析をすると緑よりも赤の割合が多いそうだ。そんな分析をしている学者がいるというのにも驚かされるが・・。
日本の絵画では歌川広重と葛飾北斎の浮世絵の数々が紹介されている。広重は写実的、北斎は様々な雲の種類をアレンジしながら描いているそうである。しかし、どちらの浮世絵も雲の形だけでなく、雨や風の表現を改めて見てみると天気が見せるその時々の風景を印象深く描いている。
広重の絵では人は主人公ではないのだろうが、その動きはその時の風や雨の情景を映し出す。急な雨に慌てる人々、春先に降る強い雨にじっと耐える人々。
北斎の絵にも突風に慌てて対応しようとする人々が出てくるがこれなどは見えないはずの風の筋がはっきり見えてきそうである。
浮世絵というのはこんなに魅力的に自然を切り取っていたのかと思うと、永谷園のお茶漬けの素の付録をきちんと集めておくべきだったと思うのである。
広重の浮世絵には不思議な絵が1点ある。「名所江戸百景 亀戸梅屋敷」という浮世絵だが、夕焼けを描いているのはわかるのだがなぜか空の上の方が赤くなっている。
“なぜだか”とは書いたものの、多分幾度かは目にしていたことがあるはずだがそれがまったく不自然だとは気がつかなかった・・。
夕焼けというのは水平線に近い方ほど赤くて上に行くほど淡い色になるものだ。写実派の広重にしては想像で描いているのかと思えるのだが雲が空の高いところに出ている日の夕焼けは濃淡が逆になる日もあるらしい。細かな観察がこの絵を生んだと言える。
この絵はゴッホが魅了された浮世絵として有名だがその裏にはこんな特殊な気象現象があったのである。
日本には100を超える雲の表現が、雨にいたっては400を超える表現あるそうだ。これだけたくさんの表情をもつ気候がある日本だからこそ世界のコレクターを魅了する絵が生まれるのであろう。
この前のボウズの釣行で、絵心があればこの雲を描いてみたいと思ったのは、ちょうどその頃この本を読んでいたからである。
絵に描かれたものではなくても十分絵になるのが日本の空ということだろう。
この本意には、マンガやアニメの世界で表現されている気象現象についても書かれている部分があるのだが、そのマンガやアニメについての知識がまったくないのでこの感想文では触れないことにした。
この本には気象用語の解説が付録として掲載されている。雲については「十種雲形」というものが興味深い。これから先、雲を見るときの参考にもなると思うので記しておこうと思う。
雲を観測するときは、その形や発生する高さによって、大きく10種類に分類する。国際的に決められており、「十種雲級」とも呼ばれる。その際、使う漢字は次の5つだけでありその組み合わせで雲の名前を作っている。
「巻」(記号:C・Ci)上層(5~13km)の雲・氷晶からなる
「高」(記号:A)中層(2~7km)の雲・水滴からなる
「層」(記号:S・St)水平方向(横)に広がる雲
「積」(記号:C・Cu)垂直(縦)に発達する雲・対流性の雲
「乱」(記号: N・b)雨を降らせる雲
① 巻 雲(けんうん)
糸のように散らばった白い雲で「すじ雲」とも呼ばれる。はけで描いたような形が多く、秋から冬によく見られる。数ある雲のうち最も高いところに現れる。巻雲どうしが重なり合ってあばら骨状になると、次第に天候が悪化することが多くなる。
② 巻積雲(けんせきうん)
小さな雲のかたまりが、魚のうろこのように規則的に集まっている雲。「いわし雲」や「うろこ雲」とも呼ばれるが、よく耳にする「ひつじ雲」とは別物でである。
「ひつじ雲」は中層雲である「高積雲」を指すので雲が発生する高度が異なる。巻積雲のほうがより高い場所で発生するので、小さく見えることになる。判別するのはやや難しいが、1つ1つの雲が小さいほうが巻積雲(いわし雲・うろこ雲)、大きいほうが高積雲(ひつじ雲)ということになる。
巻積雲が現れ、次第に高積雲へと変化していく場合は、徐々に天候が悪化することが多い。
③ 巻層雲(けんそううん)
薄いベール状で太陽が透けて見える雲。うすぐもとも言う。この時、太陽の周りにぼんやりと輪っかのようなものが見えることがあり、これを「ハロ(暈)」という。
この光の輪は、太陽の光が雲の中に含まれる氷の粒に当たり、屈折することにより発生する。ハロ(暈)が起きる時、すなわち巻層雲が現れている時は、徐々に天候が悪化することが多い。
①~③は上層雲と呼ばれる。
④高積雲(こうせきうん)
白色または灰色の丸みのある雲のかたまりが規則的に並ぶ雲。巻積雲(けんせきうん)と特徴や成因が似ているが、高積雲のほうが低い位置に現れるのでより大きく見える。「ひつじ雲」は上記のとおりこの高積雲のことを指す。巻積雲⇒高積雲の順に現れると、次第に天候が悪化することが多い。
⑤高層雲(こうそううん)
灰色でやや厚みのあるベール状の雲。おぼろぐもとも呼ばれる。空全体を覆うように広がることが多く、太陽はぼんやりと見えるようになる。巻層雲(けんそううん)と特徴や成因が似ているが、高層雲は雲粒の大部分が水滴であるため「ハロ(暈)」は発生しない。また、高層雲は巻層雲と比べて分厚いので、日光を遮り、地上の物に影ができない。よって高層雲と巻層雲は地上に影ができるかどうかで判別することができる。
⑥乱層雲(らんそううん)
空全体を厚く覆う暗い灰色の雲。いかにも雨を降らせそうな雲である。
雨や雪を降らせることから、「雨雲」や「雪雲」と呼ばれる。雲頂部は、ところどころ積乱雲のように盛り上がっている。中層雲に分類されるが、発達して上層や下層に広がることも多く見られる。乱層雲が現れた場合は、これから天気が悪化するというよりも、すでに悪化している状態である。
④~⑥は中層雲と呼ばれる。
⑦層積雲(そうせきうん)
灰色または白みがかった大きなかたまりの雲。「くもり雲」とも呼ばれる。レンズ状、ロール状などの形状で、丸みがある。雲のかたまりは、つながったり離れたりしていて、規則正しく並ぶ。地上から2000mくらいの高さに現れ、やや分厚く見えることもあるが、降水をもたらすことはあまりない。積雲と比べるとやや灰色っぽくみえる。
⑧層 雲(そううん)
灰色の霧のような雲で、「きり雲」とも呼ばれる。きり雨(きりのように細かい雨)を降らせることがある。この雲が明るい灰色の時は天気が安定していると言われる。数ある雲の中で最も低い、地上から600mくらいのところに現れる雲である。「霧」との違いは、地表に接しているかどうかで決まる。地表面に達していれば「霧」、地表から離れていれば「層雲」となる。
⑨積 雲(せきうん)
青空にぽっかり浮かぶ白いわたのようなかたまりの雲。「わた雲」とも呼ばれ、地上から2000m付近で良く発生する。この雲が発達し、大きくなると中層や高層にまで広がる雄大積雲になる。雄大積雲の下は激しい雨となり、突風を伴う。積雲と積乱雲の違いは、外見上では判別しにくいが「雷」が発生しているかどうか決まり、雷が発生していると「積乱雲」、そうでない場合は「積雲」となる。
⑩積乱雲(せきらんうん)
巨大な山や塔のように垂直方向に発達した濃密な雲。「入道雲」や「カミナリ雲」とも呼ばれる。雲のてっぺんはカリフラワーのように盛り上がった形をしている。雲の底は非常に暗く、突風を伴って強い雨やひょうを降らせる。積乱雲が限界まで発達し、上部が平らになったものを「かなとこ雲」と呼び、ここまで発達した積乱雲の直下では、激しい雨や雷雨となっていることが予想される。
⑦~⑩は下層雲と呼ばれる。
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