イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「壽屋コピーライター 開高 健」読了

2017年02月01日 | 2017読書
坪松博之 「壽屋コピーライター 開高 健」読了

前回読んだ、「大阪で生まれた開高健」の坪松博之という人のまとめた章の読み応えがあり、その人が書いた本をまた読んでみた。
出版社も同じだから内容がかなり重複しているというのは仕方がない。

師が壽屋(サントリー)でどんな役割を果たし、逆にどんな影響を受けてきたのか、それをサントリーの広告史を合わせて紹介、考察されている。タイトルには、「開高健」と入っているが、半分以上はサントリーとそこで広告に携わった人々の話になっている。

どうしても師や山口瞳だけがクローズアップされてしまうが、この二人も自分の力だけで偉大な作家になったわけではなかったようだ。もちろん作家としての実力は偉大に違いないが、それに磨きをかけたのが宣伝文案(コピー)つくりであり、それを指導した人がいたからであり、また小説の題材をさりげなく提供することになった人もその中にはいたようだ。特に坂根進という人はそうとうな博覧強記のひとであったようで、芥川賞受賞作になった、「裸の大様」のヒントになった題材を提供したのはこの人で、またワイン、グルメ、パイプなど師の世間でのイメージを大きく決定付けたのもこの人であったらしい。
それだけではない、そもそも、サントリーの当時の社長である佐治敬三がいたからこそ師はそこまでの作家になったといわなければならない。
そして師をこの人に引き合わせたのが7歳年上の妻、牧羊子であったわけだが、これらはすべて偶然であったのか、それとも何としてでも小説家になりたいという怨念のようなものがそうさせたのか・・・。
高度経済成長の時代というのはそれほどの勢いがあったということだろうか。

佐治敬三とは社長と社員という間柄であり、かつ言い方はどうかわからないがパトロンでもあったような感じではあるが、お互いの才能を認め合い、はたまた利用し合いながらそれぞれの会社、人間を大きくしていった。
この本を読んではじめて知ったが、師は小説家として有名になってからもかなり長くサントリーの宣伝活動には携わっていたらしい。ただテレビCMに出演するだけではなく、特にビールの販促については相当深く入り込んでいたそうだ。

ユーチューブで当時のCMを見てみたり、トリスを買って飲んでみたりしてその頃に浸ってみたりしたのだが、そのコピーは今のコマーシャルとはまったく違って趣があるというのか、今のこの時代では悲しいかな、売れないな~。という感想であった。知的レベルが低下している今の人々にはきっとこのすばらしさは理解できないだろう。(僕が言えることではないが・・・)
きっとその頃のほうがいい時代であったのだろうと思う。

最後は師と佐治敬三の親交の深さを物語るエピソードで終わっているが、このふたりについて書かれている「最強のふたり」という本がこの本の出版後に出版されている。また、図書館に蔵書されていたらぜひとも読みたくなる内容であった。


しかし、あまりにも安くてきっと美味しくはないのだろうと思って買おうとは思わなかったトリスであるが、意外と美味しい。そこはやはりモルトの比率が少ないのか、ハイボールにするとほぼ香りが無くなってしまう感じだが逆にストレートでいくとそこそこイケる味だ。マッサンではあまりパッとしなかった大将ではあるが、ちゃんといいものを造っているではないか!

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2 コメント

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Unknown (サワッチ)
2017-02-02 09:19:53
普段はビール以外は飲まない、旅行、清流釣には

シーバスリーガル 12年 (ペットボトル) 500ml
ですね。
ペットボトルで軽量かさ張らない割れることが無くお気に入り、少量で体が温まる。
ボートの船長さんは飲酒禁止です、




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Unknown (イレグイ号)
2017-02-03 19:01:29
サワッチさん、
いつもコメント、ありがとうございます。

川べりでスコッチですか!いいですね~。
実は僕も企んでいます。
暖かくなるまでに実現するでしょうか・・・。
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