吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2007年2月15日〈津屋崎学〉024:東郷神社

2007-02-15 20:51:06 | 郷土史

●写真①:大峰山の中腹にある「東郷神社」(鳥居左側の建物が社務所、右側は喫茶「三笠」)
      =福津市渡で、2007年2月15日午前10時撮影

琢二と清の郷土史談義
『津屋崎学』

第24回:2007.2.15
  東郷神社


清 「おいしゃん(叔父さん)、きょうは、福津市の東郷公園近くにある〈東郷神社〉=写真①=のことば話しちゃるとやったね」
琢二 「旧日本海軍連合艦隊司令長官・東郷平八郎元帥を祀る〈東郷神社〉は、地元の獣医で今は亡き安部正弘さんが昭和10年(1935年)からお祀りし、同42年(1967年)に宗教法人化された。拝殿=写真②=は、鉄筋コンクリート製のはにわ型だ」
清 「拝殿の形としては、珍しかね」


写真②:鉄筋コンクリート製のはにわ型をした「東郷神社」拝殿
     =福津市渡で、2006年5月14日午後0時20分撮影

琢二 「安部さんの岳父・伊地知弘一さんは明治初期に、東郷元帥とイギリスのロンドンに留学した仲で、のちに日本海軍の戦艦〈高千穂〉艦長になった大佐だった。安部さんは当時18歳だった明治38年(1905年)5月27日、東郷公園がある大峰山山頂から日露戦争の日本海海戦を目撃し、壱岐の方から黒煙が何本も上がったことや、砲声が一日中聞こえたと話していたそうだ。戦後、上京して東郷元帥を訪ね、親交を結んだ。『日本海海戦で負けていたら、今の日本はなかった』と、大正7年(1918年)から50年かけて東郷神社を宗教法人にされた。神社は東郷元帥を祭神とし、毎年5月27日に春の例祭を行い、元帥の誕生日の12月22日も例祭を行っている。〈宝物館〉内には、安部さんの御子息・

安部一男氏の軍服姿の写真=写真③=も展示されている」


写真③:軍服姿の安部一男氏(安部正弘さんの御子息)の写真
     =福津市渡の東郷神社・「宝物館」で、07年2月15日午前10時45分撮影

清 「今の宮司さんは、女の人やと聞いたばってん」
琢二 「よう知っとうな。安部さんが昭和46年(1971年)に84歳でなくなり、二女で夫に先立たれた内田久美さん(88)が、翌47年に神職の資格を取って2代目の宮司になられ、今はその娘さんの川野万里子さんが3代目の宮司たい」
清 「感心やね、亡くなったお父さんの跡を継がれたったいね」
琢二 「内田さんにきょう2月15日、お目にかかって聞いたら、初代の宮司は波折神社の神職さんに兼務してもらっていたそうな。内田さんが2代目宮司になったころの春の例祭には、50人くらいしか集まらなかったが、最近は自衛隊関係者や鹿児島県人会からなどから参加者は100人くらいに増えたそうたい。境内には、入館料100円で観覧できる〈宝物館〉もあるから、清もいっぺんお参りしてこい」


写真④:東郷元帥の書や海軍将校の遺品などを展示している〈宝物館〉
     =「東郷神社」で、06年5月14日午後0時20分撮影

清 「〈宝物館〉には、何が展示してあるとね?」
琢二「〈宝物館〉は、〈宝物殿〉とも言い、東郷元帥海軍大将の書や日記書簡をはじめ、元帥を崇敬追慕してやまなかった海軍将校らの書、遺品、記念品、旗艦・『三笠』の模型など多数だ。大部分は、安部さんが収集したものたい」


写真⑤:海軍将校らの遺品や旗艦・『三笠』の模型などが並ぶ〈宝物館〉の展示室
     =「東郷神社」で、07年2月15日午前10時54分撮影


清 「津屋崎に〈東郷神社〉があることは、あんまり知られとらんね」
琢二 「そうだな。英語のみくじ=写真⑥=があることも、知らんやろう。内田さんが宮司になって間もないころ、チェコからの留学生の青年が各地の外国人を連れて、再三神社を訪れた。青年は〈ボクの国では、東郷さんを教えるのに、日本では教えませんね〉と流暢な日本語で話した。ソ連軍がチェコに侵入した後、青年の消息は分からなくなった。そこで、内田さんは青年をしのぶとともに、ロンドン留学中に独学で英語を習得した東郷元帥と伊地知艦長を見習ってほしいという願いも込めて、和英併用のみくじを作ったそうたい。きょう、拝殿前の自動販売機に30円を入れたら、ほら、英語で〈Excellent〉というて〈大吉〉が出たぞ。〈運勢〉は、英語で〈Your Fortune〉たい。みくじの裏面には、和文が赤い文字で書いてある。最近は、英語上達の軍神として、受験生に人気があるそうや。一般的な合格祈願は、学問の神様・太宰府天満宮でして、英語上達は東郷神社にお願いする医学部受験志望の高校生も参拝したとの話も聞く」


写真⑥:〈運勢〉は、〈大吉〉を英語で〈Your Fortune〉〈Excellent〉と書いた英語のみくじ
     =「東郷神社」で、07年2月15日午前11時34分撮影

清 「アハハ。〈大吉〉は、〈Excellent〉で、〈待ち人〉は〈expected visitor〉、〈争い事〉は〈game and match〉か。面白いねー」
琢二 「受験生には、〈皇国荒廃此ノ一戦ニアリ〉として旗艦・『三笠』に掲げられたZ旗が刺繍された〈勝守(かちまもり〉という800円のお守りも人気があるそうだ。内田さんは『Zは、アルファベッドの最後の文字です。もう後がないと思って、一生懸命勉強しなければなりません』と励まし、4月には東大や九州大に合格した受験生とか、希望通り就職できた若者のお礼参りがあって、嬉しいという」
清 「神様も分業やね、ハハハ」
琢二 「もう一つ、変わったものがある。境内の社務所で、東郷元帥の肖像のラベルが付いた〈アミラーリ東郷ビール〉=写真⑦=を売っとるとたい。330㍉・㍑入りで500円。日本のビールとは、ちょっと違う味ばい」
清 「えっ、それって地ビールね?」
琢二 「味は、チェコ産の麦芽やホップを使った鹿児島空港そばにある〈霧島高原ビール〉製造の地ビールに似た感じで、飲みやすいが、輸入品だ。東郷元帥は、北欧ではロシアの艦隊に勝った人物として知られており、もともとフィンランドのビール工場が海軍提督(Amiraali:アミラーリ=フィンランド語)の肖像ラベルを付けて販売した〈アミラーリ・ビール〉に東郷元帥のラベル付きのも製造を始めた。今はオランダの工場で製造されたビールに、日本の会社が東郷元帥のラベルを付けたプライベートビールの〈アミラーリ東郷ビール〉として売っとるそうたい」


写真⑦:東郷元帥の肖像ラベルを付けた〈アミラーリ東郷ビール〉
     =「東郷神社」で、07年2月15日午前11時撮影


東郷神社(福岡県福津市渡。℡0940-52-0027):◆交通アクセス=〔電車・バスで〕西鉄宮地岳線津屋崎駅下車、徒歩40分。JR鹿児島本線福間駅下車、西鉄バス津屋崎橋行きに乗って「津屋崎橋」で下車し、徒歩30分〔車で〕九州自動車道古賀インターから約30分。60台収容の駐車場あり。

東郷神社
     福津市渡の「東郷神社」位置図
        (ピンが立っている所)

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