吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2007年4月11日〈津屋崎学〉026:「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」

2007-04-11 08:46:54 | 郷土史
写真①:明治34年に建築され、世紀を越えて残された「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」
     =福津市津屋崎新町で、2007年4月10日午後3時48分撮影

・琢二と清の郷土史談義

『津屋崎学』

第26回:2007.4.11
  「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」

清 「きょうは、津屋崎千軒の町並みの面影を今に伝える建物といわれる〈津屋崎千軒民俗館『藍(あい)の家』〉=写真①=について、おいしゃん(叔父さん)に聞きたい」
琢二 「これまで何回か話したが、もともと明治34年(1901年)に建築された藍染めを主とした染め物紺屋(こうや)の上妻家の五代目上妻善兵衛さんが建てた住まいだった。建物が解体される、ということで平成5年(1993年)8月に結成された〈津屋崎町街並み保存協議会〉の保存運動で、同6年(94年)に旧津屋崎町が上妻家から寄贈された建物を保存・管理し、同協議会が運営することになり、同年1月に〈津屋崎千軒民俗館『藍の家』〉と愛称が公募で決まった」
清 「藍染の店と分かるネーミングだよね」
琢二 「〈津屋崎町街並み保存協議会〉は、平成11年(99年)度に〈藍の家運営協議会〉と改称して運営を続けた。〈藍の家運営協議会〉は、平成10年(98年)に発足していた〈つやざき千軒いきいき夢の会〉と平成14年(2002年)に組織を統合し、同夢の会が運営を引き継いだ。『藍の家』では、シャンソンのコサートや、フェルトの帽子作り講座が開かれるなど地域の情報発信の場にもなっている」
清 「その〈つやざき千軒いきいき夢の会〉が、平成16年(04年)にNPO(特定非営利活動)法人になったんやね。それで、『藍の家』の特徴は?」
琢二 「ひとことで言うと、かつての〈町屋形式〉を示す建物たい。建築当時の状態が比較的よく残っている。海水に数年間浸けた〈塩木(しおぎ)〉=写真②=が使ってあるのも特徴の一つ」


写真②:海水に数年間浸けた〈塩木〉を使った梁
     =『藍の家』2階で、2007年2月2日午前10時30分撮影

清 「この〈塩木〉のことについて説明した張り紙を『藍の家』2階で見たことがあるよ」
琢二 「その説明の張り紙には、〈虫や腐食から護るために、長期間海水に浸した建築材。このように裕福な町家では、長く保てるよう、塩木を梁等に使っている〉と書かれとる。つまり、〈塩木〉は虫がつきにくく、普通の木材より長持ちする長所があるわけたい」

清 「そのほかに、『藍の家』の特徴はどんなものがあると?」
琢二 「1階座敷の欄間=写真③=には、〈博多東中竪町 彫刻師 近藤丑太郎〉の署名・捺印があるばい」
清 「それは、どういうことね」
琢二 「『藍の家』の欄間彫刻は、すべてこの福岡市の近藤彫刻師が彫ったというこったい」


写真③:〈博多東中竪町 彫刻師 近藤丑太郎〉が作った欄間
      =『藍の家』1階座敷で、07年3月23日午前11時44分撮影

清 「そうなんだ。『藍の家』の特徴は、ほかに何があると?」
琢二 「『藍の家』の入り口と、その左右の雨戸は、3枚の〈揚げ戸〉=写真④=になっとる」
清 「〈揚げ戸〉って、何ね」
琢二 「3枚の横長い雨戸で出来ていて、雨戸を開けるときには1枚ずつ上に繰り上げて、上の棚に納める仕組みになっている。津屋崎の町家の多くは、この〈揚げ戸〉の一番上が内側に開いて吊るす〈しとみ〉という形式になっていた」
清 「へー、面白い」


写真④:開けるときは1枚ずつ上に繰り上げて、上の棚に納める仕組みの雨戸の〈揚げ戸〉(左端)と格子戸

     =『藍の家』1階座敷で、07年3月23日午前11時43分撮影

清 「それから、『藍の家』に入ると、広い土間があるよね」
琢二 「その通り。叩(たた)き土に石灰・水などを加えて塗り、たたき固めた〈三和土(たたき)〉の広い土間=写真⑤=があるのも『藍の家』の特徴の一つたい」


写真⑤:三和土の広い土間の上がり口

    =『藍の家』1階で、06年9月16日午前11時19分撮影

清 「広い土間の中には、津屋崎の特産品や帽子、竹かごなど手工芸品の売り場=写真⑥=も設けてあるね」


写真⑥:広い土間に設けられている津屋崎の特産品や手工芸品の売り場

     =『藍の家』1階で、06年9月16日午前11時04分撮影

琢二 「津屋崎飴も、懐かしい味でうまいぞ」
清 「そう言えば、天神町生まれの吉村青春さんの詩集『鵲声―津屋崎センゲン』(新風舎刊)も、売り棚=写真⑦=にあったよ」
琢二 「津屋崎の絵葉書や、津屋崎の祭りを収録したビデオなども置いてある。来館記念に津屋崎の物産を買ってもらえるといいな。『藍の家』は、近く福津市が〈登録有形文化財〉の市内第1号として文化庁に登録申請する予定だから、登録されると明治に建てられた古い商家の価値が公認されることになり、意義は大きいばい」


写真⑦:来館記念にと詩集『鵲声―津屋崎センゲン』も置かれている売り棚

     =『藍の家』1階で、07年3月23日午後0時30分撮影

「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」(福岡県福津市津屋崎新町):◆交通アクセス=〔電車・バスで〕JR鹿児島線「福間」駅下車、西鉄バス「津屋崎橋行き」に乗り、「商工会津屋崎支所前」下車、徒歩3分〔車で〕九州自動車道古賀インターから国道495号線経由で約25分。駐車場あり。問い合わせは、同『藍の家』(℡0940-52-0605=午前10時―午後4時)へ。

津屋崎千軒・藍の家
   「津屋崎千軒民俗館『藍の家』位置図
        (ピンが立っている所)
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