吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2006年11月14日〈津屋崎学〉014:名力士・関脇「沖ツ海」の墓碑

2006-11-14 15:32:22 | 郷土史
●写真①:「新泉岳寺」境内にある関脇・沖ツ海の石像入り墓碑
      =福津市津屋崎天神町で、2006年10月28日午前10時58分撮影

・琢二と清の郷土史談義
『津屋崎学』

第14回:2006.11.14
  名力士・関脇「沖ツ海」の墓碑


清 「11月12日から〈大相撲秋場所〉が始まったね。福岡県出身の〝かど番大関〟魁皇(かいおう)は、初日白星で快調なスタート、2日目も連勝したよ。期待できそうやね、叔父さん」
琢二 「お前が、魁皇ファンとは知らんかったな」
清 「大相撲は、国技やもん。それに、魁皇はご当所力士のうえに、相撲っぷりが九州男児らしい。不器用だけど、強い時は横綱朝青龍だって投げ飛ばすけんね。腰や足の故障が多くて、弱い時はこれまた弱いけど…」
琢二 「そうだな。ところで、福津市津屋崎に昭和初期の大相撲で幕内優勝した宗像出身の名力士・関脇〈沖ツ海〉の石像が彫られた墓碑と、入幕記念の石碑があるのを知っとうや?」
清 「知っとう。津屋崎天神町の僕の家の近くにある〈新泉岳寺〉やろ。ばってん、よう見たことはないね」
琢二 「〈万松山新泉岳寺〉は大正2年(1913年)、津屋崎の実業家、児玉恒次郎さんが東京・高輪の赤穂浪士の墓がある〈泉岳寺〉から寺号と墓砂を分霊として譲り受け、四十七士を祀ろうと建立した。関脇〈沖ツ海〉の墓碑と入幕記念碑は、境内東隅の市道寄りにある。墓碑の表面には〈東京相撲 沖ツ海墓 東ノ関脇〉と白色で3行に刻字されているが、〈東の関脇〉の字は消えかかっとるな。裏面には〈児玉建之〉などと刻字されとる」


写真②:「新泉岳寺」境内にある関脇・沖ツ海の石像入りの墓碑と「入幕記念」石碑
      =福津市津屋崎天神町で、2006年10月28日午前10時58分撮影

福津市・「新泉岳寺」位置図
     福津市・〈新泉岳寺〉の位置図
       (ピンが立っている所)

清 「どんな相撲取りやったっちゃろうか」
琢二 「本名は北城戸(きたきど)福松。明治43年(1910年)5月28日、福岡県宗像郡南郷村(現宗像市)大穂の北城戸房吉さんの二男として生まれた。大正13年(1924年)5月場所で、若藤部屋所属・沖ツ海福雄の四股名で東京相撲の初土俵を踏んだ。身長182㌢、体重116㌔。強烈なぶちかましと左四つからの下手投げに威力があり、西の小結だった昭和7年(1932年)3月場所には9勝1敗で初優勝した。翌場所、東の関脇となり、大関昇進も期待される有望力士だったが、翌昭和8年(1933年)9月30日に巡業先の山口県萩市でフグ料理の中毒で急死した。まだ23歳の若さだった」
清 「可哀想やね。九州・山口の冬場の地方巡業では、フグを食べられるのも楽しみやったろうから、ごちそうになってフグの毒に中(あた)ったっちゃろう」
琢二 「昭和11年夏場所から関脇双葉山が初優勝以来、大関、横綱昇進後も含め5場所連続優勝しているが、角界では『もしも沖ツ海が生きていれば、双葉山の69連勝を阻めたのでは』とまで惜しまれた名力士だった。宗像市コミュニティーセンター南郷(なんごう)会館には、死の直前に婚約した師匠若藤親方の娘さんらと並ぶ沖ツ海の写真や、尋常南郷小学校で撮った同窓生との記念写真=写真③=、初優勝の成績などの資料が展示してある。実家近くには沖ツ海の御影石造りの墓もあるが、新泉岳寺にも墓碑が建てられたのは、沖ツ海が15歳の時に親もとになって一切の世話を引き受け、相撲界へ入門させた児玉さんが、郷土の誇りとして語り継ぐ記念碑として残したかったからだろう」
清 「ヘー、コミュニティーセンター南郷会館の展示品も見に行ってみよう」
琢二 「魁皇が平成12年(2000年)の夏場所で優勝したのは、福岡県出身の幕内力士としては沖ツ海以来68年ぶりの快挙だった。魁皇にも、もう一花咲かせて郷土の名力士になってもらいたいものだな」


写真③:尋常南郷小学校で撮った沖ツ海同窓生との記念写真
     =宗像市コミュニティーセンター南郷会館1階で、06年11月14日午前10時47分撮影

宗像市・コミュニティーセンター南郷会館
宗像市・「コミュニティーセンター南郷会館」位置図
       (ピンが立っている所)

▽宗像市・〈コミュニティーセンター南郷会館〉=福岡県宗像市野坂2119-5(℡0940-36-3465):◆交通アクセス=〔電車で〕JR鹿児島本線東郷駅下車、タクシーで10分〔バスで〕西鉄バス光岡バス停から徒歩5分、原町バス停から徒歩3分〔車で〕国道3号線光岡交差点から約30秒。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2006年11月14日〈津... | トップ | 2006年11月14日/〈... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

郷土史」カテゴリの最新記事