
写真①:ウミガメが産卵に訪れる勝浦海岸
=福津市勝浦塩浜で、2006年12月12日午後0時20分撮影
福津市津屋崎が自然豊かな環境にあることは、「津屋崎干潟」に世界でも数少ない絶滅危惧種の渡り鳥・クロツラヘラサギ(トキ科)が今年も飛来したことや、カブトガニが生息していることでも分かります。加えて、福岡県内でもあまりないウミガメが産卵に訪れる美しい勝浦海岸=写真①=が残っていることも、自然に恵まれた津屋崎の象徴といえるでしょう。
その勝浦海岸で今年7月、市のウミガメ産卵調査に加わっていた専門学校生が仕掛けられていた落とし穴に落ち、足を負傷するというおぞましい出来事があったのは、悲しいことでした。私はたまたま探鳥に訪れた勝浦海岸で12月12日、「落とし穴に注意」と赤い文字で書かれた福津市作成の看板=写真②=が建てられているのを見て、ここが現場だったのだと気付き、驚きました。看板では、次のような文面で市民に注意を呼びかけています。
〈この海岸に「釘を仕掛けた落とし穴」が数か所作られていました。このような行為は、きわめて危険な犯罪行為です。発見した際は、ただちに宗像警察署及び福津市に通報してください〉

写真②:「落とし穴に注意」と赤い文字で書かれた看板
=福津市勝浦塩浜で、2006年12月12日午後0時20分撮影
この看板の近くには、福津市うみがめ課が建てた「ウミガメ保護規制のお願い」の看板もあり、次のようなお願いが書かれていました。
〈・ウミガメを見つけたら生死に関係なく、うみがめ課に報告して下さい。
・ゴミは必ずお持ち帰り下さい。
・ウミガメの捕獲や卵の採取は禁止されています
・漁港や海岸周辺での、次の行為は6月から10月まで自粛して下さい。
①海岸への車両の乗り入れ
②車のヘッドライト等海岸照射
③焚き火・キャンプ等
④フラッシュ・ストロボ等照明の使用
⑤花火・大声などの騒音 〉

写真③:福津市が建てた「ウミガメ保護規制のお願い」の看板
=福津市勝浦塩浜で、12月12日午後0時20分撮影
今夏は3年ぶりに市内の海岸でウミガメの産卵があり、卵を安全な場所に埋め替えて観察する市ウミガメ特捜隊の保護活動が功を奏し、産み落とされた卵325個のうち273匹の子ガメが孵化し、孵化率は84%で、自然界での孵化率60-70%を上回ったという。ウミガメが産卵に訪れる美しい海岸は、津屋崎の誇るべき自然遺産ではないでしょうか。2007年は、自然保護意識がさらに高まり、「落とし穴に注意」の看板が不要になる1年になるよう願いたいですね。