吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2013年10月26日〈エッセー〉020:長編ドキュメンタリー映画「まちや紳士録」

2013-10-26 17:28:34 | エッセー

 

写真①:記録映画「まちや紳士録」PRチラシの表

 

・連載エッセー『一木一草』

 第20回:2013.10.26

長編ドキュメンタリー映画「まちや紳士録」

 福岡県八女市福島に残る歴史的な町家を保存、修理・再生させようとする人々を描いたドキュメンタリー映画、「まちや紳士録」のマスコミ試写会が、10月17日に福岡市内であり、私も鑑賞の機会を得ました。

  この記録映画は、「まちや紳士録」製作委員会(牛嶋幹代表)が製作。株式会社グループ現代(東京)の制作で、川井田博幸プロデューサー、伊藤有紀(ゆうき)監督(34)作品。上映時間88分の長編です。PRチラシ=写真①=には「八女市福島 歴史と伝統の町。そこにはルーツと向き合い、未来につなげようとする人々がいた」とあります。

  八女市福島地区は2002年5月、国の重要伝統的建造物群保存地区に全国で61番目に選定。記録映画は、江戸時代から商家町として栄えた歴史的町並みを地域固有の文化遺産、市民共通の財産として後世に伝え残そうと、日夜努力している同地区の先駆的な取り組みにスポットを当て、2012年6月から13年8月まで撮影を重ねて完成しました=写真②=。

  

写真②:記録映画「まちや紳士録」チラシの裏

  伊藤監督が妻と福岡から八女福島の町家に移住し、自らカメラを持って家族の暮らしぶりも撮りながら、元八女市職員で町並み保存運動を牽引してきた北島力・NPO法人八女町家再生応援団代表や、一級建築士として伝統建築の改修工事の設計に携わる中島孝行・NPO法人八女町並みデザイン研究会理事長の仕事ぶりをカメラで撮り続けました。茨城県に住む若い梅木隆さん一家3人が、八女福島の町家に移住する過程を丹念に追いかけます。

  そんな古い町並みの暮らしで、ほっとする町家の空間や互いに思い合い、助け合う住民のつながり、伝統や文化、大工、左官など職人たちの建築技術などの素晴らしさが浮き彫りになります。

 高度成長時代にスクラップ・アンド・ビルドという価値観で、日本の原風景である多くの町並みが破壊されました。経済の論理、開発の波から取り残された町並みは、バブルがはじけて低成長時代が続く今、輝きを取り戻そうとしています――と映画を通じて北島さんは訴えています。

 人間関係が希薄になった現代社会の中で、八女福島の古民家を修理して住み、家と暮らしを代々つなぐ人たちを活写したこのドキュメンタリー映画は、命や伝統、木の文化と家(町家)を日本の心とともに繋いでいくことの大切さを、私達に見直すよう迫ってきます。

 マスコミ試写会は11月14日(木)午後7時30分から福岡市博多区上川端町の「冷前荘」でも開催。12月7日(土)からは、同市中央区那の津の「KBCシネマ」で13日(金)まで連日午前10時から1回上映されます。全国に先駆けてのモーニングショー公開で、入場料は一般1800円、学生1500円、シニア1000円。2014年2月には、東京・渋谷のイメージフォーラムで劇場公開されます。

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