今回は自分の経験したリストラに関する記事だ。
いつもと毛色が違うが、いま世界中で起きつつある経済社会の出来事と、あながち無関係ではないと思われるために掲載した次第である。
●懐かしき?ブラックマンデー
ジャパンアズNO.1ともてはやされた日本経済は、山高ければ底深し・・、戦後から立ち上がり、飛躍的な成長を果たし、その伸びきった経済指標の高さによって、1980〜90年前後の世界情勢の急変をきっかけとして、日本経済のバブル崩壊が起きてしまった(起こされた)ことは知っているだろうか。
ブラックマンデーと呼ばれる1987年の株の大暴落、そしてソ連の崩壊等の世界的な大変化が、潮目・流れの転換点、トリガーとも考えられるが、その後の経済崩壊の時間的裾野は意外と長引き、頑張り続けた多くの人々が、身にしみてその崩壊に気付くには時間がかかるのだろうか、失われた20年とも言われる期間がそのまま現在に続いている。
当初は、「暴落あった?・・あー、株でしょ?、おれ持ってないから・・」
「大不景気?来る、わかんないよ・・まだ誰もそんなに騒いでないし・・」
「変革必要?そうだよね・・、でもうちの会社はそんなに悪くないよ」
●金融無法時代のこと
時代はその後、企業リストラや倒産騒ぎから、今度は銀行自体のリスク表面化の時代になって、TVやメディアでは銀行の貸しはがしや貸し渋りの報道が多くなり、合併したり、外資に買いたたかれたり、本来は亜流で影に隠れているはずの高利貸し、サラ金等が全盛の時代になった。
言葉に刺がある言い方だが、金融面で山賊が国を荒らし回っている時代のようなものである。例えば、プ〇ミスや、〇富士・・憶えている人もいるだろう。
ちなみに、私は仕事の関係で、営業担当の売り込み宣伝に付き合い、新技術の担当として、その全盛時代のプ〇ミス本社へ乗り込んでいったことがある。やはりどこか?高利貸し屋というイメージ・偏見もあるため緊張しながらではあったが・・別に利益追求しているだけの普通の会社であった。笑)。
バブル崩壊以降、様々な国の対策も続けられ、国債残高が急増する時代となってから、高利貸やサラ金は影をひそめてしまったのだが、当時は飛ぶ鳥を落とす金余りの代表企業のようなものであった。
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●リストラのメインは人減らし
そういう時期に、私のいた会社はある日、あっという間に実にあっけなく倒産してしまったのである。
原因はやはり、バブル時期のイケイケどんどん時代の、設備投資上の過大な借入金返済であった。
それまで経営者側は、何年も掛けて少しずつリストラしながら、会社組織の延命をしていたのだが、十年以上も全体景気が回復しない状況のまま、とうとう資金繰りに窮してしまったということだ。
そのリストラだが、まず高年齢者(高給社員)から順次肩たたきが行われる、あるいは業務の縮小に伴う日干しである。ここで日干しとは、働きの悪いと思われる人には業務(水)を与えないようにして干すこと、居ずらいらい雰囲気にしてから、自主退社に追い込むことだ。
業務が少なくなっている場合、皆で少しづつ分担するのではなく、選別して特定の者(主に若手)にだけ与えるということである。もちろん、あからさまには行われないけれど、要は有望株は助けるが、くず株は切り捨てるわけだ。
表面上はなかなか見えないけれど、当事者は明らかに虐め(いじめ)にあっていると感じるだろう。他の集団が忙しそうに動いているにも拘らず、自分だけ埒外の状況で何も仕事が無く、ただ机に座っている状況を考えてみればいい・・。
でもそれは自分の自助努力が足りないからだ・・という見方もあるため、
そのいじめが正当化される雰囲気があることには、なかなか気づかない。
それでもジッと頑張る人がいれば、仕方がなく会社からの肩たたき、それとなく退職勧告となる。自己申告退職だと失業手当がかなり不利になるため、社員側のここまでの苦労も相当なものである。
(さて、これらの陰湿とも思える、弱者いじめの有様は、昔から学校や会社ではあったとはいえ、昨今の社会・世界であからさまに起きだしてはいないだろうか?それも、とうとう世界同時に・・)
●秋のある日に起きたこと
会社としては、そういう人減らしや社員減らしをしつつ、経費を節減しながら何年か過ぎたある年の9月・・、
つまり決算期だったのだが、外回りの業務だった自分のグループに、会社携帯から「2回目の不渡りがあった」という連絡が入ったのだった。
そして、電話を受けた者は複雑な表情で「あー、終わった・・」とつぶやいた。
つまり・・今のはやり言葉でいう「デフォルト」が起きたのである。
●タイタニックのよう
簡単にデフォルト等と言うが、
当事者たちにとって、これは想定外にしておきたい、とんでもない経済・社会的変化が起きたという事であって、
起きてしまったその変化の先を乗り切ってゆくのは、もうすでに集団組織・会社ではなく、個々人に絞られたという事をも意味するのだ。
それは当時はやっていた「タイタニック号」の映画のようなもので、すぐにでも下船しなければならない状況になったという事である。さらに下船といっても、何の用意もない者たちが急に嵐の海に放り込まれるようなものなのだ。
●最後まで状況判断できない人もいる
企業のデフォルトは、寄らば大樹の崩壊、そこに居るだけで日陰や癒しを与えられる会社はすでに無いという事を意味していたのだが、
社内はと言えば、めったに無いこととはいえ、
相変わらず、お互いに顔色や動きを見守るだけで、今ひとつピンと来ていない雰囲気であった。「え、なに何?・・・何が起きたの?」
その後自社の倒産が、何かの嘘や間違いではないとようやく気付き始め、当然ながら、仕事に手を付けるどころでは無くなってなってきた。
後日、社会保険労務士の先生が、今後の処理について説明に来るという日になって、ようやく社員の多くが、自分たちの身の振り方に関して多少ともパニックをきたし始める状況になり、この期に及んで初めて、なぜか退職手続きに我勝ちに殺到したのだった。
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●耳に心地良いもの、後でしびれ薬
前の会社の仲間たちで、これを想定し準備していた者はどれほどいただろうか?といえば、ほとんどいなかったと思う。
噂は誰しも聞いていただろうが、けっして真に受けたくない噂だったということだ。
普通に言うならば、
それぞれが現状に甘んじるだけで、いわゆるリスク回避努力をしなかったという事だろう。
●苦労の先取り 当時は馬鹿者
翻って、自分自身はどうかといえば、数年前から、経理や営業の人からの情報も漏れ聞こえ、ひょっとしたらあり得ることだと危惧していたし、
いざという時には自分と家族の生活の為、今の会社を離脱しても飯が食えるように、新しい資格の取得努力や、他の社員との情報共有にも色々と努力はしていたが、
ある意味で、自分にとってはこの時期ほど、実に長くつらく感じられた時期はなかった。
なぜならば、会社の他の人は感じていない将来のリスクへの不安感情の余計な先取りや、その回避のための、新しい追加施策の負担や、さらに、大きなリスクにもまったく気づかぬ人達との折り合いの悪さも重なって来るからだ。
「え?そんなこと考えられない、だって誰も言ってないじゃない」
「え、何馬鹿なこと言わんといて?・あんた考えすぎちゃうの?(嘲笑)」
「たとえ何かあっても、それは経営者の責任だ・・普段良い思いしてるんだから、何とかしてもらうのが筋だよ・・そうだろ?」
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●身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
私自身は、その時、別の転職先が決まっていたわけではないが、もうやることはやった後のあきらめというか、放心というか、どこか冷静な心境にあったことを思い出す。
言わば、結果として・・ほとんど済ませていた・・とでも言えよう。
そのせいだろうか、その後の転職は、ひと月も開けずに決まったのだった。何の引きもコネもない50歳前後の人間の転職がそんなに簡単にいくわけもないが、今までの自助努力の成果か、さらに不思議なご縁もあった。
やるべきことは既にやったあと、もう余計な思考がなくなった、
あきらめなのか、放心なのか、
いわば空白のマインド状態では、
逆にすべてがジャスト・イン・タイムで起きてくるのである。
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とはいえ、新しい会社での一からの出直しは、年功もプライドもなんの役にも立たず、それまでの実績と、それからの実行と実力のみがその後の自分を支えてくれたのだった。
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一般に企業リストラとは、首切りや解雇、人員削減ばかりがイメージされるが、本質は企業の生き残りのための、根本的な組織再編成のことである。
大きい・小さいにかかわらず、人々の組織上に起こされる急激な変化のことをここでは広義に「リストラ」と言っているが、これは企業・会社・学校ばかりではなく、どんなことにもいえることである。
なので、今起きていることは、一種の地上界のリストラ・・と考えれば、かなり色々なことが分かって来るだろう。
リストラの大きな変化に耐えられない場合には、急激な変化の加速度が直接に襲ってくることになるため、けっして歓迎などされないものだが、そこにい居る以上避けて通ることも出来ないものである。
例えば、常に組織・集団の向上努力が持続して行われるならば、その変化率は少ないものだが、いつも誰か何かを盾にとって、それを怠っている場合には、いつか一気にやってくることになる。
一気に変化が起きること、かつ崩壊現象を伴なうことが「カタストロィー」と呼ばれるものだ。
霊的な世界で言えば、カルマの解消過程ともいえるだろう。
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単なる参考ではあるものの、今起きていることに関して語っている人がいるのでその動画を紹介する。何か酔っぱらったようなおじさん?だが、核心はついていると思われる。
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